プロローグ No.4
バッ!
「えっ?」
僕は目を覚ました。午前12時。
隣にヒメジさんが寝てる。
ちょっと覚えてる
殺人事件を目の当たりにしたんだよね。
僕は、、、
「ヤマモト君?」
「ごめん起こしちゃったね、、、」
「コウスケ君。ちょっと外行きませんか?」
「いやっ、雨が、、、」
さっき降ってた、、、?
降ってたはず、、、
記憶無いのだけれど何故わかるんだろう?
「傘で大丈夫くらいの降り方です。」
「しかも、殺人事件が、、、」
「きっと大丈夫です。」
「わかったよ。行こう。」
念のために僕のバックに入ってたナイフを持って行くことにした。
「ユウジ、行ってくるね。」
きっとユウジは起きてた。
雨が降るなか一つの傘の中に2人で入って歩いた。
相合傘。
「コウスケ君。」
「何?」
「どこまで行きますか?」
「ちょっと光が届く所までにしようか。」
殺人事件の犯人がいるから。
何故そう思うんだろう。
「そうですね。」
ちょっと崖近くまできた。
彼女と歩くのは初めてじゃないけど、、、
緊張する。
ドキドキってこのことなんだ
人を好きになるって今まで知らなかった。
今までのと違った。本当に好きなんだ。きっと。
うわべじゃない。
この人のためなら死んでも構わない。
雨が止んだ。
風が強くて僕の頬に当たる。
ひんやりと気持ち良い。
雲が裂けた。
そこから星が、、、
「綺麗だぁ」
「まるで降るようですねぇ。」
「そうだね。」
不謹慎だけれど綺麗だ。
「ほらオリオン座ですよ。」
「綺麗だね」
「そうですね」
この沈黙もなんかなんか嬉しい。
ただ隣で星を見ているだけなのに、、、
「ヒメジさん。」
「何ですか?」
「僕、高校2年生になって生まれて初めて本当に人のことを好きになったよ。」
「それは素晴らしいですね。実は私もです。」
前、彼女をかわいいと思っていた。
ただ好きだった。
ただ付き合いたかった。
身体が欲しいだけ、綺麗な恋なんてドラマの、小説の、マンガの中ってどっかで思ってた
今は性格も、声も、顔も、何もかも、、、
「僕、君の事が好きなんだ。」
彼女の全てが欲しい。
彼女と全てを分けたい。
僕の全てをあげたい。
持てるモノは、持ってるモノは少ないけど
二人で刻みたい。
二人で歩みたい。
そう思ってるんだ。
彼女は驚いている。
僕が告白したのは間違いだったかなぁ。
言わずにはいられなかったんだ。
「ありがとうございます。」
泣いている。
振るのが辛いのかな。
「ヒメジさん?普通に振ってくれて大丈夫だよ。」
「いえ、嬉しいんです。私もです。」
「えっ?」
「私も君のこと好きです。」
ありがとうが言えなかった。
顔を見れなかった。
泣いているのを気づかれるから。
ずっと空を見てた。
会話も無いまま。
手を繋いだまま。
会話はいらない。
そんな気分だった。
もしかすると、僕はいつか彼女と別れるかも知れない。
でもきっとこの気持ちは忘れないと思う。
あっと言う間に午前1時になってた。
「帰ろうか」
「そうですね。」
手を繋いで帰った。
今まで辛い人生だったけれど
この幸福な時間のためにあったんなら僕はそれでもいい。
もう一つ僕は大きな覚悟をしなきゃいけなかったけど。
それはまた明日でいい。
幸福な時間に浸っていよう。
「ヒメジさん。」
「名前で呼んでください。」
「ヒ、ヒトミさん?」
それともミッちゃん?
「何ですか?コウスケ君。」
「僕は今、世界で一番幸せだと思う。」
心からそう思う。
本当に。
「いえ、それはありません。」
「えっなんで?」
「私が世界で一番幸せだからです。」
満面の笑顔。
全てを包みこんでくれそうだ。
「ラブラブね」
「あぁ全くもってラブラブだ」
ユウジとキノシタさんが笑って出迎えてくれた。
「コウスケ。おめでとう。」
ユウジからこんな言葉をきけるなんて夢みたいだ
「あ、ありがとう?」
「さて、しっかり寝るか。」
「そうだね。」
僕らは手を繋いだまま寝た。