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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第十部:Operation Vigrid
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更新が遅くなりまして誠に申し訳ありませんでした。


そして…遅ればせながら明けましておめでとうございます。







〜other side〜




孫呉の和樹の屋敷が騒がしい。


「−−七乃さん、美羽!!離して下さいっ!!」


「−−徐盛君、駄目ですよぅ!!何処に行くつもりですか!?」


「−−おおおっ落ち着くのじゃぁぁぁぁ!!」


怒声を張り上げ、三名の使用人達が門の下で、すったもんだの言い争いをしているのだ。


なんらかの書状を握り締めた徐盛が渾身の力を振り絞って外へ出ようとするのを七乃、そして美羽が身体を張って止めている状況だ。


美羽は徐盛を前から押し、七乃は背後から彼を羽交い締めにしている。


「こんなっ…!!こんな一方的なお別れなんてあって良い訳がっ…!!」


徐盛の双眸から涙が零れ落ちる。


必死に耐えていた感情が溢れ出てしまったのだ。


握り締めている所為で潰れ、すっかり皺が寄った書状は和樹が書いたモノ。


内容は別離のそれだ。


自分は呉を抜ける。達者で暮らせ。要約すればそんな内容である。


「良い加減にぃ…しなっ…さいっ!!」


埒が明かないと判断した七乃が徐盛の脚へ自身のそれを掛けると、自らの方へと思い切り引き倒す。


「うわっ!?」


「ぴぃぃぃぃ!!?」


七乃が尻餅をつくのに引き寄せられ、バランスを崩した徐盛と美羽が彼女の上へ重なり合う。


「−−良い加減にしなさい!!」


「なんで…なんで邪魔するんですか!!?」


「旦那様は傭兵なんですよ!!辛いでしょうけど一ヵ所に長く留まる訳ないじゃないですかっ!!」


「それでも僕は…!!旦那様と一緒にいたいんです!!」


叱り付ける七乃以上の声で徐盛が涙声混じりに訴え掛ける。


−−そんな時−−


「−−触れが出たぞ!!五胡の大軍勢の接近に伴い13歳から40歳までの男子を徴兵する!!城へ参集せよ!!」


−−屋敷前の通りを孫呉の鎧に身を包んだ兵士が、徴兵の触れを述べながら駆け抜けて行った。


「……五胡の大軍勢?」


「…七乃さん。五胡って…匈奴や鮮卑の事ですよね?」


「えぇ…まぁ他にもあるんですが−−アレ?…確か曹操さんと決着をつける為に出征したんじゃありませんでしたっけ…?」


「…みゅう…難しい事は良く判らんが…あの兵士の顔色、只事ではなかったのぅ」


それはそうだろう。


おそらく戦地に居る諸将の誰一人としてこのような事態になるとは予想しなかった筈だ。


まずは兵力を揃える為、三国の王は領地に住まう男子の徴兵年齢を大幅に変えた。


しかし、それでも足りない。


「……13歳…」


「徐盛君、どうかしました?」


「……僕、徴兵に応じます」


「…………みゅ?」


「ええぇ−−っ!?ちょちょっと待って下さい!!貴方、まだ12歳ですよね!!?」


「年が明ければ13です」


「だとしても“まだ"12歳じゃないですか!!」


「…そのくらい見逃して貰えるでしょう」


「まぁ確かに−−じゃない!!危なかった…頷いちゃう所でしたよ…!!」


「年齢なんかどうにでもなります!!徴兵に応じれば旦那様とも…!!」


「だから落ち着きなさい!!」










「−−我々は五胡軍へ複数の戦術核による攻撃を具申する」


そう和樹が告げると大天幕の中は静寂に包まれた。


もっとも静寂は各武将の疑問符によるモノだ。


「…戦術…かく?」


「……なにかの兵法かしら?」


雪蓮と華琳が全員の疑問を代弁すると和樹は首を横に振る。


「兵法とは違います。戦術核は兵器ですよ−−それも強力な」


「五胡軍に甚大かつ壊滅的な損害を与えられるでしょう。それも一方的に」


「えぇ……それは保証致します」


和樹、将司、中尉が順々に声を発する。


それを聞いた各国の武将達は、この国難を脱する一筋の光明を見付けたと同時に−−恐怖を感じた。


あれだけの戦力を保有しているのにも関わらず、それを凌駕する程の兵器をまだ隠し持っていたのかと。


言い知れぬ恐怖を武将達が感じていると−−北郷一刀が勢い良く席を立つ。


「−−核兵器だなんて……絶対に駄目だ!!」


「ご、ご主人様!?」


人目を憚らず激昂する彼の姿を初めて見たのか蜀の武将達が慌てる。


「…戦略核を使わんだけ有り難いとは考えられんかね?」


和樹は自身が具申した作戦を否定される中、泰然としつつ腕を組み、一刀を見詰める。


「そんな問題じゃない!!…貴方も日本人なら広島と長崎へ投下された原爆の事は知ってるでしょう!?」


「無論だ。二都市への投下が世界初の核攻撃にして“現状の所"は最後の核攻撃だと言われている」


「核兵器ではありませんが劣化ウラン(DU)弾などの人的影響を除外すれば、の話ですが」


「記憶が曖昧だから間違ってるかも知れねぇけど…広島型で死者が約11万名、負傷者は約8万名、全焼全壊が6万棟…だったか?」


「ちょっと待ちなさい!!死傷者を合計したら20万近いわよ…!?」


「えぇ。ちなみにこれは一発、たった一発での損害です」


「人口密集地である都市を攻撃したのです。…まぁ…それだけの損害は出ますな」


淡々と次から次へ告げられる破壊力に声が出ない程、彼女達が驚愕していると和樹達の説明を遮って一刀が声を荒げる。


「核兵器が恐ろしいのは破壊力だけじゃない!!…爆発した一帯は…いいや、下手をすると何千里先まで放射能と放射線が飛んで人体や作物に影響が出る事だ…!!」


「一応、言っておくが…放射線を浴びるのと放射能を浴びるのは別物だ。前者は放射性物質から放出される放射線を浴びる事を指し、後者は放射性物質自体を浴び、皮膚への付着や吸い込む事だ。誤用には気を付けろ。…しかし…判ってはいたが日本人のアレルギー反応は凄まじいな。…もっとも…それが日本人の限界なんだろうが」


「まぁ似たようなモンなんだけどねぇ……面倒臭ぇから被曝で良いんじゃね?」


「…その…ひばく?…とにかくそれをすると…どうなるのかしら?」


訳の判らない言葉を取捨選択しながら華琳が和樹達へ問い掛ける。


「…直ぐに被害は出ません。何年後か何十年後か……はたまた世代を超えてか……」


「チェルノブイリ事故後の事を例にして言わせて貰えば人体への影響は様々だ。代表的な白血病、脊柱や肺へのガン。膀胱ガン、腎臓ガン、甲状腺ガン、乳ガン。放射能に汚染された地域では大勢の子供達から心臓疾患、肝臓障害、腎臓病、甲状腺疾患、抗体への異常が確認されている。他には妊娠中に被曝して生まれて子供達の中には脳の発達停止、白内障、遺伝子の突然変異、先天性の奇形、神経系異常や水頭症などの疾患が発生……まぁ色々だな。たぶん資料があったと思うけど…見ますか?はっきり言って結構エグい」


「一番の恐怖は不可視な事です。加えて作物にも影響が出る。摂取すればするだけ人体に蓄積され、後々になってから発病します。家畜も同様ですが」


彼女達が言葉を失う。


代弁するならば、そんな一国を容易く滅ぼせる兵器が存在するとは、だ。


「我々はMk54核弾頭を使用したい。SADM−−Special Atomic Demolition Munitionの略称だが、直訳すると…特殊核爆破資材ですな」


彼女達が沈黙する中で和樹が述べた兵器は1965年〜1989年までアメリカ海軍およびアメリカ海兵隊の特殊部隊向けに配備された物だ。


サイズは背嚢程度の大きさに纏められており、重量は兵士が背負って運搬する事が可能である60kgほど。


これは空挺降下もしくは潜水により隠密潜入する兵士によって運ばれ、重要施設や要所の所定の場所に設置し爆破する運用構想の下で開発されたが冷戦の終結で退役している。


「核出力は10tから1kt……広島型原爆が約15ktだったのを考えれば威力は低い」


「もっとも密集した敵軍が爆心地に入ったら……まず助からねぇわな」


「蒸発、でしょうね。そのままの意味で塵も残さず人体が蒸発する」


「熱風や爆風で周囲の敵も殲滅出来る……まぁ友軍が付近に居なければ大丈夫だろう。だが…敵の兵力を考えると……段々、ツァーリ・ボンバ級の奴が欲しくなって来たな…」


和樹の冗談に将司と中尉が揃って苦笑した。


「隊長、それは無理ですよ。重すぎますから」


「…まぁな…」


ツァーリ・ボンバ−−ソ連が製造した“爆弾の皇帝"と呼ばれる水爆は、1961年10月30日にノヴァヤゼムリャで炸裂した。


核出力は49,500ktに及び、広島型原爆の3300倍となった。


第二次大戦中に全世界で使用された総爆薬量の10倍の威力を持つと言われるこの50Mt級の核爆発は1,000kmも離れた場所からも確認され、衝撃波は地球を3周したとも言われている。


ツァーリ・ボンバの製造へ携わり、威力を目の当たりにした“ソ連水爆の父"と呼ばれるアンドレイ・サハロフは実験後、核兵器反対を唱えるようになったという。


ちなみに爆発した際の核出力は50Mtだったが、これは敢えて威力を故意に低く設定して実験したとか。


理由は二つある。


ひとつは、単純だが威力が威力だけに危険なため。


そりゃそうだろう。


そしてもうひとつは、西側陣営への牽制だ。


「我々は核実験に成功した。核出力は約50Mtだ。ちなみにこれは、実験の為にわざと低く抑えたモノである」


つまり「この程度だったが、本当ならもっと凄かったんだぞ」とアピールする為だ。


「…汚染は少ないだろうが…威力が威力だ。後方にいる筈の我々も吹き飛ばされかねん」


「まぁねぇ……やっぱSADMの複数同時爆破が無難って事か」


黒狼隊の頭脳である三名はSADMでの核攻撃が無難であると結論付けた。


これでも彼等にとっては最大限の譲歩と妥協である。


和樹は並み居る諸将へ視線を滑らせ、具申した内容への結論を迫る。


「この状況において優先すべきは巧遅よりも拙速であると愚考する。将来への不安は残るが先手を打ち、敵を撃滅するか−−もしくは後手に回り、将来の不安は残らない道を選べば良い。…なに…子々孫々の代まで奴隷の屈辱を味わうようにすれば良いだけだ。…さて…そちらの返答と結論は如何に?」


いずれも極限の選択となるのは間違いない。


並み居る諸将が口を閉ざす中、たった一人だけが声を挙げた−−


戦国†恋姫をプレイして遊んでみたブレイズですWW


ブレイズ的に好みのキャラは……足利義輝“一葉"だたりWW


だって可愛いんだもん!!それに胸も−−以下略




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