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【死ぬほど頑張る】を極めてしまった 〜社畜は異世界でやり直す〜  作者: 汚醜
第二章 盗賊

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第32話 エンヴィーガール

 カレラは空いた口が塞がらないといった感じだ。

 良く考えれば、前団長の娘ということは、ソウの父親の娘ということだ。

 ソウの立場になって話を整理しても、革命によって息子を置いていった父親が、いつの間にか子どもを作っていたことになる。


「……いまいち話が見えない。どういう事だ。」


 カレラはそう言いながら、肩を掻く速度を早める。最早ソウの縄が切れたという事実もお構いなしだ。


「もう分かってんだろ。異母兄妹なんだよ、俺たちは。正直この事実に気づいた時は驚いたぜ。……熱血で真面目な人だと思ってたんでな。こんなことするとは思わなかった。」


 ソウが話を続けながらも縄を切っているのがバレないように体で隠す。

 それを見たカレラが激昂する。肩からは血すら出てきた。

 

「……僕の父親が?熱血?ましてや真面目だと?冗談ってのはある程度現実味がねぇと面白くねぇんだよ。」

「じゃあ逆にお前にとってどんな奴なんだよ。」


 カレラの表情が曇る。歯軋りの音が反響した。


「何時もボヤボヤしていて、何考えてるか分かんねぇ……。約束なんて最初から守る気が無いし、自分を守る為なら平気で嘘をつく。」


 カレラの父親像はまるでソウのとは別人である様だった。

 今度は、それを聞いたソウに少し怒りを感じた。


「……あ?テメェは俺の親父をバカにしてんのか?いや、あぁ……そうか!テメェは愛されてねぇんだな?」

「は?」

「こんな狭い洞窟じゃ暇だろうからな、大体テメェは遊びで出来ちまった要らねぇゴミだって予想がつく。だからどうでもいいテメェにはどうでもいい対応しかしてねぇんだよ!テメェには冷たい父親にしか見えなくて当然だ!」


 怒り、嫉妬、劣等感、恐怖、嫌悪、軽蔑、憎悪、憧れ、様々入り交じる。時々呼吸が荒くなったり、筋肉が痙攣したりするも、カレラはその場から暫く動かなかった。

 ソウが出口の方向へと歩き始める。

 ミザリーがあまりの気迫に涙を流している。今まで城に篭っていた姫には重すぎる話だろう。


「ソウ。……あんまりですよ。」


 カレラを見ていると、自然と言葉が漏れだしていた。

 ソウが足を止める。

 悔しいのは彼も同じ様だった。今までに見たこともないような弱々しい雰囲気を感じる。

 

「あんまりなのは俺の親父だ。さっさとマリーとバイヨンの縄を解け。行くぞ。」


 ソウだけが先に進むので、さっさと縄を解くことにした。縛られている2人の顔も重苦しい。

 ソウがカレラの横を通り過ぎようとした時だった。


「愛されてない……遊び?あんまりだ?どいつもこいつも……僕が可哀想なヤツだって言いたいのか……!!」


 カレラの入り交じった感情が1つの方向へ向かう。形が違っても全て負の感情、マイナスからマイナスへ加速を続けていく。そして大体その向かう先は。


 『殺意』だ。


「ソウさん!攻撃が来ますわっ!!」


 ミザリーが魔力の動きにいち早く気づいた。

 カレラの体至る所から鎖で繋がれた武器が飛び出す。先程の鎌や斧、メイス。数え始めたらキリがない。

 ソウを取り囲む様に動く。魔力で動いている様だ。手で振るう武器と遜色ない力と速度で、自由自在である。

 槍で7割は凌ぐが、残りは全てソウの体を抉りとる。

 その場に足を着いた。


「よく考えれば……お前も捨てられた人間だ。しかも力だけはあんなに強かった人の遺伝子を受け継いでいる癖して有り得ない程弱い。可哀想なのはお前だよ。じゃあね。」


 カレラは周りの武器から剣を掴み、直接トドメを刺そうとする。

 急いでソウのサポートをしようと縄をミザリーに任せて走り出す。


「ファイアーボール!!」


 火の球を形成し、カレラへと放る。ソウがあそこまでやられるなら近接で勝ち目はない。遠距離から少しずつダメージを蓄積させよう。そうすれば隙を見て逃げられるかもしれない。

 放った球は真っ直ぐ頭を捉えた。小さな爆発を起こし、カレラは炎に包まれた。魔力装甲があったとしても熱は伝わる。少しは効いた筈だ。


「おい団長。何油断してんだよ。」


 炎の奥にあったのは砂の障壁だ。

 先程の基地から赤ローブが歩いてくる。その後ろにいたのはハリネズミの人だ。

 まだ縄は切れていない。時間を稼がないと。


「今降伏すれば命は保証してやるぜ? 」


 赤ローブが杖を構えながらこちらに降伏を促す。ソウは満身創痍、戦えるのは俺だけ。しかし相手は猛者が3人も揃っている。戦う理由なんてない。


「柴又。誘いに乗ったらダメだからね。絶対にマトモな目に遭わない。」


 マリーの忠告に感謝した。誘いに乗るところだった。

 しかしこの状況を乗り切る方法なんて思いつかない。

 ――いや、1つだけあるかもしれない。魔王軍の幹部すら一瞬圧倒させる程の力が。


「マリー。冥約の詠唱ってどうやるんですか?」

「確かに君なら選択肢に入れても良い手段だけど……命の保証は無いよ。普通の人なら絶対に死ぬ力なんだから。」


 マリーの声の迫力で少し恐怖が出てきたが、ここを乗り切る為だ、致し方ない。


「冥約って……あなた達何をする気ですか!?」


 バイヨンが珍しく驚嘆する。

 それを尻目に小声で詠唱と方法を教えてもらう。

 ハリネズミがイラついているのか声を荒らげた。


「おいお前ら!!降伏しろって言ってんだよ!!聞こえねぇのか!!」


 魔力装甲を解き、強化魔法を使う。外部からより多くの魔素を取り込む為だ。

 目を閉じて集中する。魔素、魔力全ての流れを感じ取る。


「赤は怒り、黄色はあらましごと、緑はたのみ、青はあはれがり、紫は嫌悪。」

「……ッ!!」


 赤ローブから幾つもの砂の弾丸が素早く発射された。

 いち早く察知したミザリーが近づいてきて、数発剣で弾く。足りない分は魔力装甲とバイヨンの風で威力を緩和する。

 ミザリー肌に深い切り傷ができる。


「姫様!!」

「ソウさんに比べればかすり傷ですわ……イツキさんお願いします!!」


 強化魔法をかけたミザリーが盾になり、詠唱が終わるまで時間を稼ぐ。

 先程よりも威力の強い砂がミザリーに衝突するが、ダメージは無い。

 

「我が幸福ありき、うつろひ、天下の全てを輝かするを願へり。虹にゆくすへを紡ぐ料、今天に問ひかくる願ひ。いま一振の力をたまへ。」


 虹の光が俺の目を貫く。慣れてくると、ラキィの時と同じ光景が見えた。

 星空だ。地面は薄い水の膜で覆われている。周りを見渡すも、やはり誰も居ない。


「また来たの?」


 後ろから声が響く。

 振り返ると、少し透けている少女が居た。灰色の髪は身長よりも長く、紺色のドレスを着ている。


「君は?」

「うーん、教えられたら怒られちゃうからなぁ。じゃあセカイって呼んで!」


 少女は胸に手を置くと、ニコッと笑いかけた。

ここまで見て頂いた皆さんには申し訳ない報告がございます...

単刀直入に言うと、3月程まで投稿を休止します。

理由としましては僕が受験生だからです。ここまでは昔に書いた内容だったためコピペして終了でしたが、これからは書く作業も必要になります。

二次試験が終わったらできるだけすぐ書き始める予定なのでお待ち下さい!

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