第13話 魔物との闘い 初対戦
武器商へと同行して運命の武器をゲットするルナ。それは伝説の勇者の作った物だった。
そしてそこで絶対強者の噂を耳にする。
そしてBROS兄に気に入られコスチュームを作って貰える事になったルナ。
BROS兄・レイからルナへと連絡が入った。
それは隣国『フィロス』への侵攻の情報だった。
国境戦で共に政府から表彰されたルナを早くも仲間として扱ってくれるレイ。
戦闘経験は実力向上に良いとの勧めで同行する事に。早速気に入った新調コスチュームを纏う。
「仮縫いでの追加要望で遂にヌンチャク10個以上も装着……本当それでいいの?」
「ハイ~! 背、腰、もも、下肢、体中に在って最高デス! ありがとうございましたっ!」
「よっぽど好きなんだね。でも結構似合ってるよ。その姿で頑張って行こう! とにかく俺らはどんどん経験値や徳を重ねて強くならないと。いずれ理由は分かるだろうけど……」
敵は北の果ての地下世界、ギガダンジョンから来る。
その目的は街の破壊。混乱のあと人拐いがやって来る。ひっそりと行われるものに比べ一気にもって行かれる。この様な強引なやり口は近年からであり、早期に対処しない被害も甚大になり街の疲弊も大きい。
対抗策の諜報活動によりこの姉妹都市の危機が判明、既に軍が出動、実績あるレイメイ兄弟へも援護要請が入り駆けつける。
敵の進軍は平原を雪崩れ込み、街まで迫る。
必死に迎え撃つ二千の正規軍。だがその銃撃が全く効かない。
今回の敵、人型爬虫類
―――体長3~5mの人型小型竜。
その鱗は恐ろしく固く、しかも防護魔力を纏い弾丸をも跳ね返し、また砲弾でさえ致命とならない強度を持つ。
更に攻撃は魔力に瞬間的にしか頼らない種の為、ジャミング照射を嫌わず、縮地術での瞬間跳梁を駆使して突進し巨大な爪とアゴで屠る。
瞬く間に前衛布陣を壊滅され。勢いに乗り、群れで山なり状に一斉襲撃してくる〈縮地津波〉により絶体絶命となる本部隊。
そこへ到着し、直ちに加勢するBROS。
早速遠隔魔法〈酸の雨〉そして〈火焔幕 〉を発動、
群れを散らし、更に〈鉄拳制裁・アイロンフィスト〉で拳大の鋭利な氷塊の土砂降りをマッハで乱撃。
傍らの大岩さえ数秒で破砕されるほどの猛撃が大地をボコボコにする。
だがそれにも堪え、逆にジャミングを射ち返して魔法を妨害してくる。
そこで例の剣を手にしたBROSが魔法転移で敵中心部に背中合わせで出現、フルに魔力を湛えて構え、互いに180度横薙ぎ一閃。
〈ダイモン・スラッシュッ!〉
唸りを上げ魔光を放つ剣。二人合わせて360度の眩い光の高速衝撃波が波紋状に広がると、一気に数百の胴体を真っ二つに。
オオ~と思わず呻るルナ。
次撃への魔力チャージの間、触発されたルナも拳を握り敵に挑む。
人型爬虫類の長も『グヌ~、絶対に魔法を使わせるな!』 と全隊で猛然とジャミングを乱射してくる。
「魔法なんて関係ない! 遂に侵略者との戦い……今度は遠慮は要らないね、行くぞ!」
ドゴォ――――――ン……
超音速正拳突き、蹴りの猛攻。その一秒は爆速で移動しながらの300撃。喰らった数百体が遥か吹っ飛ぶ。その一発の威力でさえ戦車の大砲以上。
だが、よろめくも立ち上がり、また向かって来る。
「ナニッ……百倍のパワーでも?! って、どんだけタフ? ボクシング漫画の主人公かっ」
尋常でないルナの攻撃に人型爬虫類も必死で反撃、全軍山なりの音速級パルス跳梁〈縮地大津波〉を発動し、気づけば怪物群が目前に迫る。
恐怖で硬直してしまう正規軍。
「だったら最大、『万倍』だっ!!」
不可視の猛爆正拳突き、連撃蹴りで装甲皮膚をブチ抜き撃破。摩擦で燃え光る数百もの軌跡の残像だけが寸時見えて煙立つ大地。
一瞬で数百体の解体の山。
「やっぱ悪者はブチのめすに限る! ボク、もはや人間兵器だね!! それとこのヌンチャクも!」
「シャアァ―ッ」
残敵のワニ口から無数のジェット噴出毒が。だが超速ヌンチャク風圧で易々と弾き、
……前世じゃ只でさえ速すぎて見えないと言われたこのヌンチャク捌き!これを万倍速でやると!
「うおおお―――っ! やっぱヌンチャクはイイ―――ッ!」
ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ―――― ッ
空気摩擦で両腕が次第に燃え光って行くと、爆嵐の風圧で敵ごと吹っ飛ばす。 突撃も万倍の速さとパワー。
あり得ぬ回転速度で生じるヌンチャク特攻の猛襲は瞬く間に戦場を『ハンドミキサー』にかけたかの様なバラバラの惨劇に陥らせた。
そしてそこには人型爬虫類の青緑色の血と原型を留めない肉片の山だけを築いた。
焦る統率魔導師が大型恐竜程の魔大蛇を召喚。
その口から周囲を一呑みする巨大火炎を放出。再び魔法瞬間移動で上空へと避けるレイ達。
ルナはヌンチャク風圧で火焔を弾く。
そこへBROSは掌を怪物へ向けて、『ルナちゃん避けて!』と反撃の爆裂魔法を準備。
「ちょっと待って!」
来た来た! 待ってましたこう言うの! もち、練習しときましたよリーサルクロウ!
こいつを超高速でムチ打つ時、その死のカギ爪が超振動を起こして触れた瞬間の引き裂きでグチャグチャに。
で、ヒトの限界を遥かに越えた音速の1万倍でマジ振りすると……
「うなれ、死の鉤爪! 〈裂閃―ッ 〉 」
ブワシャアッッ!
30Mを超える巨体の魔大蛇が一瞬で木っ端微塵。無数のミンチ肉が宙に散り、それがミゾレのように辺り一面ボタボタと降る。
呆気にとられ、恐れをなして逃げようとした魔導師をBROSが氷結魔法で閉じ込めて拘束、戦いは幕を閉じた。
「なんか……兄さん……このコ、容赦無さ過ぎない……?」
「レイさんメイさん! 料理出来ます~? コレ、ハンバーグにどうでしょう!」
少しヤンチャなルナに柔らかな兄目線で微笑むレイ。
「クスッ、ルナちゃんたくましすぎ! でも凄い戦闘力。ステータスも上がってるよ!」
「え、本当?! ……ならもっと魔力込められる様になりた~い! だってまだ今の怪物くらいまでしか飛ばせなくって!この魔力ワイヤーをもっともっと伸ばせるようにしたいな!」
にしても得意な事でこ~んなに活躍、更に戦闘経験で強さマシマシ。てか既に力が万倍って無敵スギ! やっぱ神の子救世主か~?
―――でもそう、ボクは必要とされ召喚されたんだ。だったらやってやる! 虐げられてたボクだからこそ遣るべきなんだ!
そ・れ・に!
フラレ体質も卒業なハズ。最高の理解者ゲットでこの異世界で人生リベンジだ!
と、そこへレイの携帯端末に通知音がピコリと鳴った。
目を通すなり歯ぎしりするレイ。隣国で10名ほども少女が拐われたという。
「クソ……今からじゃダメか……」
悔しそうに嘆息するレイメイBROS
その姿を術もなく遠い目で見るルナだった。
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早速大活躍のルナ。異世界での自分探しは順調に開始された。
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