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第9話 初陣 ~1万倍のチカラ

異世界に出現まもなく村の窮地を救うべく闘いの場所へ向かうルナ。そこには悪党が人さらいをすべく問答無用の銃撃で襲ってきていた。

村人の抵抗むなしく防衛線が突破されまさに大切な若者たちの隔離場所へと魔の手が迫る。

到着したルナは早速転生で得たチートの力を開放し始める。








 報奨と徳の倍率・百×百=物理力(フィジカル)1万倍にした時、体がもたないんじゃ話しにならないからね……



 徐々に感覚を掴んで行くルナ。




「それじゃ、そろそろギアを上げてくよっ!」



  

挿絵(By みてみん)





 突如加速するルナ。


「なっ! 動きが速い! 転生者だ! 魔法撹乱阻止ジャミングしてランチャーで一気に叩け!」


「ふーん、聴覚までアップ! なら『1000倍』で防衛だ! え、何この砲弾の歩くような遅さ! 」


 素手で受け流して軌道を変え、相手に返して5人に着弾。一度にフッ飛んだ。


「砲弾を素手で返しただとォ? この辺じゃ珍しいアレか?! おい、警戒班、サイの上級者なら逃げられる様に超能力(サイキック)カウンターをモニターしとけって言ったろ!」


「してますっ! 超能力者(サイキッカー)じゃありません!」


「なら魔法だろ、絶対に使わせるな! |対魔法用撹乱(ジャミング)してなかったのか?!  しっかりしろ!」


 ジャミング装置から妙な電磁波を照射し魔力を阻止、更に機関銃で乱射してくる。



 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……




「視覚も速度感まで千倍。弾がよく見えるぅ~。高速避けも掴むのもOK。余裕過ぎ!」



 軽い反復横跳びで避けたり、ピピピと摘まんで落としたり。まるで遊んでいる様だ。






挿絵(By みてみん)






「何ぃ!! ジャミングが効かねえ?! 転生者でも5倍速がせいぜいだろ、魔法瞬間移動阻止でこの速さ有り得ねえ。しかもサイでもなく素手で弾を?! やべえ、ボスに伝えねえと!」


 即攻振り向き先行するボスへ向かおうとした時『妙な破裂音』 と共に眼前にルナ出現。


「うわっ何で前に!」 と狼狽する敵に、『だって千倍だし!』 とドヤ顔のルナ。




『バァ―ン』




 というその破裂音は音速越えで生じるソニックブームと呼ばれる衝撃波音だ。そして殺さぬよう軽く手刃で気絶させる。

 時を同じくして敵の中核組6人が子供達の隠れるエリア最奥に到達、逃げ遅れた少年と少女に銃を向ける。



 非道なるボス、その人である。



 その子に手を出すな、と血相を変え立ちはだかる父親。怯えるまだ10才にも満たない位の兄妹。

 ニヤリ、と無情に引かれるトリガー。



『ダンッ!』



 父が腹を撃ち抜かれ倒れる。と、兄が妹を抱えて庇うも幼い兄の背にも凶弾が放たれ、服が瞬時に赤く血で染まる。絶叫する妹。



「イヤ―――――ッ」



 その声にカッ飛んで来たルナは、妹を庇う兄の血まみれの光景に一瞬放心、そして敵と目が合い激昂。

 刹那、精悍さを増して心身が『男のジェンダーにチェンジ』 するや否やパワ―のギアを跳ね上げ、



「うおおおおおお―――――――っっ!!」



 『万倍速』で跳び上がって突っ込み、フルパワーの平手打ちを脳天から浴びせると、そのあり得ぬ程の衝撃波で男が瞬間蒸発。





  挿絵(By みてみん)





 直後、先程とは比較にならない後追いの大衝撃波で軌道上の敵が全員同時に遥かブっ飛んで昏倒。



 立ち込める爆煙と静まり返るその場の人々。

 はた目からは衝撃波と爆煙から少女が忽然と現れた様に見える。振り下ろされた腕のまま着地。


 途轍もない万倍パワーに自ら驚くも、死の間際の親子を前に血相を変えるルナ。

 (たちまち)『女のジェンダー』に自動的に戻り、急いで振り返るルナ。



「今治癒してやるっ! (たしか最大級の治癒魔法を授かってるハズッ!)」



挿絵(By みてみん)





 何でもいい、治ってくれ、と被弾した父と兄の創部へと治癒魔法を念じながら二人へ同時に両手をかざして魔威を込めると、掌から莫大な量の眩まばゆい光芒が




《ブワワァァァァァァァ―――――――ッッッッ》




 っと大放出、その間約2秒。アッという間に治り、服まで元に修復されて意識を取り戻す親子。

 血糊さえ体に還る完璧な治癒・修復力。むしろ自分の手を不思議そうに見つめるルナ。

 我ながらその力に驚嘆と得心をしつつ、



『さっきの男性化は何?! バグ? 何であのタイミングで?! 』



 と不思議がるも、すぐ傍らでアングリと硬直している妹に気付き、軽く笑んで優しく声をかけた。



「良かったね。治ったよ。もう大丈夫だからね」

「お父さん! お兄ちゃん !!」


 激しく喜んで二人に抱き付く妹。 抱き返す兄と父。自分の兄を思い瞳が潤むルナ。


「おい皆! ついさっき神の子召喚された正にそのお方だゾ――ッ」


『ウォ――!』


「助けて頂いて有難うございます! この命、あなたに捧げます! 何なりと!」


 頭を下げる父と少年。その少年の頭に優しく手を置き、身を屈めて覗き込むルナ。




「お兄ちゃんかい? 妹の為によく頑張ったね。でも死ぬのは残された人も辛いんだよ。だからこれからは死なずに守れるように努力しよ。トレーニングなら付き合うよ!」



 兄の死後、武道に邁進(まいしん)した自分を思い浮かべるルナ。そして妹に優しく目を移すと、




挿絵(By みてみん)




「それから妹ちゃん! これからは守られるだけじゃなく、お兄ちゃんを守れるようにね」


 一般人に……ボクは何を無理なことを……それでもあの人を……守りたかった……


「うん!ありがとう! お姉ちゃん!」


「さあ怪我人の状況を急いで教えて! 酷い順に治すから。死んだら戻せないからねっ」



「こっち、瀕死です!」 『よっしゃ』

「こっちも今すぐ!」 『ハイハイ!……』



 超速で飛び回るそれはほぼ瞬間移動。早々に治癒を終え、安堵と歓喜に包まれてゆく。


「あの状況から全員助かった……ヤッパリあなたは凄い! 神の子だ、救世主バンザ~イ」


「ルナ様ぁ、バンザ――イ! ぜひそのお力でこの地上を安全な世界に戻して下さい!」


「う、うん、(こんなに喜ばれて役に立てるなんて!)これからも頑張るね!」




  ***




 その歓迎ム―ドで囲う人々を押し分け入る村の長老らしき人物が近付き口を開いた。


「おお、そうじゃ、大事な事を忘れておった!」


 一段落した所で村長が一つ重要な情報を思い出しルナへと伝える。


「あれは転生の前日、ミニスカートの軍服を着たそれはそれは美しい妖精(エルフ)が現れて、ルナ様を大事に扱うようにと」



「ミニスカ軍服妖精(エルフ)~?! ククッ!何それ~!」



「そしてできる限り活躍の場を与えて忙しくして、とある少女と出逢わせない様にと。……裾で巻いた栗色の髪の少女と」


「え……で、出逢うとどうなるの?」


「生死に関わる何か最悪な事になると……『最終手段』を取らざるを得なくなる、と予言を残しておかれました。

 そう言う訳でルナ様は家や食糧等、栄誉市民として優遇される代わり、明日からはこの辺一帯を警護する任務、そして敵の拠点潰し等の任に就いて頂きます」




 こうして捕虜達から聞き出した密売組織のアジト数箇所を地図に記す村人。ルナも複製を預かり、転生した事を改めて噛み締め直していた。




 新たな使命を胸に、あの人の面影を天に映して仰ぎ見る。


 お兄ちゃん……ボク、ここでやる事になった。今度こそ自慢の妹になってみせるよ……






  ***






 栄誉市民として特別永住権と住居を与えられたルナ。




 村『ラクシア』から依頼され、その見回り警護から任務を開始。しかしあの一件以来の数日間、村は至って平和だった。




「ルナ様、私達はこれから隣国『モイラ』へと買い出しに行くところですが、この世界の案内と言う事で護衛も兼ねてになりますがご一緒願えますか?


 実は他国ではもっと被害が顕著に増えていて危険がいっぱいなのです。とくに最近は何とも酷くて」




 召喚された村から国境は比較的近かった。

 このラクシア村は大陸の極東に位置する『アストゥロ』国の更に辺境の地の為、物流に難があり定期便を駆り出す。

 一行は入国の手続きを済ませ、その首都へと向かう。買い出しのため再び馬車を利用したが、街では古風なデザインのバッテリーカーが主流だった。


 意外と電気が発展している世界らしい。




「キレイな街……それに結構カワイイ子も居る様だし! フフ……これは楽しみだな……」





挿絵(By みてみん)






 失った理解者を無意識に求めるも、鬱屈した過去と無理に作った元気女子ぶりとで常に斜め上へ行ってしまうポンコツのルナ。



 この世界での別の遣り甲斐―――煉獄界での神官との妙な悶着(もんちゃく)を思い出していた。





 そう、転生で選ぶ 『性別』 についてのドタバタ劇を……




  




< continue to next time >


転生で選んだ 『性別』 でのドタバタ……  

この後の斜め上の迷走ルナ、そして無双、そして事件……次々と起こる出来事に応援・フォローで応援していただけると励みになります。よろしければお願いします。


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