モラトリアム No.2,5
「ヤマモト君?」
「何?」
「寝れないのですか?」
「寝れないわけじゃないよ。」
「そうですよね。私のためですよね。」
「だからといって気を使うことはないよ。好きでやってることだから。」
「、、、いや、すいません。私ばっかり寝てしまって」
「いいんだ。気にせず寝て。」
「いえ、折角だしお話したいです」
「話?」
「ええ。いくつか、、、例えば最初の事件とか。」
「最初の事件とか、、、」
最初の事件。
語るに足りないあの事件。
俺とコイツが分離した事件。
でも、話す時がきた。
話す必要はないが、話さない必要もない。
多少だけ、嘘をついた。
他の事件に関してもだ。
ヒメジさんは驚く。
あれも事件もだったの?と
あぁと俺は言うだけ。
言うだけ。
言わなければいけなった。
俺は正義である。
一般的な正義の反対の正義。
悪?悪なんてない。
誰もが正義。
悪。悪。そうやって自分を正当化するのだろう?
話したくはない。これも例外ではないからだ、、、が、
ヒメジさんは違った。
私はあなたが羨ましい。と言った。
何故?と聞くのもバカらしい
「俺のような特別な生活をしたいとでも?」
「はい。こんな生活つまらないんです。」
当たり前の価値な無さというやつだろう。
当たり前=平和=安全=平穏=退屈
誰もが求めている「刺激」
俺の周りは非日常的刺激的
多くを学んだ
昔のただ「死」が美しく思えて飾られた姿を見たいだけの人間なら
俺はヒメジさんを助けるフリをして犯人に殺させるだろう。
しかし、この人の心は美しい。
この人の中にあるから美しい。
心が半分無いような俺には、羨ましい話だ。
美しさ。というのは一つの概念であるが。無限の価値観。
人によってちがう。
当たり前だ。
当たり前だが
当たり前じゃない。
当たり前の概念も無限だから
当たり前の常識は国それぞれ。
当たり前の考えは人それぞれ。
当たり前の基準は当たり前がない。
この世に平等なんて一つしかない。
唯一の平等は生まれたら死ぬことだけなんだ。
「今の生活を、飽きてしまって、逃げた結果が俺という存在なんだ。」
「良いじゃないですか!」
「良くない。心が半分のような存在。君にわかるかい?」
わかるはずないじゃないか
「わかりません。」
「君にはこんな複雑な感情を経験して欲しくない。だって、、、」
「だって?」
「、、、、、、」
「ヤマモト君?」
「どうしたのヒメジさん?ってかもう夜じゃん!?ってか3時じゃん!?」
「ヤマモト君!逃げるだなんてズルいです。」
「いや、待ってヒメジさん!?何のことがわからないくらい僕の腕の関節はそっちに曲がらなっ!!」
「ズルいです。ズルすぎです。」
「やめ、、、僕の左腕はズルいことができないくらい酷い損傷を受けてるよっ!」
「謝ってください!そして、だって、の続きを聞かせてください!」
「ごめんなさい!!だって、女の子だも、、、いやぁ左小指がぁぁ」
「ふざけないでください!」
「神様!ふざけないでください!」
「もう!ちゃんと言ってください!」
「言う言葉がもうやめてくださいしか見当たらないよヒメジさん。でもヒメジさんにやられてること考えたらちょっと興奮するかも」
いや、だいぶ。
「お世辞はともかく!ちゃんと言ってください。」
お世辞なの!?
「僕って意外とMなの、、、親指がぁ!!!ヒメジさんこれはもう乙女心の範囲を越えて犯罪だよ。」
拷問だっ
「ちゃんと言ってください!」
ちゃんと言う?
あぁなるほど
「ぼ、僕の左腕の感覚がありません。」
「違います!」
「イヤァァァ!!何!?ミス=デッド方式!」
「しっかり私に対する気持ちを言ってください!知りたいです!」
え、、、?
「ぼ、僕はもちろん、、、」
「もちろん?」
「すまないヒメジさん。一瞬疲れで気を失ってしまった。」
「酷すぎます!!」
何故左腕がこんな状態なんだっ
「ヒメジさん落ち着いてくれないか。」
「嫌でふ。」
即答して噛むか。
じゃアイツにまかせる
「ヒメジさん!?僕は一瞬気を失ってしまったよ!!」
「失ってません!」
「頑固だぁぁぁああ僕の人差し指!」
「大丈夫です。後ではめます。」
「後でじゃなく今はめて!」
「はめて欲しければ、、、」
「うるさい!!」
ヒメジブラザーズが神のように見えるよ
「はぅ、、、」
離れた!!
しかし、指は自分ではめないといけない
「ヒメジさん。」
「すいませんでしたぁ」
「いいんだけど、、、どうしたの?」
「ちょっと、感情的になり過ぎましたぁ」
感情的に?なんか嫌なことあったのかな?
「感情的に?ちょっと太ったとか?」
「コウスケ君、右と左どっちがいいですか?」
「なにが?」
「生き残る腕です。」
それはdeth or die?どっちか好きな方を選べと言われてるようだった
うぅ、、、、、、
ガチ、ガチ、ガチ
いや
怖いよ
ってか
「ヒメジさん?」
「はい?」
「僕は、、、僕は、、、」
「な、何でしょう?」
「君のことが、、、君のことが」
「わ、私の事が、、、?」
「怖いよっ!!」
「酷すぎます!」
「痛いよっ!!ごめんなさい!!冗談です!!優しくてかわい過ぎます。」
「心がこもってません!」
「僕の親指はそんな方向に曲がらないよ」
「あっすいません!」
「いやっ反対側にそんなに曲がるワケじゃないよっ!?」
「ふふふ。コウスケ君とはこんなにお喋りしたのは初めてですね。」
言葉の暴力ならぬ
暴力が言葉
それをキャッチボール
いや、デッドボール
「そうだね、、、」
「嬉しくないのですか?」
ちゃんとした会話なら
もし僕が極上のMなら
明日死んでもいいくらいの状況なのに
「嬉しいよ。ちゃんと話できたら、、、」
「じゃしかっり話しましょう。
怖いよヒメジさん!
意外な一面を見た気がするよ。
「じゃちょっと待ってね」
指はめるから
「よし。」
いや。よしじゃない!
「ヒメジさん?」
「はい?」
何を話せばいいんだろ?
「好きな食べ物は?」
「甘い物です。」
終わった!!
最短の会話だよ!!
ヤバい次の会話
焦る焦る焦る焦る
どうしよう
「ヒメジさん。す、好きな下着の色は?」
僕のバカ!!
とんでもない質問だよ
真ん中のたった二文字が僕の存在を人格を社会的に殺した!!
「ピンクです!」
こ、答えた!!
つーかそんなことより見たい
「見ますか?」
「うん。、、、えっ!?」
いやっさらっと答えたけど
何だっけ?水飲む?とかだっけ?
「じゃ、じゃあ」
「ウソウソ!!はっはぁヒメジさんは冗談が好きだね」
怖いよ。怖いよ。
なんか誰かそっからテッテレーって人がでてくるんじゃないの?
いやってかなんで着ている下着を見せようとしたのさ
なんというか
僕の婦女暴行、、、いや青春との葛藤!が溢れ出してくるよ。
というか勿体無いことした気がするよ!
「コウスケ君!!私は真面目です!!」
何がだい!?
僕を社会的に殺す事がかい!?
「あ、あのヒメ」
「うるさいっていってんだよ。くそ男!!」
ヒメジブラザーズ(弟「小学」)がいた。
「えっ僕!?ご、ごめんなさい」
「姉ちゃんこれ飲め!」
あれは烏龍茶かな?麦茶かな?
茶色いのはわかる
まぁありがとう弟君。
「これで僕は社会的にも生きられる。」
「何いってんだよ!じゃ俺寝るから!うるさくしたら許さないから!そして、くそ男!!」
「な、何?」
「頑張れよ!ニヤリ!」
ニヤリまで言うの?何?小説?
何を頑張れ!だろう?
あぁ殺されるなと、、、
「ヒメジさん、もう寝ようか?」
「ふにゅう、、、フシュー」
「いやいや待って!なんでロボット見たいに息してるの?」
「、、、、、、」
「えっ無言?」
「にゃん」
「おぉ。」
それしか出てこないよ
いや、、、こうもなんで、、、僕の欲する萌えるいや萌えるを越える蕩れるキャラクターを、、、
「ギャー!!!!噛まれた!!」
首という急所を。
「にゃー!!!!」
あの飲み物は、、、
コップに手よ届け!
あっ届いた!
ってこれ、ウイスキーじゃん!!
ってか何で酒に酔っ払っただけで猫になるの?
どこのらんま2分の1なんだぁ!?
「あの、ヒメジさぁぁぁはぁぁぁん」
今度は首舐められた。
不覚にも気持ちよ、、、
いやいやダメだよ!!
僕の中の婦、、、青春と大人への階段との葛藤が!!
「起きてヒメジさん!!また噛まれた!!」
「にゃん!!」
それでもかわいいのはなんでだろうか?
「すかす!」
あっ噛んだ!
「しかし!」
ヒメジさんから一旦離れ
ベッドに突き倒し方を押さえ込む!
「だからうるさいよっ。」
ヒメジブラザーズ(弟「中学」)
「あ、あのこれは、、、」
「ご、ごめんなさい。姉ちゃん、お兄ちゃん、、、いや義兄ちゃん。」
「いや、待って違うんだよ!つーかお兄ちゃんを言い直したのはなんでさ!?」
「いや、我が家の習わしで、、、、」
「何!?猫化したヒメジさんを止めたら結婚なの!?」
いやそれは素晴らしい。
ヒメジ家万歳。
「あぁ成る程。そっちなのね。てっきり婦女暴行への渇望なのかと。」
「あぁ言っちゃった!僕が一生懸命青春との葛藤って誤魔化してたのに!」
「うん。何かよくわからないけど。」
「どうすれば治るの?」
「キスすればいいよ」
それは難しいし、僕がやっちゃいけないことだなぁ
「やったぜぇ。合法的にヒメジさんにキス!?僕がします。戻らなければ何度でも!!」
「多分、義兄ちゃんは本音が口からでて、嘘が心で流れてるよ」
「よし。仕方ないから僕がする」
「嘘だよ。」
「えっ?」
「嘘だよ。ってかもう姉ちゃん寝てるし。」
「いやいや、、、いやいや、、、よかった(泣)」
「義兄ちゃんってわかりやすっ」
「だからなんかさっきからお兄ちゃんのイントネーションおかしくない?」
冷静になったよ
うん。目がさめた。
悲しい現実
「じゃヒデは明日叱るとして俺は寝るね」
「あっうんゴメンね、ありがとう」
「最後に義兄ちゃん。」
「何?」
「童貞。捨てるなら今日だぜっ」
「こんな夜這い見たいな童貞の捨て方はいやっ!!」
「頑張れっ」
いや、そんなキラキラの目で言われてもなぁ
「僕がするわけないじゃないか」
そういいながら
携帯をとり、ヒメジさんの寝顔フォルダを作り、携帯をカメラモードにして
「すいません。寝顔いただきまーす!」
携帯の容量が無くなるまで撮った
このフォルダは永久に不滅です!