表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余命3ヶ月と言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/46

第22話:僕が愚かだった~ロイド視点~

「分かった、今日は帰るよ。ただ、君と少し話がしたい。ちょっといいかな」


「私とですか?承知いたしました」


 一旦医者と一緒に外に出た。そして客間に通された。


「セイラは公爵夫人と同じ不治の病と聞いている。夫人の家に代々伝わる遺伝性の病気だと聞いた。一体どんな病気なのだい?その病気は、本当に治らないのかい?」


 真っすぐ医者の瞳を見つめながら、問いかけた。明らかに動揺している医者。


「はい、セイラお嬢様は、奥様と同じ病気にかかっております。遺伝性の要素は強いですが、必ずしも皆発病する訳ではありません。むしろ、発病する人間はとても稀なのです」


「そんな稀な病気に、セイラはかかってしまったというのかい?どうしてセイラが…」


「ロイド殿下は、セイラお嬢様の事をどうお考えなのですか?セイラお嬢様の事を、助けたいと考えていらっしゃるのですか?」


「当たり前だろう。セイラは僕にとって…いや、何でもない」


 医者の前で、僕は何を言おうとしているのだ。そもそも、男が簡単に愛しているなどと、他人に伝えるだなんて…


「奥様は愛するセイラお嬢様が、自分と同じ病気を患わない様にと、セイラお嬢様にある忠告をいたしました。ですがセイラお嬢様は、その忠告を守る事が出来なかったのです。その結果、病気を患ってしまいました。一度患ってしまったら、生存率はほぼゼロです。今まで同じ病に罹られた方で、生き残れた方は一人もおりませんでしたから」


 切なそうに呟く医者。


「それならせめて、あの苦しそうな状況をなんとかできないのかい?そもそも、どうして余命3ヶ月になるまで気が付かなかったのだい?」


「私共も、そこは不思議なのです。きっとお嬢様が病気を患っていたのは、もっと前からでしょう。前から激しい胸の痛みや息苦しさなどがあったはずです。きっと我慢していらしたのでしょう。お嬢様は周りに迷惑をかけることを、極端に嫌うところがあります。自分が我慢すれば、丸く収まると考えている節がありまして」


 自分が我慢すれば、丸く収まるか…確かにセイラは、そんな節がある。きっと我が儘を言える環境になかったことが、大きいのだろう。


 せめて僕の前では、我が儘を言える環境を作ってあげたかった。でも僕は、その環境を作ってあげる事が出来なかったのだ。今さらながら、後悔しかない。


「もう一度聞くが、セイラが助かる方法は本当に一ミリもないのかい?もし少しでも可能性があるのなら、その可能性を試したい」


 セイラがこのまま苦しみながら命を落とすだなんて、耐えられない。少しでも可能性があるのなら、その可能性にかけたい。


「全くない訳ではありません。ですが、私共医者が、どうこう出来る問題でもありません。実際助かった人間がいない限り、具体的にこうすればいいという方法も分かりません」


「君は何を言っているのだい?全くない訳ではないとは、どういう意味だい?」


「ですから、助かった人間がいないため、方法が分からないのです。申し訳ございません、私が答えられることは、この程度です。それではお嬢様が心配ですので、これで失礼します」


 そう言うと、足早に去って行った医者。


 あの医者が言っている意味が、さっぱり分からない。あの医者は一体、何を言っていたのだ?ただわかる事は、助かる方法がない訳ではないが、その方法が分からないという事なのだが…


 一体どういう意味なのだろう…


 その後僕は、何度も公爵家の医者に接触したが、僕が納得する答えは得られなかった。


 そんな中、セイラは日に日に弱っていった。このままセイラが息をひきとったら…そう考えると、生きた心地がしなかった。


 セイラが苦しんでいるのに、僕は何もできない。それがもどかしくてたまらなかった。何もできないまま、セイラが余命宣告を受けて、1ヶ月が過ぎようとしていた頃、執事が書類を持ってやってきたのだ。


「お待たせいたしました、これがミーア嬢とラファエル殿に関する資料でございます」


 執事が集めてきた資料は、かなり膨大だった。さすが執事、徹底的に調べてきたのだろう。


 早速ミーア嬢の方から、情報を見ていく。その情報は、僕の想像をはるかに超える恐ろしい内容だった。そしてラファエルの方は…


「これが真実だと?そんな…それじゃあ僕は…」


 資料を読みながら、ボロボロと涙が溢れだす。それと共に、怒りがこみ上げてきた。


 この3年、いいや、セイラに出会ってからの6年、僕は何をしていたのだろう。


 資料に目を通しながら、自分の愚かさに絶望したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ