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恋姫†無双-外史の傭兵達-  作者: ブレイズ
第一部:乱世と反董卓連合
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序章


駄文ですので…ご容赦を。





「敵部隊が接近中!」


「なんだって接近を許したんだ!?」


「先にいた友軍大隊が壊滅したそうだぜ!」


「あぁもう畜生が!」


本当に畜生って言いたいぜ…まったく。


「迫撃砲を撃ち込め、精度は問わん!戦車を盾にしつつ後方へ退却!」


『応ッ!!』


接近してくる敵部隊を出迎えるのは迫撃砲弾に弾丸の嵐。


殺戮の饗宴は今に始まった事じゃない。


…もう何年もそれは続いている。


「ッ!?隊長、戦車だ!」


「機甲部隊が居るなんて聞いてねぇぞ!?」


「戦車砲を!!」


「間に合わな−」


隣でAK-74を連射していた部下が胸から血煙を巻き上げて倒れた。


右手で自動小銃を撃ちながら左手で脈をとるが…既に事切れている。


首から二つに連なったドッグタグの片方を引き千切ると、それを戦闘服のポケットに捩込んだ。


「隊長、これ以上もちません!!」


「何人やられた!?」


「既に21人が−−」


再び眼前で部下が倒れる。


駆け寄ろうとしたが弾幕に阻まれてしまい近寄る事が出来ない。


「発砲炎視認!!」


部隊の誰かが叫ぶと同時に戦車が一台、破壊された。


戦車砲弾の直撃だ、搭乗員は戦死しただろう。


部隊の戦車は残り2輌。


それに比べ、敵の戦車は6輌、一個中隊クラスだ。

敵軍の兵力が、こちらよりも遥かに多い。


軽く500は居るだろう。


一個機甲中隊に一個歩兵大隊か…。


このままでは包囲殲滅されてしまう。


いかに百戦錬磨の精鋭揃いでも…数の暴力には勝てない。



「ん…伏せろぉぉ!!」


風切り音が耳を打った瞬間に俺は吠えた。


そして上空で何かが炸裂した。


その刹那、左腕に形容ならざる痛みが襲った。


…左腕…?


……無くなってるじゃないか。


「グ…ア゛ガァァァァ!!?」


もはや声にならない絶叫。


左腕が見事に千切れているのだから当然ではあるか…。


…想像していたよりは痛くないモンだな。


自動小銃を地面に落とし、バンダナを残った手と歯を使って切断された箇所で縛り止血する。



「ハァハァ…ウグ…じ…状況報告…!」


今度の咆哮はなんとか声になった。


どうやらさっきの爆発で何かが掠めたらしく額から血が流れ、それが両眼を覆っている。


「クソ…!」


右手で乱暴に拭い、霞む視界の中、なんとか自動小銃の銃把を握った。


だんだんと、ゆっくりと視界がクリアになっていく。


遠雷の如く響く銃声に違和感を感じた。


…まさか…!?


「…嘘…だろ?」


嘘、なんて単語が口から出るなんて思いもしなかった。


それが存在しないのが戦場だというのに。



「…部隊の壊滅を…確認」


小さくだが、そう呟いた。


戦車は既に全て破壊されており、部下達は身体中に小さな矢状の物が突き刺さり絶命している。


…フレシェット弾か。


弾頭に多数の矢状の弾子を抱えたそれを目標上空で炸裂させ人員の殺傷を謀る兵器だ。


…対人使用は国際法違反じゃなかったか?



「クッ…カハハハッ」


嘲笑と苦笑が口から零れた。


なんて事はない。


この兵器も“俺達”も国際法に照らせば存在してはならないそれだ。


それに…戦場でルール違反なんてのは存在しない。


勝者こそが報われるのだから。



あぁ…笑った…こんなに笑ったのは生まれて初めてかもしれない。


そしてこれが最期か。


土嚢に背中を預け、ポケットから煙草を取り出した。


一本を咥えてジッポの火を点けて紫煙を吐き出す。


王道なら、こういうシーンの喫煙者のケースには一本だけしか残っていないはずなのに俺の場合は半端に三本ある。


…俺らしいかもな。



腕一本が無くなっているのに、もう痛みはない。


…アドレナリンの過剰分泌かもな。


煙草を吸ってんのに。


「……ハハハ」


はぁ…まったく。


ロクでもない人生だったな。


このまま失血死を待つのも良いが…性に合わん。


ならば…最後まであがいてやる。


見苦しく、滑稽に、喜劇のように。



煙草を咥えたまま残った腕で自動小銃を土嚢に据える。


照準は…敵指揮官。


「ウアアァアァアッ!!!」


叫びながら弾丸を見舞い…弾倉が空になる。


銃爪(ひきがね)を数度引くが…カチカチと虚しい音だけが響いた。


だが…まぁ、目的は果たせたしな。




これで……良い。



フッと口角を吊り上げる。


そして…一斉に俺へ向けて射撃音の鎮魂歌が鳴らされた。










「おい起きろ!」


頭を叩かれた。


「おっ起きたな。…うん、何処も異常はなさそうだ」


目覚めると眼前には金髪の若い男。


そして、その後ろには…真っ白な空間が広がっていた。


「気分はどうだ?」


「はっ…あぁ特には」


「…………」


何故か若い男が俺を値踏みするようにジロジロと見てくる。


「…なぁ?」


「はい?」


「お前にさ…ショウっていう双子の兄貴か弟はいねぇか?」


なにを言いだすのかと思えば…というかまたか。


「また…どういう事だ?」


「ッ!?」


口には出していないはずだ。


すると愉快そうに若い男が笑い出す。


「ハッハハハ、この反応も同じだぜ! で、いねぇのか?」


「…兄弟は…いないと思う」


「…思う?」


「孤児院育ちなモンで。両親は既に他界してる」


「…そうか」(アイツも兄弟はいないって言ってたが…。ん、そういやアイツの両親って…)


何か考えているのか若い男が押し黙る。


「…どうか?」


「ん、なんでもねぇ。おっと自己紹介しておかねぇとな」


若い男が指を鳴らすと真っ白な空間に豪華な椅子が現れた。


「どっこいせ」


それに座り、脚を組んだ男がニヤリと笑う。


「はじめまして。俺は…神、とでも言っておこうか」



……


………


「はっ?」


「クククッ…それも同じ…」


俺の疑問を他所に若い男−もとい自称神が笑い始める。


「いや自称じゃなくて…まぁ良いや。しかし災難だったな、戦死だなんてよ」


「ッ!?」


…なんで判るんだ?


「俺は神だぜ?その気になれば…いや出来ない事もあるか」


神とやらは顎に手をやって頷いている。


そして今更になって気付いた。


平行感覚が普通な事と…千切れた筈の腕が生えている事に。


思わず、そこに手をやり着ているウッドランドパターン迷彩の戦闘服の袖だけを脱ぐ。


そこには左腕の肘から肩に掛けて、狼を模倣したトライバルタトゥーが入っていた。


…紛れも無く俺の腕だ。


「オイオイ…お前もかよ」


「はっ?」


「いや、こっちの話だ」


そう言って神は膝掛けに頬杖を付いた。


「それで…お前さんの“本名”は?」


「………」


「隠さなくても良い。ここには俺とお前だけだ。あぁそうだ、言葉遣いなんか気にしなくて良いぜ」


神はまたニヤリと笑う。


その姿に警戒心が本当に多少は薄れた。


「日本名は…和樹だ。桂木和樹」


「なっ!?…いや、そうか」


「どうした?」


さっきから忙しいな…まったく。


「あのさ…お前“猟犬”って渾名の傭兵を知らねぇか?」


「有名人だ、知らなくてどうする…って、なんで俺が傭兵だと知ってるんだ?」


「俺が神だから。それで…その猟犬と面識は?」


「いや…ないが」


「んっ了解。まぁそれはそれで良いとして…お前、前世はどうだった?」


前世…という事は死んだのか。


「…最悪、かもな」


孤児院育ちだが…裕福な生活とは言えなかった。


いやむしろ…地獄。


院長は酒癖が悪く、酒が入る度に暴力を振るい俺達を痛め付けた。


だが、それは俺が18の頃に唐突に終わりを告げた。


俺達が殺したのだから。


俺達とは孤児院にいた俺の親友だ。


歳と性別も同じ。


そんな親友と…殺人を犯してしまった。


あの時はパニックになってしまい、取り敢えず持てるだけの現金と着替えをバッグに詰め込み逃亡。


だが…その逃亡も長くは続かなかった。


警察は現れなかったが、代わりに現れたのは見知らぬ外国人の男。


車に乗れ、と言われるがまま俺達はそれに乗り込んだ。


しばらくは沈黙が続いたが、唐突にその男が流暢な日本語で俺に向かい



『借りを返しに来た』


と、そう言ってきた。


そして俺達は聞いた事しかない外国に行き、俺達を助けた男の知り合いだという傭兵の下に送られた。


そして始まったのが訓練の日々。


なんでも俺の両親は傭兵だったらしく、俺達に訓練を施した男も両親と仲間に助けられた経験があるのだとか。


そうして俺達は傭兵になって世界各地の紛争に参戦した。


そんな中で結成したのが傭兵部隊“BLACK WOLF”。


部隊名は俺のタトゥーから。


隊長は俺で副官は親友。


部下となる傭兵も最終的には120人になった。


…そういえば殆どがアジア出身だったな…なのに無駄に強かったが。


だが…結局は…全員戦死か…。


「…中々にハードな人生だったんだな…」(何処となく既視感が…)


「そうでもない。そこそこ楽しめた人生だった」


「…血は争えないか…」


「はっ?」


「いやなんでも」


そう言うと神は心持ち姿勢を正した。


「で、本題に入るか。お前、もう一回やり直す気は?」


「人生を?」


「まぁ途中からになるかな。あぁ元の世界には戻れねぇぞ。戻るべき体がねぇからな」


思案する。


…出来るモノなら…あのクソッたれな人生でも良い。


もう一度、部下…いや仲間と馬鹿話して笑い合いたいし、副官である親友とも一緒に過ごしたい。


そう…あんな人生でも良いから。


「決まったみてぇだな」


もはや、お決まりになっているニヤリとした微笑を神が作った。


「…あぁ出来るなら」


「そうか安心しろ。お前の仲間も親友も“外史”に送ってやる」


「“外史”?」


「判り易く言うなら…パラレルワールドがしっくりくるな」


パラレルワールド…平行世界か。


まさか実在するとは…。


「んじゃま、逝ってこいや」


「はっ!?」


ちょっと待て、字が違くなかったか!?


「細かけぇ事は気にすんな。向こうに着いたら何らかの方法で交信するからよ」


「ちょっ待−−」









はい、作者の『なんでも屋』を知っている読者の方は判るでしょう。


ま・さ・か…“彼”の双子の弟〜!?


いや…何故か、このキャラが真っ先に浮かびまして。


えっ、ご都合主義?


外史ですから(キリッ



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