表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/46

第41話:ラファエル様の決断

 声の方を振り向くと、そこには穏やかな表情をしたラファエル様の姿が。


「ラファエル様、お久しぶりですわ。ラファエル様もお元気そうでよかったです。私、ずっとラファエル様にお会いしたいと思っていたのです」


 王宮でずっと独りぼっちだった私、そんな私を唯一気にかけてくれたのが、ラファエル様だった。だからずっと、お礼が言いたかったのだ。


「私もセイラ嬢にお会いしたいと思っておりました。セイラ嬢から余命3ヶ月と聞いてから、何度も公爵家に足を運んだのですが、あなたに会う事は叶いませんでしたので、今日お会いできて私も嬉しいです」


「ラファエル様が、何度も我が家に尋ねて来てくださったのですか?申し訳ございません。私の耳には、その様な情報は届いておらず」


「殿下が私と君を会わせない様にしていたからですよ。本当に嫉妬深い男は嫌ですね。散々セイラ嬢の事を避けていたくせに、余命宣告を受けた途端ベッタリだなんて。調子のよい方だ…」


 ラファエル様の言う事もごもっともだ。でも…


「確かにロイド様は、ずっと私を避けておりましたが、それには理由があった様で…それに今は、私の事をとても大切にして下さっておりますし」


「ええ、知っていますよ。あなたの病気についても聞きました。殿下のせいで発病した病気だったのですよね。そして殿下があなたの病気を治したとも」


 なぜか切なそうに笑ったラファエル様。一体どうされたのかしら?


「私はずっと、セイラ嬢の事が好きでした。あなたが王宮で、辛そうにしている姿を見るのが辛くてたまりませんでした。私がセイラ嬢の気持ちを少しでも明るく出来たら。ずっとそう思っていたのです。あわよくば、私に好意を抱いてくれたら嬉しい、そんな下心であなたに近づいたのです。


 ですがあなたは、ずっと殿下を思い続けていた。そんな中、セイラ嬢が不治の病を患い、余命3ヶ月とうかがったのです。正直ショックでした。セイラ嬢が命を落とすだなんて、信じられませんでした。


 せめて残りの3ヶ月は、穏やかに暮らして欲しい。その手助けが出来たら、そんな思いであなたのお屋敷にむかったのです。


 ですが、あなたの傍には、なぜか殿下がいた。今までセイラ嬢に見向きもしなかった殿下が。今更セイラ嬢に近づくだなんてと、殿下への怒りを覚えたものです。ですが、セイラ嬢と殿下の気持ちが通じ合った今、もう私の入る隙はありません。


 だから私は…」


「私は隣国、シルバー王国に留学しようと思っているのです。でもその前に、どうしてもセイラ嬢と話がしたかったのです」


「隣国に留学ですか?そんな急に…あの、私…」


 なんて答えればいいのだろう。まさかラファエル様が、私をそんな風に思っていて下さっていただなんて…


「私はセイラ嬢と殿下が幸せに暮らす姿を傍で見られるほど、強い男ではありません。ですが私は、セイラ嬢には幸せになって欲しいと思っております。セイラ嬢、どうかこれからは、笑顔で過ごしてください。私はあなたの幸せを、遠くで願っております」


 ラファエル様が、悲しそうに微笑んだのだ。その瞬間、なんだか胸が締め付けられた。


「ラファエル様、私の事をそんな風に思って下さり、ありがとうございます。ラファエル様が傍にいて下さったから、王宮での日々も耐えられたのです。あなた様がいつも私を気遣って下さったこと、私は決して忘れません。


 図々しいかもしれませんが、ラファエル様は、大切な友人だと私は思っております。ラファエル様、今まで支えて下さりありがとうございました。シルバー王国でのご活躍を祈っておりますわ」


 ラファエル様が私に好意を抱いてくれていただなんて、全く知らなかった。せっかくラファエル様が気持ちを伝えてくれたのに、それに応えられないのは辛い。


 それでも私にとって、ラファエル様は大切な人だ。その事だけは、伝えたかった。


「ありがとう、セイラ嬢。もし殿下が嫌になったら、いつでもシルバー王国に来てください。私がセイラ嬢をかくまってあげますから」


「まあ、それは頼もしいですわ。ですが私は、病気になるほどロイド様を愛しております。ですから、嫌になる事はないかと思いますわ」


「そうですね…殿下ももう、あなたを手放すことはないだろうし…それじゃあ、私はそろそろ行きます。セイラ嬢、どうかお幸せに」


「ラファエル様も!さようなら、今まで本当にありがとうございました」


 笑顔で手を振ってくれるラファエル様。


 私もラファエル様の姿が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けたのだった。

次回最終話です。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ