前編
運営に何か言われたら消します!
この世界は人の代わりに軍事ロボットが代理として戦争を行っていた、人が死なない無人戦争が2箇所の大国によって100年に渡って繰り返されていた。
そこで僕は生まれた、生まれてすぐに聞いた言葉。
「お前には心がある、だから自分で考えて自分のために行動するんだ、お前は兵器などではない、人を知るんだ、きっとお前を大切に思ってくれる人が現れるはずだ!」
しかしその言葉の意味は分からなかった、ぼくは軍事ロボットとして生まれた、なら戦うのが生きる意義、存在理由なのだ、僕は兵器、人殺しの道具。
僕は毎日戦いに明け暮れ勝つたびに褒められた。
「さすが我が部隊のエース、これからも期待しているぞ」
「はっ」
勝つことで僕の存在意義が確立する。
だから僕は勝ち続けるために戦い続けた。
しかしある日敵軍隊の魔法攻撃をくらい吹き飛ばされてしまった僕は森の中で破損個所を修復していると一つの小さな足音が近づいてくるのを感じた。
僕はすぐさま全身武装を起動すぐさま攻撃体制に移る。
「あれ、どうしたの?」
近づいてきたのは一人の女性だった。
「敵意無し、警戒レベル3から1にダウン、民間人と判断、これより対話を試みる」
「君ロボット?」
「僕は、シュバルツ王国第1部隊所属人型対人軍事用ロボ、個体名X-1、現在破損箇所を修理中、しかし物資が不足救援求める、どうか助けてほしい」
手を伸ばすがX-1は目の前の女性が助けてくれる確率はゼロに等しいとわかっていた、今悲鳴を上げて逃げないだけでも奇跡だ、目の前にいるのは人一人くらい簡単に殺せる兵器なのだから。
「いいようちおいで、部品? とか色々あると思うから、動ける手貸そうか? 私の名前はアイリ」
女性はあっさりと目の前の兵器の言葉を受け入れ冷たい手を取った。
一瞬胸のコアの温度が上昇したが破損しているせいだと判断した。
「はい、ここの部品全て使っていいよ」
僕は様々な部品が収納されている部屋に案内された、どうやらこの女性の職業は修理屋だそうだ、民間ロボットも直すようで専門の部品もあった。
部品をもらい受け修理しているとアイリがコーヒーを持ってきた。
「君コーヒー飲めるよね?」
「肯定、僕は人であれと作られた軍事ロボット、五感もある」
「へぇ、凄い精密な作りだね、きっと君を作った人は君を作って実の息子のように思ってたんだね、凄い愛を感じるよ」
「愛、不確定な物質、存在しない物質、人が性行為するために発する言葉
「そんなことないよ、ちゃんと存在してるよ」
僕は首をかしげる。
なにを言っているんだこの人間はと思った。
「愛ってのはねここにあるんだよ」
そう言って自分の胸を抑える。
「心臓?」
「違うよ、心の中にあるんだよ」
「心、人間だけがもっていると言われている言語」
「違うよ君の中にもきっとあるよ、君もいつか誰かを愛することができるよ」
「否、必要ない、上官が言っていた、誰かを愛したら弱くなると、守るものがあると弱くなってしまうと、僕が強い者になるのを上官は望んでいる、上官の意思イコール国の意思」
アイリは僕の頬を触り優しく撫でる。
「そんなの本当の強さじゃない、もちろん守る者がいると時に君を弱くしてしまうかもしれない、でもね弱さを知るってことは強いってことなんだよ」
そう言ってアイリは笑った。