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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第四部:劉備軍支援
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短くて済みません!!


次話は本格戦闘に入ります!!


元ネタがちょっとあり。


ちなみに……


和樹は戦闘開始直前にしょっちゅう「状況開始」と言いますが、厳密には間違っています。


正しくは「作戦開始」と言わなくてはなりませんので、軍事小説を執筆なさっている先生方は要注意。


……え?じゃあ何故、使っているのか?


和樹曰く「カッコいいから」だそうです。






「オ−オ−、凄ェ凄ェ」


「いつも思うけどさ、戦列組んだ軍って威圧感あるよな」


「この時代じゃ普通なんだろうよ。俺達みたいに散兵するのが異常なんだって」


「そうか?…戦列歩兵って何時まで続いたんだっけ…?」


「19世紀まで」


「なるへそ−−って少佐!?」


「戦場で戦術談議とは中々だな。なんなら俺と中尉が講義してやろうか?」


およそ800m先に布陣している約6万の厳顔軍を双眼鏡を覗いて確認中の部下達へ冗談混じりに告げれば、彼等は苦笑しつつ首を横に振る。


「しかし…野戦ですか…。籠城戦なら勝機はいくらでもあったろうに…」


「漢升殿や恋殿は武人の誇りが云々と言ってたが…俺には到底理解できんよ」


「御心配なく、俺達もです」


部下連中の言葉を聞く限り…俺の考え方は普通のようだ。


一般的に野戦では兵力の多い方が有利だ。


戦術の常識として少数の部隊が大部隊を包囲する事は叶わない。


極端な話だが、歩兵小隊が歩兵大隊を包囲する、というのが良い喩えだ。


まぁ作戦次第で戦況を変える事も可能かもしれんが…実際は難しい−−というか限りなく出来ん。


少数が勝つには真っ向から敵軍と衝突するような野戦等は避け、籠城戦へ持ち込むべきだろう。


もっとも現在の益州の状況では“籠城”という状態へ持ち込むこと自体が難しいかもしれん。充分に備蓄された食糧、武器、そして衛生環境等を整えなければ籠城は出来ない。


そもそも籠城自体が援軍の到着を想定して実施するモノだ。


州牧の噂を聞く限り…援軍を送る可能性は低い。


それらを鑑み、籠城ではなく野戦で決着をつけようと考えたのなら……まぁ納得はいく。


「−−で、隊長」


「あん?」


「さっきから気になってたんですが……お尋ねしても?」


「構わん。なんだ?」


双眼鏡を取り出し、遥か先で布陣する敵軍の様子を監視していると、不意に部下から声を掛けられた。


尋ねたい事があると言うので、それを承諾すると……なにやら呼吸を合わせる多数の気配を察し−−


『それなんですか!!?』


「……あん?」


接眼レンズから眼を離せば、並み居る部下達は俺の傍らを指差している。


その先には……柔らかい毛並みで覆われた“それら”が俺の足下で寛いでいる。


腰を落とし、それの“頭”を撫でれば気持ち良いのか眼を細め“尻尾”を振り始めた。


すると、もう一方が構って欲しいのか頭を俺の腕へ押し当てる。


苦笑しながら双眼鏡をポーチへ戻し、空いた手で同様に撫でてやる。


「…なにって…犬だろ?」


『イヌぅぅぅ!!?』


「いやいやいや違いますって!!」


「……おぉっ。…いや済まん。俺とした事が…」


「きっ気付いてくれましたか?」


「あぁ。正確には野良犬−−」


『違いますっ!!』


「…?……山犬?」


「ちゃう!!野良犬や山犬とはちゃう!!」


「チャウチャウ…には見えんぞ?」


「ベタだ…!!なんつ−ベタな勘違いを…!!?」


「少佐、気付いて下さい!!アンタが一番、良く知ってますから!!」


「……?」


…俺が良く知ってる…?


そのような犬は……屋敷で飼っているシェパードの萌々(♂)しかいないが…。


視線を下へ遣れば、二頭のそれは舌を出しつつ俺を見上げている。


……どう見ても…シェパードには見えん…。


黒、茶、白が混じった毛並み……まぁどんな犬種にも良くあるな。


「…あ〜…ちなみに隊長。いつ、そいつらを見付けたんですか?」


「あん?…劉備達と打合せを終えた後に林で小便を済ませて…その時だな、コイツらが来たのは」


最初は二頭だけじゃなく、十頭近く居たがな。


…まさか一睨みで逃げ出すとは思いもよらなかった…。


「ほら小隊長、アンタの大好きな犬ですよ♪」


「やややややめろぉぉぉ!!腕掴むな引っ張るなぁぁぁ!!!」


「大型犬じゃないですよ、中型犬ですから♪」


「あっ…確かに−−じゃない!!オオカミじゃねぇか!!洒落にならねぇだろぉぉぉ!!!」


「……オオカミ?………おおっ!」


『気付くの遅ッ!!?』


…部下連中が何やらツッコミを入れて来た。


しかしオオカミか……何オオカミだ?


「……誰かオオカミに詳しい奴は居るか?」


「…済みません。食える動植物限定です」


「右に同じく」


「同じく」


『以下同文!!』


むぅ……何オオカミなんだろうな。


両手をそれぞれの喉へ遣り、指先で擽るように撫でれば二頭は眼を閉じて鼻を鳴らした。


「オオカミかぁ…。黒かったら、マスコットキャラになってんだけどな〜」


「…それはそうと少佐。作戦の内容は?」


部下に尋ねられ、撫でていた手を離して立ち上がり、連中へ視線を向ける。


「配置は…まぁ言うまでもないだろうが、何時も通りの最前線だ。分隊を中央、左翼、右翼へそれぞれ展開しろ」


『了解』


「それと……敵将の厳顔、魏延は“出来るなら”捕縛せよ、との事だ」


『……ハァァ……』


「…いっつも思うんですが…あの小僧、戦争をナメてんですかね?」


戦争処女(アマチュア)へ具申しても暖簾に腕押しだ。まぁ…敵将が死に急ぎたいようならば“手伝って”やれ」


『はっ!!』


…さっさと投降してくれるなら良いのだが…武人ってのは面倒な生き物だ。


そう簡単には行かんだろう。


さて……。


まとわりついてくる二頭のオオカミへ視線を向け、軽く睨み付ける。


「…行け」


眼が伏せ、尻尾も垂れ下がった二頭は尻込みしつつ後方に生い茂る林へと駆けて行った。


「あ〜ぁ…行っちまった…」


「……可愛かったな」


『ッ!!?』


パン屑を零したように呟くと、連中の視線が俺へ突き刺さるが……気にせず、装備の点検を済ませる。


「……フゥ……」


溜息を吐き出し、思考を整え、双眸を展開を始めた敵軍に向けた。


「狙撃班班長」


「はっ!!」


「班員を展開させ、敵兵の殺傷を図れ」


「了解!!」


「中尉」


「はっ!!」


「右翼と左翼へ配置する分隊の機銃手を敵軍側面に展開させろ。残りは正面から攻撃。近接戦闘も準備だ。劉備軍が突撃を敢行したら露払いを」


「了解しました、通達します!!」


「各員の奮闘に期待する。状況開始」







戦争処女(アマチュア)


ヘルシングの少佐の台詞から引用です。


あの人、言ってる事は逝ってるけど、演説の仕方が良く判ってる。


流石はチョビ髭伍長の親衛隊。




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