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試練

 どんな依頼が待ってるのだろうか・・・?

 ヒロは新たな局面を迎え、緊張を隠せずにいた。

 何日か馬車に揺られつつ、旅が終わり、今は辺境のある館の中にいた。

 カイデン男爵とジャッカルが座るソファの脇でアタシは立っていた。

 ここは応接室らしい。

 ここでシュナイダー伯爵との面談があるのだが・・・。


 遅いな・・・。


 よりよってカイデン男爵とジャッカルの横では間が持たない。

 アタシはもう既にしびれを切らしていた。


 いつ終わるのだろう。

 う~ん・・・。


 カイデン男爵はむっつり顔で茶をたしなんでいるのだが・・・。

 それにしても・・・。


 ジャッカル様はいつ口出すのだろう。

 どうにもカイデン男爵様の圧に耐えかねてるようにも見える。


 実際、ジャッカルは先程から落ち着かないとでもいうように、ハンカチーフで顔などをときおり、汗を拭き取ったりしている。

 カイデン男爵は何も話したくないそぶりをジャッカルに見せて以来、これだ。


 あぁ・・・、間が持たないわ・・・。

 この状況で立ちっぱなしは少々堪えるわ。


「シュナイダー閣下のおなりです」


 執事が扉を開けた。

 ようやくお目見えの時の様だ。

 それを聞いたカイデン男爵とジャッカルは立ち上がったかと思うと、挨拶をかけ上体を伏せたままになった。

 アタシもそれにならい、片膝を地に付け、背を伏せた。

 シュナイダー伯爵が入ってきてヒロ達を一瞥する。

 そして、ゆっくりソファへ進み、ソファに腰をかける。


「かけるがいい」


 その声でアタシを除き、みなうやうやしく挨拶してそれぞれが腰をかけた。


「シュナイダー伯爵様、ご無沙汰しております」

「よい、今回は堅苦しいのはなしだ。

 楽にしててくれ」

「はっ、ありがたくお受けいたします」

「さて、そちらが例のヒロとか言う子だね?」


 シュナイダー伯爵様はアタシを見てそう言った。

 そこでジャッカルが応える。


「はい、売出し中ながらも期待である新進の闘技者でもあります。

 ありがたくも今やその価値も上昇中であります」

「ふむ」

「しかして、今回の依頼で使えるかどうかは・・・」

「いやいや、こちらで去る方に勧められてな」


 そこでシュナイダー伯爵様は扉の前の執事をみやると、執事が扉を開けた。

 そこからはキャシーが現れた。


「彼女はうちでお世話になってる冒険者でな、キャシーと言う」


 キャシーは中に入ると挨拶をする。


「初めまして、キャシーです」


 カイデン伯爵とジャッカルは軽くお辞儀をした。

 アタシは何の指示もないのでしばらくはこのままの姿勢でいた。


「さて、事はまず、ヒロとやらを預かるので、そこはキャシーに詳細を任せるとして、カイデン殿は私としばし、その話をするとしよう」


 シュナイダー伯爵はキャシーを見ると、キャシーはかしこまるように挨拶をかえすとヒロの側まで来る。


「貴方がヒロね、詳しい話は私からするわ。

 ヒロは私と一緒に来てね」


 アタシはそう聞くと立ち上がり、軽くシュナイダー伯爵様から順にジャッカル様まで会釈をした。

 すると、ジャッカル様だけが顔を下げ、カイデン男爵様はもういいとでも言うようにアタシに一瞥する。

 シュナイダー伯爵様は礼儀正しく、頭を下げてくれたのにね。

 その後、アタシはキャシーに言われるがまま部屋を出て行く。


「さて、ヒロ、まずは一緒に行動するメンバーを紹介するわね。

 だから、そこまでちょっと来てね」

「うん」


 アタシはキャシーの後をそのままついて行った。

 案内されたのは広い修錬場のようで、そこには騎士が何人か訓練していた。


「はーい、エリー」


 その声に振り向く人がいた。

 見ると華奢な身なりで髪を後ろに束ねていた。

 とても精悍な顔つきだ。


「あら、、キャシーじゃないの」

「彼女が今回共にする伯爵騎士団副団長のエリーよ」

「初めまして、私が伯爵騎士団で副団長を預かるエリー・ブラントンよ。

 エリーでいいわ」

「初めまして、エリー様、ヒロ・オイカワです」

「やだ、普通でいいわよ、気楽にね、様はいらないわ」

「それじゃ、エリー」

「はい、それでいいわ」


 アタシはにこやかに会釈をした。


「さて、この子が紹介に預かったヒロよね。

 早速だけれど仮試合して見せてくれる?

 失礼だけど、あらためて貴女の実力を見せてもらいたいの」

「え?」


 アタシはキャシーを見た。

 キャシーは静かにうなずくだけだ。


「ヒロが闘技者であり、今も活躍してるのは知ってるわ。

 でもね、作戦上、貴女の力がどこまであるのか知っておく必要があるの、いいかな?」

「そういう事ね、いいわ、やるよ」

「そうこなくちゃね」


 するとエリーは振り向き様、訓練中の一人に声かける。


「ベスー、いる?

 こっち来て」

「はい」


 そこでベスらしき者がエリーに気が付き、訓練を中止して、こちらへと向かって来た。


「エリー副団長、何事でしょうか?」

「うん、この子と仮試合してみてくれる?」

「え?

 こいつ・・・とで?

 失礼ですが・・・」


 ベスはアタシを見ると、驚くようにしている。

 如何にも、相手になるのか?とでも言いたげだ。

 まぁ年齢的に見てもそうだろうね。


「失礼よ、ベス。

 これでもこの子はDクラスで新進中の闘技者よ」

「えぇ?

 この子が?

 冗談キツイですよ、副団長」

「この子を甘く見ない方がいいわよ、私が育成してるんだから」


 ベスはキャシーを見た。

 本当に?とでも確認するように首をかしげる。

 その様子でキャシーは静かに頷く。


「そうすると、こいつは魔導士ですよね?

 自分は騎士ですよ?」

「うん、こう見えてもヒロは剣士でもあるのよ」


 ベスは本当にとで言うようにアタシを見る。

 エリーはかまわず続けてくれた。


「ヒロ、この方がベス、我が団で一応、一番の実力者よ」

「まぁ、一番かどうかは知りませんが、まだまだ副団長や団長には敵いませんよ。

 でもほんとにいいんですか?」

「初めまして、アタシがヒロよ。

 こんな子供を前にして怖気づいたのなら別にいいわよ?」


 アタシはベスがあまりにも「こいつ」とか連発されるのにも嫌気がして、挑発気味に挨拶を軽くした。

 すると案の定、ベスは怒りを表した。


「生意気だなぁ、こいつ・・・」


 また言った。


「ベス、さっきから失礼よ、ちゃんと挨拶なさい!」

「え?

 あっ・・・お、俺はベス、あらためて仮試合させて頂きます」


 ベスはあまりにも態度の悪いベスをたしなめた。


「じゃあ、始めよう、ベス、いい事?

 出来るだけ、ヒロの実力を見れるように」

「やれやれ、判りました」


 ベスは呆れかえるように肩を下げて、そう言った。


「ヒロ、いい?

 思い切り自分の実力を見せてね」

「うん!」


 見るとベスはしぶしぶである。

 相も変わらず小馬鹿にしてくれてるコイツを懲らしめなきゃね。


「じゃあ、始めて」


 アタシとベスはエリー達と離れ、対峙した。

 最初はただ、様子をみているだけだが、ベスも同じようにしている。

 表情はうってかわり、真剣そのものだ。

 流石ね。

 対決ともなれば態度を切り替える辺り、伊達に騎士を務めてるわけではないって事ね。

 かと言って、いつまでも見合ってる訳にはいかない。

 アタシは早速、斬りかかって行く。

 こうして、ヒロは試合を行う事となった。

 ベスの実力は?

 そして、ヒロは実力を出し切れるのか?

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