カナリア諸島4
食事の時間も終わり東方にカナリア諸島が見えてきた。
太陽は真上を過ぎ少し西方に移動していた。
クリスの酔いもさめ再び舵を任したがやはり昼飯から起きるまでのことは覚えていないようだ。
あとでライトに聞いたら前半組の食事だけで1樽ヤシ酒を開けたらしい。
どう考えても飲みすぎだ。
後でダコスタに叱られる彼らを思うといたたまれないがしょうがないだろう。
カナリア諸島を超えたらマディラ諸島も見えてくる。
上陸の準備を指示しようとした。が…
「おやぶ~ん!なんか変な音が聞こえるよ~!」
ルーシが大声を出した。
「どんな音だ?どっちから聞こえるかわかるか!?」
「なにかが破裂する音だよ~!右前の方から聞こえる~!」
破裂音?
大砲を撃ってるか?
何とか状況を確認できないものか。
「ムルー!そこから船は見えるか!?」
「船は見えないけどピカピカと光ってる!」
「そうか。もうルーシでも目視できるか!?」
「うん!見えてるよ!」
「分かった!ムルーは大砲室に行って測量士を手伝ってやってくれ!」
光っているのは大砲か炸裂弾か。
どちらにしろ航路上に厄介ごとが待ってそうだ。
「クリス、ダコスタ君を起こしてくれ。」
「副長をよびますか?カナリアの海賊であれば我々だけでも対処できると思いますが?」
「万が一だ。なんにもなければ良しとしようじゃないか。」
「分かりました。呼んでまいります。」
クリスはブリッジを降り副官室にダコスタを呼びに行った。
俺はブリッジから全船員に聞こえるよう指示を出す。
「総員!甲種戦闘配置!相手が手を出してきたら応戦するぞ!甲板班は俺の指示で帆を閉じ錨を下ろせ!その後剣撃隊はダコスタ君、クリスと共に切り込みに対応!後詰隊は乗船支援を行う。砲術班と測量手は大砲室へ!船が停まったら砲撃だ!ライト!給養班に火炎瓶を作るよう指示してくれ!」
最悪の場合を想定し一戦交える覚悟で戦闘準備を指示する。
何事もなければよいが。