イタミワケ 前編
残酷な表現があります。
乙一さんの作品が好きなら大丈夫なくらいです。
イタミヲシラナケレバ
カワラナイ
イタミをシラナケレバ
ヤサシクナンテデキルワケナイ
イタミヲシルベキ
ジンルイスベテ
贖罪ヲ
イタミヲ
私はテレビを見て驚いた。
私の学校の友達…
いや、厳密に言うと
彼氏ユウジの友達。
彼は2日前の早朝、トラックに轢かれて亡くなった。
トラック運転手は段ボールしか見え無かったと供述していた。
ユウジは事故だから仕方ないと言っていた
最近、喧嘩していたせいか全く悲しんでいない、寧ろ清々したと言う感じだ。
私もあまり話したことないから悲しさは無かった。
でも、まさか彼が、、、
取り敢えず学校に行こう。
「えーみんなも知っていると思うが事故だと思っていたタカヤマのことだが殺人事件だった」
そう、その通り、バラバラになった彼の死体。
その切り口が刃物のようだったらしい。
そして段ボールに彼は詰め込められていた。
トラックの運転手は無罪だった。
彼も一種の被害者に違いない
それでもユウジはそうかというだけだった。
ユウジは変わった。
ユウジは前まで凄く優しかった。
私は戻ってほしい。
彼をイジメるのをやめて前みたいに仲良くしてほしい。
彼と喧嘩をして離れた日から彼と共に優しさが消えた感じがする、、、
僕は驚いた。
タカヤマが殺された?
事故じゃなかった?
でも内心、僕はイジメの目標にされていたからほっとしていた。
けどかわいそうだなとも思っていた
30分後に全体集会かぁ
ちょっと寝たい。
最近の疲れはハンパない。
保健室に行こうかな。
全体集会。私は総務だから確認をしなきゃいけない。
ユウジは今年は違うクラス
ユウジを横目で見る。
無関心極まりない。
めんどくさいという感じだ。
あれ?人数が足りない。
「ヤマモト君、アオキ君どこに行ったか知らない?」
「アオキ?さっき保健室で見たような」
「そっかありがとう。ってかアオキ君最近おかしくない?」
「もとからじゃないかな?」
「あははそうかもね、でも最近はぼーっとしたり、怖い顔したり、前は明るかった気がする」
「いやいやそんなことないよ。たくさん話したりするよ」
「ならいいんだけど、、、ねぇ?タカヤマ君のことどう思う?」
「ゴメン、トイレ行ってくる。それに見られてるし」
「あっうん。」
ユウジが見ていた。
私だけだろうか。
タカヤマ君の死について恐怖感を感じているのは
ただならぬ緊張感。
それは私の睡眠を奪う程だった
早朝、電話が掛かってきた。
ユウジから
「今すぐテレビを」
何事だろう。
私はそう思いつつ、テレビをつけた。
「、、、ニンは未だ見つかっておりません。では一度スタジオにお返しします。」
なんだろう。
他のチャンネルは。っと
「現場周辺に来ています。また殺人事件です。タナカタクマ君(17)の頭部が自宅周辺で見つかりました。」
唖然とした。
また同じ学校の子が殺された。
ユウジの友達、、、
なぜまた?
早く学校に行こう。
ユウジは会って早々に私に別れようと言った。
理由はめんどくさい、ウザイからだそうだ
私は涙が止まらなかった。
フラれたからなどじゃない。
きっとユウジは私の身の危険を考えて、私が巻き添えをくらわないようにしてくれたんだろう。
私は勘違いをしていた。
ユウジはずっと優しくて私の事を考えてくれていたんだ。
私は自分腹がたち泣いた。
そして犯人が許せない。
早朝から全体集会。
みんなを並べていると先生が
「今日はアオキとスガワとヤマモトとタキガワが休みだ」
「わかりました。」
やっぱり来てない。
私の考えは確信に変わった。
そう、彼が犯人。
必ず
さらに3日後更なる犠牲者がでる。
シミズ君。
タナカ君とは違い、頭がない状態で発見された
多くの人はマネキンが棄てられていると思ってらしいが違ったらしい。
これでユウジの親しい友達がいなくなった
ここまで警察の警備が激しい中での三度の殺人。
きっとこのままならユウジも、、、
私の心配はとてつもないが
現実的には思えなかった。
今日から学校は臨時休校。
安全確認出来たら登校らしい。
しかし、私は余計心配だ。
ユウジは犯人を捜すはず
どうしよう
戸惑いと迷いがある。
そんなしているうちに17時過ぎ
メールがきた
ユウジ、、、
…たすけて…
えっ?
たすけて?
…今どこ?…
…学校…
早く行かないと、、、
彼がユウジを殺してしまう。
ついた時にはもう真っ暗だった。
何処だろう。
捜していたら、かすかな光が見えて急いで行った。
ユウジがいた
頭がないユウジが、、、
携帯が落ちてた。
動画の再生画面。停止中。
真ん中を押しその動画を見る。
真っ暗だ、、、
「ユウコへ、、、最後にこんな言葉しか残せなくてゴメンな」
ユウジ…
「ウザイとかめんどくさいとかいってゴメンな、、、嘘だから」
わかってるよ。わかってる、、、
「あと最近デート行かなくてゴメン」
いいよ、もういいよ大丈夫。
「本当はたくさん言わないといけないことあるけど時間がないらしい、、、最後に、、、これから先いろんなことあると思うけど笑って生きろ」
それで終わった。
涙がとまらないよ、、、
ユウジ、、、
扉が開いた。
暗くて誰かわからない。
けど私は分かる
犯人。
ユウジの親友だった人
ヤマモト君
そしてイジメ受けた人
本当は騙された人
ユウジの周りにいた人がユウジの携帯からヤマモト君に悪口を書いたメールを送った。
ヤマモト君は傷ついてユウジと話さなくなった。
そしてその書いた友達はユウジにヤマモト君がユウジの悪口を言ったと言った。
それから二人は仲が悪くなった
というかヤマモト君がユウジの友達からイジメられるようになった。
だから犯人はヤマモト君だと私は確信している。
暗闇にいた人は狐の仮面をしていた。
真っ白な下地に赤い目と口の狐の仮面
「ヤマモト君でしょ?なんでこんなことを、、、あなたたちは騙されただけなの!」
フッとヤマモト君は笑って私に向かって走ってきた。
私は持ってきていた包丁で迎え撃つつもりだったけど体が動かない。
ヤマモト君が右手を伸ばして何かを突き出した時私は気を失った。