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イカれた小鳥と壊れた世界  作者: 左高例
26/35

25話『レッドウォーター鮫地獄:後編』



 夜が来る。

 赤く灼ける水平線の彼方はやがて日を隠して夜暗へと到る。この世界では多少の時差があるものの、大陸に於いてはほぼ日は同じくして没していく。

 日差しが沈み、やや藍色の影が包みだした海岸に焚き火があった。

 乾いた流木を燃やしたそれに、魚や干し肉、缶詰などを炙って囲んでいる3人が居た。

 うち二人は虹色の派手な髪型をしており、もう一人は対照的に黒髪の青年だ。

 イカレさんとドラッガー、そしてアサギだった。

 アサギが獣臭さの取れていない干し肉を齧っている。バーベキューという手段で野菜や生肉を用意し網で炙ることもできたのだが、浜辺でのBBQなどリア充のやることだと熱烈なアサギの反対により、質素に干し肉とか炒った豆とかを夕食に取ることになったのである。


「こォやって棒に刺した魚ァ焚き火で焼いてるシーンってよく見る気がするけどあれ何焼いてンだ?」

「さあ──塩気が無いと不味そうだな───ちなみにこれはスーパーで買ったししゃもだ──」


 などと男同士言い合う。

 ちなみに小鳥ら魔法学校組は近くの宿舎に帰っていった。

 イカレさんがやや焦げた魚をしげしげと見ながら言う。


「なんつゥか、結局一日ダラダラしちまったな」

「フ──いつものことだ。オレとしては十分にリア充どもを台無しにしてやったから──まあ満足」

「まさかこっちの浜辺に小生らが駆除しにきた『アルバートウオ』が群れでやってくるとはラッキースケベだったねアサくん!」

「漁に使う網とか食う魚って聞いてたんだけどよォ、水着も食うのなあれ。泳いでた連中が餌食になってたが」

「ああ──それでビーチがエロハプニング空間になってパルが興奮の発熱と出血多量でまだ寝込んでいるわけだ───」


 言い合いながら三人はその日を振り返っている。


「アイスの高位水系術式『パーフェクトブルー』を使った溺死寸前の水牢授業とかあれ訴えられねェのかな?」

「新ウニテニスの王子様決定戦で───小鳥ちゃんがウニに似せた機雷を混ぜたのはやり過ぎだと思ったが──」

「ポイズンドラゴン水質汚染問題で襲ってくる環境保護団体シャーシパードとの激しい戦闘は心踊ったね! まさか小生が奴らの船を襲わせた海竜がメガオクトパスに襲われるとは……お金が取れる見世物だったっちゃ!」


 など様々な騒ぎがあったのは前回の『中編』の通りである。

 だが全ては終わったことである。時が未来に進むようにアレだけ騒がしかった海岸も静まり返り、そこはかとなく海岸線が変わった浜辺に寄せて返す波の音が聞こえるだけだった。さようならもう描写されない過去。ようこそかけがえのない今よ。

 イカレさんがふと何かに気づいたように首を捻って呟いた。


「……? なんで俺ら回想しつつ解説みたいな会話してるんだ?」

「トリちゃんのお株を奪ったらマズイかもしれにゃー」

「いや──なんか説明しないといけない気もして───」


 おそらくは気のせいだろう。不安を誤魔化すようにししゃもの塩焼きをアサギはパクついた。駆除した魚は網や水着などの人口繊維を食べる魚なために食用に適さない。

 魔法学校の生徒らは宿舎でカレー的な煮物を作ってわいわいと食べているところだろうが、流石にこれ以上の介入はしなくても構わないだろうとアサギは思う。

 そう思いながら、かつて13年前。東京で学生だった頃には高校の修学旅行に結局参加できなかった事を思い出して僅かに羨むような、だが邪魔してはいけないような気分になる感情が彼にもあった。昼間はさんざん邪魔したが。すごく楽しそうに邪魔していたが。

 学生時代は友と語らうのもいい。普段とは違う場所での集団での食事。盛り上がるテンション。寝床で他愛のないゲームやまくら投げで楽しむ。風呂あがりのいい匂いをした女子。いつもと違う環境で吊り橋効果を狙って告白タイム。脱童貞。


「───なんということだ───そうまでオレに殺人という罪を犯させたいのか──世界は──」

「兄者、まぁたアサくんが妬まし喪男ゲージ貯めてるよ?」

「ほっとけほっとけ。ビョーキみたいなもんだ」


 ししゃもを頭から内臓まで全部齧りながらイカレさんは適当にしっしと手を振る。

 その後も適当に雑談をして食事を終えた後、イカレさんとドラッガーは立ち上がって伸びをした。


「それじゃあアサくん、小生らは近くの別荘に戻りんす!」

「別荘──? そんなのも持ってるのか──リッチだな」

「社員旅行とかでも使えるだよっ! 便利便利。だーかーらーアサくんも一緒に泊まりましょ。人生台無しゲームで夜を明かそうぜフォー! 辺境開拓行きだー!」

「あれ盛り上がらねェんだよなァ……」


 ドラッガーが無邪気にアサギの腕を取って引っ張りながら宿に誘う。 

 いくら妹と同年齢で射程範囲外の属性を持つ少女とは言え、女の子に耐性の低いアサギは「む」と困った顔で唸った。その反応でわかるように、少なくとも小鳥よりはドラッガーのほうが女らしい体つきである。

「ごぎょーんごぎょーん」と謎の言葉を言いながら腕を引くドラッガーをべりべりと引き剥がしながら、アサギは手のひらを向けて言う。


「いや──テントも建ててるしな──オレはこの浜辺でキャンプするからいい」

「ふゥん? 野宿のほうがいいなんて変わってんな」

「そうだな──夜の浜辺でいちゃつくリア充とかが出現した時に的確に抹殺してやれるからな──」

「なんか新しい妖怪か何かの噂が立ちそうなぐらい迷惑な野郎だなコイツ」


 妖怪リア充殺しの誕生であった。

 ともかく、アサギは実のところ結構野宿にも慣れている為に別段苦痛ではない。宿に火を付けられるよりも油断してテントに襲いかかってくる暴漢のほうが対処しやすいぐらいだ。

 何年か元の世界へ戻る方法を探して世界を旅したこともあるのだ。観光地の浜辺など安全なものである。

 というか想像するだに、ドラッガーの別荘へ泊まりに行ったら非性的な理由で彼女がベタベタとくっついてきそうで居心地悪く落ち着かない気がしたので断ったのだ。ピュアボーイなのである。三十路だが。

 竜に乗った二人が浜辺から離れていくのを見送ったアサギはとりあえずテントへ残った。

 なんだかんだと活動をして、疲れたという程ではないが休息には丁度いい。そもそも浜辺にキャンプしているというだけでカップルには圧力がかかるものだ。


「フ──今オレ──カップルに迷惑をかけている──」


 という満足感でよく眠れそうだった。

 が。


「あ、お帰りなさいウサー♪ お布団準備してたウサ」

「──」


 テントに入ったら、なんかピンク色の敷き布団とハートマークの枕が設置されていた。

 そしてパジャマ姿のパルが。

 そうだった。

 キャンプするのは自分一人ではなく、昼過ぎぐらいからこっそりと影を潜めて怪しげな計画を進めていたエロショタシスターも必然と同じテントに寝ることになるのだった。

 アサギは顔を強張らせた。

 だが考えなおす。いやいや、仲間を信じることも大事なのではないか? こんなパルだけれども信頼し合いダンジョンへ挑む、命を預けた仲間ではないか。それがトチ狂ってあと腐れ残りまくりな行為を行う訳ないだろう。

 信じる心があれば恐れることなど何もない。兄さんもそう言っていた。彼に兄は居なかったが。

 ふう、と冷や汗を拭うアサギ。大したこと無いさ、ちょっとデザインの変わった寝具さ。パル、お前は本当は仲間思いの良い奴なんだろう?

 パルはカバンをごそごそと漁って無花果のような形をした、中に液体の入った医療器具を取り出した。


「アサギさん……なんで浜辺にカンチョーがよく落ちているのか教えてあげるウサ (※要出典)」

「違う──海洋不法投棄されても浮かびやすいから浜辺に流れついてるだけだ──! (※要出典)」


 ※あくまで一説である。

 じりじりとお互いの間合いを測るように対峙するパルとアサギ。

 今日はいろいろ燥いでアサギもいい加減疲れたのだ。寝たいのだ。寝ずに2日は戦闘待機可能な精神状態を維持することもできるが、暖かい布団でぐっすり眠れるのが一番の幸せだというのび太少年の結論には大いに頷くアサギである。

 だが、迂闊に寝たら。

 寝ている間に大事なものを失うかもしれない。そう、マジな目付きの兎を見ながら思う。

 こうなってしまえば単にパルをテントから追い出しただけでは安心出来ない。彼が寝静まった後に大事なものを奪いに再来してきそうだという不安が残る。

 或いは近くの宿場に寝ている魔法学校の生徒が犠牲になるかもしれない。リア充学生などどうでもいいが、小鳥が襲われるのは避けたい。

 殺るかヤられるか。


「──お前は三日ほど寝ていろ」


 アサギはマジックポーチから取り出した杖ドリームキャストで叩いた。

 軽いプラスチックのような素材で出来ている杖なために折れやすく力は然程込められないが、殴ると眠りの魔力が発動して相手を昏倒させる。

 さらに眠り能力は蓄積型で、寝ている相手に追撃してもさらに深い眠りへと誘う事ができる。眠ったパルを執拗に殴り続ければ暫くは植物のように大人しくなるだろう。後は壷にでも入れて海に浸けておけば良い。

 軽い音を立ててパルの額に当たる。が──


「──!?」

「ウサッサッサッサ……」


 パルは勝ち誇ったような笑みで頭にDCを受けたまま平然としており、杖を持つアサギの手を逆に掴んで近寄った。

 狂気の瞳で覗き込むようにアサギと顔を近寄らせるパルにアサギは問う。


「貴様──何故これが効かない──?」

「やだなあ一度受けた攻撃は対処するに決まってるじゃないウサか。そう、この睡眠無効装備パジャマで!」

「なん──だと──!?」


 決めポーズを取りながら着用している黒と黄色の縞柄パジャマをアピールするパル。装備していると眠くならないというパジャマとして欠陥品な市販品のマジックアイテムである。

 まさにピンポイントな対抗処置。アサギは「──いや」と気を取り直して告げる。


「それがパジャマの能力だというのならば──脱がせば──はっ!?」

「ほう、積極的ウサねえアサギさん……ちなみにパジャマの下は履いてないウサけどね!」

「くっ──」

「ウササなあに今や男の娘は通常性癖ウサよ……アサギさんも一晩の過ちを犯してリア充になるウサ」

「それがリア充というのなら──絶対なってたまるか」


 若干広めのテントの中でにじり寄るパルと攻め手を潰された動揺から抜け出せないアサギ。

 こうなれば実力でパルを黙らせるしか無いのだが、前述した通りぶん殴って気絶させるのは些か不安である。最近この兎は寝たフリ死んだフリを覚えた。

 薬物の類もどれに耐性を持っているか定かではない。異様に厄介な仲間、それがパルである。イカレさんでも居ればそっちに押し付けるか──もっとも、彼もアサギに押し付けようとするだろうが──交互に見張りをして眠るか出来たのだが……今更呼び戻しに行くのも恥ずかしい。

 最終手段としての殺害すら考慮しながらアサギは手頃なロープを取り出した。

 パルがそれを見て耳をぴんと立てる。


「おっといきなり『縛り』ウサ? アサギくん結構マニア向けウサ」

「違う──!」

「え……? じゃ、じゃあその縄を使って業界用語でいうところの『ブランコ』をする気ウサね! エロ漫画みたいに!」

「どこの業界だ──!」





 

 はしゃいで隙あらば危険な行為に及ぼうとするパルとそれを無力化しようと頑張るアサギ。二人はテントの中で騒がしく暴れまわっている。

 パルも意外にフィジカル能力は高いのである。

 果たしてアサギは貞操を守ることが出来るのか……二人の夜は更けていく。




 *********




 夜に騒がない学生は居ない。

 魔法学校の学生23人が宿泊する場所はだだっ広い大部屋だった。素泊まりのロッジのような家でそこを軽く掃除して布団を敷いて全員同じ部屋に泊まることになっている。

 しかし大人数で夜となるとそりゃあ学生らはテンションが上がる。

 まくら投げがエスカレートして油を染み込ませた枕に火を付けて投げ合う学生。

 リアルマネーをつぎ込んだ人生台無しゲームで下着までむしり取られてシーツで体を隠しながら銀行強盗で逆転を狙う学生。

 こっそり他人の布団に海から捕ってきた吸血八目鰻を仕込む学生。

 ワインの瓶をケツに突っ込んだまま泥酔している学生。

 王様ゲームをしていて革命ルールで磔にされて胸に7つの傷をつけられる学生。

 ついに宿舎に火が移りマジ焦りで部屋を水浸しにする学生。

 全員からボコられる学生。

 まあそんな感じで誰もがそうであるように学生らは騒ぎまくっていた。参加している年齢は10代前半から30才前後までいるが、学生なのでまあ騒ぐ。

 騒ぐ学生に恐れるものは居ないのか。まさに世界の無秩序がそこにあった。男子も女子も皆大騒ぎだ。


 だが宴が絶好調の時にそれは訪れる。

 入り口の扉が快音と共に開けられた。

 そこには肩に青いバットを担いだ教員──アイス・シュアルツが立っている。見回りに来たのだ。

 彼女は生徒らの宿泊部屋を睥睨する。既に明かりは落とされていて、綺麗に並べられた布団に皆並んで姿勢よく眠っている。布団から手足が出ている生徒も居らず、安定した寝息が聞こえた。荷物の類は部屋の片隅に纏めてあり、綺麗に使っている事が見て取れる。カード1つ床に散らばっていない。

 教師が部屋に出現する10秒前までは前述した通りのええじゃないかといった大騒ぎだったのだが、教師が来る気配を察知した瞬間部屋を整えて全員寝たフリに突入したのだ。

 これもまた、学生の持つスキルである。騒いでいたのが嘘のように静まり返り、大人しくなっている。露骨な寝息も忍び笑いも聞こえずに、完全に寝ているようにしか見えなかった。教師が去れば10秒も掛からずに元の状態に戻るだろうが。


「ふむ」


 アイスが呟く言葉が広間に響く。彼女はきょろきょろしながら部屋の中に入った。

 バットを手で弄びながら寝てるっぽい生徒の顔を覗いていく。消灯時間は過ぎているので警告に来るつもりだったが……拍子抜けしたように。

 だが彼女とて数年前は学生。修学旅行等での生徒らの超反応は自らの体験として覚えている。故に、完璧な寝たフリでも怪しんでいる。

 そっとランダムで布団の中の足を触ってみた。もうかなり布団に入って寝ていたように暖かかった。

 仰向けで眠っている生徒の頭の上に寸止めでバットを振りおろしてみた。怯えた様子も無く寝たままだ。

 まぶたをそっと開いて眼球を見た。ぐりぐりと動いていたが、レム睡眠なので正常な反応だ。

 これで演技ならば凄いな、私の時以上だ、そう思いながらアイスは一周ぐるりと部屋を回って入り口で手を組みながら独り言のように呟く。


「ちなみに見回りはこの一回だけだから、まあ安心してくれ。学生なら騒ぎたくなる気持ちもわからないではないからな」


 などと聞こえるように言うが、生徒らは皆眠っているようで何も反応が帰って来なかった。

 アイスは少しバツが悪いように持っていたバットを軽く掲げる。


「だからその……これに耐えれたら別に今後騒いでも構わん。睡眠魔法・光系術式『スリーピーホロウ』」


 部屋の中を、まぶたを閉じていても有効な眠りへと誘う光を伴ったデタラメな残像が浮かびあがる。

 布団を深く頭まで被るかうつ伏せに眠るかしていれば無効化出来たのだが、全員姿勢よく寝たフリをしていたのが仇となり術中にハマった。

 即座に昏倒した生徒ら以外でも頑張って魔法をレジストしようとする。楽しい合宿の夜を終わらせてたまるか。もはや演技の体裁を捨て必死になる。


「まだわからないのかzzz……」

「おれは完全に睡眠を凌駕スピー……」

「うおおおお……寝たら死ぬぞおおお……むきゅう」


 ダメだった。

 生徒らの気が消えた事を確認してアイスは満足そうに頷き部屋を出る。


「……なあに私が学生の頃は部屋に催眠ガスを叩きこんできたり、寝たフリをした生徒らに麻酔薬を動脈注射してくる教師が居たものだ。それに比べれば優しい優しい」


 寝たフリ生徒と見まわり教師はもはやバトルなのだ。勝利の美酒を味わい明日に備えるとしよう。

 ロッジから外に出る。教員用の宿舎は別のところにあるのだ。少し冷えた潮風を感じる。

 外は大きな満月で薄明るかった。アイスは何となく空を見上げて月を見たまま立ち止まった。じっくりと月を眺めるのは久しぶりのような気がする。

 物を知らない子供の頃に、幼馴染の彼にいつか月に行ってみようと提案したことがある。あの頃は何でも出来る気がしたし彼とならどこへでも行けると思っていた。まあ、小さい時から醒めていたイカレさんに「空気ねェよ馬ァ鹿一人で行って死ィね馬ァ鹿」と返されたのだが。

 

「……幼馴染なのになんかこうロマンティックイベントが殆ど無いなあ」


 少し悲しくなった。

 だが、月を見上げていると大きな鳥の影が月を背景に飛んでいるのが見えた。目を凝らして見ると適当に旋回して飛んでいるようだ。

 イカレさんの召喚した鳥だ。僅かに飛行の軌跡に光の粒子が見えて幻想的であった。

 暇な時に彼はよく鳥に乗って飛んでいる。

 昔はそれに付いて行きたくて飛行魔法を必死で覚えた。結局飛行魔法の習熟度は上の下といった程度で彼の鳥には追いつけなかったのだが──


 ……確か一回だけ、遅れて追いかけてきた私の手を掴んでくれたのだったね。


 実際は「ぎゃはは遅ェ遅ェ喰らえこれが俺の本気だァ!」とアイスの限界速度を遥かに超えて加速して手を掴んだまま強制的に牽引するという状況だったのだが、彼女の記憶の中では良いように改変されているので問題はない。

 うん、とアイスは小さく頷き飛行魔法を唱え始めた。折角の海の折角の月夜なのだから彼に会いに行こう。

 月夜に彼との楽しい思い出は今まで無いが、今日を素敵な思い出に変えればいい。

 彼の皮肉げな睨み顔を見るだけで、アイスにとってはいつだって楽しい気持ちになれるのだから。



 なお、上空を飛んでいた鳥はイカレさんが花火代わりに爆薬満載で飛ばせていた鳥であり、アイスが追いついた瞬間に夜空に大輪の花を咲かせる大爆発を起こして彼女は海面に落下していった。




 丁度その頃。

 死んだように眠っている生徒達の布団の1つが動いた。


「むくりなう」


 黒と黄色の縞模様をした、パルとお揃いのパジャマを着た小鳥が寝たフリを解除した。





 *********

 




「はあ──はあ──無駄に疲れた──」


 息を切らせながらアサギは目の前に転がした、縛って芋虫みたいになっているパルを軽く蹴飛ばした。

 口にはギャグボール──パルが用意していた──を噛ませているためにうーうーと呻くだけだ。

 体力も精神力も疲弊したアサギではあるが、さてこれから……パルを沈めに行くか、夜風でも浴びに行くかと思った。

 少しだけ考えてアサギはテントを出て暫く涼むことにした。パルと暴れまわったせいで少し汗ばんでいたしテントも汗と埃の臭いがする。

 小一時間程も開けていればいいかと考えて彼は蠢くパルを放置し外に出た。

 体は疲れているが精神もしんどいので気分を治すのに夜の散歩は丁度いい。


 波の音を背景にアサギは砂浜を出て岩がごろごろ落ちている岩礁の近くへと歩みを進めた。ふらふらだらだらと歩くイカレさんや周囲をきょろきょろいつも見回しながら歩く小鳥と違って、彼は特に目的もない散歩なのにしっかりとした足取りである。隙を見せないことが癖になっているのだろう。

 大きな岩礁の一番高いところに上り、立ったまま遠い水平線を何となく眺めた。ここからは見えないがその遥か先にある東方の島国に当てもなく旅に出たことを思い出した。

 13年異世界に居て色々と方法を探したが、それこそ元の世界に帰れる可能性を掴んだのが数カ月前に気まぐれで小鳥を助けたことだけだった。それ以外の13年間はほぼ意味なく、偶然彼女に出会わなければこれから先も見つからなかっただろう。

 まあただ、小鳥と協力関係に慣れたのは良かったのだが今日のようなパルの相手をせざるを得ないのは難点なのだが。

 想い出す記憶も遥か昔。かつて学生だった頃の自分は、毎日友人とお喋りしたり馬鹿やって騒いだり中学校の修学旅行で夜に騒ぎすぎて朝まで正座コースだったりした普通の少年だった。

 今では軽い対人恐怖症と人間不信とコミュニケーション障害と、騒がしく楽しいお喋りをするだけで疲れるという悲しい性格になってしまった事を考えると虚しくなってきた。そうでなければ生きていけなかったとはいえ。

 しかし元の世界に戻れた時にちゃんと日本社会に復帰できるのだろうか。


「──ええと、元の世界に帰った時のオレのスペックは……高校中退30歳無職童貞な根暗か──ちょっと待て」


 口に出して確かめて凄く怖くなったので考えるのを止めた。

 ちなみにこっちの世界での彼は銀行にお金を預けているだけで利子で食っていける資産家である。


「落ち着け──現実に負けるな──オレは帰るんだ───家族のいる世界へ」


 揺らぎそうになった決意を固め直す為にぶつぶつと呟くアサギ。でも一応元の世界でも換金できそうな金のインゴッドぐらい買っておこうかなと思いつつ。

 ふと。

 頭を抱えていたため、視線が下に向いた。

 岩礁に波がかかっている水辺。闇色に染まった黒い海。そこに海に膝までつけた人が立っている。

 短いスカートから覗く太ももとノースリーブから見える腕が月明かりに照らされて青白く見え、黒く海を眺める瞳には何の光も映っておらず、ぞっとするような無表情だった。

 幽玄な雰囲気で佇む少女。アサギも一瞬幽霊か何かだと思い竦んだ。もしくは入水自殺者か。こんな夜中の水辺に少女が立っている、ただそれだけで言いようの無い不安感に包まれる。

 何の関係もない幽霊だったら逃げ出したかもしれないが、アサギは声を張った。


「小鳥ちゃん──? ──そこで何を──しているんだ!?」

「おや」


 いつも通りのとぼけた顔で彼女が振り向いた。

 水に足をつけたまま、そしてやはり不安を感じる無表情でアサギを見た。

 動こうとしたのをアサギは制する。


「ちょっと待て──! 動くな──足滑らせたら──危ない!」


 慌てて彼は10メートル程高さのある岩礁から飛び降りる。着地の瞬間ヴァンキッシュのブーストで落下速度を和らげ、頑丈なブーツで刺々しい礫岩を踏み潰すように降りた。

 そして走り小鳥の近くまで、ズボンとブーツが濡れるのも気にせずに入り、彼女の手を捕まえた。

 濡れていてかなり冷たくなっている、死体のような手だった。彼女が倒れたりどこかに離れたりしないように握る。


「危ないから──こっちへ」


 そう言って手を引き、水から上がる。

 近くの手頃な岩の上には、小鳥のらしきサンダルが綺麗に並べて置かれていた。

 どうもその靴の並べ方や海に入っていたことから『自殺』という単語がちらつく。アサギは強く小鳥の手を握った。

 海面から数メートル離れて、アサギは彼女と向き直り問う。


「──なんでこんな時間にこんな所へ?」


 尋ねたが、こう思春期の女子高生の複雑な自殺に至るまでの心境を語られたらどうしようとアサギは考える。

 30歳といい歳の大人だが社会経験はほぼ皆無・人生経験戦闘オンリーの中卒な自分に対処できるのか……? ネガティブな考えが頭をよぎる。

 小鳥は少し躊躇うような様子を見せる。だが、決意したようにまっすぐ彼を見て言った。


「……そうですね、アサギくんになら話してもいいかもしれません」

「ああ──オレでは役に立たない事かもしれないが──女同士がいいなら───アイスにでも」

「いえ──アサギくんにだけ教えてあげます」


 彼女はどこか遠くを見るような虚無の目付きをして、深夜の海に居た理由を告げる。


「実は、昼間に捕って集めていたウニやサザエをこの辺に撒きに来まして」

「──?」

「明日になればいい釣りのポイントになってるでしょう」

「海釣りかよ──!?」


 凄く趣味的な理由だった。

 そんな事をする女子高生が居て堪るかと一瞬アサギは思ったが、もはや彼が女子高生と接したのは遠い過去なので今時の子はやるかもしれないという考えに上塗りされる。

 ついでによくよく考えれば、この常日頃から何を考えているかわからない愉快犯的な女の子が、人知れず自殺などするはずがないとようやく冷静になった頭が結論づけた。

 大きく溜息を吐いて彼は座り込んだ。疲れる。本当に疲れる。心配した自分が馬鹿のようだ。

 彼が崩れ落ちたのを不思議そうに小鳥は見て、ちょこんと隣に座った。そしてしーと立てた指を口の前に持って行き、


「他の人には内緒ですよ?」

「そうするよ──!」


 ヤケクソ気味に叫ぶアサギ。

 何度か溜息を吐きながら海を見る。岩礁にはウニやサザエが多く生息するために、それを捕食する大型の魚の漁場となる。

 小鳥が本格的な磯釣りをするとは知らなかったが、どちらにせよ夜の海に一人で来るのは危ない。落ちて溺れることもあるかもしれないしサメに襲われるかもしれない。助けに来て、結果はともかく良かったと自分を納得させる。

 アサギは隣に座っている小鳥の声を聞いた。


「ああ、心配してくれてたんですね」

「そうだ──」

「えへへ、心配をおかけしてごめんなさいと謝り、心配してくれてありがとうございますとお礼を言いますよ」


 小鳥が無表情から作り物のような笑い顔をして隣で笑った。

 アサギはふと彼女の笑みの近さに改めて気づいた。肩が触れるように近くに座っているのだ。そして、未だに小鳥の手を握っている自分に気づいた。


「ゴアアア───!!」

「うわっアサギくんが一昔前の不良漫画みたいな叫び声を上げて一人海に飛び込んだ!?」


 丁寧に解説する小鳥。

 アサギは飛び込み、全身を冷たい塩水に浸しつつこう思った。


(──あっぶねえ今オレかなりリア充みたいな状態だった超危ねえ!)

 

 リア充を憎むし男に迫られるとガチで拒否するが、実際に自分が女の子といい感じの状態になるのは耐え切れない面倒臭い性格なのだった。

 殆ど病気である。

 全身から水を滴らせつつ戻ってくるアサギ。


「ふう──つい発作が出てしまった────」

「アサギくん、右手に深きものっぽい怪物が噛み付いていますが」

『てけり・り』

「───魔王翔吼拳を使わざるを得ない!」


 右手に噛み付いている肉の泡めいた化け物に小鳥の指摘で気づいたアサギは、即座に両手の構えから衝撃波を出して名状しがたい生物を吹き飛ばした。ちなみに神篭手ゴッドハンドの特殊能力であり発動キーワードを叫ぶ必要がある。服に染み込んだ海水がはじけ飛ぶように衝撃で脱水される。

 無駄に危ないところだった。

 ゴッドハンドの必殺技すら使ってしまったせいでぜいぜいと息をこらすアサギの背中を小鳥は撫でてやる。


「お疲れ様です」

「うん──すっごい疲れてるよオレ──」


 へたり込むアサギ。今度は少し距離を離して小鳥も岩に座った。近づかれると突然発作を起こすのに、距離を置かれると妙に傷つくのが男子の精神的特徴でもあるが今はありがたい気分だった。

 暫く無言でぼんやりと海と空を見ていた。

 ぽつりと小鳥が言う。


「満月ですねえ」

「そうだな──」

「人間がある程度の文明を築ける程度の惑星の環境には、月のような大型の衛星を持ってなくては自転軸のブレなどで上手くいかないらしいですから人間のいる異世界というのは月があるらしいですよ」

「そんな──ご都合的な」


 呟いて、ふと月を見て思い出したことがあった。

 

「今日は──満月か」

「人を殺したくなるのもわかるさ……」

「いやならないし──わからないからね──なにそのセリフ──ともかく──今日は30日に1度の満月──」


 アサギは背負っていた魔剣マッドワールドを抜いた。

 そしてそれを小鳥に手渡す。見た目通りの長剣並の重さをしているそれに、両手で支える小鳥。

 この世界の人間が握ったら全身の魔力を吸い取られて気絶する魔剣だが、元々魔力がなくても平気な地球人にはほぼ無害な呪いだ。一応イカレさんから魔力を借りている小鳥にとっては持っていると魔法が使えないという効果はあるが。

 アサギは剣を渡して、言った。


「小鳥ちゃん──家族の姿を見たいか──?」

「まるで誘拐犯の脅迫のようなセリフですな」

「───」


 一瞬挫けかけるが、持ち直す。


「この魔剣には満月の晩──世界を切り裂き他の世界の風景を映す能力がある──君が望めば──元の世界の君の家族を見ることが出来る」

「ほう。初耳です」

「長い間使ってなかったから──その機能。剣を振り──決め台詞を言うと使える」

「……決め台詞? え、待って下さいその決め台詞って必要なんですか? どうしても言わないとダメ?」

「もちろん──ちなみにオレは『開け──壊世の扉』と決める」

「……」


 自信満々に頷くアサギ。

 小鳥は少し離れた彼を意識しながら、魔剣を構えて振る。


「ひ、開ッドワオッ」

「いやちゃんと言わないとダメだから」

「ヒ・ラケカイ・シェーノビラー」

「片言じゃダメだから」


 駄目出しを食らう小鳥。

 なんというか、セリフを叫びながら剣を振るうには恥ずかしい年頃だったのだ。

 一応彼女にも羞恥心はある。多少ズレてはいるが。

 ふと、小鳥は持っている魔剣から何かしら感じるものがあった。感覚が繋がったというか、不思議な共鳴を覚える。


「……?」


 頭に囁きかける、何か音のような規則性のある懐かしい響きがあった。言葉にはできないが、胸が疼く。


「どうした──?」

「いや、なんか別に叫ばなくても使えるっぽいですよ。そりゃー」

「───」


 小鳥が魔剣を振った軌跡から、薄皮を切り剥がしたように空間に別の風景が映っていた。アサギは顔を逸らして、何か恥ずかしげに抑えている。


 そこは家の中だ。小鳥の住んでいた、鳥取市内にある自宅の一室である。

 部屋には一人用のベッドが置かれており、男が仰向けで眠っていた。

 男はザンバラ髪に無精髭の生えた、目元に隈のある男だった。髭を剃り隈を無くせば30才程度の青年に見えなくもないが、酷く疲れたようすでベッドに眠り額には氷嚢が載せられている。

 そのベッドの脇の椅子に小柄な女が座っていた。こちらは彼よりも歳若く見える長い黒髪の女性で、机の上に載せた奇妙な色の液体を水差しに混ぜたり、分厚い邪悪の経典を読み漁っている。

 小鳥が「あ」と声を出して言う。


「わたしの……家族です」

「──父親と、姉か?」

「いえお父さんとお母さんでして」

「母親若いな──」


 アサギはその大学生程度に見える女性を見ながら呟いた。高く年齢を見積もっても若作りの30前後に見える、肌に皺も染みも無い綺麗な女性だった。どちらにせよ、17才の娘がいるようには思えない。

 むう、と小鳥が表情を変えずに唸って頬に両手を当てた。


「やだこれ、アサギくんに両親のベッドシーン見られるなんて」

「いやベッドシーンってか凄い君のお父さんぶっ倒れてて看病されてるよな──? っていうかうわっ──! よく見たらベッドに鎖で縛られてるんだけどお父さん──!」

「うちのお父さんは怪我や過労状態でも無理をして動こうとするので時折ああやって、お母さんに鎖で縛られて強制的に休ませられるのです。薬物も使われてるかもしれませんね」


 普段は床に敷いた布団で寝るのだけれど、この時だけは実験用ベッドに縛り付けられるのだと解説を入れる。腹のところでは黒い兎が丸まって寝ていた。

 その言葉を聞いて、アサギはいつかに小鳥が言っていた事を思い出した。


「父親は──刑事だったか」

「はい。鳥取市の平和を守る、馬鹿みたいに真面目で、子供が泣き出すほど怖い顔で、強くて少し不器用な、優しくて格好良いお父さんです」

「──母親は魔女と聞いたが」

「ええ。馬鹿みたいに不真面目で、子供を困らせて泣かすのが大好きで、最悪なまでに天才で、何でも出来る、楽しい綺麗なお母さんです」

「───」

「わたしの大好きなお父さんとお母さんです」

「──そうだな」

「きっとお父さんは行方不明になったわたしを探すために休まず、寝ずにひたすら走りまわって倒れているのでしょう」

「──」

「お母さんはそんなお父さんを休ませて、栄養のある薬を作っているのです。日頃からわたしは大丈夫だとお父さんに言い聞かせているけれどわたしが居なくてつまらないと思っているはずです」

「そうか──」


 アサギは何も言えずに口を噤んだ。

 小鳥の顔が珍しく──本当に珍しく自然な感情を浮かべて居たからだ。


「……わたしはこんなに元気なのに、わたしの為に心配してくれている人に伝えられないのですね」

「───」

「会いたいなあ……」

 

 いつもあっけらかんとした態度の小鳥が、ここまで明確に郷愁の感情を示すのは初めてだった。

 アサギは胸が締めつけられるような、ある種の後悔すら覚えた。家族の顔を会えない状況で見るのは辛い。こちらから一方的に見るだけで、家族が悲しそうに自分を待っている光景を何度か見て彼はいつしかこの別世界の窓を開くのを止めたのだ。

 自分は彼女に残酷なことをしたかもしれない。

 そう思って、何か言葉をかけようとしたが。


「あ。言葉は届かなくとも遠近自在念力テレパシーとかなら通じるかもです」

「──はい?」

「ぬぅーん」

「ぬぅーんて──」


 小鳥が額に指を当てて何やら念じ始めてアサギは反応に困った。

 すると中空に映る小鳥の母親が何かに気づいたように手元の発信機のような物を取り出した。緑色の光が点滅するそれを翳して、彼女は周囲をきょろきょろと見回す。

 当然のように小鳥は言う。


「あ、何かお母さんが感知した」

「嘘ぉ──!?」

「ほらなんかカメラ目線を探していますよ」

「なんで──!?」

「うふふ」


 音も声も思いすら届かない、ただ一方的にこちらから見るだけの窓のような機能だというのに、何故か魔女と称される小鳥の母は察知したようだ。

 小鳥は小さくなりつつある空間の裂け目に向かって軽く手を振った。

 消える間近、小鳥と目があったような方向を向いた彼女の母親が皮肉そうに笑った──ような気がした。

 異世界を映す小窓は消え、再び夜暗の広がる水平線が目の前に戻っていた。

 小鳥は名残惜しむように少しその方向を見続け、そして少し柔らかい笑顔でアサギに剣を返した。


「ありがとうございましたアサギくん」

「──いろいろ気になるけど、どういたしまして」

「日本に戻ったら」


 そう言って彼女は剣を受け取ったアサギの手を軽く掴んで言う。


「うちにも来てくださいね。お母さんの作るケーキはとても美味しいのです」

「そうだな。オレの──オレの──ううん、母さんのメシはどうでもいいか──東京を案内ぐらいはできるから小鳥ちゃんもな──」


 記憶の中ではひたすら微妙な味だった母の味を僅かに思い出して苦笑した。

 それでも今は食べたくて仕方ないが。


「それじゃあ帰ろうか小鳥ちゃん──宿舎まで送る──」

「送り狼ってやつですね」

「違うからマジで──」

「うふふ」


 そう言って二人は歩き出した。

 小鳥が軽く握った彼の手に引かれるように並んで歩きながら。

 アサギは、まだ親に守られるべき少女を想って決意する。

 彼女を守り助けようと。彼女を愛する家族が待つ家に戻すまで。たとえ、自分がどうなっても──

 そうしたいと、初めて他人に心の底から思えたから。

 二人は歩く。元の世界へ戻る道へか、別れの道へか、終わりへかはわからない。ただ、前へと進む。








 歩いているとふと小鳥が気づいたように。


「おや、アサギくん女子高生に手を繋がれて結構リア充っぽい──」

「ハムナプトラァ──!」

「ああっ、アサギくんがピラミッドから採掘されたエジプト神官みたいな叫びを上げて再び海へ!?」

 





 *******









 なお、宿舎に戻った二人は火の不始末で宿舎炎上&生徒全員燃える建物の中で熟睡の現場に居合わせて。

 やっぱりアサギが超頑張って救助活動をするハメになったという。

 犠牲者は居なかったが、その場に居なかったアイスは監督責任で一年間減俸を食らった。

 

 

 

 




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