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予兆

 ヒロは今、ノリにノッテいた。

 コロッセオにて活躍中で人気も昇り始めていた。

 そんな折、魔法も覚え始め、先は明るく見え始めていた・・・が。

 アタシは見知らぬ草原にいた。

 周囲には何もない。

 見渡す限り、草原であった。

 空はどこまでも青く、果てまでも続いていた。


 ここはどこ?


 とりあえず進んでみる。

 ずっと、その場にいてもどうにもならない。

 ある程度進み行くと神殿が見えた。

 そこには見た事もない女性が立っていた。


「来たのね、ヒロ」

「あぁ、レイニー、ボクは来た」


 気付くと自分の声ではない。

 男性の声だ。

 妙だ。

 自分の体であって、自分ではないようだ。

 まるで記憶の中にいるかのように。


「貴方には知る権限があります。

 何を為すべきか、永遠の闘いとも言うべき時が・・・」

「・・・」

「覚悟はあるようですね。

 ではこれより先へ・・・」


 言われるがまま、神殿へと入り、回廊へ導かれ進み行く。

 先にはレイニーが案内するかのように歩いてる。

 途中、窓を見ると、精悍な感じの男性がレイニーの後を歩いてるのが見えた。


 え?

 これがアタシ?

 これは誰?

 でもレイニーって女性がアタシをヒロって呼んだ。

 アタシで間違いないのよね。


 アタシはこんがらがっていた。


「レイニー・・・、ここは?」

「貴方の宿命を導く場所・・・、これから貴方は長く辛い戦いが待っている。

 私はそれを止められない・・・」

「いいんだよ、レイニー、ボクが自分で決めた事だ」


 レイニーは声なく泣く。

 歩きながら・・・。

 アタシは黙って付いていくしかなかった。


「ここよ」


 歩き続けると一つの扉がある。


「貴方はここへ入るともう引き返せません。

 戻るなら・・・」

「いいんだ」


 アタシはレイニーの言葉を遮って、首を振った。


「でも・・・」

「今更、もう引き返せないよ、レイニー。

 これがボクに課せられた運命なんだ。

 ボクが行かなければ、世界は闇の底に沈んでしまう」

「何故・・・、何故なの?

 何故貴方なの?」


 レイニーはアタシにすがり泣き咽る。


「ボクがやらなければならない事なんだよ、判ってくれるね」


 アタシはレイニーを引きはがし、扉の前に立つ。

 レイニーはその場に崩れるように座り込んだ。


「あぁ・・・、貴方・・・、ゴメンね」


 アタシは意を決したように扉を開け中に入ろうとする。

 そこは深い闇の中だった。

 どこからか、声がする。

 何だか懐かしいような不思議な響きだ。


「・・・ヒロ!

 起きて!」


 そこでアタシは目覚めた。


「ヒロ、大丈夫?」


 目の前にはキャシーがいた。


「あれ?

 ボク・・・?」

「やだ、ヒロったら寝ぼけてるの?

 口調が違ってるわよ」


 キャシーが笑い出す。


 あれ・・・?

 ボク・・・?

 そういあ、自分の事なのにボクって・・・。

 アタシはアタシと呼んでいたはずなのに、ね。


「アタシ、どうしてたの?」

「ヒロは魔力使い過ぎて、倒れちゃったのよ」

「え、あ、そうか、魔力を強化するために、アタシは・・・」

 謎の夢。

 訓練中に過熱して倒れたヒロは不思議な夢を見ていた。

 これはこれからのヒロに何の暗示を示してるのだろうか。

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