モラトリアム No.3
はぁ。コイツは一体何をしてるんだか
俺はヒメジさんの寝顔フォルダなる物を見て思う。
くだらない。
もう午前8時か
「おはようヤマモト君。私は仕事へ行ってきます。」
「おはようございます。お気をつけて下さい。」
「ミっちゃんをよろしくお願いいたします。
「任せてください。」
「では」
「はい。」
母親だから心配なのだろう。
一般的な考え。
さっきまで寝てたからな
なんとか疲れは無い。
「あっおはよう。コウスケ君?ヤマモト君?」
「いやどちらも俺でありコイツであるんだが。ヤマモト君と呼ばれてる方かな」
「す、すいません。」
「いやいいんだよ、しかし、コイツの時にそれ言ったら変な感じにならないかい?」
「大丈夫です。コウスケ君は馬鹿ですから。というか昨日、、、ご、ごめんなさい!」
それもわからない程コイツは馬鹿だと思われてるのか
「うーん。昨日はめっきりコイツに任せたからな。覚えてないし、コイツの時に謝ってくれればいいかな。」
「は、はい。」
「話は変わるけど、ヒメジさんってミっちゃんて呼ばれてるんだね」
ボフッ
おっ顔が真っ赤になった。
予想外だった。
和ませて作戦を成功を円滑にしたかったのだが、、、
「そ、それはお、お母さんがフザケタンデスヨ」
「そうなの?で君のお母さんはアメリカン?だからそんな片言なの?」
「チガイマス!」
「はははおもしろいなヒメジさんは」
心では全然笑ってないが
「ば、バカにしましたねぇ~!」
「よし和んだね。」
優しく。優しく。和むように
俺の醜い本当の感情を悟られないように
「ははは、そうですね」
「じゃまだ時間あるしご飯食べに行こうか。」
「えっ!?は、はい。」
「じゃ行こうか。」
「おい。シスコン&ユキムラ。朝飯食いにいくぞ。」
「うるせぇ!シスコンじゃねぇ」
「朝から騒がしいなシスコン。」
「ちょっと待ってて義兄ちゃん」
「お兄ちゃんのイントネーションおかしくないかい?ユキムラ君。」
「いや、その、、、あの、、、」
「何故姉弟揃っておどおどしてるんだ?」
「いやっなんでもないですよ」
「じゃ行こうか。」
一時間ほどファミレスで朝食をとった
最近金がヤバいのだがこの家族に支払わせるワケにはいかないので全部支払うとシスコンが意外にも感謝をしてきた。
気にすることはない。とだけ返しておいた。
家に帰るとヒメジ兄弟は遊びにいった。
さて計画にでるか。
この物件を選んで良かったと思う。
ある程度の角度じゃなければ玄関を見ることが出来ない。
それをファミレスに行ったがてら確認した。
「じゃ俺は帰るね。」
…嘘だけど…
「わかりました。気をつけてくださいね。」
「うんじゃまた」
「さよなら」
バタン
っと玄関を開けた音だけ。
さて、来るかな
俺が完全に出たのを確認するか、、、
玄関の前で10分ほど待った。
「キャー」
ヒメジさんの声。
なんと大胆で馬鹿な犯人何だろうか。
ガチャっとリビングに入った
「おい。」
犯人は驚いている
つくづく馬鹿だ
犯そうとしていた。
つくづく、、、
殺したくなる。
弱者が弱者を食うのは知能がない動物の中で許されるものなんだよ
「てめぇ騙しやがったな!」
何て言えば良いんだろう。
「騙すとは何だ?犯そうとしているお前がそんなセリフ吐けるとはさぞ素晴らしいな」
「調子こいてんじゃねぇ」
コイツ、見た目は30~40程なのに頭ん中は高校生程度だ。
トンカチを投げてくるなど。
誰が避けれるか。小説家の馬鹿野郎。
左腕、これは痛い。
でも
「アンタ馬鹿だな。」
「あぁん?」
「もう、凶器無いんじゃないんですか?」
「う、、、」
何度馬鹿と思うことか、、、
あると言えば警戒するのに
「アンタがヒメジさんの父親を殺したのか」
「うん。奪った代償だよ等価交換だ」
幼稚な声になった
いや、今の段階で決めつけてはいけない。
何故殺したというのは
俺には全く興味の無いこと
今、俺が聞かずとも警察に聞けばよい
「どうやって事故だとさせたんだ?」
「、、、」
「どうした?」
「いえいえ、少々話をしておりまして。説明致しましょう。簡単ですよ。ブレーキを壊したのです。流石にあの高さ、スピードで落ちたなら車は大破。ブレーキの欠陥など問題じゃなくなるのです。」
「そうかい。」
やはりな多重人格なのか。
俺と同じ、人の心で飼われている人間なのか。
「アンタの中には何人いるんですか?」
「ほぉ気付きましたか。七人です。しかも、全員と会話出来ます。」
全く、お前はどこの幽々白書の仙水忍だ。
興味が湧く、沸く。
しかし、
「ヒメジさん、今すぐこっちに来い」
タタタッとこっちにくる。
気絶させたいが、、、人を気絶させるのにはかなりの力を加えなければならない。
怪我を負わせるというのも無理だ。
致し方ない
見ててもらうか、、、
正当防衛という名の犯罪を、、、
いや過剰防衛になるのか?
「あんた、本当に殺したんだよな」
「細かく言えばわたしじゃありませんがね」
「じゃそいつだせ」
「でますかね、、、」
「おい。」
「なんだよ。クソガキ。」
「あんたか、、、犯人は」
「それは勘違いだぜ。犯人は俺の中にいる7人だ。」
「そうなのか、、、良かった」
「なにがだよ?」
「お前ら全員が犯人なら皆殺しでも正当防衛だからな」
「殺せるのかよっ!」
ファイティングポーズ。
本当に凶器を持っていないのか、、、
「お前は本当に馬鹿なのか?」
「何がだ?」
「俺はお前が来ることを予測していた。武器も用意していた。しかし、お前は唯一の凶器。トンカチを投げたんだ。不利だろう?」
「拳が凶器だ!」
格闘ゲームの世界の人間か?
全速力で走ってくる
ブシュッ
当然の結果のはず。
なのになんでこんなに驚いてんだ。
腕に刺した。
アドレナリンの分泌で痛みは抑えられてるだろうが
それでもかなり痛いだろう。
その痛みは自分で既に経験している。
面白すぎる。
痛みを与える快感。
初めての経験ではないのに。
ここまで快感をえるのは初だ。
止まらない
足、足、足、局部、足、足、足、足、足、足、足、足、足、足、足局部、足、足。
下半身攻め。
足と言っても殺さないよう、足の甲なのだが
「やめて!」
とヒメジさんが言う。いや叫ぶ、、、それとも違う。表現し難い。
「君の父親を殺した人間だよ?」
い、いやそれでもやり過ぎです。
「君が言うならば。」
残念だ
「ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう」
痛みで狂った。
「警察行くならば命を救ってやる。全てを告白しろ。」
「ふ、ふざけんな。お前も俺を殺せば犯罪者だ!」
「正当防衛として処理されるだろうな。」
「お前は人を殺して罪悪感はないのか!」
「全く、、、お前はつくづく馬鹿だ。殺したくなる。」
馬鹿が嫌いな訳じゃないけど
馬鹿が悪い訳じゃないけど
「お前を殺すことに罪悪感などでるか。お前が彼女の幸せを奪った犯人ということを忘れるな。そして、俺はお前の正義の味方じゃない。」
「お、俺は罪悪感を感じて感じて感じて感じて、解放されたかった。」
「だから殺そうと?何度も言う。お前は馬鹿だ。殺して罪悪感が増えるという考えはないのか。」
「うるさい!怖かったんだ。」
恐怖。殺害に通じることが多い物だ。
ただ、これはおかしい。
多重人格と自分で言ってたやつが。
「お前は誰だ。」
「何言ってやがる。殺すぞ!」
「お前は誰だ。」
「だから七人の内の一人だ!」
「大学は。」
「●●●●だ。」
超エリート。故にストーカー。
普通の考えなら何故にストーカー。
勉強。ばかりで恋愛をろくにしてなかったコイツはフラれるということにたいして免疫がなくストーカーになった
人間との関わりが薄い、勉強ばかりしていた人間はストーカーになる確率が高いらしい。
勉強することにより、エリートになることにより、一位になることにより、独占欲が高まる。
悲しいな。
いや、全く。
学歴社会だ。こういうのが増えるだろう。
しかし、学歴社会を馬鹿にするのは俺には無理だ。
「学歴は関係ないっ!」
素晴らしいな
学歴がない。成功してない者が言う。
素晴らしすぎて笑うしかない。
学歴を得るための努力をしてないお前らが何を言える立場じゃないだろう
「おい。てめえ!」
てめえ。手前。自分のことを示す単語だから無視するべきだろう
「ヒメジさん。どうする?」
「無視してんじゃねぇ」
「興奮する出血多量で死ぬぞ。」
「うるせぇよ」
「警察通報するとただの強姦罪だけになってしまうな。あと俺の左腕が折れてたなら傷害罪か。」
「くくく」
「しかし、お前はここで死ぬ。」
「ふざけんな!クソガキ!調子こいてんじゃねぇ。」
「なぁ。お前は罪悪感とか言ってが。全く感じてないだろう?」
「感じてるさ。俺の中の奴がな。」
「お前、本当は多重人格じゃないだろ?」
「なに言ってやがる」
「嘘なんだろ?」
根拠は少しかない。勘というほうが合ってるだろう
「俺の中には7人いる!」
「じゃだせよ。本当の人格を」
「、、、何か。」
「演技が下手くそだな。」
演技がうますぎるというべきか
こんな落ちついた状況で痛くないはずがない
馬鹿。エリートだが天然というやつだろうか?
というか、矛盾しすぎ。
これが小説なら。
筆者も自分の矛盾に気付いて
焦ってどうしようか迷ってるところだ
「ただの怖がりだろ?」
「、、、」
「黙りですか。。。ならいいですよ。警察を呼びましょう。証拠不十分で彼女の父親の殺害は逃れられるかもしれませんね。」
「ほ、本当にか?」
「嘘に決まってるだろう。有名大学に行ったやつが脅迫状を手書きなんだ。」
最初から。
そう最初からこんなことをする必要は無かった。
警察に持って行けば良かった
しかし、俺はそんな人間ではない。
「、、、」
「最後です。警察に自首を。」
「わかった」
泣きながら立ち上がり、
警察へ向かった。