モラトリアム No.1
モラトリアム
学生など社会に出て一人前の人間となる事を猶予されている状態を指す言葉である。
心理学者エリク・H・エリクソンによって心理学に導入された概念であって、
本来は、大人になるために必要で、社会的にも認められた猶予期間を指す。
日本ではいろんな作家のお陰で否定的な意味で使われている。
哀しくも人間は
夢に愛をみる。
愛が憎しみに変わる。
常にだ
人が夢をみる即ち儚い。
夢を人がみるから儚い。
オギ君は学校に来るようになったが
未だブシ君は自分の歌で入院している
俺が事件を解決した。
ニュースでやっているあの事件も、前の事件も。
しかし、俺は関わりたくは無かった。
純粋に「第三者」でありたい。
理由なんてものがあるわけない
ただ、ありたいのだ
しかし、ありたいのだ。
そして、ありたいのだ。
すぐ理由を求めてくるこの世界で生きるには俺は辛いものがある。
しかし、俺は生まれてきた。
コイツ(僕)の八苦から逃げるため。
四苦はコイツが受け止める。
世間で言う「多重人格」である。これが
理由。理由。理由。理由。理由。
それに
答え。答え。答え。答え。答え。
さらに
意味。意味。意味。意味。意味。
そして
未知。未知。未知。未知。未知。
俺は何処までいけるのだろう
なんて好奇心。ない。
皆無。
自分の存在に対する興味さえ
皆無。
男という概念さえ
皆無。
これは中二病か?
哀しいことに何を言われようが
何も感じない。
だから実際哀しくもない。
俺はそういう仕様に作られた
コイツ(僕)に。
人の慣れは怖い
コイツもイジメというものに慣れてきた。
しかし、俺は消えない。
コイツは恐れているんだ。
傷付くことを。
「ヤマモト君!?」
「あぁヒメジさん。」
「あ、危ないですよ!!!」
「大丈夫だよ。」
「で、でも」
俺が今いる場所は学校の屋上。
フェンスを越えて人を眺めている
感情が無いような事を書いたが感情はある。
歩く人。ここから見たらちっぽけな人を飾るとすればどのように飾るかを考えている。
今まで多くの「異常者」に出会った。
世間の異常者、だがこちらから見たらあなた方が異常者なのだ。
自己中とはなんと下らない言葉なのだろう。
自分中心は当たり前だ。
自分の価値観で世界は決まる。
自分の優越感で世界は変わる。
そんなの誰でも知ってる。
知らないフリをして他人を馬鹿にする。
自分のことを棚に上げる。
コイツ(僕)もあてはまる
「ヤマモト君!」
「あっゴメンちょっと考え事を、、、」
「べつにいいですよ」
「で、どうしたの?」
ヒメジさんはあの日から前のヒメジさんと狂ったヒメジさん(所謂萌えキャラ)とのハーフになった。
話す言葉の最後はぁぃぅぇぉでみたいな感じだ
だから
危ないですよも
聞こえているのは危ないですよぉってな感じだ。
ユウジ曰く中学までそのキャラだったそうだ
父親が亡くなり、高校でそのキャラのせいでイジメられて、変わった
いやここでは偽ってた、強がってた。が正解だろう。
何が彼女の「それ」を排除したかは考えない事にしている。
「実は、、、父親を殺した犯人から脅迫状がきたんです。」
「はっ!?」
これはどういうことだ。
父親は事故で死んだと聞いていた。
「君の父親は事故で亡くなったんじゃないの?」
「そうだと思ってました。U字のカーブでスリップして崖から落ちたと、、、」
「しかし、それは他殺だった。と」
「そうです。これを」
ツギハムスメヲコロス。
チチオヤトオナジクルシミヲアジワイ、チチオヤトオナジトコロヘイカセテヤル。
ニゲルホウホウハナイ。
ケイサツニレンラクシタナラ、オマエモスグニコロス。
カクゴセヨ。
タスカリタクバワタシノシジニシタガエ。
なんとまぁ馬鹿みたいな犯人なことだ。
思春期の学生みたいだな。
警察に連絡か、、、
「警察に連絡してないの?」
「えぇまぁ、ヤマモト君に見せてからかなと思いまひて。」
噛んだ。
「そんな緊張する事はない。」
「で、でも、、、窓ガラス割られてこれを家に置かれてたんですぅ。」
「そうか、これは母親に対しての手紙だね?」
「はい。多分。」
「君は弟しかいなかったよね?」
「はい」
「じゃこのムスメってのは君だね?」
「多分、、、」
「じゃ俺がついててあげる。君は俺ん家に泊まるといい。」
「えっ?えぇ。」
「気にしなくていい。」
「あ、ありがとうございます。で、でも母や弟たちが、、、」
「気にしなくても大丈夫。狙いは君って書いてるし。明日。明後日までには捕まる。」
「えっなんでわかるんですかぁ?」
「まぁ簡単だよ。とりあえず君の家に行こうか。」
わかりました。と彼女は頷き
二人で家にむかった。
犯人。快楽殺人犯ではない様子。
残念だな。
父親を計画的に殺した割に、この脅迫状。
普通に手書きというのが浅はかだ。
まぁ指紋がついてるかどうか、、、
彼女はつい最近引っ越したらしい。いやらしいというのはおかしい
悲恋の企業家さんから1000万いただいたから。
父親が亡くなってから最悪な生活を送ってきたんだからこれくらい神という宗教的存在の物も許すだろう。
ただちょっと広く、綺麗になっただけ。
俺の家から15分ほどのところ
俺がこの物件を教えた時彼女は凄く嬉しそうだった
今はすぐに泣き出しそうなのだが。
さて、母親は仕事らしい。
帰りを待つしかないな
「何時くらいになるのかな?」
「遅いかもしれないですぅ、、、」
「まぁ遅すぎたら俺がこっち泊まっていいかな?」
「う、うん。是非ともです。」
「ありがとう。」
明日は土曜日だから構わないだろう。
彼女から離れる事はとても危険だ。
こちらに泊まるとしても一度ヒメジさんに我が家に来てもらわないといけない。
親になんと説明すべきかな、、、
窓ガラスは段ボールで補修している。
俺はカーテンを閉めて話をする事にした。
「今日は疲れたね。」
「そうですねぇ。」
「うーん。ゴメンちょっと寝るね。」
「えっ!?はい。はい?」
嘘だよと口で説明する
携帯を開く
アプリで電波を測定する。
やはりあった。盗聴器。
最近の携帯は素晴らしいと感心する
筆談に変える。
…盗聴器がある…
「えっ?」
急いで彼女の口を塞ぐ。
…この部屋でお母さんと脅迫状の話をした?…
…いえ、お母さんと私は脅迫状の話は弟たちに聞こえないようにしてました…
…いい判断だった…
…そうですか?…
…これから書くことを話して…
ひとまず全部書く。
「今日は家によんでくれてありがとう。ヒメジさん」
「いやいいんです」
「つーかさなんで窓ガラス割れたの?」
「お母さんが言うには子供が石を投げてきたらしいです。」
「そうなんだ。最悪だね
「そうですね」
「そんな話はともかくヒメジさん。愛してるよ。」
「えっ!?」
急いで口を塞ぎ書いた物を指さす
「ありがとうございます。私もです。」
「今日は部屋だから思う存分イチャイチャできるね」
「そうですね」
無表情な俺に対して、顔が真っ赤なヒメジさん。
「ヒメジさん。君の部屋に案内してくれる?」
「は、はいです」
向かっていく
もちろんヒメジさんの部屋のカーテンを閉める
これでいくつもの付箋を張った。
・カーテンを閉めた理由が交際の営みのため
・俺が来た理由
・母親は脅迫状のことを娘に話してない
等々
俺はこれで計画がうまくいくと思う。
ちょっとすると弟たちが帰ってきたらしい。
「おい!クソ男!」
「なんだクソガキ。」
「姉ちゃんにエッチなことするなよ」
「安心しろ。」
「嘘つけ!どうせ体目当てなんだろ」
「そんなこと中学生と小学生が言うな。はやい。」
「やっぱり体目当てだったんだなっ」
「勝手にしろ。俺は他人の思考回路をどうたらいう気はさらさらない、そしてヒメジさんそんな反応に困る表情はやめてくれないかな」
「す、すいません。つい」
「姉ちゃんになんてこと言うんだ」
左ストレート、、、キレが良すぎる
空手でもしてるのか?
まぁしかし小学生。問題はない。
簡単によけ、羽交い締めにする
「シスコンと渾名をつけてやるよ」
「ウギー!」
「まぁ大丈夫だ。姉ちゃんは大事に守ってやるよ」
「おっ言うなこのやろー」
「もう一人の俺がな、、、」
「今、なんつった!?」
「ちびっこって言ったんだよ」
「ムギー!!」
「アハハハハ」
ヒメジさん、中学生の弟が笑っている。
「ところでちびっこ。お前の名前は?」
「ちびっこ言うなっ。ヒデヨシだ!」
「ヒデヨシか。天下統一が夢か?サル。」
「サル言うなっ」
「お前は?」
「無視するなっ」
「うるさいと姉ちゃんみたいな美人からはモテないぞ。」
「、、、、、、」
「やはりシスコン。」
「騙したなっ」
「でお前は?」
「ユキムラ。」
「いい名だ」
「ありがとう。兄ちゃん。」
「ん?あぁ。」
「ヤマモト君。」
「ん?なに?」
「ちょっと二人で話したいことがあるんですが。」
「うん。わかった。ちょっと二人ともリビングへ行ってくれないか」
「姉ちゃんに変なことすんなよっ」
「姉想いのいい弟たちだ。」
「ありがとうございます。」
「で話とは?」
「それは、、、えっとホントに多重人格なんですか?」
「まぁ嘘をつく必要はないし、多重人格だよ。」
これから俺は10分をかけて説明をした。
経緯を全て。
まだ全ては信じられてないようだったが
受け入れた。受け入れざる負えなかった。
悲しくも、哀しくもこれが現実。
しかし、コイツは彼女に特別な感情を抱いてる。そしてコイツと俺は同体で多少心が繋がっている。
それもまた現実。
非現実が現実になる。
60億分の1の確率だったわけだ。
「ヤマモト君、私は信じます。受け入れます。だから、助けてください」
「まぁ受け入れ無くても助けるよ。ちびっこに約束したしな。」
「ありがとうございます。」
「いや礼には及ばないさ。でちょっと俺は休憩していいかな」
「疲れたんですか?」
「あぁ。時折コイツにビジョンを見せているからな。よけい疲れるんだ。きっとコイツに変わるから。ご自由に。」
「な、何をいうんですかぁ」
「ちょっとしたら戻るから、、、」
「コウスケ君?」
「ん?なにヒメジさん。」
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だけど、、、というかここどこかな?」
「私の家です」
「えっ?ええー僕、何かした?何か悪い事しなかった?」
「ふふ、内緒です。」
「な、なんかごめんなさい!」