表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デュナミス  作者: kou∞
6/56

イタミワケ 後編

気がついたら私は暗闇のなか椅子に縛りつけられていた。



哀しみが体を包む。



恐怖が心を掴む。



たすけて



の声もでない



ガチャ



きた



心臓が激しく揺れるのが分かる。


相変わらず狐の仮面を被っている。



「ヤマモト君やめて」



彼は無視して何かを取り出す。



私はその何かを見て



人生で初めて恐怖を超えた絶望を知った。



白く光るナイフ。



もう涙もでない



ガチャ



えっ?



彼は目の前にいる。



誰?警察?



「やめとけ。お前の計画はもう終わりだ。」



私はその声に驚き



ワケがわからなくなった



ヤマモト君。



なら目の前にいるのは誰?



「なんで?ヤマモト君が犯人じゃ、、、」



無意識に声にでていた。



「キノシタさん。君が考えていることはわかる。」



ヤマモト君の声はやはり扉の方から聞こえる。



「どうして?」



そうして俺は自分の推理を話した。



「お前は俺がアイツらにいじめられていることを利用してこの計画を思いついた。」




そう。俺という存在を生み出した一つの原因である。イジメ



この事件で俺は第三者としての立場を捨てざる終えなかった。



「お前はまず、俺の携帯を盗み、第一の被害者を呼び出した。そして、殺害。段ボールに詰めて車に轢かせるように仕向けた。」



ここで俺が言わなかったことがある。



こいつが車に轢かせた理由。



それは決して犯行の隠蔽なんかじゃない。



簡単にバレてしまうことくらいわかるだろう。



きっと自分の「作品」が気にいらなかったのだろう。



「作品」が気にいらいないがために段ボールに詰めて捨てた。



コイツの美意識がそうさせたのだろう。



昔出会った快楽殺人者の言い方だと

俺とコイツは同じ世界の人間だ。


世界と呼べるモノじゃないがな。


一般ではクズと呼ばれる存在。



死を美だと思う存在。



「第二、第三の被害者も同じ方法だろ?」



飾り方には触れない。



頭がない状態と体がない状態。



きっとどこかで見つかってない体と頭は繋ぎあわされ飾られているだろう。



「そして4人目」



「ユウジ、、、」



「いやスガワだ」



「えっ?」



「ユウジならそこにいる。」



私は後ろを見た。

ユウジがいた。体も頭もある。



「ユウジ、、、ユウジ!!」



「無駄だ。もう死んでるか、睡眠薬で眠らされている。」



俺は淡々と述べた

ユウジの体は血塗れになっている。


彼女は「生きているかもしれない。」という喜びに満ち溢れている


「お前はタナカとシミズの体を繋ぎ合わせたがもの足りなかった。だから、ユウジとキノシタさんの体で作品を作ろうとした」



「作品?何のことなの?」



作品という言葉をつい口にしてしまった。



「コイツの観点で、だ。」



「なるほどね」



しかしながら、彼女はよく正気を保っていられる。



一般人なら彼女が置かれている状況は正気を奪うはず



やはりそれなりの覚悟をしてきたのだろう。



しかし、今は関係ない



好都合であり不都合だ



「そして、お前はその全ての罪を俺に被せ、屋上に呼び出し落とし、自殺にみせるつもりだったんだろ。高二男子、いじめた相手殺害し自殺。という具合にな」



「私はそれに騙されたのね、、、」



「そのとおり、なぁそうだろ?アオキ、、、?」



「流石だね。ヤマモト君、いや誰かさん」



やはりコイツは俺の存在に気付いてる。



保健室で俺にコイツは



「今はどっちかな?」



と言ってきた。



同じような臭い。そして俺の一般男子として振る舞う姿を見破ったのだろう。



「アオキ君?アオキ君なの?」



彼は狐の仮面をとった



確かにアオキ君だった、、、



ワケがわからない



なんで殺したの理由がわからない。



「動けばコイツを殺す」



私の首に冷たいものがあたる



「ヤマモト君、、、」



「アオキ、お前は気付いてるんだろ?」



確かにアオキに彼女を殺されては多少は困る。



俺が犯人ではないという証言が無くなるから



しかし、あのナイフには俺の指紋がついてない。



ユウジも生きてるかわからないがいる。



この後俺が殺されなければ確率的には大丈夫だ。



そんな判断も出来ないほどアイツは焦っている。



フッと笑いがでる。



そんな余裕が気に入らなかったのか、アイツはこっちに走りだしてきた。



俺は軽々しくよけた。



つもりだった。



アイツの演技に騙された。



腹部を刺された。



意識が朦朧とするが



アイツの胸に隠し持っていた包丁を刺した。



はず、、、



意識が無くなる、、、



キノシタさんの叫び声がだんだん聞こえなくなる



俺は死ぬワケだ。



何も感じないが



ただただ思う



俺は他者によって殺される人間だったのだ。



結局は、、、



あの日から数日が経った。



私は警察の事情聴取を何時間も受けて疲労困憊。



よく寝れない。



目を瞑るとあの時を思い出してしまう。



今日は学校で説明がある。



私はマスコミに囲まれる可能性があるから、警察がつくらしい。



カウンセリングも受けた



しかし、私は全然必要ないと思う。



この事件は忘れられないだろうから


学校は生徒や世間が落ち着くまで休みになる。



マスコミに聞かれても極力無視すること



そんなことを説明され



学校が終わり、私は警察に頼み墓地へ行った。



私はここに眠っている人に言いたいことがあった。














…自業自得よ



この世にはカルマ、業と言われるものがあると昔の偉人は説いた。


祖先がしたことは輪廻天性廻り廻ってくるのだと



しかし、これはそんなことではない



自分で蒔いた種。



祖先も関係ない



全て自分の所為。



私はこの人達を哀れむ気持ちはもう一切ない。



あの事件の直後、山で頭、体が明らかに合わない死体が見つかった。



そして、私はパトカーで病院へ向かった。



「ユウジ!」



「お、おう。」



ユウジは生きていた。



頭をパイプで叩かれて流血しながら気絶していただけだった。



私は携帯を取り出す。



あの時拾った携帯。



ユウジの携帯だったらしい



そして、あの動画を流す。



「もういい加減やめてくれ!」



ユウジは顔を赤らめて言うけれど私は無視して流す。



物真似して笑ったりする。



本当に良かった。



あの時、、、



ヤマモト君は腹部を刺された。



倒れながらもアオキ君の胸に持っていた刃物を刺してくれた。



アオキ君は絶叫した。



そしてヤマモト君の背中にナイフを二度刺した。



私は声も出なかった。



アオキ君は急に落ち着き、笑いながら自分の首を切り倒れた。



そして、やっと悲鳴がでた。



その声で警察がきて、ユウジとアオキ君、ヤマモト君は救急車で運ばれた。



ユウジはすぐ目を覚ました。



アオキ君は死亡



ヤマモト君は、、、



「ここは、、、?」



僕は目を覚ました。



しかし、ここが何処だかわからない



もしかして疲労で倒れたのかな?


起き上がろう。



「痛っ」



背中と脇腹が痛い



「先生!目を覚ましました!」



ん?なんでこんな大袈裟なんだ?


あー体が痛いよ。



階段から落ちたのかな。



一日休んだのに、、、



「ヤマモト君!」



横目で見るとキノシタさんがいた。



「どうしたの?キノシタさん」



「良かった、、、」



泣いている。なんかあったんだろうか?



もうワケがわからない



「どうしたの?」



そして僕は全く記憶に無いことを聞く



僕が二人を助けてアオキ君を殺した?



「覚えてないの?」



「う、、、いや覚えてる。俺がアオキに包丁を刺した。」



「そうよ。その後、アオキ君は自分の首を切った」



なるほどな



アイツは他者に殺される人間になることが嫌だったのだ



「警察には私が話したよ」



「でもどうせ俺も聴取されるよ」


「そうなのかな」



「仕方ないさ、殺人事件だから」


「そうなんだ。というかありがとう」



「何故?」



「助けてくれて。」



助けたつもりはなかった。



「いやいや」



「ところで何であの死体がスガワ君だと思ったの?」



「アイツの計画に気づいて君達を探しているとき、死体を見つけた。最初はユウジかと思ったけど、、、」



「思ったけど?」



「ゆ、ユウジが死ぬわけないと」


嘘をついた。



犯人は快楽殺人と飾ることを目的にしていると思った。



アオキの臭いはそんな感じだった。



アイツが最近ぼーっとしていた時の顔はどの様に飾るかを考えている



そんな気がしてた。



「そっか」



彼女は納得してた。そして嬉しがっていた



「コウスケ、、、」



ユウジがいた



「すまなかった」



どうすればいいんだ



仕方ないコイツに任せよう



「あれ?ユウジ?どうしたの?」


「どうしたのってお前、、、助けてくれたし、ケンカしていたし」



「ケンカ?別にユウジが僕のこと嫌いになっただけでしょ?」



「お前が俺のこと嫌だって言ったんだろ?」



「そんなこと言ってないね!痛っ」



「相変わらずバカだな」



「うるさいな!」



「ふふふ、、、二人ともあの三人に騙されてたのよ」



「は?」



詳しく話を聞いて僕らは驚いた



「まぁ助けてくれてありがとな」


「その事なんだけど全然覚えてないんだよね」



「何いってんだお前。さっきまで淡々と説明してただろうが」



「えっ?なんの事?」



「?意味がわからん。疲れてるんだろう寝ておけ」



「う、うん」



「じゃまた」



二人はでていった



ユウジとまた仲良くできる。



良かった。

いじめてくる人はもういない



僕は久しぶりに深い眠りにつけた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ