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変貌

んぎぎぃ 四千文字を分割投稿したい...!!けど内容が丁度よく区切れないから仕方なし...!!


「さて!それじゃ今からこの世界での貴方達について話すね!」


「(話の続きをしたいのだけれど、相手は女の子っぽいとはいえ自称悪魔の異形...大人しくした方が良さそうかしら)───宜しくお願いするわ」


 それを察したアンリエットは強引に話を戻すことにしたようだ。───禊もその思惑を察したが、起こらせるのも得策ではないと強引な話題の転換を黙認した。


「貴方達は今から此の世界での身分や経歴についてを抽選するコトになるの!例えばその辺の道端に転がされてる浮浪者にも生れば...世界一の財閥の御曹司に生まれるコトもある!」


「それはどうやって生まれるのかしら」


「それは伝えられないんだ~!ごめんね~!」


「何故伝えられないのかしら?」


「この場所では私が出来ることは制限されてるの!私は貴方達を招いたゲームマスターとの間に取引があってね!契約違反はできないんだ~!」


「それなら質問を少しだけ変えてみましょうか。契約で縛られていなければ私にそれを教えても構わないのかしら」


「契約違反でなくても構わないことはないよ」


「それはつまり、あなたは私に嘘を憑くのかしら」


「憑かないよ~!だから安心してね~?」


「そう」


 アンリエットの誤魔化しを正して、禊は暫く思案顔で考え込む。


 アンリエットはにこっ!として微笑みで禊を眺めている。


 (人に敵意のある怪物が大人しくしているのは、言葉で言葉で人を惑わすか、暴力を用いるのは定番よね。そう考えると、ゲームマスターが性格が歪んでいなければ情報に嘘が混じることはないようになっていると、そう考えて良さそうね。警戒はしているべきだけれど。となると気になることは───)


「その世界での身体には以前の人格や記憶はあるのかしら」


「人格は魂こど抜け落ちるよ!記憶は心に染み付いたモノだから元の心がどうにかされない限りは残るけど引き出せるかは解らない...貴方次第かな!」


「...大体理解した。つまり、突然に別人格に目覚めた頭の可笑しい集団として目的なく過ごせと、そう言いたいのでしょう?」


「そゆコト~!」


「愉しそうにしているじゃない...。それで、あなたの名前と私のこれからについては理解したけど貴方はいったい何者なのかしら」


 禊はずいっ!とアンリエットの側に寄り、横から顔を見詰めるようにして伺う。すると、アンリエットは流し目で視線を返し、怪しげな眼差しを返す。


「あ、気になっちゃう?」


 爬虫類のような瞳は細められ、尻尾は禊の柔らかな頬に撫で付けられ、危機感を煽るように蠢いている。


「当然でしょう。知り合ったら自己紹介はするものよ?...余程疚しいことがない限りはね。自己紹介は他人に自分を理解させるための第一歩でしょう?」


「それはそうだけどさ~?」


 禊は威嚇するように笑みを浮かべて、アンリエットから向けられている爬虫類の尻尾を払い除ける。

 私はお前が何も出来ないと高を括っていると、強気に示して見せた。


 その禊の強行に、アンリエットは困った人を見るような、何処かしら疲れきったもの特有の仕草で尻尾を取り下げる。


「もしかして契約違反かしら?」


「そんなことはないよ...。私は案内人だね!取引相手から突き付けられた条件の一つで此処に縛られてる!短期就労ってヤツだね!」


「ん~。───察するに短期就労の雇主とは表現しないのは私達を案内することで貴方に直接的な利益はないのよね。そして質問に対する誤魔化しも制限されているわね?」


「そうだね~。もうさ、そこら辺にしようよ~?お互いに、さぁ」


 禊の深く探る意識を認めたアンリエットは怖い笑顔になる。関わりを持つことを否定する、そんな険悪なードが、辺りに漂う。


 対する禊は、どうせゲームだからとリスクを低く見積もっており、恐れる様子もなく。

 "いくら特別な理由からこのゲームに固執しているとはいえ"ゲームマスターなる人物───禊の予想ではあるが、自身をあのように呼称する人物像───に強い信頼感を寄せながら「ゲームがプレイできなくなるようなことはないだろう」と、盲目的とさえ言えるほど手懸かりが失われる筈がないと、確信して。


「あなたが私達を案内することであなたにとって直接的な利益にはならない。質問に対して誤魔化すことは契約に抵触する可能性があって迂闊にはできない。どこか間違っている?」


「そのとおりだよ。間違っていない。でさ、お互いに止めにしない?」


「それは出来ない、といわざるを得ないわ。私の推測が正しいとすれば、あなたは潜在的な敵ということになる。間違っているかしら」


「間違いはあるよ。潜在的な敵ではない、かな」


「つまり、敵になるかもしれない、ではなく。既に敵なのね?そして契約とやらは虚言を許さない」


「止めにしよう。面倒なだけだよ」


「質問に答えて」


「そうだね。私は敵として意識してるよ」


 アンリエットは爬虫類の瞳孔を縦に引き裂くと、如何なる原理か宙に浮き始め、禊の頭を真上に視線を固定するようにして瞳を見下ろす。


 その瞳には、憎悪等でも、激情等でもない。純粋な敵意が宿っている。


(好きの反対は無関心というけれど、どうやら敵視されるくらいには嫌悪されているみたいね。しつこく付きまとわれたから嫌っているようなものかしら?)


 禊はアンリエットに何故嫌われたかを冷静に分析する。考えれば考える程に、嫌われているという事実を認識した禊は、悲しげな表情をする。


 それを向けられたアンリエットは、張り合いがないといわんばかりに溜め息を溢し、禊の頭を解放し白い石の床に足をつける。


「契約では貴方達に対しての如何なる嘘も禁止、誤魔化しも貴方達のどうしても知りたいという意思に反しては不可能、黙り込めもしないよ」


「あなたの名は何かしらの隠された意味がある」


「そうだね~。あるといえばある?ないといえばない、かな」


「先程のあなたからの返答は曖昧な返事ですよね。二回目の誤魔化しは利かないとおもっていましたが...そうではないのですか?」


「もういいでしょ。曖昧な返事とは違って面倒なだけだよ。誤魔化しではなくて、心の底から困ってるの!こういうことは起きると思ってなかったよ!───はぁ」


「ではこれからも素直に答えてくださいね」


「いいよ?素直に話してあげる!でもさ、楽に聞き出せるとは思わないでね」


「?まあ、はい、わかりました」


(素直に話すのに、聞き出すのには苦労する...?んー、よくわからないですね...?)


 禊は不思議そうにアンリエットを見詰め、アンリエットはというとそんな禊を睨み付け、嘲るように笑みを向け、ニヤニヤと禊を嗤っている。


(ただ、怒らせたことは間違いないようですね)


 その感情を抑えきれないアンリエットの様子を見てとった禊は、また悲しげな表情を浮かべた。


「あなたはシェヴェールトという個人名だけれど、ミドルネームは何を意味しているのかしら?」


「それは私の名前だよ」


「それは分かっているの。肝心なのは名前の由来よ」


「私のミドルネームは私の名前以外の何ものでもないよ」


「あなたは───シェヴェールトで、アンリエッタとハイミリヒという別名がある?」


「お!気付いちゃった?すごいねー!」


 禊が幾度かの質問で名前が複数あることを突き止めた時、アンリエットはニヤニヤと嫌らしい笑みで禊を見詰めている。


 禊はその態度に、先程のアンリエットの「いいよ?素直に話してあげる!でもさ、楽に聞き出せるとは思わないでね」という言葉の真意を察した。


───理解しづらい質問、高度な質問は、内容を理解するには多大な時間が掛かる


───故に、チュートリアルのじかんがゆうげんであったりすれば、満足な結果は得られないだろう、と


「成る程?確かに素直に答えていてもききだすのにはくろうしそうですね」


(名前を変える必要があった...というのは社会性の生き物には見えないし、可能性は低いように思える。けれど、名前は社会性の証にも思える。固有名詞が複数あることは、何らかの形でそれが必要だったのは間違いない。他にも幾つか理由は思い付くけれど、名前が複数あるという小さな情報から探るにはまだ知識が聞き出すのには苦労しそうですね足りない。...なんだかんだと質問を続ける限りは答えざるを得ないようだし、その気にさせつつ時間効率を上げて、叶うなら制限時間を引き伸ばすしかないかしらね)


 禊は時間が限られる現状で、アンリエットの解答への時間効率を最大に質問を続けつつ、どうにかして制限時間を引き延ばし相手をその気にさせるための方便として、よくある手法をとることにした。───結果的にそれは間違い、失敗には成ったが、その場での判断は間違いでも、失敗でもなかった。


 失敗だったのは、言葉選びのほんの僅かな慎重さの欠如だろう。


「最後に聞きたいのだけれど、あなたは私に敵意があるのかしら」


 禊が、"最後の質問"と文頭に付け加えた。

 アンリエットは、唖然とした表情を僅かに晒すと、アンリエットの表情を伺って不思議そうにしている禊を鼻で嗤い、晴れやかな微笑みと共に優越感を全面に浮かべて脱力した。


「そのとおりっ!私は君に敵意があるよ~?私は君達の敵になるかもしれないもの達、その一人だよ」


「なぜ、あなたは私に敵意を持つのかしら」


 快活な笑みを浮かべて、禊に返答したアンリエットは、何かから解放されたように晴れやかな様子であり。


 禊はその様子に無理解を示して、取り敢えず疑問を横に置いて質問を再開し───


「ざんねーん!()()()()()はもう終わり!あとは簡単なチュートリアルしか受け付けないよ~?」


 そして、アンリエットの嘲笑った笑顔を、簡単な説明を受けて、自らの失敗を覚った。 


 禊は自らの失敗を覚った瞬間から未練や後悔を露に、左手を額に遣って頭を抱えて、諦めたように溜め息をついた。


「そう。もしかして、最後の質問は強制力が強いから仲間がいることを話してくれたのかしら?」


「そうだね。君は無駄にその権利を使ったってコトだね!もっと聞きたいコトは沢山あったでしょ?いや、愉快愉快!」


 アンリエットはとても晴れやかに、禊の失敗を覚った様子を、頭を抱えて困り顔を晒す禊を笑い者にして、満足感をありありと浮かべている。


 だか、何か思案するように目線を上の空にして、何かを思い出したように「あ」と声を漏らし、スッと禊の横に並び立って見上げるように視線を合わせると禊にとってこのゲームに興味を、関心を寄せられた原因であるそれを告げた。


「でも、これだけは言っておこうかな?───会いたかったよ?ゲームマスターの娘さん!」


「!───一番聞きたいコトを教えてくれてありがとう、悪魔さん?」


 禊は挑戦的な眼差しを、アンリエットは"特別な人"を目に焼き付けるように、目の前の悪魔に、目の前の世界に、時間切れになり白い石の世界から追い出される直前まで交わし合っていた。

いかがでしたか?今回はここまでとなります!

ここまで読んでくださり本当にありがとう御座います!


続きはブックマークをして、☆☆☆☆☆を★★★★★にしてお待ちください!


次回投稿は6/21です!





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