どさくさに紛れて色々ぶん取る男
6択選択拒否。
急かすな。
契約はしたくない。
競い合うように
同じ言葉を唱えていた6人だったが
一向に成立しない契約に焦りを感じているようだ。
「もうマナが持たない、真聖獣レベル?」
「人タイプの召喚獣なんて中々のレアだけど、これはハズレ。絶対この召喚獣、召喚応じた癖に全く契約する気がないわ いらんわコレ」
「ボロボロの髪いらないし、マナが急激に吸われてこのままだと ガクッ」
「契約という形でつながるより、このままマナ浴びせて隷属させる方が手っ取り早いぞ」
「ン拒否するゥ」
だが中年男は6人からのどんな要求も要望も受け付けないと心に決めていた
「ン拒否スルゥ‥‥‥なんか気持いィィ」
召喚された中年男はと言うと
どういう訳か6人から強制的に吸い取り放題の活力を浴びて、
身体の不調が怖ろしい勢いで回復し健康体になっていた。
ボロボロの爪や髪は艷やかに、
落ち窪んで生気の乏しかった目も、
古傷や若い頃に痛めた膝、腰痛、アトピー、歯周病やバネ指。
医者が人間ドックで見逃した腫瘍も、全部、全て。
あり得ないぐらいの健康体を取り戻していた。
超ピンピンである。
一人またひとりと崩れ落ちる召喚士たち、
殆どは白目を剥いていたり泡を吹いていたり気絶する壮絶な様態で
意識がまだ残っている古代コインの女と剥製の女も
召喚獣を服従させるのを諦めて、
生きも絶え絶えといった感
焦りを思念が伝えてくる
「望むぅ、、
閉門送還、送還閉門。」
2人とも必死の形相で唱える
中年男にはいつの間にか
6人の話す言葉と意味が理解出来るようになっていた。
「おっ?送還に閉門ね。」
帰ってくれって事?そんで門を閉めるって事ね。
願ったり叶ったりな提案にもちろん乗りましょう。
そして帰る前にゴネましょう。
『わざわざ珍しい場所に呼ばれて
何も無く帰るのは何だから、何か記念になるものでも持って帰りたいな。』
と思ったとたん
6人から何か輝きが飛び出して中年男の胸に吸い込まれた。
そして、その途端に
また視界が暗転した。