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【死ぬほど頑張る】を極めてしまった 〜社畜は異世界でやり直す〜  作者: 汚醜
第二章 盗賊

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第26話 未来への希望

 何故誘いに乗ったのかは分からない。考える猶予が欲しかったのか、ただの現実逃避だったのか。皆自然とコロの後に続いていた。

 コロの仲間達と合流すると、木を削り出して雑に作ったテニスラケットのような物を3つ渡される。ただしガットが張っている訳ではなく、真ん中はゴムの面で出来ていた。面が広くグリップが長い卓球ラケットと言った方が近い。


「ユラクリーは分かる?」


 こちら側の世界のスポーツだろうか。マリーは分からなさそうだ。面の方を掴んで真剣に考え込んでいる。バイヨンは頭に乗っけてキレイにバランスを取っていた。

 

「久しぶりに遊びますわ!コートはありますの?」

「あるよ!自作だからちょっとやりにくいけどね。」


 奥の方に、ネットと地面が窪んでできたラインが見える。近づいてよく見てみると、テニスコートと比べて縦は半分程、横は倍くらいの大きさだ。サイドラインとベースライン、そしてコートを3等分する2つのラインがあった。真ん中の面は少し狭い。

 ソウが簡単にルールを教えてくれる。


「この遊びは1チーム3人で遊ぶ。3ゲーム取ったら勝ち。1ゲーム取るには4点必要、コートの中に入るよう打ち返し合って、ミスらせたら得点だ。サーブは1ゲームごとに交代、コートは3つ区切られてるけど真ん中を狙うのがルールだ。」


 変則コートと人数以外はほぼテニスと同じだ。ソウとバイヨンが観戦になった。

 炎、水、土の異世界ジャンケンをしたところ、コロ側のチームがサーブ権を獲得した。

 コロの仲間が審判だ。


「0-0、うぃーあーユラクリ〜。」


 謎の掛け声がゲーム開始の合図だったらしい。コロがアンダーサーブの構えをとる。此方は3人並行で俺が真ん中だ。つまり俺がサーブを返す必要がある。

 コロがボールを打つ、木の乾いた音が響き渡った。

 スイングのスピードとは裏腹にボールは遅い。これなら取れる。

 だが後ろの方で構えていると、急激にボールが落ちた。それに焦って反応し、前に走り出す。


「柴又さん!違いますわ!!下がって!!」

「え?」


 ミザリーが忠告した頃には遅かった。急激なトップスピンがかかっていた様で、ボールが地面に落ちると大きく後ろに飛んで行った。

 ラケットがゴムの面で出来ていた為だろう。球速は遅いが、回転がかかり易い。

 落ちる球を見て直ぐに察することが出来なかった俺の責任だ。


「ごめん。」

「仕方ないですわ!やったことないのですもの!」


 改めて構える。コロがサーブを打つ瞬間に軽く足で跳ねて、素早く動く準備をした。また先程と同じ様なサーブだ。気持ち後ろめに待機する。

 ジャストだ。ボールが手元に飛んできた。ラケットは確実に真ん中でボールを捉えて、ネットを越えて飛んでいく。


「やった!!」


 コロの左隣に居た子にボールが行く。ギリギリラインを越えることはなく、ボールがミザリーへと返された。


「任せてください!これは少し得意なんですのよ!!」


 バックでスライスを低めに放つ。本来落ちない球だが、球速が遅いため手前側へ落ちた。

 相手は全く跳ねないボールに困惑したのか、大きくチャンスボールが上がる。マリーの方向だ。

 ソウが立ち上がる。バイヨンも目が輝いているのが見えた。


「行けーっ!マリー!!」


 マリーが大きく振りかぶる。

 絶好のポイントへ球が落ちてきた。ラケットが加速を始める。

 マリーが持てる中で最大出力全身全霊最強無敵の一撃は――。

 

 ……空を切った。


「マリーさん……?」


 ミザリーから信じていた仲間に突然裏切られた時のような声が出た。目が曇っている。

 マリーは転がったボールをただ呆然と眺めて、此方へと振り返った。


「あたしって、ほんとバカ。」


 その後はミザリーが無双したものの、マリーを狙われてはどうしようもなく3-2で敗北した。

 ソウは試合中、野球観戦をしている親父みたいにネチネチ文句を言っていた。そこまで文句を言うのに何故お前がやらなかった。


 何やかんや楽しい時間は過ぎ去り、その場はお開きとなった。


「ねぇねぇ、また今度も遊んでよ!」

「えぇ、勿論!私も楽しみにしておりますわ!」

「俺ももっと練習しておく!」

「私は絶対にやりたくない。」


 マリーは毒づくが、横髪を弄って嬉しそうな顔を堪えている様に見えた。ソウも何時もより顔が柔らかいように感じる。

 そんな様子を感じ取ったのか、コロも耳をピョコピョコさせて笑顔になった。


「ね?誰でも仲良くなることはできるんだよ!」

「そうなのかもね。君の努力に敬意を表して1%位は譲歩してもいい。」

「えー!少なすぎるよ!!」


 コロは仲間達と楽しそうに帰って行った。

 暫くした後、自分達が来た目的を思い出して悩みの種が増えたのは言うまでもない。

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