表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喫茶アーネンエルベの事件簿-1st Case-  作者: 青天
はじまり₋浴室の偽り₋
6/9

捜査開始

 理央は腕を組み、目線を少し下げそっと目を閉じた。

 瑠衣から聞いた話を整理しているのか何やらぶつぶつと呟いているが、瑠衣には理央が何を呟いているのか聞き取れない。

 理央は静かに目を開くと、静かに口を開いた。

「あなたところに聞き込みに来た刑事はどこの刑事ですか?」

ー刑事さんのことを聞いてどうするんだろう?

 理央の問いに疑問を覚えたが、夏川が話していた噂のことを思い出した。噂では警察の捜査に協力しているらしいと夏川は言っていた。夏川や皆が口にする噂が本当だとすれば、刑事の知り合いがいても不思議はない。

「名前は憶えてないですが、たしか…新宿署の刑事だったと思います」

 瑠衣は一度は出かかった疑問を飲み込み理央の質問に答えた。


 理央は深いため息をつくと、おもむろにポケットからスマホを取り出した。

ーまたため息…

 理央のこのため息が何に対するものなのかわからないが、瑠衣はなぜか申し訳ない気持ちになった。

 そんな瑠衣を尻目に理央は携帯で電話をかけ始めた。

「もしもし、理央です。鯨井さん殺害の件について聞きたいのですが」

 理央の話から、会話の相手が刑事であることはすぐにわかった。

「やはりこの事件の担当は新宿署でしたか」

 そういった直後に理央はあからさまに深いため息をついた。

 この理央のため息で、先ほどの理央のため息の理由を察した。

「いえ、べつに他意はありません。もう少し頭を使って捜査してほしいと思っただけです」

 理央の口調で通話の相手と親しい間柄だというのが理解できる。

 親しい関係とはいえ、刑事にこのような皮肉を言える理央に驚きを隠せない。

「そういう小言は今度にしてください。僕は後藤さんと違って暇じゃないんです」

 あからさまに嫌な顔をすると、理央は背後にある扉から店の奥に姿を消した。


「あの…明里さん」

「ん?どうしたのー?」

「四葉さんは警察の方と知り合いなんですか?」

 瑠衣はカウンターで静かにコーヒーを淹れている明里に疑問を投げかけた。

「そうだね~そんなところかな。腐れ縁とかそんな感じだよ」

 明里はそれだけ言うと、淹れたコーヒーを持ってテーブル席へと歩いていった。

 何かを隠している。言葉を濁した明里に、瑠衣はそんな気がしてならなかった。

 もう少し話を聞こうと思ったが、明里はテーブル席で常連と思しき客と談笑をして戻ってくる気配はない。

 瑠衣は小さくため息をつくと、すっかり冷めてしまったコーヒーを口に運ぶ。


 しばらくするとノートパソコンと思しき物を片手に、店の奥から姿を見せた。

「そうです、いつも通り僕のパソコンに」

 瑠衣の前に座った理央は通話をしながら、慣れた手つきでパソコンを立ち上げる。

「なにかわかったら連絡します。それでは」

 そう言って理央は通話を切ると、パソコンの横にスマホを置いた。

 眼鏡の真ん中を人差し指で上げ、小さく息を吐くとコーヒーを一口飲み口を開いた。

「もう少し詳しくお話を聞かせてください」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ