捜索
ヒロはどこにいるのだろう。
生きていて欲しい。
私は絶対に見つけ出す、ヒロを。
時はまだ、ヒロが闘技者として、訓練が始まった頃・・・。
キャシーはデビス村を捜索していた。
「あぁ~っ、まいったなぁ・・・、まさか、魔族が攻めて来るとか。
私が留守してる時に・・・、ムカつくったら、ないわ!」
辺りは焼け野原と化している。
どう見ても、複数の魔物に滅ぼされたのは、一目でも明らかである。
それにキャシーは感知していた。
その場に魔族のいた気配を。
そもそも、この村はヒロと出会った場所で、王都からはかなり離れた場所であった。
それだけに魔族の襲来を防ぐのは難しいと言えた。
今、キャシーが探してるのは無論、ヒロである。
その居場所は、ヒロの所持してる指輪で判るはずなのだが・・・。
キャシーも同じ指輪を持っており、ヒロの持つ指輪と対となっている。
その指輪は魔力を使えば、互いに所在位置が掴めるようになっているのである。
しかし、それがまるっきり反応がないのだ。
キャシーは焦っていた。
そう、まるでその魔力を阻害してるかのようでもある。
「これだけ、探してもいないとなれば・・・、弱ったなぁ・・・」
そんな時だ。
ふいに指輪からの反応を感じた。
「これは・・・?」
そして、その指輪が方向を指し示していた。
これでヒロは確実に生きてる事が判った。
問題はウンともスントも言わなかった指輪の反応が今した事だ。
やはり、魔力が封じられてるのだろう事は容易にうかがえた。
それがなくなった今、反応を見せたのだろう。
ということは、今のヒロは立場的にヤバいことにもなってる可能性もあった。
「この方向と距離からして・・・セイデン・シティ?」
あそこは確か・・・、カイデン男爵領の・・・。
奴隷商との結びつきがあるとかないとか、黒い噂の絶えない奴だっけね。
魔族襲来と関連してるのかな?
偶然にしては出来過ぎだし・・・。
まさかねぇ・・・。
黒い噂があるのは知ってるけど、魔族とまで?
「あっ・・・」
途端に反応が途絶えた。
やはり、間違いない。
ヒロは監禁されているか、それが一時的に逃げ出したが、また捕まったのだろう。
これはすぐにでも救出に向かわなければならない。
「セイデン・シティか、蓋は空けてみなきゃ判んないよね。
まぁ、調査してみる価値はあるわね、行ってみるか」
キャシーはそのままふいっと消えた。
そして、一週間の後・・・。
キャシーは未だにセイデン・シティにて、ヒロの行方を捜索していた。
が、手がかりすら手に出来ないまま、ヒロを見つけられずにいた。
例の指輪も何の反応なしである。
ん~、まいったわねぇ・・・。
もう夜になってしまったわ。
うん、後は明日にしよう。
そうと決まったらまずは食事ね。
キャシーは飲食店に入り、テーブルに着いて、メニューヵら食べ物を注文した。
そして、大きくため息をもらした。
どうしたもんかなぁ・・・。
そして、指輪を見つめる。
ヒロ、あんた、どこにいるのよ。
ほんと、役に立たない指輪だわ!
キャシーは指輪を投げたくなる衝動にかられる。
あ、だめだめ、これはヒロの居所を知る手がかり。
でも、こうも無反応だと、ねぇ・・・。
そんな折り、キャシーは耳にした。
それは近くのテーブルでバカ騒ぎしてる客たちの会話である。
「今夜はその少女がシルバーフォックスと闘うんだってさ」
「な?
見物だろう?」
「どんな目に合うかな?」
「おいおい、ひでぇな」
下品な笑い声だ。
耳障りである。
しかし、キャシーは確かに聞いた、その話題の前にヒロと。
「だがよう、そのヒロって女、まだガキだってぇ話だよ。
闘えるのか?」
「さぁな?」
「そいつはその目で見にゃ判らんわ」
ヒロが対決?
もしや・・・、コロッセオ?
あの奴隷を闘わせて、見世物にしてるアレか?
ヒロはそこにいるの?
「とにかくよ、賭ければ大穴だぞ?」
「待てよ、ちっこいのが勝てる訳ねぇだろ」
「だがよぅ、そのちっこいのが、とんでもねぇ破壊力の魔法を撃つって噂があんだよ」
「へぇ・・・?」
「だからな?
こいつはひょっとしてひょっとするかもな」
指輪を外したのね?
それで居所が掴めない?
いあ、でも、あの後、また指輪が反応を示したし・・・。
やはり、拘束されてるっぽいね。
今夜か・・・行ってみよう。
あれから、キャシーはコロッセオへ、ヒロを見に向かった。
コロッセオに着いた頃、そこは異様な空気が漂っていた。
人々は沸きに上がって、高揚しきっていた。
いよいよ、闘技場が見える頃、一層、歓声や罵声等どよめきあっていた。
闘技場が眼下に広がった時、それはいた。
「ヒロ・・・、やっと、見つけたわ・・・」
キャシーは嬉しさで涙がこぼれそうになる。
無事だったのね。
良かった・・・。
ヒロ、良かった、生きていてくれて・・・。
でも、闘技試合だなんて、ヒロが無事でいられるかしら。
早く、救け出さなければ・・・。




