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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第三部:徒然なる日々
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久々の投稿……酷い風邪に罹りまして…。


一番嫌だったのは、煙草&酒をやれなかったこと!!

咳や鼻水、高熱なんかどうでも良い!!


あ−喉痛い……。


元ネタの台詞ありの回となっていますので詳細は後書きにて。


ではどうぞ−−ゲホッ。


(注)恋姫の学園物を投稿しましたので、そちらもお願いします。





「…なぁ…中尉」


「なんでしょう?」


「…俺、どうすれば良いと思う?」


「……頑張って下さい、隊長」


「…何故かな。…コレを書いた奴を今すぐ張り倒したい衝動に駆られる」


「止めて下さい。…一曹と…誰かが死んでしまう」


「……誰だ?」


「…いや…俺も誰かは判りませんが…」


軍議で決定された持ち場−前軍中央に俺を含めた8名の隊員達は騎乗して指揮下約2千名の兵士達の真っ只中に居た。


掲げる牙門旗は“孫”の旗印。


俺達の部隊旗は“まだ”掲げるな、とのお達しだ。

前軍と中軍の中間地点では戦車、そして砲兵小隊が迫撃砲の発射準備を整えている。


ヘリ二機も本陣後方に築いた黒狼隊陣地にて出撃待機中。


各隊員達も前軍に所属する兵士達の指揮の為に配置した。

これで…まぁ、戦闘準備は完了。


戦闘開始の合図は本陣で待機している無線兵が仲謀殿からの命令を中継して俺達に伝える手筈となっている。


尤も…つい先程、命令があった。


『方法の是非は問わず、士気と戦意を上げろ』


要約すれば、そんな内容だった。


ウチの連中なら心配は要らず、戦闘と日常のオンオフが可能なので、そんな事をした覚えが全く無い。



さて…どうするか、と悩む訳だ。


そんな俺に…一曹が手渡したのは、何かを走り書きしたメモ。


懐かしいにも程がある日本語だったが……その内容に頭が真っ白になりかけた。


お陰で…銜えた煙草を愛馬に落としかけてしまった程だ。


“コレを言えというのか”


と一曹に掴み掛かりたかったが…野郎はさっさと愛馬を走らせて指揮部隊の下へ去った後だった。


当然、無線で呼び出したが…『現在、前田一曹は留守にしております。ピー、という放送禁止用語の効果音の後にメッセージをお願いしま〜す♪』。


…裏声の気持ち悪い返事が来た。


勿論、メッセージは残しておいた。


『覚えておけ』とな。



「…なんだコレは?まるで時代劇…いや時代錯誤も良い所だ」


「…この時代なら別に問題ないのでは…?」


「問題?大いに問題だ。主に俺のメンタルが」


「…失礼。神経がワイヤー並に太い方から、とんでもない台詞が聞こえました。もう一度、お願いします」


「そうか。ならばもう一度、言ってやる。“俺のメンタルに問題あり”だ」


「…済みません。やはり聴覚がイカれたようです。“メンタルに問題あり”と聞こえました」


「大丈夫だ。お前の聴覚は正常だ、中尉」


「…安心しました」


「そうか…中尉」


「はっ」


「……代わりに言ってくれないか?」


「…申し訳ありません。…俺もメンタルに問題ありです」


「…そうか、なら仕方ないな」


「……はい」


「…………」



役目の押し付け合い、という名の漫才を一通り終えると、互いに口を噤んでしまう。


約300m先には敵前軍があり、その後ろに中軍、後軍と続き、背後の山には敵の増援となるだろう軍勢が待ち構えている。


前世なら山中に砲台を築き、そこから孫権軍を狙い撃ち出来る……が幸運な事に此処は三国時代。


…まぁ霹靂車(投石器)でもあれば話は違うだろうが。


古代中国では、遅くとも紀元前5世紀には投石器が開発され、実戦投入されていたと聞く。


反董卓連合時も泗水関と虎牢関で数多ある攻城兵器の中に紛れていた。


遠距離から攻撃されるのは流石にマズいと考え、迫撃砲によって破壊したが。


榴弾よりは威力は劣るだろう。しかし、岩石が頭上から降ってくる、というのは将兵の士気と戦意を落としかねない。


「…今回も同じか」


「何か…?」


「いや…なんでもない」


事態は違うが、似たり寄ったりなそれだろう。



…前軍は実戦経験のない新兵が多い。


新兵……嗚呼、懐かしいと同時に無様だった駆け出し時代を思い出す言葉だ。


戦場で初めて人を殺した時は……まぁ酷かった。


嘔吐するわ、寒い訳でもないのに身体がガクガクと震えるわ、涙と鼻水が出た。


相棒も同じだったが…その時、部隊が一緒だった、とある傭兵から『本物の戦場へようこそ、ルーキー』と祝いの言葉を賜ったのを覚えている。


そいつは…一週間後だったかに、迫撃砲弾の直撃を受けて細切れの肉片と化したが。


だが…恐ろしいと感じた以上に、異常で…そう…ある意味“人間”ではなく“獣”としての感情があったのも事実だ。


『この上なくエキサイティングで、ホラーで“楽しい”』


…今になって思えば、アレが人間の皮を捨て“獣”となった瞬間であり、傭兵という畜生の人種へ成り下がった瞬間だったのだろう。


とどのつまり、俺達は“人殺しが大好きな集団”でしかない。


恐らくは全員が、そう答えるに違いない。


まぁ…別にどうだって良い。


戦場での殺人にしか興味がないなら、それをするまでだ。


そうでなければ傭兵ではない、傭兵でいる価値すらない。


信念や矜持も殆ど捨て去った身だが……数少ないプライドは“傭兵であること”だろう。


俺達は自由な戦士。


何者にも縛られない。組織や概念にも。


自由に生きて、自由に死ねる。


そして自由に己が戦える場所を選べる唯一の戦士だ。


「…ところで隊長」


「…あん?」


鉄帽(ヘルメット)を被られては?」


「必要ない」


「いやいや…。乱戦も覚悟せねばなりませんし、流れ弾−じゃない、流れ矢も飛んで来るやも…」


「…考えておこう。いつも済まんな」


ヘルメットを被っていても当たる時は当たるし、当たらない時は願っても当たらない。


いつだったかの戦場でヘルメットに銃弾が命中し、その場で脳震盪を起こしてしまい倒れた経験がある。


…まぁ被らない一番の理由は、蒸れるし、重苦しく、加えて視界が遮られてしまう為、必要以上に被るのを避けているだけなのだが…。


なにより野戦帽の方が俺には性に合う。


士官−特に戦闘指揮官がヘルメットを被ってビクビクしていると部下達は不安に襲われてしまう。


「…隊長、定刻まで3分を切りました」


隣りで騎乗する中尉が報告し、指示を促してきた。


左腕に巻いた腕時計に眼を落とし確認すれば確かに、定刻が迫っている。


「…最終確認をする。各隊の状況を」


「はっ。歩兵、砲兵、戦車、ヘリの各小隊は位置に」


「士気および戦意はどうか?」


「我が隊は問題なし。しかしながら新兵は奮わず」


「了解した。…注目をこちらに」


「はっ!総員、聞け!!これより将軍より達しがある、傾注!!」


中尉の大声に数々の話し声が収まり、大多数の視線が俺の背中に刺さるのを感じる。


手綱を操り、黒馗を旋回させ、向きを前軍中央が見渡せるようにすれば、指揮下の約2千の兵士達が俺を見詰めていた。


「飯は食ったか!!?」


息を吸い込んで、そう問い掛ければ…兵士達のほとんどが疑問符を浮かべている。


「返事が聞こえんな。者共、飯は食ったか!!?」


『……はっ!!』


「宜しい、飯を食わんと力が出んからな!!」


…まぁ新兵連中は喉を通らなかっただろうが…。


「…総員、各指揮官から渡された木札に姓名と何処に住んでいるか書いて、身体に着けたか!!?」


『はっ!!!』


これはドックタグの代わりだ。


文字の書けない奴は書ける奴に頼んでやっただろう。


…流石に前軍全ての兵士へ渡るよう手配するのは骨が折れたが。


「宜しい、完璧だ!!この上なく完璧だ!!これで全ての戦闘準備は整った!!

では、これより作戦を説明する!!

我が前軍は、押し寄せる敵軍を迎撃するのが任務である!!

しかし、状況により討って出る事もある故に覚悟せよ!!」


『はっ!!』


簡易的な説明だが、戦闘に入れば、その都度、指揮するとしよう。


「…話は大分と変わるが、我が隊−黒狼隊の標語を知っているか!!?」


いきなりの問い掛けに兵士達は随分と戸惑っているようだ。


その中で、騎乗している部下達の口角が僅かに上がる。


「俺達の標語は二つあるが…俺が好きなのは、遥か西方の言葉で“Victory or a death”だ。意味は“勝利か死か”。

戦場ではその二つしかない!!」


この言葉に兵士達の表情は二つに分けられた。


興奮する連中と不安そうにする連中。


…後者は、やはり新兵だな。


「だが心配するな!!

人間、遅かれ早かれ、いずれ死ぬ!!

肉は腐り骨だけとなる!!

それが戦場であったというだけだ!!

しかし…心残りもあるだろう。いくつか尋ねたい」



馬上から問い掛ければ、幾人もの視線が突き刺さる。


「…この中で女を知らない奴は?

恥ずかしがらないで良い。

手を挙げろ」


冗談半分の命令にかなりの人数が笑い始め、怖ず怖ず手を挙げた者達が出た瞬間、笑い声が大きくなる。


「…ほぅ…かなり居るな。

よし判った、手を下ろせ。


それは心残りだ。


万が一、俺も女を知らないまま死んでしまったら死にきれん!!」


ある種のカミングアウトをすると更に笑い声が大きくなる。


横目に見れば……中尉の奴までも笑っていやがった。


「…遥か西方の神話には、このようなモノがある。


“勇敢に戦場で戦い、そして死んだ者の下に、天女の如く美しい娘が現れる。


その娘は翼の生えた馬に乗り、戦死した一握りの勇者達が集う館へ迎えられる。


その娘の名は戦乙女(ヴァルキュリア)、そして館の名はヴァルハラ”」



北欧神話に登場する戦乙女とヴァルハラ。


戦死し、選ばれた勇者は館に招かれ、最終戦争の日まで戦いの訓練に明け暮れるという。


−これは話さなくて良いだろう。


志願で入隊した者はともかく、兵役で仕方なく入隊さぜるを得なかった者には聞かせられない。


「そんな神話を喋ってみた訳だが……正直に言おう。


俺は信じておらん!!


見た事がないモノをどう信じれば良いのか、俺にはさっぱり判らんからだ!!


そんな俺が唯一、信じられるのは…己と武器と…そして戦友のみだ!!


戦場に生き、戦って死ぬだろう俺達には充分すぎる!!


貴様達もそれらのみを信じろ。


己と、自分の周囲にいる仲間を信じろ!!


そして−−−」


大声で喋りすぎ、息が長続きしそうに無い為、途中で切ると呼吸を整える。


「−−そして、産まれ落ちた瞬間から己を育んでくれた国を信じろ!!


待遇などに不平不満はあるかも知れない。


だが、そんな事を考えられるまで育て上げてくれたのは紛れもなく呉国−貴様達が、そして貴様達の家族が住む国だ!!


俺は、政について言っている訳ではない。


俺が言う国とは、その国が持つ風土、文化、普遍的な価値観の事だ。


それを愛する事こそ−“愛国心”である!!


それを今、眼前に居る叛逆の徒が打ち壊そうと目論んでいる!!


これを黙って見過ごせようか!?


否−断じて否である!!


己が家族の命が危険に曝されようとしている時、戦わず、ただ傍観していられようか!?


否−断じて否!!


ならば戦うしかない、俺達はこれ以外の解決策を知らない!!


俺とその2千の兵は、此の地で戦い、呉国の防波堤となろう!!


我等は孫呉の千代に及ぶ栄光の礎とならん!!


蹇蹇匪躬、七生報国、尽忠報国、忠君愛国、擲身報国、精忠無二、忠孝仁義、忠臣孝子、忠勇義烈、忠勇無双、いずれかの志がある者は共に戦え、戦って共に死のう!!


そして俺達は貴様達に“ひとつ”だけ誓おう、貴様達に対して誓おう!!


“我等は常に諸子の先頭にあり”!!


者共、鬨をあげよ!!


天へ届かんばかりに叫べ!!

己が魂と思いの丈を込めて叫べ!!


者共、鬨をあげよ!!!」


愛刀の一本を鞘から抜き払い天へ掲げた瞬間、地を切り裂くが如く、指揮下の約2千の兵が怒号ともいえるそれを張り上げる。


釣られてか、前軍からも鬨があがり、その余波は中軍と後軍へも伝染した。


その様子を確認すると愛馬を旋回させ、馬首を敵前軍へ向ける。


「…中々の演説で。思わず聞き入りました」


気が付けば、中尉を始めとした連中が前軍最前線で各々の愛馬に騎乗していた。


「たかが思い付き、たかが舌先三寸もどきだ」


「ですが…士気はかなり上がりました。それはそうと…“アレ”頼みましたよ?」


「あぁ。…始めよう」


トランシーバーのチャンネルを開くと、首に巻いた声帯振動型マイクへ手を添える。


「砲兵、戦車一号車、01および02、応答を求む」


<−こちら砲兵小隊、いつでもどうぞ>


<−こちら戦車長、いつでもやれます>


<−01より少佐へ。こちらも、いつでもOKです>


<−こちらヘリ02。感度良好>


「宜しい。目標は、山中に構築された敵陣、および主戦場の敵軍。作戦はブリーフィング通りに消化せよ」


<了解>


<了解しました>


<Roger>


<Wilco−じゃない、Roger。そちらの指示に従います>


「確認した。まずは迫撃砲と戦車による砲撃を加える。目標…敵前軍中央、敵の度肝を抜いてやれ」


<了解!!>


<了解しました!!>


「一次攻撃始め。用意……撃ェ!!」







“我等は常に諸子の先頭にあり”

“予は常に諸子の先頭にあり”


映画“硫黄島からの手紙”よりの引用でした。


この台詞が好きだったりしますWW




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