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デュナミス  作者: kou∞
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デュナミス

俺という存在を説明するためにはとある事件を語らなければならない。


些細な事件だ。



ただの交通事故。



ただそれだけだ



ただそれだけが俺を生んだ。



隕石落下。



謎の転校生。



宇宙人襲来。



超能力者の登場。



はたまたそれに相当する「刺激」というか何というかというかその「何か」を欲して、




世界で最初で最後の今日という日の3時間目「古典」を捨てた。



妄想という僕の唯一無二の楽園の中で。



説明の途中でもこの先生は

チャイムが鳴れば終わらせる。



ここから10分間は僕にとっての地獄だ



「あぁだるかった~あの先公ウザいよねぇ」



始まった。



「ってかアイツウザくない?」



始まった。



「アイツキモくない?」



始まった。



多分、あの中では僕のことも含まれて話されているだろう。



一週間前まで僕はそれらに悩まされ。病気を患っていた。



今となっては笑い話とまでは行かないが下らないことだと思う。



そして、一回も席を立つことなくまたチャイムが鳴った。



そして、世界で初めてで終わりの今日の4時間目「化学」を捨てた。



明日は真面目に受けよう。



なんて思いつつ



結局全ての授業を捨てた。



逸早く家に帰って自分一人きりになりたい。



一日の授業が全て終わると傷つかないための予防線を一気に無くす。



僕は一般的な男子高校生だ。



虐められてるということ以外は。


虐められてるといっても一部の人間によってだけれど、、、



ちゃんと友達もいる。



そんな僕は、、、ただ、人間として弱いのだ。



朝。



また朝、変わりもしない朝。



平穏というやつだ



今の僕にとっては平穏というのは嬉しいことであり、寂しいものだ。


そんなことを考えながら自転車で学校に向かっていたら、女性に出会った。



というか道を尋ねられた。



普通のありきたりなパーカーにジーンズ



フードを被っていたがありきたりな普通の美人だった



「●●はどっちですか?」



地方の田舎の名前だった。



「ずっとあっちですよ。」



「ありがとうございます。」



会話はそれだけだった。



至って普通。



しかし、僕はその女性の足元を見て靴を履いてないことに気づいた。



女性は歩きだした。



歩いて●●まで行く気なのか…?7時間はかかるぞ…

しかも靴下だけで…



後ろ姿をみたら下着のラインがくっきりとでてた



パーカーの中にT-シャツは着ていないのか?



気になる



あっいや違うよパーカーの中じゃないよ



何があったのかだよ



そりゃ多少は気になるけれど、、、



まぁ置いといて



僕は異様に気になった



だけれど声をかけることが出来なかった。




気になって、考えた。



僕に道を尋ねた



ここから推理できるのは



1、この土地に誰かに連れてこられた



2、携帯を持ってない



3、道に迷っているだけ



しかし道に迷っているだけなら靴を履いてない理由がわからない。


1だとしたら



4、犯罪に巻き込まれた。


5、はぐれた。


6、誰かとケンカして勢いで飛び出してきてわからなくなった



とそんな可能性が幾多と考えられるけど、誰かとケンカしたくらいの勢いで●●から来るはずがない。



しかし、犯罪にまきこまれたなら何故交番に行かない?



そして何故●●の道を聞いたんだ?


携帯を貸してもらい誰かに連絡することもできるだろ?



考えれば考えるほどわからなくなる。



きっとお金も持ってなかったろう。



お金を持ってたら歩きはしないから



僕は何をしてるんだ…



何故声をかけなかった、、、



そうして化学の自習時間を捨てた。



帰り道、会えないかと期待したが会えるわけもなく、家に着いた。


当たり前のように、テレビをつけた。



もう習慣となっているような行動だ。



NHKのニュースを見る。



これも習慣だ。



映画を見るようにニュースを見る


異世界で起こっていることのように、、、



しかし、今日は特別だった。



人生で二度忘れる事は無いだろう。



「裸足の女性車に轢かれる。犯人はそのまま逃走。」



そのテロップを見て僕は罪悪感に苛まれる。



僕のせいじゃないのか?

あの時声をかければ…



いや、、、違う人かも知れないじゃないか、、、



という僅かなきたいも容易く打ち砕かれた。



同じ県で●●へ行く途中の国道。


僕が声を掛ければこんなことにならなかったハズだ。



その瞬間から



焦燥というか



嫌悪というか



そんな物に襲われた。



明日、先生に話そう。



翌日。



女性は未だ意識を取り戻してはないらしい。



そして、轢いた犯人も見つかっていないらしい。



それからまた僕の憂鬱が始まる学校が始まった。



朝、行きたくない衝動にかられながらも仕方なく準備をした。



そして、向う



途中、女性と出会ったところに男が立っていた。



「●●はどっちですか?」



また、、、?

なんだ?何なんだ、、、



「あっちですよ。」



男は気が抜けた顔になった。



「ありがとうございました。」



と言い歩いて行った。



僕は前の反省というか後悔から気になり、追い掛け、話しかけた。


「歩いていくんですか?」



「はい、何故気になさるんですか?」



男は怪訝な顔で僕を見つめた。



怪訝、、、いや獲物を見つけた狂乱者の目をしていた。



「いや、すごく遠いですし、昨日も女性に聞かれたんですが女性は交通事故に会ってしまったんですよ」



だから、、、



男はすごく嬉しそうな顔をした。


僕はその顔に声を失った。



というか目の前が暗くなった。



目を覚ましても、目の前は暗かった。



僕は…?



ここはどこ?



いやそんなことはどうでもいい



どんな状況、、、?



冷静になれるわけない



人の気配もない。



動けない、、、



きっと簡単に縛られてるんだろう。



だんだん冷静になった。



あの男か



彼は何故僕を、、、?



まぁ簡単だ



どうせアイツが轢き逃げ犯だろう


そして女性をあの状況をつくりだしたやつ



強姦犯か彼氏かストーカーか



口封じか



まぁ今はそれはどうでもいい



僕、、、俺は逃げることを考えなければ



そうして長考していると



作られた物語のように男が現れた。



開けられた窓により少し周りが見えた。



廃墟?



よくわからない。



僕のカバンがあるな



俺は男に対し憮然なる態度をとった。



そして男は語った。



「俺は今からお前を殺す。自分があの女に話しかけたことを後悔するんだな」



小説で読んだようなセリフだな


異常に俺は醒めてた。



「気に入らない顔だな、お前はただじゃ殺さない。恐怖を与えて殺してやる。」



またセリフ



俺は笑った。



気に食わなかったのか殴られた



左頬が痛む



がアドレナリンがでて痛みは押さえられてる



そしてコイツが左利きだと仮定した



俺は興奮してた。



僕は怖がり泣きたかった。



殴られたときつい最近のことが走馬灯のように思い出された。



ネットに書かれた悪口、陰口を聞こえるように言うクラスメイト、人は、辛い時にその辛さを味わいたくないがために自分の中にもうひとつの人格を作るらしい。



所謂、多重人格だ。



僕は、悪口を言われ過ぎて強い人格を作り出そうとしていた。



が作れるはずもなく、、、



強く無機質な人間を演じて半年経っていた。



ある日



学校からの帰り道、人間が殺されるところを見た。



車から出てきた男は悪びれるわけもなく、笑いながら人を殺していた。



僕はその瞬間に全てがどうでもいいと世界と断絶する手段を手に入れてその男に苦しみを与えた。



ただそれは不完全だった。



そしてこの状況においてそれは完成した。



俺という多重人格の完成だ。



それはコイツがずっと求めていた人格だ。



ふっと気がつくと男は驚いていた、、、



何故この状況で違うことを考えられるのか?的なことだろう



俺は死を美だと感じる。



命を捨てることなど怖くない。



親には申し訳ないとは思うが、、、



男は俺の体を動かなくしていた物をとった。



そして俺をバカにしたかのように数字を数える。



俺はその時に逃げる。



人生で感じたことのない恐怖



気持ちが良かった。



自分の鞄から筆箱をとり、その中から定規を取り出した。



男は笑う。



そんな物で立ち向かう気かい?という風に



俺は手招きをする。



映画で見た感じで



そして定規を振りかぶる



男は笑いながら近づきナイフを持った左手で受け止めた。



と同時に俺は右手に隠し持っていたコンパスで左腕を刺した。



卑怯?



この状況でそんなことはない。



左腕を押さえたのを確認して、左足を刺した。



2度、3度、、、何度も何度も



倒れるまでずっと。



倒したあと左手を蹴った。



ナイフを離させるために、、、



男が何を叫んでるかかわからなかった。



いや、興味が無かった。



俺は頭を蹴り、男を気絶させたか若しくは殺した。



俺はこの男を警察に通報する気がなかった。



この男が、俺をまた襲うかもしれない。



この男が、自殺するかもしれない。


この男が、何をするかわからない。


興味もない。



次は俺は殺されるかもしれない。


それも興味ない



創られた俺は、明日に希望も夢もない。



そして未来もわからない



デュナミスなのだから。

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