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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第二部:契約へ
21/145

19



良いとこで終わってしまい申し訳ありません!!





…こうも見事にいくとは…。



現在、我々は袁術が居城である寿春城付近の林に展開している。


斥候からの報告では、あの城に農民反乱軍が接近しているとのこと。


反乱軍の大多数は偽装した孫策軍である事は間違いない。


なにせ民兵にしては統率がとれすぎている。



「…上手くいき過ぎではないか?」


「まぁ…それだけ袁術がアレなんだろうよ」


華雄の問い掛けに相棒が答えた。


危機管理能力がなさすぎる…というか、今まで孫策軍に面倒事を一括して任せていたのだから当然といえる。


向こうの常備軍は約6万に対して孫策軍は民兵を合わせ約4万。


単純計算すれば袁術軍が有利ではあるが、孫策軍は精兵が揃いに揃っている。


野戦よりは篭城戦に持ち込むべきだろう。


…頭がアレでないならば、必ずそうする。


「…おかしなモノだ…。私が孫呉の味方をするとは」


「なんだ、ここにきて心変わりでもしたか?」


「いや、そうではないが…なんというか…その…」


「自分が判らないってところか?」


「…かも知れん」


華雄が小さく相棒に頷いた。


まぁ…先代の孫堅と戦って負けたのだから、気持ちは判らないでも無い。


「俺達は奴さん達から仕官を持ち掛けられたぜ。お前は?」


「…私もだ」


「で、どうするんだ?」


二人の会話に割り込むと彼女が珍しく思案顔になる。


「…迷っている」


「そうか…」


「お前達はどうするんだ?」


「…もう、野郎共と話し合って決めた」


「ッ!…そうか」


「お前も、戦いが終わるまで決めておけ」


「…あぁ」


会話を終えるとトランシーバーのチャンネルを開き、イヤホンを押さえる。


「両軍の状況を伝えろ。送れ」


<斥候より報告。孫策軍は寿春城へ更に接近ちゅ…ウォォォ美女発見!!>


<軍曹、何をやってる!!…ちゃんと写真を撮っとけ!!>


<あいよ少尉!…スゲェ…なんてデカさだ!!?>


<先頭の桃色ロングなんて今まで見た事ないくらいの美女なんですけど!!>


<オイオイ…なんだ、あの銀髪ナイスは!?>


<ちゃんと報告しろって…フオォォォォ!!?>


<あそこは…デカメロン畑…なのか…!?>


<たっ大変だ、二等軍曹が!!>


<どうした、何があった!!?>


<鼻血を!!メディック、メディィィック!!…って俺だぁぁぁ!!>


<ヤベェ…あの黒髪ロング…どストライクなんだけど…>


<…あぁ、桃色ロングの隣にいる。判るわぁ、その気持ち>


<はっ?違ぇよ、後方にいる隊長達が使ってる刀の長い方を持ってる娘>


<…犯罪になるぞ?っていうか…胸筋が残念…>


<何を言ってんだ!!確かに胸はアレかもしれねぇが、まだまだ成長する可能性は大だ!!それ以上に、あの可憐な顔立ち…あぁもう…おじさん…別の世界に…>


<おい誰か奴を止めろ!!>


…………。


「将司……」


「…判ってる」


溜息を吐いた相棒が俺に代わってトランシーバーのチャンネルを開き、首に巻いた声帯振動型マイクを押さえると、少し呼吸を整える。


「ウザい、黙れ」


聞く人間によっては背筋が凍りつくだろう、ひどく冷静で短い命令。


それが発せられた瞬間、応酬の数々が静まる。


「副長より達する。これより作戦行動に移るが私的理由で回線を利用した馬鹿には鉄拳制裁を加えるから、そのつもりで。以上」


<…了解>


<sir!!>


<済みません。ちょいとテンションが…>


「…気持ちは判るんだけどよ。…作戦が終わったら、どの武将が好みか会議を開くぞ」


<一生ついて行きます!!>


<話せますねぇ!!>


「フッ…。通信終了」


トランシーバーのチャンネルを切る相棒に視線を向けると彼は肩を竦めてみせた。


「アイツら、娼館に…っと失礼」


「いや構わない」


「相棒…少し気遣いってのを覚えたらどうだ?」


「…善処する」


あぁ…野郎共、確か俺達が連行された後、華雄の兵を連れて集結地点に行ったんだったな。


中には行為の最中だった奴もいたらしいから…不完全燃焼したままか。


<斥候より報告。孫策軍に旗が上がりました>


「内訳は?」


<孫を筆頭に、黄、甘、周、などです>


「袁術軍側はどうか?」


<依然として動きなし…城門が開きました。袁と張の牙門旗を確認>


…ってオイ。


「篭城じゃねぇのか…」


「野戦で決着を付ける腹積もりか?…私でもしないぞ」


「「………」」


「なっなんだ、その目は!?」


「いや…別に」


「どの口がそういうのかと思って」


「呂猛、貴様−ムグッ!!?」


叫びそうになった華雄の口を押さえると彼女は何やら呻きながら無理矢理と俺の手を退かした。


「ハァハァ…悪かった…」


「いや。…始まるぞ」


両陣営から銅鑼と太鼓が鳴らされ、それを合図に矢が射かけられた。


「まっ当然だわな。どっかの誰かさんみたいに、最初っから突撃なんて…」


「おい。何故、私を見るのだ?」


「さぁてね」


意味ありげに口角を吊り上げた相棒が双眼鏡を手に取り、戦況の確認を始めた。


「…孫呉の将は揃ってるな。孫策、周瑜、黄蓋…他にも居るぞ。んっ…なんだ、あの二人?」


訝しむ声に俺も双眼鏡を弾帯から取って、接眼レンズに眼を当てる。


…孫策をそのまま小さくしたような少女が二人か…。


「…なぁ孫策って兄弟、何人いたっけ?」


「多かった筈なんだが…」


「兄弟?姉妹の間違いだろう。貸せ」


華雄に言われるがまま、双眼鏡を貸す。


「んっ…髪が長い方が確か…孫権で、後ろに居るのは孫尚香だな」


「へぇ…。…なんで孫尚香だけが女のままなんだ?」


「相棒…それは言うな」


返して貰った双眼鏡を覗き込み、再び確認する。


あの生真面目そうなのが孫権で、二人をそのまま小さくしたのが孫尚香か。


<隊長、そろそろ始めましょう>


片耳に付けたイヤホンに部下の声が届くと苦笑が零れた。


「我慢できそうにないか?」


<えぇ。久しぶりの仕事だ。なにより…あんな美女達からの依頼だ!!この滾りをどうやって解消しろと!!?>


「頑張れ」


いったん交信を中断すると真横にいる二人に視線を向ける。


「大尉、戦闘準備は?」


「全て抜かりなく。“例の物”も既に準備完了している」


「華雄、そっちの部隊は?」


「我が隊は常在戦場、怠る筈があるまい!!」


「愚問だったな。…始めるとしよう」



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