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序章
水が滴る音が響いていた。
とあるマンションの一室。昼間だというのに、薄暗い部屋。
蛇口から絶えず流れ続ける水は浴槽から溢れ、浴室へと流れ続ける。
「なんで……」
浴室に横たわる男を見ながら、唖然とした様子で男は小さく呟いた。
ーなんでこんなことに
ーなんとかしないと
真っ白になった頭を動かし、ポケットから携帯を取り出した。
「あの……人が死んでいます……場所はー」
それだけ伝えると男は通話を切った。
ーこのままだと、俺は
男は一度深呼吸をすると、行動に移した。