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わりとどうでもいい地球侵略。ver.2  作者: もじ
わりとどうでもいい新章
1/12

プロローグ

「ご、合コン?」

うん……私にとって無縁な言葉だってことはわかるよ。あれですよね?他校の男子のグループと会ってお話しりするんだよね。でも……。

「あの、私なんかでいいのかな?」

問いかけると二人は何処か微妙な顔をしながら答える。

「えとねえ、相手さんが何故かあなたのこと知っててさ、指定なんだわ。あなたが来ること。ね?」

「そそ。でもさ!超イケメンだよ!?ね!ねえ!こんなチャンス滅多にないよ!?みんなで幸せになりましょ!」

腕をぶんぶん振られて思わず苦笑いしてしまう。私指定?

……奴か。うん間違いない。地味な私が男の子に認識される理由が他に見当たらない。


有馬くん。


先月から家で預かっている人。何でも家庭の事情で単身、日本で生活しなければならなくなり身の回りの世話をして欲しいと我が家にやってきた私より一つ年上の男の子。私の意見を聞くことなく両親が了承してしまい……現在一緒に暮らしてます。お母さんがベタ惚れだし、反論の余地なんてなかった。昔から男の子欲しがってたもんね。お父さんもキャッチボールしてもらって喜んでたし。

……私いらない子ですか。

由香里(ゆかり)ちゃん?」

「え!?ううん、何でも……」

すみません、トリップしてしまいました。それにしても……どうしようかな?普段ならこんなこと絶対断るけど……まあ合コンに誘われたことなんてないけど!

でも、有馬くんのこともあって私の存在をちゃんと誰かに認めて欲しいと思ってたところだし……こんなこと、きっともうないし。

「で?で?」

「うん。行く」

私は安易な考えの下、参加することにした。


私の名前は(たけ)由香里(ゆかり)といいます。現在上山女子高等部の一年生です、もうじき春休みで進級する予定だけど……出来るよね?

成績は普通くらいかな?スポーツは少し得意。一応家庭科部に所属してるので家事と裁縫は自信あります。友達を作るのは苦手だけど……初等部からいる関係で何とかやれてる、はず。私に関してはそれくらいです。

では、同居人の有馬くんについて少し。苗字は私と同じく武と名乗ってます、彼は小井(ちい)高校という共学校の二年生。自分のことを「余」というかなり変わった人で……ちゃんとやれてるのかな?でも礼儀正しいし、その、かっこいいし。大丈夫だと思います。以上。


「始めまして(キラリ)」

「よろしくね(キラリ)」


「「「…………」」」

放課後、待ち合わせ場所のファミレスに集合した私たち。しばらくして現れた男子三人組は……イケメンとは聞いていたけど、想像以上だ。あまりの衝撃に思わず言葉を失う。

私を誘ってくれた二人が続けて自己紹介し、自分の番となる。緊張を振り払い何とか言葉を振り絞った。

「あの……武、由香里です。よろしくお願いします」

相手さんの二人、一緒に来た子達から拍手されこそばゆい気持ちで席に着く。しかし気になったこと。視線の先、私の前に座る男の子だけ、ずっと無反応でいる。


私に対してだけならわかる。


それだけでなく、他の四人の言葉にも全く反応しない。気まずいなあ……。

それからも私はその子のことが気になりみんなの話に馴染めなかった。まあそれだけが原因じゃないんだろうけど。私、むすっとした彼を除いた四人が盛り上がる中、意外なことを耳にした。

一騎(いつき)何でアピールしねーの?由香里ちゃん指定したのも、合コンセッティングしたのもお前だろ?」

……は?彼が私を指定?何故……。その言葉を受けて彼の方を伺ってみるものの、全く無反応。私はそのまま俯いた。

(私が悪いのかな……)

あれかな?有馬くんから話は聞いたけど、想像と違ったって?そんなの……知らないよ。涙が溢れそうになるのを必死に堪え続けた。


そして時計の針が6時を差した頃、それぞれ気の合うもの同士遊ぼうという話になった。当然残りの四人はそのまま出掛け、私と彼……一騎くんがその場に残される。私は堪らず問い掛けた。

「あの、何で私のこと……指名したんですか?他の人に頼まれたんですか?有馬くんとか……」

「有馬……?」

その言葉を聞いた瞬間、今まで何一つ耳を傾けなかった彼が初めて反応した。やっぱり……。そんなことを考えていると、一騎くんは急に席を立った。


「行こうか」

「えっ……」


次の瞬間、腕を掴まれ必死に抗議する。

「あの!何ですか!?その、痛いです!」

彼は私の言葉に構わず、二人してそのままファミレスを後にした。反発する私に一騎くんは何処か余裕なさ気にこう付け加えた。

「詳しいことは後だ。君も彼女たちを危険な目に合わせたくないだろ」

は?ええ!?何よそれ!


……もうわけわからないよ。

結局それ以降、私は黙って彼に付き従うことになった。


そして先程の男子生徒と連れ歩く二人を発見した。私たちは探偵の様にその後を付かず離れず追って行く。

「あの……危険な目って、どういう意味ですか?」

「…………」

一騎くんはそれには答えずただ彼らの動きを注視している。少しムカっとしたけど、言っても無視されるだけなので何も言わずに私もそちらに視線を向けた。


……すると。


そこには不思議な光景が広がっている。光景というか……今日はずっと天気良かったはずなのに、何というか辺り一面灰色になっている。慌てて一騎くんを伺うと、何処か嬉しそうに笑みを浮かべている。

「いよいよか」

「えっ?」

次の瞬間、彼の瞳が眩き閃光を発する。私は思わず目を閉じ、開いたその先には……真っ赤なオーラの様なものを纏った一騎くんがいた。


「えっ?あの、一体何が?」

さっきまでとは違い髪の毛が逆立った一騎くんは狼狽える私を見下ろすとこれまた嬉しそうに話す。

「やっぱり君は平気なんだ……意識を保っていられる」

「何よ、それ……」

再び彼の方を見ると、その視線はあの四人へ向けられている。そして……一騎くんの連れてきた2人組は……。


「ばけ……もの……」

最早人間の姿をしておらず、ゲームの中にいるようなモンスターへと形を変えていた。そして私のクラスメートたちは灰色の景色の一部となってしまったかの如く、逃げることもなく景色に同化してしまっている。

そして、今まさに姿を変えた獣たちは彼女らに襲いかかろうと飛びかかった。


「いやあああぁぁあ!」

何も出来ずにへたり込む私。


そして。


振り下ろされた太い腕は彼女らに到達するより先に、その胴体から引き千切られた。

「うがぁぁぁあああ!?」

痛みに腕を抑え込み蹲る獣の前に、その人は敢然と立ちはだかっている。


「……異星人たち。俺がいる限りこの惑星(ほし)で好きにはさせない。大人しく帰るか……それとも跡形無く消し飛ぶが、選んでもらおう」

「ごあぁぁぁあああ!」

二体のモンスターが体勢を立て直し一騎くん目掛け飛び掛かって行く。そのスピードはさっきの攻撃とは桁違いに速く、それらを交わして行く一騎くんも彼方此方に擦り傷を負っている。

「何だ、こんなものか?」

しかし、彼は形勢的不利にも関わらずその表情には余裕が見て取れた。それでも……あんなのまともに当たったら、一騎くんは。そんな私の心配を、彼は完全に払拭した。


「うがぁぁぁあああぁぁああ!?」

「うるさい」

振りかかった太い腕は軽く受け止められ、まるで雑巾を絞る様に捻じ曲げられる。その背後から迫ったもう一体の突進も彼の掌で完全に勢いを失った。


何よ……これ。

あまりに非現実的なやり取りに、私はただその場に立ち尽くした。

「あがああぁぁぁああああぁ……」

鮮血が飛び散る。モンスターの内容物が無造作に砕け散る。骨の圧し折られる不快な音……それらはすぐに私の耐えられるメーターを振り切り、その場で意識を失った。


「……ん」

気が付いた時、私は彼におぶられていた。慌てて体を引き剥がそうとした為一騎くんはバランスを崩しそうになってしまい……怒られた。

「危ないだろ。それより、大丈夫?」

その言葉で今まで見ていた光景が蘇り吐き気を催した。流石にそんな姿は見せられないので死に物狂いで我慢したけど……。

「君の家何処?送ってくよ」

「……うん」

さっきの一騎くんの姿を思い出して、あまり関わりたくないと思ったけど……それ以上に今一人で街を歩くことが不可能なのがわかりきっていたので、私は彼に甘えることにした。途中彼は私に今日のことについて話してくれた。

「さっきの連中、異星人なんだ。俺の通っている学校に潜伏していてね……以前からマークしていた。こんな機会でも無いと本性を表さないし、君たちのこと利用させてもらったんだ。悪かった」

「……そうなんですか」

抗議するべきところなんだけど……私にそんな気力は残っていなかった。ただ彼の話す内容が全てドッキリか何かであってくれればと願うばかりだ。

それでも……どうしても聞いておきたいことがあった。

「二人は……無事なんですか?」

おぶられているので一騎くんがどんな顔をしているのかはわからなかったけど……息遣いから何と無く優しく微笑んでくれている気がする。

「ああ、心配ない。奴らが発した力……ガーデンという結界は本来地球人を外敵から守るべくある。最も君が見たとおりあのままではそれは機能しないことになったけど。ただガーデン下にいたのが不幸中の幸い、二人は何も覚えて無い。そのまま帰っていったよ」

「よかった……」

ホッとして、無意識に彼にもたれ掛かってしまった。そのまましばらく無言で進んでいるうちに、もう家はすぐそこまで近付いている。


「あの、ここまででいいです」

「わかった」

一騎くんから降りると一つお辞儀をした。そして、最後に確認したかった疑問をぶつけた。

「最後に……聞いていいですか?」

「何だい?」


「一騎くんがその……私を指名したのって、やっぱり家に有馬くんがいるからですか?」

「…………」

彼はそれに答える代わりに、自らのことを話した。

「本当はこちらの素性を明かすつもりは無かったんだけどね。少なくとも君に辛い思いをさせてしまったお詫びに……名乗ろう。


俺は一騎、地球人ではない。そして俺がここにいる目的は地球を故郷の支配下に置くため」


……は?

あの、何ですかそれ?

テレビの見過ぎじゃないかな?


「別に冗談じゃない。君も見たとおり俺は地球人にはない力が使える。そして今……ここにはそのような輩が溢れている。地球人になりすましてね」

「嘘……」

そんなの、信じられない……。

「嘘じゃない……そして、俺にとっての地球での一番の任務、それは君の家にいる男を抹殺することだ」


抹殺……?

有馬くんが、殺される……?

そんなの、そんなのないよ!

「何でですか!?有馬くんが何したっていうの!?」

一騎くんは答えず、私に背を向けた。それでも私が食い下がると一言だけ付け加えた。


「俺がその男を憎んでいてのことじゃない。そいつが……ヴィクトリア都から来ている連中のトップだから。だから殺す。俺たちの任務の障害になるからな」

「ヴィクトリア……都……?何それ、知らないよ……」

聞いたことのないところ。話の筋から言えば、きっと地球じゃない。


有馬くんは……宇宙人?


…………。

立ち去った一騎くんの後ろ姿を、私はただ力無く見つめた。


相変わらずの駄文だ……前回から全く進歩していないなあ。

次回もよろしくお願いします。

ストックないですが……

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