48
本編に全く関係ないが、アニメ版の華雄は原作に比べ、胸が大きい、と最近になって気付きましたWW
ここからは本編に関係ありで……短いですが、一応投稿。
待機期間を引き延ばすのもどうかと思いまして。
Others side
太陽が天頂を越えた頃、林の中を進む一個分隊ほどの兵士達がいた。
全員が緑を基調にした鎧を着用しており、周囲を警戒しつつ慎重に歩みを進めている。
「…地元の者によれば、この林を抜けた先に長坂橋って橋があるらしい」
「橋?」
「あぁ。吊り橋だって話だ」
「…かなり時間が掛かるかもしれないな」
緑色の鎧を着た兵士達が斥候を続けながら会話をする。
「下手すると橋を渡ってる間に曹操軍に追い付かれるんじゃないか?」
「…マズいな。急がなければ、戦う事になるぞ」
「この兵力でか!?多勢に無勢だろう!!?」
「静かにしろ!!俺達は本隊に先んじて斥候に来てるんだぞ」
口論にも似た会話を繰り広げれる彼等から察するに、戦場に出た回数は多くは無いようだ。
だが新兵でもない。
“斥候”という任務の基本は隠密である。
慣れていない新兵なら更に静かに行動するだろうが、彼等の場合は少し喧しい。
それらを考えれば、戦闘経験をそれなりに積んだ兵士といった所だろう。
「……ん?」
「どうした?」
「…妙だ…静か過ぎる…」
一人の兵士が囁くと、周囲の兵士達もそれに気付いた。
ここは林だ。
ならば、少なくとも鳥などが巣を作っており、そのさえずりが聞こえる筈だ。
−−それが無い。
「姿勢を低くしろ…静かにな…」
隊長であろう人物が指示すると、全員が武具の音を立てないように注意しつつ姿勢を低くした。
林の雰囲気は異様な静寂で満たされている。
斥候の兵士達の背筋に冷汗が流れ、誰かが緊張で生唾を飲み込んだ。
−−不意に葉が擦れる音。
それに触発され、兵士達が音が鳴った場所へ視線を向ける。
−−木の枝に留まった小鳥がいるだけだった。
それに兵士達は緊張が解け、苦笑いを始める。
「立って良いぞ」
「そろそろ戻りますか?」
「そうだな。本隊へ戻り報告を−−−−」
突然−−足下に生い茂る雑草が動いた。
瞬間、それらに兵士達が口を塞がれ押し倒される。
「−−動くな。動いたら殺す」
腕を捻り上げられ、足蹴にされた兵士達に雑草−−自生する植物を背中の擬装ネットへ付け加え、顔面をドーランで迷彩色に塗りたくった黒狼隊の隊員達が銃器を押し付けつつ警告する。
「きっ貴様等、何者だ!!?」
「隊長、捕らえましたよ」
斥候隊の隊長と思しき人物の問い掛けを無視した隊員は、あろう事か少し離れた地面へ声を掛ける。
すると、地面が動き−−板の上へ土を乗せ、雑草を生やした蓋が開けられ、穴の中から迷彩色の野戦帽を被る人物がペイントされた顔を出した。
和樹side
蓋を開けて立ち上がり、指先で摘まんでいる甲虫類の幼虫と思われるそれを口へ放り込んで咀嚼する。
「もっ申し訳ありません!!」
「…まぁ過ぎた事ですので…」
同じタコ壺の中にいる少女−−子明殿が頭を下げた。
“正体不明の集団が接近中”の報告を受け、俺と彼女は掘削したタコ壺の内部で接触を待ち伏せていたが……その最中に子明殿の剥き出しの肩に土の壁から這い出て来た幼虫が落ちてしまい、悲鳴を上げそうになったのだ。
直ぐに口を塞ぎ、幼虫を掴んだが……彼女って元々は武官ではなかったろうか?
…まぁ…長らく、こういった前線から退いていたのだから仕方ないだろうが。
件の幼虫よろしく、タコ壺から這い出ると、彼女に手を差し出して引き上げる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして。…さて…」
彼女から少し離れると、コートのポケットから煙草を取り出して火を点ける。
部下が態々“正体不明”とまで付けた連中だ。
いつもの盗賊ではないだろう。(ちなみに襲撃回数は20を越えた)
その証拠に装備が揃い過ぎている…おそらくは正規軍の類い。
なにより、組み敷かれている緑色の鎧には見覚えがある。
「劉備軍の所属だな?」
拘束されている兵士達に歩み寄ると、確信に近いそれを感じつつも隊長と思われる兵士に問い掛ける。
「こちらの質問に答えろ!!貴様等は何者だ!!?」
頭だけを上げ、俺を睨む件の人物が、まさかの質問をしてきた。
…反董卓連合が結成された頃は劉備軍に所属していなかった兵士だろう。
「まずはこっちの質問に答えるべきだ。死にたくなければな」
「なにを−−ッ!!?」
「良いから答えろ。喉笛、掻っ切るぜ?」
拘束している部下が弾帯から抜いた銃剣の刃を兵士の喉へ当てる。
少しばかり力を込めて、冗談ではない事を暗に告げているのだろう。
兵士の皮が薄く斬り裂かれ、喉から血が流れ始めた。
「わっ判った!!我々は…北郷様、劉備様に仕える者達だ…!!」
「宜しい。…指導者である二人が現在、居るのは何処だ?」
「…御二人は…民達と共に行軍されている。…本隊だ」
「…そうか。では、そちらの質問に答えよう。−−子明殿」
「あっはい!!」
離れた場所でこちらを見守っていた彼女へ声を掛ければ、急ぎ足で向かってきた。
「あの…これ、大丈夫なんでしょうか?」
「必要な措置という事で。…お願いする」
「はい。…私は呉の孫策様に仕える呂蒙と申します。我が主よりの言伝がありますので、劉備様に御目通りを願います」
長かった……この為だけに25日も待つ事となったのだ。
口上を述べる彼女を視界に捉えつつ、紫煙を吐き出した。