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バイトスタート???

バイト先まで私鉄で1本。急行に乗れば20分ほどで終点の梅田だ。そこから歩いても10分くらい。


梅田駅のある大阪はJRも近くにあり便利なのだが広い。デパートなどの商業施設も多い、いわゆる都会なのだ。


 初めて来た人なら迷う確率が絶対高いなと思いつつ、昨日覚えたルートを復習するように楓太はお店に向かう。もちろん、例の蝙蝠の看板を目指して。


 時計を見ると3時半過ぎ。バイトは4時からとなっている。


「いい感じの時間だな、聞きたいことも確認したいこともあるしな」楓太は店の入っているあの古いビルに入っていった。


 昨日は初めてでゆっくり見ていなかったがモダンな感じのビルだ。【おもいでや】の階に着くと昨日と同じ向かいの飲食店から食欲のそそる香りがする。


 人の気配がするようだ「今日はカレーかな、今度食べに行こうかな。何時までだろう?」などと考えているとユイが【おもいでや】の店の前に出てきた。


「あ!楓太君おはよう。昨日はちゃんと休めた?先に店入ってていいよ」とハイテンションで声をかけてきた。


「おはようございます。ユイさんどうしたんですか?何か用事があるなら手伝いますよ」


「違う違う、めちゃいい匂いするやん!カレーかなって思って覗きに出たら、楓太君が来たんやんか」と仕事の時にはあまり出ない関西弁交じりで、カレーの香りに鼻をクンクンさせている。 


 仕事の時の顔とここまでギャップがあるのが面白くて、つい笑ってしまう。


「何よ、何がおかしいの?いい匂いやん!笑うなら楓太君には食べさせへんで」と頬をふくらます。


 その騒ぎが聞こえたのだろう、隣のお店から見るからに静かな男性が出てきた。


「あ!今日はカレーなんですか?2人分を7時にお願い出来ますか?」ユイは俺の答えも聞かずに注文する。


「はい、大丈夫ですよ7時ですね」見た目通りの柔らかい返事が返ってきた。


そしてその店主と思われる男性がこちらに向き直したので、俺は慌てて挨拶をした。


「昨日から、こちらでバイトをすることになりました櫟楓太です。どうも」


「あぁ、こちらでバイトなんですね。いつもユイさんは注文してくれるんですよ。うちは和・洋・中そのほか何でも作るんだ。お弁当もね。気軽に使ってください。私はこの店【うまうま】の店主の三島涼です、よろしく」 

 

 最初の印象通り握手をしても柔らかさが伝わる様だった。適度に切り上げユイと俺は店に戻ったのだった。


「あー今日のブレイク楽しみ。ほんま、あの店のご飯美味しいねん」すでに気分は夕飯へ行ってるに違いない。俺の視線に気が付いたのか


「なに?楓太君、今日さぁ私を見てよく笑うよね、なになになに??」恐ろしい勢いだ。


「いや、ユイさんって仕事の時は標準語なのにプライベートって言うか、ふとした時に関西弁が出るんで、やっぱり関西の人なのかなって思って……」と焦る俺にユイは悪戯な眼差しで


「ほんまに、それだけ?そりゃ仕事は標準語だよ、占いで大阪弁過ぎてもなんだかなぁって感じだからさ。だからプライベートの時や気が抜けた時には元に戻るんだと思うよ。そこはプロって言って!」とオーバーにふんぞり返るユイだが、当然これだけで黙るはずもない。


「ああっ、こんなんでごまかされへんで、食べ過ぎとか思ってるんちゃうの?」と迫ってくる。


「そ、そんな食べ過ぎとか、太ってるとかおもってませんよ!」


「太ってる?私そんなん言ってない!楓太君私の事太ってるって思ってたん?ひどっ」いつの間にか俺が全部悪いみたいな流れになっている。


「本当にそんなこと思ってませんって、夕飯楽しみですね!ほらほら、準備しましょう」と話題を変えるのに15分以上……ユイを知る上で今回のことは俺は大変勉強になった。


「楓太君、昨日はなんとか仕事できたでしょ?多分今日も忙しいと思うわ。」ユイは部屋を掃除しながら言ってきた。


「いつもあんなに忙しいんですか?」


「いつもじゃないけど、そうだな……でもここ2,3年は忙しい感じがするな」とユイは掃除の手を止めていた。


「ユイさん、昨日はいきなりだったし俺もバタバタして帰っちゃったけど……【おもいでや】って何なんですか?俺が昨日預かった袋を瓶に入れたら、何も書かれてなかった瓶に名前とタイトルみたいなのが刻まれて。そ、それに袋を持ってくる人達も、人間の様だけど誰一人として話さないし、ログに残された名前もおかしかったです。名前の様な人もいれば、サインみたいだったり。後で見たら足跡のようなものが残ってた」楓太は今思ってる疑問をユイにぶつけていた。


「楓太君、今怖い?このバイト嫌?」ユイはゆっくりと聞き返す。


「怖いと言うのとは違うけど……。でも、いきなり凄いスピードで過ぎてしまって。自分で考えてもわからないことばかりで……」


「辞めたいなって思う?」瞬きもせずユイは聞く、その眼は寂しさが宿っているようだ。


「辞めたくはないです、続けたいです、ただ――」その時に俺は不安を持っていたはずなのに、やめたくないと答えていた。これは本当の気持ちだと思う。


 俺の言葉を聞き、目の前のユイは一気にいつものテンションに戻っていった。


「良かった!」


 全身でぶつかってくるユイを受け止める形で、俺のバイトは正式採用となった。

 正式に採用となったわけだが、疑問が消えたわけではない。ユイもそれは理解していて、お客が来るまでの時間を使い、楓太に話をし始めた。


「最初にこのお店には2種類のお客様が来るって言ったでしょ。占いかヒーリンググッズを買う人達。そして楓太君が対応する人達。楓太君が昨日受け取った青い袋はね、店名の通りなんだよ。あの中には人の思い出が入っているの。私たちは人の思い出の売り買いをしているってこと」ユイは話を続ける。


「そして運んでくるお客は、人ではない者達……異形って言う人もいれば、妖という人もいる。昨日さ、いきなり楓太君は会っちゃったのよ、その異形の者達の1人にね。すり抜けたんでしょう?男の人が」


 あの時のことを思い出した。説明なんて出来ようがない初めての体験だ。ただ自分の中をぬるくて細胞の細かいところまで触れ合うよな感覚。めまいがして息も苦しくなった。 

   

 ――あの男がお客?異形の者?人間じゃない?よくわからない。


 理解したいけれど、すぐには理解が出来ない。だがどこかで知っているような気もする。


「え、えっ。あれは疲れてて気のせいとかじゃなくて?俺が昨日何人も相手をしたお客様と同じなの?そして、あのお客様が人間じゃなくて異形?妖?それって幽霊とかなわけ?」


「幽霊とは違うけど、この世は見えるものだけで成り立っていないという事。幽霊もいるよ。それ以外にもいるってこと。子供の頃に妖怪の話とか聞かなかった?わかりやすく言えばそんな感じよ。」


 こんな不思議な話を、聞く人が聞けば頭がおかしいのではないかと言われそうな話をユイは真面目にサラッと言う。


「いきなり言われても、すぐには信じられないよ。しかも人の思い出を売り買いってできるの?どういうこと?」続けて質問をする。


「うーん。なかなか簡単にわかりやすくって難しいんだよね。経験を積めば、よりわかると思うけど」ユイは何とか俺に伝わるよう言葉を選んでいるようだ。


「ほら、楓太君でもさ絶対に忘れたくない大切な思い出ってあるでしょう?」


「大切な思い出……まぁ、うん多分」


「それと同じように、消してしまいたい思い出。辛い思い出っていうのもない?まだそこまで辛い思いはしたことないかな?」そう言いながらユイは話を続ける。


「ここには、そんな人がどうしても消したい思い出。辛くて抱えていると生きていけないような思い出が売られて届くの。もちろん最初に言った良い思い出も、たまに売られて届くけどね」ユイは必死で理解しようとする俺の方を向いてニッコリと笑う。


「ま、暗く聞こえるけどさ、ポジティブに言うなら、前に進みたい人、生きたい人の手助け――そんな仕事なのかな。不思議な体験付きだけどさ」


「じゃあ、あの部屋の瓶は……」


「そうだよ、みーんな人の思い出ってこと」


そこまで聞いて俺は、ふと思った。


「ユイさん、このお店の事はどうやってお客さんは知るの?思い出が砂の様になって届くけどうやって?」


「それはね、本当に思い出を手放したいと思った人、願った人には届くのよ……チラシが楓太君みたいにね。後は、私の占いを受けた人で同じように苦しんでいる人だと、メニューのリストに浮き上がって見えるのよ」


 楓太は頭がグルグルしてくるのを感じながらも聞き返す。


「俺みたいにチラシが届く?」


「そう、楓太君の場合は店番募集だったけどね」


「あのチラシ近所に配ったとかじゃないってこと?俺だけに?だから、あの時ユイさんチラシが届いたことを確認したし、働くのありきで話してたってこと?」


「うん、どうやって選ぶのかは私にはわからない。これはオーナーだけが知る事。だけど、今の私が分ることは……楓太君さ、心から満たされる思いをしたいって願ったことない?」   


 ユイの言葉が胸に刺さる。そうだ、おれは周りから見たら何不自由なく生きてきた。感謝はすれど心から、自分から満たされたと感じることが無かった。皆が言う、「一生懸命」とか「熱くなる」そういう気持ちがわからなかった。


「その気持ちが?」気が付くと俺は呟いていた。


「楓太君と昨日知り合ったところだから、私には理由は深くわからないけど、何となく……私がそうだったから。」自分を振り返っているようだった。


「まぁ、それは従業員の私達だけに言える話かもしれないけれど、お客様の話で言えば、今話していた様に、思い出を手放したい人は不思議な力でここに辿り着くのよ。私の占いもそうよ、ただ単にこんな未来ですねとか、恋愛運はこんな感じですよ――って終わる人もいれば、今にも死にそうな人もいる。私は占いで人生を見ながら、お客さんが自分の人生を生きていく決心をするのを見守ってるの。ちゃんと選ぶんだよね、魂はなんとかしようと声をあげてるの。すると人によっては占いのメニューから、思い出を売ります。買います。って見えてくるわけ。その人たちが今度は、こちらのお客になることもあるんだ」


「お客様がここに来るのは何となくわかったけど、もちろん全部納得したわけじゃないけど……じゃあ、思い出なんて形のないものをどうやって抜き取るの?あの砂みたいに、ビーズみたいになるの?ユイさんが抜き取るの?」聞き出すと止まらない。


 ユイさんはその質問をする俺を当然のように見つめた。


「思い出を手放すには確実にお客さんに納得してもらって契約を結ぶの。手放したら2度と戻らないんだから、リスクもしっかり話してこちらもその決意を見て売り買いがされるの。話が決まれば簡単よ、その夜にあの妖・異形の者達がお客様の夢の中に入り込んでその思い出を抜き取ってくる、あとはそのお客様の望む思い出を入れてくるだけ。」


「じゃあ、昨日の青い袋は?」


「前日にお客様の思い出を抜き取ってきたってこと。」


「あの異形の者達にはメリットは?何か支払っているの?お客って言ってたけど」ユイはこう聞かれることを予想していた様だった。


「楓太君が昨日対応してくれた者たちは、お客様でもあるのよ。だって、うちに抜き取った思い出を売りに来るわけだからね。対価は夢。彼らは思い出を抜き取るときに夢の中に入るの。そして抜き終わった後にその夢をいただいちゃう……人間はわからないわよね、夢は覚えていることもあるけど、起きて忘れている時もあるでしょう?そう思っているから問題ないの。どうも通常の夢を取るよりも、思い出を抜き取る時は深くまで入るので夢の質もいいみたいよ。なかなか妖たちは秘密を教えてくれないけどね。上手くできたシステムってこと。どう、楓太君、今日の所はこれぐらいでいいかな?」と言い終わりかけた時、お店の電話が鳴った。


 初めて聞くコール音だ、ユイさんが急いで電話に出た。


「はい、ヒーリングサロン・ディバインです。あ、予約ですか?ええ、30分後ですか?大丈夫ですけれど、今どちらにいらっしゃいます?」仕事の声で標準語になっている。ここまでの道順を丁寧に説明しているようだが俺はユイの電話の内容に釘づけになった。


「カフェの横に街灯がありまして、その街灯にヒーリングサロン・ディバインとかいて紫の宝石のイラストの看板がありますから、ええ、その看板にあと何メーターとかわかりやすく書いていますので、お分かりいただけると思いますよ。はい、お待ちしております」


 電話を切ったユイが気合を入れて準備をはじめようとしたけれど、俺は黙っていられなかった。


「ユイさん、ここの場所を案内したんですよね?俺と同じ案内だけど、俺の時は黒い蝙蝠だったよ。しかも店の名前書いてなかったし、ここの看板にも占いの店の名前は書いてないじゃないですか……」俺は、店の外の看板を指さした、それを見てユイは丁度良かったとばかりに


「だ・か・ら・楓太君!さっき言ったじゃない?【おもいでや】に用がないお客様には蝙蝠のイラストも店名も見えないのよ!今から来るお客様にはヒーリングサロン・ディバインなの。タイミング良かったね、リアルに見れるじゃない」そう言って、いたずらっ子の笑顔全開で俺を見た。


 ユイから聞いたことが一気に自分に流れ込んでくる。理解しようとする自分と、抵抗する自分、そしてそれを上回るワクワクする自分。


 そんなことを考えていると、あっと言う間にユイの占いの予約客の来る時間になった。予約時間を数分過ぎた頃ドアが開き、チャイムが鳴った。


「本当だ……迷わずに来てる」入口に立つ女性を見つめた。


「ちょっと、楓太君!お客さんを早く案内しなくちゃ。ほら、どいて」はっ、として受付のカウンターへ引っ込んだ。


 ユイは素早く、お客様用の笑顔と声に戻り、慣れた手つきで占いスペースに案内をした。


「すみませんね、私の説明で分かりましたか?この辺りはビルが多くて本当にわかりにくい場所でしょう?」


「いいえ、説明にあった看板が分りやすくて、初めてでも無事来れました」などと言って、ユイと話が進んでいるようだ。


 そして、占いスペースのドアを閉める際に


「ね、言った通りでしょ!あぁ、これから昨日の様に忙しくなる頃だよ。後は楓太君!よろしくね」笑顔と投げキッスまでしてユイは占いの部屋へと戻って行った。

 置いてけぼりを食らったようだが、お客はユイの説明で辿り着いた。しかも説明にあった看板が目印になったと言っていた……


「ユイさんの話、やっぱマジってことだよな」ってことは昨日みたいに忙しくて、俺の相手をするお客は人ではない者達、異形の者、妖たち――


 ユイの言っていた様に、占いが始まって15分程過ぎた頃から忙しくなってきた。昨日の手順を思い出しながら次々こなす。

 それにしても本当にこの人たちは人ではないのか?手も足もある、尻尾があるわけでもない。

事情を教えてもらったせいか、今日はさすがに彼らの存在が気になる。

 しかし容赦なく今日も忙しい。もしかしたら昨日より忙しいかもしれない。楓太は次々に青い袋を受け取り、彼らに名前を書いてもらう。


――どのくらい時間が経っただろうか、少しお客の波が落ち着いてきた。


 受付の椅子に座り一息ついていると、ドアが開いていい香りがしてきた。

 カレーを手に、【うまうま】の三島さんが立っている。


「今、大丈夫かな?少しお客さんが落ち着いたようだし、ユイさんが7時くらいって言ってたから」と気を遣うようにカレーを手渡してくれた。


「有難うございます、お支払いはどうしたらいいですか?今、ユイさんが仕事中なので戻ってからでいいですか?」と聞くと三島さんは慣れているのか


「うん、ユイさんによろしく伝えておいてください。今日のカレーは美味しいと思うよ」とだけ言い残してお店に戻って行った。


 俺は手元にあるカレーをブレイクルームに置き、ユイを待った。

 確か占いの時間は通常のメニューならば1時間くらいで、たとえ延長しても30分ごとだと言っていた。それならばもうすぐ終わるだろう。


 美味しそうなカレーの匂いでお腹が減ってきた。ほどなくしてユイのお客がスッキリした様子で部屋から出てきた。


「まずは、色々変化も起きるだろうけど、運気的には上がっていくから安心して!自分軸をしっかり思い出して過ごしてくださいね、何かあればまたお越しください。メールで予約も出来ますから。有難うございました」とユイが笑顔で言うと、その女性客は胸に手を当てて言葉を探すようで一呼吸した。


「本当に、迷ったけど此方に伺って良かったです。今まで占いは何度も行ったことがあるけど、ユイさんの占いって……なんて言うのか話がストンと心に落ちる感じで、今までの占いと全然違いました。ちょっと明日からが楽しみです」と言い深々と頭を下げた。  


 ユイも頭をさげて見送る。俺は言葉は交わさなかったけど一緒に頭を下げていた。


「ふ~っ。今日はしょっぱなから濃かったなぁ」と言い、俺の方に向き直す。


「さて、楓太君の方はどうだった?すごく忙しかったと思うんだけど問題ない?上手くできた?」と受付のログや袋を見て確認する。


「もちろん、ちゃんとやりましたよ。なんだか昨日より忙しいというか、ラッシュの様に一気に来ましたよ、途切れないでお客様が来るから、瓶に移し替えれてない袋が溜まったのでちょっと今から詰めますね」と言うと、俺がちゃんと出来ていたという確認が取れて満足したのかユイは


「よし、ちゃんとできてるね。それよりさ、三島さんがご飯持ってきてくれたでしょ!先に頂こうよ。また忙しくなると思うんだ。今のこの隙に食べちゃおうよ」待ちきれなかったのかユイはさっさとブレイクルームに入っていく。


「確かに、忙しくなったら食べれないな……」


 先程の忙しさを思い出し、俺も急いでユイの後に続いた。


「おいしーい」


「うまっ」俺たちが食べ終わるまで発したのはこの言葉のみ。


 それくらいお腹もすいていたし味も大変旨かった。カレーがきれいに平らげられると、俺はカレーの代金を払ってないことを思い出しユイに伝えた。

 するとユイはご飯は飲食のバイトによくある、まかないみたいなもので気にしなくて良いという。うちのオーナーと三島さんは長い知り合いで、この様な話になっているらしい。何から何まで不思議なバイトだ。

 だが、そんなことはどうでも良くなるくらい旨すぎるカレーだ。


お腹が満たされた俺はユイに向き直し

「今日の占いに来た女性は、あの、思い出の事は……」何となく気になったので聞いた。


「今日の女性ね、あの人は思い出を売る人じゃなかったよ。普通の仕事の悩みだったみたい。」


「全員が思い出を売るわけではないって言ってましたもんね」と席を立った途端に店のチャイムが鳴りだした。


「ほーら、忙しくなるよ。戻ろう!」元気よくユイが戻って行く。カレーを食べてお腹が満足したというのもあるが、これから待つ仕事は何が起きるのだろう?見てみたい。俺もユイを追うように急いで店に戻った。

 

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