再会
クラスアップ目指し、アタシの挑戦は始まった。
明日はどうなるかも判らない。
ただアタシは上を目指し強く、強くなりたい。
アタシは今、いくつかのスキルをロックから受け継いで、初めて、闘技へ臨んだ。
対戦相手も事前に知らされており、対策も済んでいる。
それが目の前にマンティス。
それとアタシは対峙している。
大きな鎌を持ち、並の防具ならいとも簡単に斬り飛ばせる魔獣だ。
魔法も解放されて、使えるようになった今、装備は相変わらず以前のままだ。
今のままだと防御すら出来ず、間違いなく今のアタシだと一瞬で終わるだろう。
そんな訳で今、Fクラスデビュー戦よ。
オールマイティな攻撃は平均的過ぎて強くはなれない事も知っている。
ロックにも指摘された。
本来なら尖っていた方が強いのだと。
でも、小さく、力もない今のアタシに取れるのは、相手を上回る戦術が必要だった。
そのために利用できる力があるなら、すべて使え!
よ笑。
だが、アタシには魔法があるので、遠距離から火の矢を当てて行けばいいだけである。
楽勝と言えば楽勝過ぎる相手とも言える。
まずは弓で射ってみる。
が、鎌でなんなくいなされてしまう。
マンティスはアタシをみやると威嚇してきた。
羽を大きく広げて、だ。
関係なく、弓を向けて回り込む。
マンティスはこちらを見ながらゆっくりと回りだす。
そうして、2、3度、弓を射る。
相変わらず、鎌で矢を交わす。
ギギギギギ・・・。
そして、マンティスが顎をカチカチ鳴らしつつ、不気味な声を唸りだす。
そして、来た!
マンティスが飛びかかってきた。
アタシは鎌の攻撃を交わしつつ、距離を取る。
こうして、アタシはマンティスの後ろを取った形となる。
チャンス!
ここでアタシは初めて、魔法を放つ。
火の矢!
マンティスの羽が燃えた。
が、マンティスは羽を振るわせ、炎をかき消す。
そして、ゆっくりとこちらに視線を合わせる。
半端な攻撃はムダのようね。
そうして、また、睨み合いが続く。
これでいい。
こちらが大した事ない獲物だと思わせるのだ。
マンティスは声を震わせ、突進してくる。
アタシはそこで瞬動、そして連続攻撃を繰り出す。
まるで、マンティスの動きがスローモーに見える。
大きく振りかぶった右鎌を狙い、アタシは火の矢を数発、連続して放つ。
そして、大きく、マンティスから距離を取る。
次の瞬間、鎌が焼け落ちた。
マンティスの叫びが大きく響く。
ギィエエエッ!
これで勝つる!
マンティスは信じられぬといった視線でヒロを見る。
そして、再び威嚇。
ヒロはここぞと瞬動で、右がガラ空きのマンティスに近付き、短剣で胸を突き刺す。
マンティスの悲鳴が轟く。
そして、離れ際に突き立てた短剣に向けて、火の矢を数発当てて行く。
終わった。
マンティスは焼かれながら身動きもせず、静かに崩れ落ちる。
そして、ヒロは応援してくれた観客に向けて挨拶をした。
その語、控室に戻って行く。
「よくやった、ヒロ」
「ありがとう、ロック。
まぁ作戦通りだったし」
そこでロックに迎えられた。
「スキルもほとんど使ってないし、順当ってとこかな?」
「うん、今回は大した相手ではなかったからな。
ところで、ヒロに新たなトレーナーが付く事になったんだが・・・」
「え?
だって、ロックがいるのに?」
「俺は闘技を教えるだけだが、魔法は無理だろ。
そこで、魔法の講師が必要だろう。
紹介するぞ」
そこで控室に入ってきたのは・・・。
「え?
キャシーさん?」
「お久しぶりね、元気してた?」
「うそ!
なんで、そこに?」
「うん、それは今から説明するね」
ほんとにキャシーだった。
そこで微笑んでアタシを見てるのは、まぎれもなくキャシーであった。
アタシはあまりにも嬉しくて泣き出しそうだった。
「あ、アタシ・・・」
ダメだ、声にならない。
「あらあら、色々と大変だったわねぇ・・・」
そう聞くと、体がもう止まらなかった。
キャシーに駆け寄って、抱き付いてしまう。
そして、爆発したように涙がこぼれていった。
「もう大丈夫、大丈夫よ、ヒロ」
どうしよう、涙が止まらない。
今まで、張り詰めていた何かがアタシの中で崩れていくのだった。
キャシーとロックは互いに見ると頷き合った。
数分後、アタシは気を落ち着けるとあらためてキャシーを見る。
まぎれもなく、キャシー本人である。
「でも、キャシーさんがなんで、ここにいるの?」
「うん、話したいことはたくさんあるわ。
でもね、その前にこちらの話を聞いて頂きたいの」
「やれやれ・・・」
ロックは頭をかき上げた。
そして、アタシとキャシーはロックを見る。
「もう大丈夫か?」
「うん、ゴメンね、ロック」
「二人は既に知り合いだったようだから、紹介は要らないようだな。
さて・・・、俺が教えられる事は剣技のみで魔法は無理。
と言う事で、キャシーさんを魔法講師に迎え入れたという訳だ。
我々はこれから、チームであり、今いるメンバーで闘技試合に臨むという訳だ」
「そうだったのね、宜しくね、キャシー」
アタシはキャシーに手を振って、あらためて、挨拶をした。
「うん、これからは大舟に乗ったつもりでね」
キャシーは大きく微笑みながら挨拶を返した。
「早速だけれど、いい?
ロックさん」
「ん?
あぁ、だが闘技が終わったばかりだから、今日は訓練の予定はないぞ」
「やぁねぇ、つもる話があるに決まってるでしょ。
気を利かせてくれなきゃ」
そこで、キャシーは笑った。
「そうだな、今日は君の歓迎会、及び、我々のチーム結成を記念して、祝いたかったのだが・・・」
「それは夜でもいいでしょ、そこはロックに任せるわ」
「OK、判った、ゆっくり話すといい」
ロックはそう言って控室を出た。
「じゃあ、私たちもここじゃなんだから」
「うん!」
アタシはキャシーの左手を掴んで、控室を後にした。
まさか、キャシーと再び会えるなんて、ね。
とんだ醜態だったわ。
でも、これで魔法の問題は解決したわ。




