マーリーとアリシア
基礎外国語科目というのは必須科目であり、多人数が一つの教室に集まる科目である。
そこににオーク子爵家のマーリー令嬢がいた。
オーク子爵は西域に領地を持ち、外交官として外国に任務していた、確か大陸の中の一国に何年か出ていたと、モネは記憶している。マーリーは学園に中級から通っていた。
マーリーは、なんというか自由な性格で、クラスの男子に積極的に声をかけていた。
上級、15歳になると男子・女子学生ともに家の決めた婚約者がいる場合がある。婚約者のいる男性に女性が気安く声をかけるのは、問題があった。マーリーは16歳であった。彼女は、外国風というのだろうか、短いスカート、そして、胸を、誇張したドレス、マーリーが男子学生の腕をとって、胸を押し付けている場面を何度か目撃された。
そしてマルス・クローネン侯爵令息の腕をマーリーが掴んだときに、そこに割り込む女性がいた。アリシア・ネーデル侯爵令嬢。マルスの婚約者である。
アリシアの実家は古い貴族である。ネーデル侯爵とクローネン侯爵は王国議会の上級議員で右大臣公爵の派閥である。
アリシアは古い道徳と婚姻を当然のように受け入れていた。しかし、マルスはそんなアリシアに不満があったようだ。美人で背が高く、そして優秀、冷たい感じがするが、それはどの令嬢でも似たようなもの。
そこにマーリーが現れた。
マーリーは可愛い感じの女性で、そして笑顔で、感情を表に出す性格だった。外国生活が長いからだろうか、自由な性格だったので、そこにマルスは惹かれて、街で一緒に歩いているのを見かけるようになった。
マーリーはマルスの他にも多くの男性と仲よかった。独身男性で、婚約者のいない男性なら、未来の奥方として見られるために問題はなかっただろう。しかし、上級の、それも15歳以上の男性となると婚約者のいる男性も少なくない。
マーリーをアリシアが注意する場面が何度か見られるようになった。アリシアは道徳的に問題があることだとしてマーリーを注意するが、マーリーは「悪役令嬢キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」とか言って笑って逃げるのだった。
アリシアはマーリーを見てげんなりし「あんな方にまとわりつかれるなんて、貴方も隙きがあるからね」と、マルスを睨んだりしていたのだった。
ある日、モネが廊下をあるいていると前方からアリシアが歩いてくるのが見えた。と、その後方にマーリーが現れ、アリシアに向かって走り出したのだ。モネの表情から異変を察知したのだろう、マーリーをすんでの所で躱すアリシア、マーリーはバランスを崩して倒れ込む。そして
「痛い!アリシアさん、ひどい!!」と泣き出した。
アリシアは突然のことにびっくりして声を失うが、そこにマルスが登場。マーリーに手を差し伸べて、助けあげる
「どうした?マーリー」
「アリシアさんがひどいの、私を突き飛ばしたの!」
思いもよらない事態に呆然とするアリシア
そこに普段からマーリーと仲の良い男性が通りかかる
「ミスアリシアは普段からマーリーにひどいこと言ってるよね!」
マルスはアリシアを睨みつける
「そうなのか、アリシア、そんなことなら君との婚約は考え直さなければならない」
他の男子も
「学園の生徒としても問題があるんじゃないかなあ」
アリシアは蒼白である
「そんな、私、突き飛ばしたりしてない!」
「やってない証拠はあるのか?」
アリシアを睨みつけるマルス。
「証拠はありますわ」
と、話すモネを全員が注目する
「私はアリシア様がこちらに来るのを見てましたの。そしたら、アリシア様の後ろからミス・オークが走ってくるのが見えて、すれ違いざまにミス・オークがバランスを崩してコケましたわ。」
「そんなとこはない!モネさんから、私は見えなかった筈よ!」
「じゃあ、アリシア様の真後ろを走ってきたと言うわけですの?そのままぶつかったらアリシア様を突き飛ばしてしまうのに?」
ぐっと声を詰まらせるマーリー。
「先日からアリシア様とミス・オークの言い合ってるのを聞きました。ここは貴族の通う学園ですわ。どれだけ学園の中では平等とはいえ、それは貴族という土台の上でのとこで、マナーを守るべきではないかしら、アリシア様の仰ってることは、貴族としては常識の事ですわ。」
「ふん!頭が硬いおばさん!」と、言い残してマーリーは立ち去った。
「おばさん・・・確かミス・オークは私より歳上なのではなかったかしら」モネの言葉に周囲が湧く。
「モネさんありがとう、助かりましたわ。」
「どういたしまして、アリシア様」
「『アリシア』でよろしいですわ。あの、よかったらお茶にでも誘いたいのだけれど、今度のお休みはいかがかしら。」
「ありがとうございます」




