ムードメーカーに就職先の紹介を
今回は問題児三人の最後の一人! ムードメーカー視点です!
ムードを作るのはなにも好意だけではない!
触らぬ神に祟りなし、危険物に触れない暗黙の了解のも立派なムードだ!
トラブルメーカー───お嬢様や禊からはさんざんな扱いである学園の問題児代表の【仍 侃那】はホームルームが始まるまでの空き時間に購買に寄ろうと廊下を歩いている。 そこに彼女を見つけて走り寄る影がひとつ。
「あ!朱京ちゃん!こっち来て、はやく!はやくぅ!」
彼女の名前は【喜楽 阿智】ムードーメーカーの数多い知り合いの中でも特別な仍 侃那に好かれた人物の一人で、それ故に昔から苦労している彼女の幼馴染みである。
「え、なにー?」
「トラブルメーカーさん先輩がグラウンドの上空に写ってるよ!」
「ああ、それねー。いやー、あれ面白いよね~?毎回漫才みたいになって毒気抜かれちゃうひと多いよね~」
「わかる~!本人達は隠してるつもりだけど先輩後輩ってだけじゃないのがわかるくらいに仲睦まじいから娯楽でしかないよね~?...いや、そうじゃなくて!今日は一体どんな大事件が起こるのかな~って!それだけだから!ね!」
どうやら、またいつもの趣味に走っているらしい───そう結論した朱京《仍》 侃那は『今朝のアレのコトかな?いや、お嬢様達も大変だね~』なんてコトを考えている。
まさかこの後には情報のリークを誘発するために現場の情報をリークしたことを詰められるとは思ってもいない様子。
(私も楽しみだなぁ。昨日のコトをあのクズ肉に教えてよかったなぁ。やっぱりどんなモノも使いようだよ、私にかかればこんなものだよねぇ~?ひひひっ)
彼女は結構図太く享楽家で、大抵のことについては悪いとも思わない、そんな彼女は親しい友人達からは外道などと呼び鳴らされていた。現在進行形でその人数は増加中である。
彼女がムードメーカーと呼ばれる特別な人間なのはなにも皆から好かれているということではない。 むしろ、普通の人間よりは嫌われている人間が多いのはいくら知り合いが多いとはいえ敵がいないこともないなら当たり前の話だ。 人間関係を築くというのは敵を作ることだと朱京は常から言っているくらいだ。
「はいはい、わかった、わかったから要件を言ってよ~」「あっ!うん。いつものやつなんだけどお願いできる?実況席はとってあるから!」
「えー。普通に面倒なんだけど...」
「そこをなんとか!」
「あなた達ってあれのことになると気持ち悪いくらいに熱心になるじゃない?それが嫌なのよね~」
「幾ら欲しいんですか!言い値で払いますよ!」
「私ってお金稼ぎは趣味じゃないのよ~」
「うっ...。わかりましたよぅ...。背に腹はかえられません...。いつものやつにはえっちなぽーずのやつでお返ししますよ...?」
「おっけ!交渉成立!さっ、はやくいくよ~!」
彼女達が言ういつものやつとは毎回の決まりごとで、会長とお嬢様という学園屈指の問題児三人グループの一角としてその内心の解説を行わせたり、彼女らの交遊関係をつまびらかにする奇特な趣味をもつ少女らとの秘密の関係のコトである。 その内容は相手の羞恥心をほどよく刺激したり罰ゲームを行わせるなどして侃那の欲求を満たす娯楽目的の行為であり、新たな扉を開かれる女の子も多いとは喜楽の親友の談である。
恥ずかしいことと、興味や嗜好は別なのだ。
「皆~、ただいま~...。連れてきたよ...」
「お、帰ってきたか~」
「やっほい!さすが喜楽はしゅきょーさんに嫌われてるのか好かれてるのかわからないよね!」
「好かれてるんだろうけど、愛し方が歪んでるんだよね...」
疲れた顔で肩を落とす喜楽と、それをみてニヤリと意地の悪い顔を浮かべる侃那。 傍目からみて粘着質で不器用な性格の先輩と苦労人気質だがそんな先輩を憎めない
後輩の関係はとても微笑ましいものがある。
若干一名のみその関係を否定する後輩の姿は皆の目には留まらずただならぬ噂もよく立っている。
(そんなところも私は愛せるんだなぁ~!ちょっとずつ墜ちてきてるのが堪らない程に可愛いくて我慢できないよ~!)
「よくわかってんジャーン?そう、仍 侃那は可愛い娘ほどに意地悪になってしまうのだ~!」「自分で言ってるんじゃねーよ...」
呆れて返したこの少女は、とても少女とは思えないような182cmの体格と筋肉質な戦士体型の特徴的な金髪碧眼の女番長で、結構な良家のお嬢様なのにグレてしまった【神無月 因幡】。
両親としては勉学に不安があったところを異能力の覚醒でこの学園に入学させられて至極ほっとしたという。
「にししっ、可愛いっしょ~?」
「ほんとーに、敵にも味方にも容赦ないよね!」
「誉められちゃった!?」
「誉めてるのか...?いや誉めてるのか」
にぱーっ!という表現がよく似合う表情で嫌味を言い放つこちらの少女は【如月 皐】黒髪のよく似合う可憐な少女で剣道部の主将である。
中学を卒業とともに両親は軍務に就いており独り暮らしになっていたところをこの三人はシェアハウスをしているのだが、その家事のほとんどをこなすみんなのおかあさんである。
「お?皆ぃんなぁ私が怖いのかにゃ?にゃんにゃん?」
「そんなわけないでしょ耳年増モンスター?あなた男の子に興味なさげだけどまさかレズじゃないわよね?」
「もしそうだったらどうするぅ~?」
「どうもしないけど、とりあえず私を騙して色々やらせたことに罪悪感はないの?」
「いやー、ないね~?喜楽は結構ノリノリだったジャーン?むっつりさんに感じる罪悪感はないねぇ」
「なにそれ、ありえないわ~。わたしはレズじゃないわよ?あなたはそうみたいだけどね」
「たはは。そうだといいね~?」
阿智と侃那は互いに煽りあって冗談を言い合い、皐と因幡は見守りながらいつもの時間が過ぎて行く。
「いやね、全部冗談よ?」
「そう?それは残念だなぁ~?」
「なにがよ?」
「阿智なら付き合ってあげてももいいな~って少しだけ思ってたからね~」
「朱京ちゃんは私みたいのがタイプなワケ?」
「ん~?そうだね~、この学園では一番面白いから好きだね~」
「告白?」
「いんや?プロポーズだね~」
「どっちがお嫁さんなワケ?」
「私たち両方がお嫁さん側の意識なんだからお嫁さんが二人だね~」
「ブーケトスが面倒そうね、それ」
しかし、実態はオモチャを遊ぶ二人と知っていて利用している侃那、そして知らずに翻弄され順調に絆されている阿智という関係が正解である。
「なあ、これってあれだよな?百合ってやつ」
「そだね。理想のベアじゃない?」
「本人は意識してるんだろうけど、両方とも恋愛でキャーキャー言うタイプじゃねーしなぁ~ 」
「片や色々経験豊富だけど奥手で肝心な時に押し倒せないエスなのに受けな朱京、片や純情可憐と言えば聞こえはいいけど実際は童貞くんなむっつり阿智さんだからね」
「「会長達もいいけどこっちもいいもんだよ(ね)」」
「ほんと役得だろ」
「もう最高ダヨネっ!」
親友二人は肩を組んでお米のジュースを飲み干した。
顔は火照っており、観るだけならば扇情的な風景であるが、実際はヲタク仲間のどろどろとした欲望の坩堝でありそこにはオジサン二人が肩を組んでいるというのが事実として正しい。
───そんなこんなで思い思いの日常を過ごす異能力者達が仮想世界を遊び尽くすのは、この後に控えた期末試験を終えた後にある長期休暇のことになる。
「休みの間もイチャイチャしてんだろ、アレ」
「そういえばさ、美夜って中間やばかったけど期末は大丈夫なワケ?」
「いや、私や美夜よりお前の方がヤバイからな?お前次に赤点なら補修行きだぞ...?」
「エ?」
「エ?じゃないが?」
───尤も、期末試験の後に休みがあるかは未だ決まってはいないのだが。
百合っ!書かずにはいられないっ!
...R15タグ追加しなくて大丈夫ダヨネ...!?
ま、やばそうならKENZENが健全ななるだけだからいっか!
というわけで!
いかがでしたか?今回はここまでとなります!
ここまで読んでくださり本当にありがとう御座います!
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次回投稿はです!