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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第四部:劉備軍支援
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う〜ん……久しぶりの投稿じゃというのに…なんと中途半端な出来…。


一応、投稿します。


っていうか、マジで桔梗さんの字どうしよう!!!


どなたかアイデアをお願いします!!!




将司side



医者−−いや俺の場合は軍医にあたるのか?


衛生兵……ではないな。手術もするし。



まぁ、いずれにせよ医療に携わる人間というのは人間を怪我、病気から救うのが仕事だ。


実際、俺も過去から現在に至るまで戦地で友軍兵士の治療に当たっている。


…その内には砲弾の破片が頸動脈へ突き刺さったり、地雷で片足を吹き飛ばされたり、あるいは腹を切り裂かれ大腸が飛び出た奴もいたが。


確か…ブヨブヨとした感触の大腸が飛び出た奴の治療は消毒液をぶっかけて無理矢理、腹の中へ押し戻した後、縫合した筈だ。


まぁ…色々な奴等を診て来た俺だが…普通の軍医と違うのは、戦闘員だと言うこと。



軍医、衛生兵というのは基本的には非戦闘員に分類される。(もっとも衛生兵に関しては微妙な所で、前線での任務に従事するため武器を携帯している)


それを俺は放棄した。


お陰様で救った人間より殺傷した人間の方が圧倒的に多い。


むしろ……“快楽”といえば良いか。


俺は治療した兵士から感謝されるよりも、敵兵をブッ殺す方が好きな人間だ。


医者は必ずと言って良いほど血を見る職種だが、俺はきっとそれ以上に血を見ているだろう。


注射ではなく銃弾を撃ち、切り裂くのはメスではなく銃剣。


見事、敵兵を殺害した時はなんともいえない快楽がある。


極上の良い女を抱いたとしても、あるいはジャンキーが薬物をキメても、あそこまでの快楽は味わえないだろうよ。



…だが…現在、欲しいのは殺害によって感じる快楽ではなく、ニコチンが与えてくれる得も言われぬ快楽だ。


「……フゥ−……」


天幕の外で煙草へジッポの火を点すと紫煙を吐き出した。


…嗚呼…良い具合に脳髄が痺れてくる。


そのまま地面へ座り込めば、いつの間にか空が白んで来ているのに気付いた。

腕時計の針を見れば……夜明けが近い。



…しかし…まさか彼女−−公瑾殿が肺結核とはな…。


周瑜の死因は一説には胃潰瘍とも言われていた筈だが……約1800年も昔の人間の死因なんぞはっきりと判る訳がない。



…まさかの肺結核か…。


だが…よくよく考えてみれば彼女は以前から咳き込む事が多かった気がする。


見破れなかった事は俺の落ち度だろうが……。


しかし……随分と進行していたな。


医者が匙を投げるのも判る気がするぜ。


華佗が診察していたなら…状況は変わっていたかもしれねぇな。


あの熱血漢の事だ。死に物狂いで治療するだろう、断言しても良い。



…まぁ…いずれにせよ済んだ事だ。



彼女への治療はシンプルだ。


俺の氣を公瑾殿の内部−−主に肺へと流し込んだ。


それも膨大な量を。


…書物で知った事だが、人間によって量は異なるモノの潜在的に氣を有しているらしい。


彼女の場合は俺達に比べれば遥かに少ない方だった。


書物には“他者の氣を対象者の人体へ直接流し込んでの肉体強化は個人差は出るが可能である”と記述されていた。


以前、知り合った五斗米道の華佗も似たような理屈で治療をしているのだろう。


まぁ向こうの場合は患部へピンポイントで氣を流し込み、病巣等を破壊し治療しているのだろうが。


だが…華佗の治療法は危険性を伴っている。


それは氣を過度に流し込む事で患者を死へ追いやる可能性だ。


氣というのは人間に個人差はあるモノの存在する。


そして…許容量も存在するのだとか。



許容量については鍛える事で拡張が可能なのだが、あくまで“拡張”であり無限になる訳ではない。



その為に彼女の肺へ注ぎ込んだ氣の量も……まぁ勘頼みだったが、それのギリギリまでしか出来なかった。


結果としては……“一応”は成功。


ただし、病巣を取り除いた訳ではない。


これからは薬剤による治療を長期で続けていかなければならない。


肺結核に効く薬品はイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エタンブトール……あぁストレプトマイシンもあったな。


それらは残念ながらこの場には無いが、建業の駐屯地にある。


日が昇り始めたら、UH-1に衛生兵の部下を乗せて建業まで飛び、持ってこさせなければならない。


…駐屯地で燃料や砲弾等を機体へ積み込んでいる補給小隊の連中に頼んだとしても……判るかどうか微妙だ。



まぁ給油の時間を合わせても半日もあれば充分に往復は可能だ。


特に問題はない。



……さて、相棒の方はどうだろうか…。


史実とは違うが楽成城を陥落させ、黄忠を下した後は巴郡へ向かうと聞いた。


巴郡太守は確か……厳顔だったか。


陰は薄いが黄忠と共に活躍をした人物だと記憶にある。


老黄忠とタッグを組む程だ。さて、どれほどのモノか……










和樹side






……なんでかねぇ…。


俺は黒馗の手綱を握りつつ愛馬の動きに合わせ、腰を浮き沈みさせている。


走らせている速さは、ほとんど襲歩だ。


敵襲を受けた、等の急用がある訳ではない。


……呼び出しだ。


一曹からの連絡では、劉備達が呼んでいるとのこと。



……はっきり言おう。


超絶メンドクセェ。


行軍している劉備軍の横をすり抜ける形で後軍へ向かっているのだが…かれこれ20分は走っている。


横目に見れば、部隊毎に編制された総兵力8万を越える劉備軍が一路、巴郡を目指し行軍中だ。


益州州都:成都へ迅速に行軍するには巴郡を始め江陽、巴東県などを突破しなくてはならない。


後者二郡ならば比較的、容易に突破が可能だそうだが……漢升殿の言葉を借りれば巴郡を突破できれば益州全土が劉備軍の味方に付くのだとか。


巴郡太守は厳顔。


三国志で名前が出てくる回数は少ない−−というよりも劉備の入蜀において張飛との一騎討ちに敗北した後の遣り取りしか記録に出て来ない人物だ。


字が伝えられていないのは記録の少なさからだろう。



果たして、どんな人物で、どんな性格で、どんな用兵をするのか……。


はっきり言って未知数だ。


情報が少ないというのは恐ろしくて堪らない。


何気無しに藪を突いてみたら、そこにはスズメバチの巣があった−−なんて事に似た状況は戦場では回避すべきだ。



…背に腹は抱えられん、か。


遠目に劉備達の姿を目視確認し、少しずつ愛馬の速度を落として行く。


「−−和樹さん」


「御苦労、一曹」


馬上で一曹が俺へ最敬礼をしたのを認め、ラフに敬礼を返す。


野郎が居たのは…少年が乗る馬の真横だったが、そこを空け、暗に位置を入れ換える事を促してくる。


手綱を操り、腹を蹴って愛馬へ意思を伝えれば、黒馗は素直にその真横へ付いた。


「−−韓甲殿、お久しぶりです」


「漢升殿もご機嫌麗しゅう」


少年の向こう側で愛馬に跨がっている美女−−漢升殿が声を掛けてきた為、当たり障りのない返事と共に軽く頭を下げる。


「…なんか紫苑と韓甲さんって…仲良いよね」


「あらあら…。そんな事ありませんわ、ご主人様」


優雅な手付きで頬に手を添える彼女だが……なんというか漢升殿の一挙一動全てが優雅に見えて仕方ない。


紫煙を吐き出し、銜えていた煙草をコートのポケットから取り出した携帯灰皿へ放り込む。


「……話とは?」


「えっ…あっはい。えっと…少し天の−−元の世界の話がしたいなぁって…」


「…それだけかね?」


「……え?」


「済まないが、部隊へ戻らせてもらう」


言い捨て、軽く黒馗の腹を蹴れば、周囲の馬よりも頭ひとつ抜きん出る。


「まぁ天の?…もしかして…韓甲殿達も天からいらしたのですか?」


「…………」


「興味がありますわ。お話して頂けませんかしら?」


背後から聞こえてきたのは上品で艶のある声。


……仕方ない。


軽く手綱を引き、ゆっくりと速度を落として周囲の馬に合わせる。


「……え?」


「ははは。和樹さんでも美人の頼みには弱いですね」


「まぁ…照れてしまいますわ」


美人の頼みは…どうも断れん。


溜息を吐き出すと、横に追い付いた騎乗する少年を見遣る。


「……で、なにを聞きたいのかね?」


「あっ…えっと……生まれは…?」


「日本国」


「いや、そうじゃなくて…出身の県とか−−」


「必要かね?」


「は別に良いですね、はい!!」


ならば必要な事だけを聞いて欲しいモノだ。


「−あっ、俺は宮城の仙台ね」


「いやいや、前田さんには聞いてませんって!!」


「え〜独眼竜の話とか聞きたくない?」


「そっそれはまたの機会に…」


…あぁ一曹の奴は宮城出身だったか。


独眼竜…南奥州の覇者、伊達政宗公の異名だな。


「−−和樹さん」


「あん?」


「日本の武将で好きな人物は?」


「伊達藤次郎政宗公」


……つい即答しちまった。


「好きな理由は?」


再び問われるが……断ったとしても向こうで俺を見ている上品な美女は…おそらく許さないだろう。


「…政宗公は文武に秀で、かつ危機的状況を打破するだけの器量を併せ持った人物だ。一方で父親の輝宗が畠山義継の人質となった際に父親諸共、銃殺、果ては小手森城の撫で斬り等の非情とも言える行動が目立つが…それらは戦国乱世では当然の所業である」


『………』


「…宮城出身の俺より伊達政宗が好きなんですねぇ…」


「一度で良いから騎馬像や墓所に行きたかったが…。それと政宗公は米沢の生まれだ」


「それは知ってますよ。でも仙台62万石の藩主ですから。…っていうか、どんだけ好きなんですか…」


「二日は徹夜で語れるぞ。付き合う−−」


「いえ結構です」


むぅ…即答しやがった。


残念といえば残念か…。


「…そんなに尊敬してるなら、三日月の兜に真っ黒な鎧を着れば良いじゃないですか。似合うと思いますよ」


「政宗公の身長は159.4cm。俺にあの鎧が着れると思うか?」


「調節すれば良いんじゃ−−って、なんで身長を知ってるんですか!?」


「知らんのか?遺骨を調べて判ったんだぞ。ついでに言えば血液型はBだったそうだ」


「…はぁ…。…この人、なんでも知ってるな…」


「それと−−」


「なっなんでしょう?」


「政宗公の具足の名前は弦月形鍬形黒漆五枚胴具足。前立はせめて弦月形と言え」

「…済みません…」


ふぅ…まだまだ語り足りないが…それなりに満足したな。


ちなみに−−兜の名前は弦月形鍬形鉄地六十二間筋鉢兜だ。


「……前田さん…」


「…判っただろう一刀君。…これが和樹さんだよ…」


「…なんか…普通の人みたいで親近感が湧きました…」


「まぁ…誰だって興味のある事柄になると、あぁなるからね…」


一曹と少年が俺を挟んで何やら喋っているが気にしない。


尊敬する人物の事を語って何が悪い、文句あんのか?


「……で、他に聞きたい事は?」


かなり脱線した話を元に戻そうと声を掛ければ少年は慌て始める。


「あっ…と……じゃっ…じゃあ…好きな食べ物は…」


「“食べ物と呼べる食べ物”だ」


「……はい…?」


「要は“食べられる物”って事さ」


「なっ成程…。じゃあ、嫌いな食べ物とかあります?」


「好き嫌いをするほど余裕はないが…強いて挙げるなら“食べ物と呼べない食べ物”だな」


「ちなみに俺が好きだったのは、ずんだ餅と笹カマね♪あっ鯨の竜田も好きだった♪」


「はっはぁ…」


一曹の奴が好きな食べ物は…政宗公も食べたらしいな。


ずんだ餅や仙台味噌を作ったのは政宗公だとも言われている。


…まぁ携帯食の研究で作られたそうだが。



……というよりも…初めて彼等とまともに話をしたな…。






作者も宮城県在住です。


伊達政宗公大好き♪


何故か…“公”を付けて呼んでしまう。


先祖が仙台藩士だった家系の作者ですが……“伊達者”と呼ばれた政宗公の足下にも及ばぬほど風采があがりません…。



あ〜……最近、鯨の竜田食べてないなぁ…。


一曹の好物は作者も大好き♪




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