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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第四部:劉備軍支援
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「とんでもなく待たせたのにこんだけかよ!!?」という皆様の声が聞こえる…!!


ど、どうかお許しを−−−!!!



後半に新キャラ登場です。



−−−暇だ、とにかく暇だ、死にたくなるほど暇だ。


ならば暇を作るな、と誰かに言われそうだが……考えてもみろ。


予定なんてのは飽くまで“予定”。


人生に予定を設ける、なんてトンチンカンな事をするのと同様に、なにが起こるか判らないのが世の中であり人の世だ。


巧妙かつ時間を練りに練って作戦を立ててから実行へ移す軍事行動でも、予定や想定が狂うのは当然のこと。


それさえも想定するのが作戦参謀であり軍師であろう。


その狂いを“予定”ないし“想定”しない者は名乗るべきではない。


−−−そんな事を長々と言うのも詰まるところは暇だからだ。



「−−ライフルの発砲弾数は通常弾倉の想定で30発。拳銃は……取り敢えず任意とする。撃ち方始め」


『へ〜い』


「中尉より外した奴は晩飯抜きだってさ〜」


「ゲッ、マジかよ!?」


「晩飯?明日の朝飯も抜きなんじゃねぇの?」


「ちょっ待てや!!段々、ハードル上がってんぞ!!?」


「大丈夫だって。ヤバくなったら……ほら、ランチャーでグレネードでもブッ放せば−−……至近じゃ炸裂しねぇんだった…」


城外の野営地に設けた簡易の射撃場で、木の枠へ貼り付けた紙のマン・ターゲットへ向けて部下達が精密射撃(グルーピング)を開始した。


「おじちゃん、凄い音だね〜」


「…そうだな−−っと、これが橋だ」


「わっすご〜い!!」


「やってみろ」


「うん♪」


輪にした一本の細い紐を両手の指へ通し、完成した作品を傍らに座る璃々嬢へ見せれば感嘆の声を上げた。


指から紐を外し、それを璃々嬢へ渡せば、嬉々とあやとりを始める。


「ふふっ…こんなに璃々が懐くなんて…」


「おい紫苑。おかしな事を考えるでないぞ?和樹殿の奥方に失礼であろう」


「おっおおおっ…奥方ぁ!!?かっ韓甲様には、奥方様がいらっしゃるのですか!!?」


−−何がどうなれば、そんな話へ行き着くのだろう。


俺の傍らへ当然とばかりに座っている金髪巻き毛の美女の素っ頓狂な声が耳朶を打つのと、ほぼ同時に溜息を吐く。


改めて自己紹介をされたが……これが“あの”袁紹なのかと素直に驚いてしまった。


「…妻は居りませんよ。そもそも、こんな女性の機微も判らぬ朴念仁で甲斐性なしの男が結婚するなど奇跡だ」


「なんと!?…どうやら呉の女子(おなご)共の眼は節穴のようだ」


「えぇ、本当ですわ。こんなに逞しく素晴らしい男性を放っておくなんて…」


当たり障りなく−−というより事実に限り無く近い返答だったのだが…評価を考えるに…どうも誤解されている気がしないでもない。


なんでも部下達曰く、俺は“三国一、嫁が来ない確率が高い男”なのだとか。


野郎共も−−


「高収入、顔も良い、腕っぷしも申し分ないし頭も良い。それなのに……隊長に嫁が来る図が想像出来ない…」


−−と言っていたな。


嫁を娶る予定なんぞないし、別段、欲しいとも思わんのだが。


まぁ良い、と溜息をひとつ吐き出し、あやとりで遊んでいる璃々嬢が遊びに飽きた時に備え、新たな玩具を作り始める。


胡坐を掻く眼前にあるのは林から切り出してきた竹を割った物。


腰の弾帯から6kh5−−銃剣を抜き、バックパックからは紙ヤスリを取り出す。


まずは銃剣を使い、大まかに竹をパーツ毎に切る。


一枚の板状となったパーツを銃剣で削り、更に薄くしていけば……プロペラ状の物体が出来上がった。


「……おじちゃん、なにつくってるの〜?」


「玩具。大人しく見てろ」


「えっ、おもちゃ!?」


傍らの璃々嬢が発したのは新たな玩具の出現を心待ちにする声音。


四角形に削り出した細い竹へ紙ヤスリを掛け……円柱状の軸を作り終われば、次にナイフの切っ先でプロペラの中心へ穴を穿つ。


そして軸をプロペラの穴へしっかりと差し込めば……竹トンボの完成だ。


「それなに〜?」


「竹トンボだ」


「とんぼ?…ぜんぜんみえないよ〜?」


完成品を璃々嬢へ差し出せば、そんな返答が来たが………まぁ確かに。


名前の割には全くトンボのフォルムをしていない玩具だな。


そんな璃々嬢は渡した竹トンボを手元で弄びながら、どうやって遊ぶ物か考えている様子だ。


「貸してみろ」


「ん−……はい」


璃々嬢の手から俺の掌へ戻って来た竹トンボの軸を両手で挟み、手の中で擦り付けるように回しつつ空へ押し上げれば−−


「あっ、とんだ!!!」


「−−−え!?」


「なんと…!?」


「とっ…飛びましたわ!!」


竹トンボが鮮やかに回転しつつ空を飛翔した。


彼女達が飛翔する竹トンボを眼で追うのを視界の端に捉えつつ滞空時間を計測してみる。


ストップウォッチは持っていないが……腕時計の秒針で代用は出来る。


眼前まで持ち上げた左腕に巻いている腕時計の秒針を左目で捉え、片目は竹トンボを追う。


…2…3…4……落ちた。


ふむ……滞空時間は約5秒……翼を熱して曲げなかったが上々だろう。


「おじちゃんおじちゃん!!これ、すごいね〜♪」


「なんとも面妖な……」


「一体、どのような原理で…」


「原理は揚力−−」


説明しようとしたが…揚力云々を説いた所で首を傾げられるのが関の山だ。


途中で口を閉ざし、代わりに駐機しているヘリを指差す。


「−−詳細は省きますが、あの絡繰と同じ原理で飛んでいます」


視線をヘリへ向ける彼女達が納得……したのかどうかは判らないが、感嘆の声を微かに発した。


それを尻目に紙ヤスリを片付けると、息を吹き掛け、銃剣に付着した屑を払い、それを鞘へ納める。


「ねぇ、おじちゃん。これ…ほんとうに璃々が貰って良いの?」


璃々嬢に声を掛けられ、顔を動かせば、期待と不安が入り混じる双眸で俺を見上げている。


「…元々、君の為に作った物だ。遠慮なく受け取ると良い。…手慰み程度に作った物だから出来は悪いかもしれんがな」


「わかった、おじちゃんありがとう♪」


「…どういたしまして」


「えへへ〜♪た−けと−んぼ−た−けと−んぼ−♪……えいっ!!−−あっとんだ、とんだよ−−♪」


調子の外れた歌を口吟みつつ璃々嬢が竹トンボを飛ばした。


「野郎共−−もとい、おじちゃん達の方へは行くなよ」


「うん♪」


注意している現在も野郎共は射撃中だ。


もしも璃々嬢が射線上に入ったら……まぁ即刻、射撃は中断されるだろうが、銃弾は飛んでくる。


………何故だか判らんが…無性に喫煙したい衝動に駆られた。


…もうニコチンが切れたか?


ハァ…まったく。…ニコ中の悲しい性だな。










other side






大陸の北方一円を支配下に治めた曹魏の首都:許昌は今日も活気に満ちている。



各地から訪れる行商人、店舗が軒を並べて、道行く民達へ商品を高らかに宣伝する様子は治安と経済の安定を良く表している。


「−−入隊志願の者で合格していない者は、こっちで試験だ!!」


「合格した者は、こっちで入隊の手続きだ!!」


許昌にそびえ立つ城の練兵場では曹操軍へ志願入隊する人間達が幾人も並び、その整理に兵士達が苦労している。


破竹の勢いで領土を拡大する曹操軍の噂を聞き付けた腕に覚えのある若者達が曹魏領−−果ては大陸全土から各地に点在する軍営を訪れるため、兵力の補充には事欠かないだろう。


試験−−主に持久走や重量挙げ等の体力試験を突破できた者達は晴れて入隊。


逆に合格出来なかった者は−−肩を落として帰って行く。


「姓名と年齢、それと出身地−−…判った。向こうで並んでる小隊に加われ。兵装の授与がある。はい、次」


合格した者の身元をリストへ記述する監督官が次々に新入り達を捌いていると、不意に手元が暗くなる。


不審に思い、顔を上げれば眼前に長身の−−並み居る志願者達よりも背の高い青年が立っており、日光を遮断していた。


首筋には裂傷の痕が見え、背中まで届くだろう髪は頭の後ろで一本に結っている。


僅かに生えた無精髭や痛んだ頭髪を整え、衣服も新調すれば、引く手数多の丈夫に変貌しそうな顔立ちだが−−鋭利な刃物を思わせる眼光が素材を台無しにしている。


「−−っと。合格おめでとう。…早速だが手続きだ。姓名、年齢、それと出身地を」


「…張燕、字は無いが…仲間内では飛燕と呼ばれていた」


落ち着きのある低い声に触発され、監督官が筆を動かす。


「歳は…24だな、うん。出身地は常山郡」


「…ふむふむ……良し、手続きは終わりだ。向こうに並んでくれ」


「…判った」


着替え等の私物が入っている麻袋を肩へ担いだ青年−−張燕は整列する小隊へ加わるべく歩き出した。







ここまで呉と蜀の人間しか主に出ておらず、魏の存在が薄いので、思い切って新キャラ登場です!!


まぁ……最初から予定してはおりましたが、何処で登場させるかで悩みましてね…。


………ていうか張燕が判る人って居るのか?




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