調査
あれから、ヒロたちは調査団を立ち上げ、異変調査へと向かった。
ヒロはそこで何をみるのだろうか?
あれから、エリーの指揮下で調査団が結成された。
無論、その中にヒロとキャシーも含まれる。
キャシーは冒険者としての知識と魔力を買われ、協力者として同行するが、ヒロはそのキャシーからの推薦で補助者として付いていくこととなった。
調査として赴く先は、シュナイダー領から離れた地域で、通称『迷いの森』としても知られるドルイド大森林にて異変が起きてるらしいので、現場を見てきてほしいというものだった。
その名の通り、いつも霧に覆われ、土地勘のない人が入ると迷い出てこれなくなるのだそうだ。
うぅ・・・、まるで富士の裾野にある大樹海じゃないのよぅ・・・、ブルルッ。
なんで、アタシがここにいるのよぅ・・・。
今はその大森林のまだ霧が浅く周辺が見てる付近にいた。
そもそも異変って・・・。
「ここで神獣が迷い出てきてるって言うのよね?」
アタシは隣を歩いてるキャシーに聞いた。
「うん、普段は霧の中に隠れて移動してるらしいから、ね」
答えたのは前を進行しているエリーだった。
「そもそも、ここは入ったら抜け出るのは難しいから、立入禁止ってなってるけれど、それは表向きであって、実は聖なる神殿が眠ってるらしくて、そこに入ると精霊の怒りに触れるらしいと言うのが、うちの領地に伝承として伝えられてるからなの、よ」
「それで神獣が暮らしてるってこと?」
「うん、神獣は神の使いだからね。
もっとも、その姿を見た者は少ないけれど、ね」
「それが最近表に出てきたって事?」
「うん、そうらしいのだけれど・・・」
エリーは言い終わらないうちに何かに気付き跪いた。
「どったの?」
「うん、足跡ね、これは何・・・?」
エリーは足跡を見ながら考え込んでいる。
「あ!」
アタシはその時に精霊が見えた。
「ヒロ?」
「精霊がいるの、見えてない?」
「え・・・?」
どうやら、見えているのはアタシだけらしい。
「なるほど・・・、ほんとにユニコーンらしいわね・・・。
神獣には精霊がつきものだから・・・」
エリーは半信半疑だったのだが、ヒロの言葉で確信を得たらしい。
「へぇ、ユニコーンとは珍しい」
辺りを確認していたキャシーが戻ってきた。
そして、にこやかに精霊を見た。
キャシーは魔同士だから、精霊が見えていても不思議じゃなかった。
「なるほどねぇ・・、異変っちゃ異変だわね」
「どういうこと?」
「さっきも言ったんだけれど、普段は用心深いはずのユニコーンが森林の、それも、さ。
ふもとになんて絶対に下りてはこないはず、よ」
「そうよね、ユニコーンは人前には現すはずがないわよねぇ・・・」
アタシはキャシーとエリーのやりとりを聞きながら、精霊と戯れていた。
「ねぇ、確かに霧の奥近くで、とんでもない事が起きてるぽいよ」
「え?」
アタシがそう答えると同時にキャシーとエリーがアタシを見た。
そして、エリーが驚いたように聞いてきた。
「どういうこと?」
「うん、精霊たちが不安がってるのよ。
原因は判んないんだけど・・・。
でも、その怯えようは普通じゃないわ。
何かが起きてるのは確かね」
「貴女、精霊の言葉が判るの?」
「ううん、けど、表情から何かを伝えたがってるのが判るってだけ」
「う~ん、これは奥へ入らないと判らないか、な?」
「けれど、奥は禁地でしょ?」
キャシーが聞いてきた。
「そうでもないんだけど・・・。
どうしよ、か?」
エリーも戸惑うようにキャシーを見た。
「副団長、まさか奥へ入るのですか?」
「いや、流石に無理でしょ、ね。
霧の奥へ入ると迷って二度と出てこれないらしいわ、よ」
「だったら、目印とかはどうなの?」
アタシは疑問に思ったことを聞いた。
「それが・・・、ね。
出来たらいいんだけれど、ね。
いつの間にか目印も消えちゃうのよ、うん」
「どんな目印でも?」
「出来てたら既にやってるわ、よ」
「そっかぁ・・・」
打つ手なしだ・・・。
「あら、でも精霊がいるじゃないの、協力してもらう事って出来ないの?」
「え?」
キャシーが一言、ヒロを見ながら言うと、一気にみんながヒロを見た。
「ア、アタシが精霊に案内させるの?」
「それもいい手、ねぇ・・・、けど、これは前代未聞よ?」
エリーがキャシーに向かって怪訝そうに見る。
「無理かしら?」
キャシーが聞いてくる間に、アタシは咄嗟に精霊に話してみた。
「どう?」
「出来なくはないけれど、こんな大所帯では無理だと思う」
「確かに・・・移動できるメンバーは限られてくるか・・・、な?」
エリーは調査にきている配下達を見ながら考え込んだ。
「確かに霧の奥深くへ入ると互いに見失う可能性はあるわね」
キャシーが言った。
「副団長!
もし行くのであれば私も参ります!」
さきほどから、やり取りを見守っていたベスがエリーに問いだした。
「う~ん・・・」
「ねぇ、エリー?
精霊に案内させるのはヒロだから、一緒に行くのはもちろんとしても、私はその保護者としてついていくわ。あとは騎士団の方はどうする?」
「そうね・・・、ベス、悪いけれど、ついてきてくれる?
無論、私も行くけれど・・・」
「ありがとうございます、副団長は必ずお守りいたします」
「じゃあ、エリーと私とヒロ、そして、ベスでいいかな?
これ以上は増やせないと思う」
「そう、ね。
そうしましょう、か。
聞いたわね、ベス、あとはお願いね」
そう聞いたベスはすぐに他の騎士へふれ回りに駆け出した。
外へと迷い出た神獣。
霧に覆われた大森林の奥に何があったのだろうか?
ヒロはどうでるか?




