第11話 魔法攻撃との出逢い BL?兄弟との共闘
買出しの護衛役で街に出たルナ。引ったくりをやっつけて女子と意気投合するも早速のポンコツぶりでフラレる。
相手の希望と逆の性別にしかなれない事にまだ気付いていない。
そして買出しが終わると……
買出しの終わった一行と合流するルナ。
帰途に就いて再び護衛を開始する。すると、
『ドッゴォォ―――――――ン……』
「ん!」
爆音と大地の揺れ――――
買い出しからの帰途、国境付近で一行が丘へ上がりきる辺りで魔に取り込まれた千人程の反乱部隊が正規軍に奇襲し、一気に戦場化。
退きながら応戦する正規軍。だが敵は勢いよく追ってくる。ルナは村人を護衛しながら要所に移すと、まずは危険をやり過ごすまで様子を伺う。
暫く留まっていると、更に上方の崖に人影が。
軍の応援要請で駆けつけた転生者の姿。
『レイ・メイ兄弟(BROS)』が全景を見渡すその高台から援護を開始。遠隔魔法で猛威を振う。
〈 火焔幕! 〉
追い討ちをかけて来る最前線に忽然とオーロラ状のブ厚い炎の境界線を発生させ、軌道上の敵兵の殆どが業火に巻かれ引き返す。それだけでほぼ追撃が止まる。加えて、
〈 酸の雨! 〉
立て続けに強烈な酸を広範囲に雨のように降らし、濡れたところから溶けて火傷状になっていく敵兵。
大騒ぎとなり一部は戦意喪失、必死に雨から逃げ惑う。そこへ更に
〈 氷結! 〉
それでも前線に特攻する敵兵の足先を氷結させ動きを奪う。迫る敵の前半部隊はこれ等でほぼ機能不全に陥る。
それを見たルナはオオ~と唸ってその魔法の力に色めく。
「くっ、ジャミングがひでぇ~、メイ、居所を特定された! 場所を移すか!」
ヒョコッ、と高速移動で兄弟の背後から、妨害されてるの? と顔を出したルナ。ならこっちもジャマしてくるよ、と
ドシュンッッッ!!
踏みしめた地がえぐれてカッ飛ぶ。
「あっキミッ、魔法使いは今、無効化されちゃうよ!……ぁ行っちゃった……変な子!」
「 じゃ、行っくよーっ」
異世界で得た力を使ってみたくてくてウズウズしていたルナは、
フフフ!……この力試すのに最高の場面じゃん!
200倍速でソニックブーム! 戦闘機並みのスピードで突っ込めっ!
キ―――――ン…… ドゴオオオオォォ―――――ン!!
残りの部隊へと爆跳、そのソニック衝撃波だけで大半を吹っ飛ばして失神。
そして勢いに乗り、更に『千倍速』で乱舞。
すると数百箇所に寸秒で現れて残党を薙ぎ倒し、誰一人殺さぬ様に制圧。
同時多発に見え消えする異様な光景。
それは突き・蹴りの『寸止め風圧』だけでの衝撃波アタックによる鎮圧劇であった。
敵勢には何が起こっているのかすら分からぬその速さは、端から見ていた者たちから見れば正しく『超絶早回しのタイムラプス動画』 そのもの。
全くの無抵抗な敵を呆気なく全員昏倒させ、『あれ……これで終わり?……』と拍子抜けするルナ。
その魔法とは違う異様な活躍ぶりに正規軍や遠巻きに見ていたその場全ての民衆にも
「何だアレは!」
と衝撃を与え、直ぐに『国境の珍事』として多方への噂のタネとなる。
う~んこれってチート超人? やっぱ神の子? 本当にこの世界救えるかも!
「キ、キミッ!……物理攻撃でこんなの見たことないよ!……近年は対魔法妨害機が出てきてからとかく面倒でね。
我々にも対抗策は有るけどそんな時はキミ、最適解だね! これからお互い協力し合えたらいいね。ぜひヨロシク!」
レイ・メイBROS兄は純粋に物理攻撃の才能に興味深々で近寄ってきた。握手を交わすレイとルナ。
「俺はレイ。政府御用達の魔法戦士。と言っても専属じゃなくフリーでね。こちらはかわいがってる弟分のメイ。今後お見知りおきを。キミ転生者だよね」
「はい、ルナって言いマス。つい最近、転送出現型召喚で来ました。まだ知らないことばかりなので色々教えて下さいね~」
「オーケー! にしてもキミの物理特化のそれ、本当に体は何ともないんだよね?」
「はい! 速さやパワーに比例して、なんか耐性・強度もアップするんです! じゃなきゃ自分がバラバラですよ。……それにしてもレイさん、スッゴくイケメンですねっ!」
年の頃は25才位、ややキレ長つり目、笑顔の燦めく美麗な顔立ちの紳士的な好青年。
「……兄さんの手、そろそろ離してもらっていいですか」
「あ、すいません。弟さんですか? あなたもメッチャイケメン……でも似てないかも」
「義兄弟です! ボク、美少女に興味ないですから」
「ナハハ……美少女かはともかくボクもイケメンには別に……」
ムッ……
靡いてこない所も癪に障るメイ。取り持つ様に笑んでレイが割って入る。
「そう、明日、魔法妨害対策も兼ねて武器商へ行くけどルナちゃんも一緒にどうかな」
「えっ! たのしそ~っ、(サスガ剣と魔法の世界!)ぜひぜひオネガイしまぁ~すっ!」
* * *
BROSレイ・メイに案内され再び隣国モイラへ。
交易が盛んで様々な物が揃う国として評判だ。彼らの信頼する行きつけの赤レンガ倉庫へと足を運ぶ。
ルナは入店早々その圧巻の品揃えに思わず『うわぁー』と声を上げた。
ここ、本当にアイテムが充実してるでしょ、と誇らしげにニコリとするレイ。
「スゴい数ですね~!これが全部魔法の力をサポートするアイテムなんですか……」
「うん、そう。でも本来サイキックを完全にこなせれば最強なんだ。何てったって精神をそのまま形にするのだから。
只それだけに完璧にこなすには神ほどの精神が必要」
「神ほどの精神……」
「でも人の精神なんて高が知れてる……そこで『魔法』 。先人達が人の精神と神の領域を橋渡し出来る様、詠唱や祈祷、魔方陣等で超常現象を引き出せるよう考えたのさ」
「じゃあ、魔法は力を借りてくるって事?」
「そう。神はその力を魔や精霊という境地に与え、時に高め、破滅もさせて人類の成長を促した。
その力の根源へアクセスさせるスイッチ―――それが魔法さ。
で、それらをより確実に引き出す魔道具がこの店には充実してて、個人店では最大なんだ。更にマスタ―は凄い目利きなんだよ」
と、そこへ厳つい顔、筋肉質の若干荒くれ者風な武装男が現れた。
「いらっしゃい、おお、BROSか、元気だったか?
……ん? そこの子は?」
「あ、マスター! こちらはルーキーのルナちゃん」
「おぅ、随分と可愛らしいルーキーだな」
「こんにちは。スゴイ品揃えデスネ!」
拘りを褒められるとつい顔が緩む。
厳つい店主も笑むと目が可愛い。
確かに剣だけで幾百もの品揃え。特設ブースに恭しく展示された業物にはミッチリ記したルーツやエピソードが添えられ拘りを感じる。
「今日は何だい?」
「ええ、ジャミング対策に」
「なら、良い剣が入ってんぞ。ゆっくり見てきな」
「と、思って。じゃ、この子にも案内しますから勝手に見させて貰います」
そう言って通いなれた店内を回り始めるBROS。
物珍しそうにキョロキョロしてついて行くルナ。
すると魔法を阻止するジャミングマシンが展示されていた。 剣と魔法の世界をややこしくするゲームチェンジャーである。それは太くて大型の狙撃銃の様な形をしていた。
思わず足を止めるルナ……
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