第40話 希望の雷光
敵本拠地から来た強力な魔人に街は壊滅的被害を被り、対峙した20組ものパーティーも全滅仕掛かる。急いで命を助けて回るルナ達。
すると、そこへ突如現れた美女剣士。
それはこの世界の魔法師の中でもトップクラスの実力者だと言う。
「クッ、この身の程知らずが！ 誰が来ても同じ！ 」
〈インパクト・インフェルノォ〉
ドゴオオオオオオオオオオオンッ……
ピシャアアアアアンッ、
雷鳴と共に瞬間移動するエマ。
被害が出ぬようルナが衝撃波インフェルノの軌道に立ちはだかり
〈ヌンチャクバリア！〉
巻き起こる爆嵐でインフェルノを破砕。その光景にエマは感心する。
―――おっ、ファンの子もやるじゃん。しかも弾いた先の人を抱えて移動、２次被害から守った！ 尚且つあわよくば魔人に攻撃出来るよう踏み込んで備えた！
この子……フッ
「にしても魔人さんよ、この魔法界最速の雷光瞬間移動の前じゃ遅スギだな」
『ホレッ！』 ピシャアアン！
一瞬で魔人の遥か後方へと移動する。
「ナッ！…… 〈インパクト・インフェルノォ〉」
〈サンダーブロック！〉
バッゴォォォ―――――――――ンンッ！！
前方へと掲げられた大剣から生じる雷の衝撃波が魔人のそれと激突、完全に威力で上回る。弾き返かれた魔人は背後の建物へと強烈に叩きつけられ、口から緑の血を噴き出す。
「あのおね～様、攻撃もスッゴ――ッ」
「ヘッ、こっちは逃げ足だけじゃねえ、威力もあんだよ。だが次は手加減しね～ぞ！」
「ウガ――――ッ、インフェルノォッッ！」
ドゴオオオオオオンッ……
再度空を切る衝撃波。烈しい雷鳴と共に連続ライトニングシフトで二十個所同時に現れては消える女。必死に探し回る衛兵魔人。
『ここだよ……』
と魔人の背後、それも息も掛かりそうな近さに現れ弄ぶエマ。
『ドゴオオオォォ――――ンッ 』と慌てて再攻撃する魔人。
必死のヌンチャクバリアで被害を防ぐのに千倍速にして更に大急がしのルナ。
その刹那、既に頭上高くに飛んだエマはもう次の攻撃の大剣を振り下ろしていた。
ルカのサイが何かを予知して必死の形相で絶叫テレパス。
《ルナァッ！ 今助けに行っちゃダメ―――ッ》
〈雷っ撃っっっ!!〉―――― あ、バカ！ どうして！
無理にその攻撃の軌道を通過するルナの姿を視界に感じるもエマはそれを止められず、
ビシャアアアアァァァァ―――――ンンッ！！
闘いの衝撃で崩落する建造物の塊。その下に伏す人を守ろうと万倍速で雷撃の軌道を突っ切るルナ。だが光速に近い電気の速さはそのルナの数万倍。正に直撃される瞬間、
ヤバッ……ボク死んだ！
だが何故かそこだけワープしたかの様に無事通過、望み通り人を助ける。
振り返ると魔人は雷撃で轟沈。地は激しく煙立つ焦土と化して陥没、焦げた臭気が漂っている。
「アイツ、あそこへ飛び出すなんてバカか！ でも生きてる……何か一瞬消えたような……」
《大丈夫?! 今、巨大なサイキックパワーが通過した！ 多分この人がルナを助けた……》
端からのルカのサイキック視。瞬時の掠れた再現記憶がルナの脳内に直接転写される。
「お、おにい……いや……これは……ファスターさん……」
「この人が例の人なの？ 物凄いサイキックパワーだった。 ステータスは見切れなかったけど軽く数十万以上あったような……だって私を遥かに超える感じだった」
またこの人に救われた……どうして？ ただの偶然？
――――まさか本当は……
すると、ルナの連れであるルカヘ目をやったエマが傍らの妖精の幼女を見つける。
「なあその妖精、ノエルって子か？ アタシは師匠に頼まれて探してるんだ。最近地下世界の奴らに拐われたって聞いて、師匠が 『亡き親友の子だから何としても救いたい』、って手分けして探してて。
したらこの辺で妖精の幼児を連れた転生者の噂を聞いて来てみたんだ」
「はい、身寄りが無いって言うので、誰か引き取り手が見つかる迄はとお世話してて」
「そっか。ありがたい。良かったら師匠が引き取りたいと。その方は妖精界の大御所だし、安心だぞ」
だがその気配を察知したノエルがルナの後ろに半身を隠し、ガッチリ掴まりながら声を張り上げる。
「やだっ！ のえる、ねえねといっしょがいいいもんっ！」
「フ……気に入られたもんだな。なら見守り役でもいいぞ。師匠も無事が確認できればそれでもいいって」
「じゃあこの子もこう言ってるので、しばらく様子見しててもらえれば」
「分かった。にしてもお前、よく無事だったな。アタシは無精者だから助けながらとか被害を少なくしようなんて出来ない。だがお前はそうじゃない。エライぞ。
まだまだおっせーけどその勇気買った！ 名前、覚えておこう！」
「えっ、感激です！ ルナっていいマスぅ。超カッコ良かったです～！ ぜひファンクラブ会員ナンバー１としてお願いしま～すっ!!」
「ハ――ハッハッハッ、気持ちのいい奴だな、可愛いし。良いぞ～、ルナだな。覚えた！
んじゃ後見人として暫くはこの辺で救済活動でもすっか。 また近いうち共に戦おう！ じゃあな」
ピシャアアンッ ……
と消えるその速さに呆然とするルナ。何せあのまま速度万倍視していたにも関わらず全く見切れなかったからだ。
刹那、そこに一つの希望を見出した。
凄い！ サイの瞬間移動や魔界亜空間を経由もしてないのにあんなに速い移動……魔力の使い方次第であそこ迄速くなれるなら瞬間攻撃と闘える！
ボクもああなれたら！……
「何かスゴかったね、色々。私、サイで街を直して回るよ、ルナはケガ人を治して回って」
「それならのえるもできるよ～。これわ～、いたいのとんでけホースなの。えーいっ」
プッシャ――――ッ、
と得意気にホースを掲げたノエル。
治癒魔法液を含んだシャボン玉ホースから出る多量のバブルを天高くまで飛ばす。
上空で一斉にパチンと弾けさせ広範囲に降る治癒魔法の雨で大ケガした人も次々と治ってゆく。
「スッゴ～イ！ さっすが天才の子！」
「じゃ、私のサイキックとルナの治癒・修復魔法で街を戻そう」
そして街を守り、修復もした事から市長に表彰されて多額の報奨を得たルナ達。
更に助けた人達からも個人的にタンマリと貰い、より金持ちになってしまった。
なので、その多くを恵まれない人へと寄付をした。
それらがまた徳の倍率を上げている事に気付いていない二人だった。
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▼ルナのラフスタイル2
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無自覚の無双ではなく、またしても無自覚の善行。 それにより着実に徳を上げてステータスをアップさせたのだった。
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