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【死ぬほど頑張る】を極めてしまった 〜社畜は異世界でやり直す〜  作者: 汚醜
第二章 盗賊

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第19話 正義のみかた

バーバラの魔法講習が終わって、宿に戻り始めた頃には完全に暗くなっていた。

 今できることをまとめると、体内の魔力を筋肉へと押し込むことで力を引き出す“強化魔法”、魔力で体を覆う“魔力装甲”に加えて、火属性の魔力を体外へ放出すること。実は全て、厳密には魔法とは言えないものらしい。

 暗い道を進んでいると、何か鈍い音が徐々に大きくなるのに気づいた。


「ごめんなさい……ごめんなさい…………。」


 ――足音を殺してその場所へと近づいていく。家の影へと潜む。

 4人程の集団が、1人の人間を取り囲んでいる。集団リンチか、盗賊といいなんて治安の悪い国なんだ。


「あの……何をしているんですか?」


 小さな声で刺激しないように姿を現す。向こうは驚く様子もない。4人のうちの1人が口を開く。


「ははは!何だ、ただの人間かよ。何ってこいつをよく見れば分かるじゃねえか!悪の種を取り除いてんだよ。こいつ、よく盗賊に紛れて盗みをはたらいたりしてるからなぁ!」


 たった今リンチにあっていた人を観察する。

 死にかけだ、殴られて消耗している。ボロボロの布を纏っているだけで服は着ていない。髪や体も汚く、まともな生活を送っている人間では無さそうだ。よく見ると頭の上から耳が生えている様に見える。

 しかしこんなこと、どんな理由だろうと許されたことでは無い。


「その子、今にも死にそうですけど。」

「殺そうとしてるから当然だろ。しかも獣人だしな。もっと苦しめてもいいところだ。それにしてもお前も死にそうな面じゃねぇか。大丈夫か?」


 腹が立った訳ではない。気づけば走り出していた。強化魔法を全力でかける。拳に炎を纏った。

 1番前のやつの顎を思い切り吹き飛ばす。

 軽く脳震盪を起こしたのか、ジタバタしても立ち上がることはない。

 それを見た周りの奴らが騒ぎ出す。

 

「てめぇ!何してんだァ!!」


 敵も強化魔法を使用する。

 炎自体はただの現象に過ぎないため、質量を押し出すことによるダメージはない。炎が出せたところで、現段階では一気に強くなったとは考えにくい。油断すれば人数不利でやられるだろう。

 手前の1人が走りだした。


「死ねぇ!」


 ナイフが鼻先を掠める。素早く屈んで、ソイツの足を払った。暫く動けないようにしようと思ったが、他の2人も近づいてくる。


「闇よ。這い寄り、滲み、掴めッ!」


 俺の足下が暗くなると、影が足を掴む。動けなくなった。

 魔法を使った奴とは別の巨漢が更に距離を詰める。走るスピードは遅いが、筋肉質なため、倍率強化である強化魔法の恩恵が大きい。攻撃を貰えばただじゃ済まないだろう。

 俺は前方に向かって指を指した。まるで銃のように。


「穿て!」


 そう言うと、人差し指の先から魔素が放出される。

 実はマリーから指輪を貰っていた。勿論魔道具で、『穿て』の合図で魔素の弾を放つことができる。

 球は巨漢の横を通り過ぎ、魔法を使っている男にヒット。足の拘束が解ける。

 巨漢の攻撃を躱して、カウンターを数発浴びせると簡単に倒れた。


「ま、待ってくれ!何故そこまで……!」


 何か言いかけた男を無視して攻撃、起き上がっていた男も戦闘不能にした。


「こ、怖かった……。」


 勝てたのは運が良かったとしかいえない。相手も舐めてかかっていたから倒せた。

 一段落着いて、虐められていた子に話しかけてみようとしたが、その前に走り去ってしまった。


「おい。」


 俺が通っていた道の角から声が響く。振り返ると、影に紛れて人の姿が見えた。近づいてくる度に光が強くなる。


「何で助けたんだ。」


 全身が硬直するほど鋭い声、正体はソウだ。ミザリーの時もそうだが、人間観察が趣味なのだろうか。

 

「なんでって……そりゃ可哀想だったからですよ。」

「アイツも盗賊団と同じだ。人のモノを盗んで生きてやがる。暴力を受けたって当然の報いじゃねぇか。」

「でも死にそうだった。」


 ソウが更に距離を詰めると、目の前で止まった。俺の額に強く人差し指を押し付けながら口を開く。


「自己満野郎が。お前みたいに自分の主観だけで生きてるやつは、自分の行動に伴う責任が分かってねぇ。テメェが助けたことで助けが必要になるやつもいんだよ。バカが。」


 確かにあの子は再び盗みを繰り返し、困る人が増えるだろう。しかしあの場は助けない訳にはいかない。もっともらしい理屈にしようと悩んでいると、ソウは指の力を強め、俺のことを軽く押し飛ばした。気づくとソウは居なくなっていた。

 あまり星がよく見えない空だった。今日、ソウは宿に帰っていないらしい。その日はよく眠れなかった。

ルールルールルル……


神「こんにちは!神の部屋へようこそ……。今日も誰かの紹介をしていくぜ!今日はコイツだ!」


名前 マリー

年齢 21歳?

誕生日 11月2日

趣味 技術が要らない運動、魔道具のメンテ

特技 子どもと打ち解けるのが早い

身長/体重 171cm/「教えないが……?」kg

弱点 寒いとこ、苦いもの(何故か飲む機会が多い)


また来週〜!

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