カナリア諸島8
我々の砲撃でズタボロになったガレー船の修復は不可能と判断したため、内部探査後に用意していた火炎瓶で燃やし沈めた。
拿捕されていたポルトガルのキャラック船はポルト・サントまで曳航し修復することにした。
「さて、思わぬ形でいろいろなものが手に入ったがどうしましょうかね。」
ダコスタが積み荷のリストを作成してくれた。
キャラック船の中には結構な量の積荷があったようだ。
・大砲30門
・予備帆20反
・曲刀50本
・マッチロック銃30艇
・大型キャラック1隻(微損)
・小麦粉550ガロン
・小麦300ガロン
・砂糖1000ガロン
・バター150ガロン
・シェリー300樽
・干しブドウ300樽
・捕虜27名
・乗組員2名
ずいぶんと飯の材料が多い。
「ダコスタ君。今からポルトガルのお客さんと話してくるが、どのような目的の航海だと思う?」
「なんでしょうね?よっぽどの腹減らしが乗っていたんですかね?」
「ははは。でもまさにそんな積荷だ。ともかく話を聞いてから対処しようか。その間に捕虜の国籍と目的を確認していてくれ。」
「分かりました。」
「彼らは島に送る。」
「あそこですか… 奴らも大変だな」
「俺らを襲ったんだ。それなりの報いを受けてもらうよ。そもそも海賊行為を行った彼らは本来括り首以外にはらないんだよ。命があるだけ感謝してもらいたいぐらいだ。」
さっきからクリスが捕虜たちを再度検分して回っている。
「クリス!捕虜を殺すなよ!」
「えぇ 分かっています。でもこいつらどうするんですか?」
「ダコスタ君に詳細を調べてもらう。クリスも手伝ってやってくれ。アラビアとトルコの言葉だったらお前か俺しか分からないからな。方法は問わないが殺さない程度にやってくれよ。」
「素直に答えてくれるといいんですがね。」
ダコスタとクリスで尋問が始まった。
さっきから2、3発銃声が聞こえているが気にしてはいけない。
俺にはやることがあるからな。
「ライトー!手伝ってくれ。」
「なんでしょ?」
「ポルトガルのお客人に軽食を用意してくれ。パンとコーヒー、ハムなんかがあるといいな。」
「ムルーとルーシも食べたがってますよ。」
親指をマストトップにさすライト。
2人が聞き耳を立てている。
「2人のおかげでこっちの被害はなかったんだ。2人にも食わせてやってくれ。他にも腹が減ってる奴がいたら用意してくれよ。」
「了解です。ムルー!ルーシ!降りてきなー!船長が食べていいってよー!」
いそいそとマストトップから降りてくる2人。
「ムルー、ルーシ。今日はありがとう。2人の目と耳がこの船を助けたんだ。」
「「俺たち役に立ってる?」」
「もちろんだ!」
2人の頭をクシャクシャにしながら今日の成果をねぎらった。
ムルーもルーシも笑顔があふれている。
と言っても2人にとってはライトの飯のほうがよっぽどご褒美か。
さて、ポルトガルのお2人の話を聞こうか。
招かれざるお客さんでなければいいが。