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第18話

世界樹の最も太い枝の先で、車ほどもある巨大な蕾がゆっくりと開いていく。

眩い光の中からゴロンと転がり落ちてきたのは、手のひらサイズの丸っこい生き物だった。


背中には小さな黒い六枚の羽が生えており、頭の上には歪な形をした小さな光輪がポヤンと浮かんでいる。俺を見上げる瞳は子犬のように愛らしい。


「キュイ」


生まれたてのその生き物は、一番初めに目が合った俺を見るなり嬉しそうに鳴いた。

そのまま短い六枚の羽をパタパタと羽ばたかせ、俺の懐へと勢いよく飛び込んでくる。俺の胸にすりすりと顔を擦りつける姿は、どう見ても人懐っこい子犬だ。


『よしよし。今日からお前はポチだ。うちの番犬として飼ってやろう』


俺がポチの顎の下を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めた。

だが、俺の腕の中のポチを見たサクリアと創造女神レムリアの顔は完全に引きつっていた。


「あ、アルト……それ、さっき王都を滅ぼしかけた神話の魔神の幼体じゃない……!」


「いかんな。世界樹の果実として、より可愛く、より凶悪にリボーンしておるぞ」


震える声で警告してくる二人だったが、こんなに小さくて可愛い生き物が世界を終わらせる魔神なわけがない。


「大げさだなあ。ほらポチ、お手」


「キュイ」


ポチが短い前足を俺の手に乗せた瞬間。


バンッ、という激しい音が窓ガラスを叩いた。

見れば、真空の宇宙空間からパジャマ姿のユエルが窓ガラスにベチャッと頬を押し当て、涙目で叫んでいる。


「私の獲物が奪われたあああ!」


どうやら、朝の素振り相手だった本体が果実になって消えてしまったらしい。

俺が苦笑しながら窓を開けて、ユエルを中に入れてやろうとしたその時。


ポチが突然俺の腕の中から飛び出し、窓の外のユエルに向かって小さな口を大きく開けた。

周囲の空間がズズズッと歪み、口の奥底に宇宙の星々すら飲み込むような極大の殲滅閃光が収束していく――!

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