コンフリクト
退院翌日。
朝から学校へ行く。
正直キツイ。
真冬を抜けたから多少は暖かいけれど。
まだ寒さは残っている。
キツイのは寒いからじゃなく、、、
「ヤァマァモォォトォ!!」
ほらきた。取り囲まれて。
って数が増えてない?
増えすぎてない?
みんなTシャツにハチマキ
赤い字で「NO ヒメジ!NO LIFE!」
僕もそう思うよ
一枚欲しいくらいだ。
「何?」
「ぶっ殺す。」
単純だなぁ。
「ヒトミさんは渡さないっ!」
「カッコいい!」
いやっそんなこと言われると僕も恥ずかしいよ。
「あ、あのねみんな、、、」
「ヒメジさんを返せ。」
「無理なんだよ。彼女は僕の全てなんだ。」
「、、、」
今回はおふざけ無しです。
「わかった。」
よき理解だ。
「みんなありがとうぅぅうあぁぁ僕の両腕の間接はそんな方向に曲がらなっ!」
「まぁ気にしないで」
「何をっ!?気にするよ、この状況は気にすることばかりだよ。わかってくれたんじゃないの?」
「わかったさ。お前を殺さなければヒメジさんを返してもらえないことをっ!」
「バカ共!全くの最低やろう共だっ!」
「最低のやろう共じゃないっ!」
「最低のやろう共だろっ」
「私は女の子だもの最低の人々よっ」
「最低ってところは否定しないんだねっ!」
「ええ、私はヒトミちゃんのためなら悪魔にでもなるわ」
「自分のためでしょ!?」
「ち、違うわ!私はヒトミちゃんとあんなことやこんなことをしたいわけじゃなくて、、、、そう彼女の貞操体を守りたいのよ。」
「最終的に自分のためだっ!」
あれっでもおかしい。
「ブシ君は?」
「確かに、、、」
ブシ君は本を読んでいた。
「おいっブシ!なんでやらないんだ!?」
オギ君の魂の叫び。
「いや興味ない。」
「なんでだよ!?」
「俺は手に入らないものには興味ないんだ。しかも、俺は恋をしている。」
「えっ!?」
一同驚嘆。
「そちらのヒメジさんとは次元が違うんだよ。」
流石に腹立った。
「ふざけないでくれ!僕にとってはヒトミさんはNo.1なんだよ!」
持っていた本を取り上げた。
本当に次元が違った。
三次元と二次元。
しかも、両方ヒメジさん。
「ご、ごめん。」
「いや、いいんだ。」
気まずっ。
というか手に入らないものには興味ない主義じゃ、、、
「か、かわいい、、、」
オギ君、、、
「かわいすぎる」
みんな、、、
「ま、まて、このヒメジさんは俺の嫁だ!」
ブシ君、、、
いや、、、なんかいや、、、
さて、みんなが半数に割れている。
気にしないでおこう。
この後、ヒトミさんが登校。
全て復活。
授業が始まるまで命のやりとり
いや、盛ってないよ
結局放課後もいつも通り。
で、警察の事情聴取。
僕は全て話した。
本当に全てを。
全ての罪と事件を、、、
だけど、笑って返された。
「そんなことあり得ない。」
と。
笑う。いや嘲笑う。
あり得ないことはない。
でも誰が信じる?
僕だって信じないさ。
何も体験してなければ
この日はそんな感じで終わった。
一週間後、電話がきた。
警察から。
僕の友人を殺した殺人犯の証言により僕が真実を話していると気づいたらしい。
何せメディアに報道されていないことも話したのだから。
警官はその時に気付くべきだったと思うけど、、、
本当に全てを話した。
その日のうちに多くの事件が解決した。
ニュースのお陰で世間は沸きに沸いた。
しかし、僕の名は出なかった。
それどころか逮捕もされなかった。
理由は協力してくれたため
と言っていたがそんなことじゃないとすぐわかる。
ここのところそういう事件の未解決ばかりで世間から警察への信頼感はがた落ちだったから
警察の手柄にして、信頼回復ってところだろう。
そんなこと意図も簡単に有識者は気づいた。
僕と事件のことが特番になったくらいだ。
IQ210の天才の活躍か?
現代のシャーロックホームズの登場か?
なんてネーミングをつけられた。
そんな観点でこられたら僕が事件解決でメディアにでることは無いだろう。
違うんだ、違うんだよ
僕は讃えられる人間じゃないんだ。
事件解決も、犯人と同じ視点で物を見ていたからなんだよ。
心のなかのなんとも言えない蟠り、、、
拭うことが出来なかったその日から僕の周りでは当たり前の生活が送られていた。
僕だけが取り残されているようで、、、
異様な虚無感に苛まれていた。
一ヶ月経ったある日、我が家のポストには大量の封筒や手紙が入っていた。
どこで調べたんだろうか、
ネット社会とは怖い。
全て依頼の物だろう。
ひとまず見た。
しかし、大半がイタズラだった。
あとは励ましと被害者の家族からのお礼。
お金も入っていたけど、ヒトミさんと解決したから彼女にあげよう。
僕にもらう資格はない。
たった一枚、異彩な手紙が入ってた。
…私の恨みを聞いてください…
本当に近かったのでいった。
ヒトミさんと、、、
その子は女の子だった。
僕の出身中学の制服を来て僕らを出迎えてくれた。
今にも自殺しそうな顔で、、、
ただ、笑ってしまった。
学校への愚痴だけだった。
三時間も、友人や恋人の愚痴を、、、
赤の他人に、、、
いや赤の他人だからこそかもしれない
「じゃ帰るね。」
と言って立ち上がると
「本当にすっきりしました!ありがとうございます。明日から生きていけそうな気がします!」
驚いた。
何もしてないのに、、、
僕はどうすべきなんだろう。
帰り道、ミズキさんと公園へ立ち寄った。4人掛けの椅子に2人で座る。
休日というのに、他に誰もいない
僕らだけだ、、、
「コウスケ君?」
「ん?何?」
「涙が、、、」
「えっ!?」
涙を溢している事に気付かなかった。
「どうしたんですか?」
「どうしたんだろう?」
止まらないどころか余計激しくなる。
「あ、あれ?」
「大丈夫ですか?」
「な、なんでだろう?」
妙な沈黙、、、
何かを察したのかミズキさんが抱き締めてくれた。
「うっう、う」
声がでる。
今まで背負ってたものが、、、
そう、勝手に背負ってた。
端から見ればどうってこと無いのかもしれない。
必要以上に、、、異常に背負ってた。
でも、背負おう。
僕にしか出来ないのだから。
と、いうかヒトミさん、隠れ巨、、、
いやいや、そんな事を考えちゃ、、、
「コウスケ君!」
「はい!」
「お話があります」
バレて怒られた、、、
その後僕は笑った。
「僕は大丈夫。」
「そうですか?」
「うん。」
「なら良かったです。」
離された。
もったいないことしたなぁ。
「明日、デートしよう。」
スラッと言えた。
「はい。」
スラッと返してきた。
明日、初デートってなんか実感しないな
まだ体験したことないから。
まだ続きます。
まだまだです。