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イカれた小鳥と壊れた世界  作者: 左高例
11/35

11話『流れよ我が涙、と警官は言った』


「お母さんはお肉をメスやハサミで切り、お父さんはお野菜を小太刀で切る。果たしてわたしは誰に包丁さばきを教えてもらったのやら」

 

 小鳥が台所で料理をしながら疑問を口に出していると背後に気配を感じて笑顔で元気に声を出した。


「おはようございまーす」


 イカレさん、アイス、パルの三人組が入り口に立っていて小鳥に指を向けて叫んだ。


「なに普通に台所に立っているのだー!」

「アホかァ──!」

「ウササー!」


 三者三様ツッコミを入れられた。

 どうやら──小鳥はまだ生きているようである。






 *******






「おお小鳥よ死んでしまうとは何事だ」

「オオゴトだ!」


 即座に目を三角にしたアイスから叱られる小鳥である。

 彼女は一応作った味噌汁だけ食卓に出してぽりぽりと頭を掻いた。


「いえ、目が覚めたら皆さん、疲れた様子で寝てらっしゃるので朝ごはんをと思いまして」


 ここはいつもの、小鳥が寝泊まりをしている宿だ。

 彼女が目を覚ましたら部屋には椅子に腰掛けながら寝ているイカレさん、ベッドにもたれ掛かって眠っているアイス、床で簀巻きになっているパルがいたので、起こさないように忍者らしく忍んで朝ごはんを作っていたのであった。

 そして気になるのが、


「はて。わたしは死んだはずでは」


 完全に臓物をぶちまけていた事を確認した小鳥は、あの状況だと死んでいたはずだと思い尋ねてみた。

 むしろショック死しなかった自分のメンタルを褒めてやりたい気分であった。いや、褒めるべきは血液系か、神経系か。仕方がないので彼女は自分自身に花丸を心のなかで評価した。

 パルがため息混じりに言う。


「あの時通りかかって助けてくれた剣士さんが、魔法薬で治療してくれたでウサ……それが無かったら確実に死んでいたでウサ」

「むう。死んだら復活は出来ないので?」


 RPG的には復活アイテムや教会などで蘇生されるのだけれどもという安直な考えで首を傾げる。

 復活失敗で灰になっても困るが。

 イカレさんがいつも通りの面倒臭そうな顔で云う。


「昔ァ出来てたみたいだが、昔に魔王が蘇生の神を封印したことで死者蘇生の奇跡はほぼできなくなった。死神が今は死後を管理してるから次の輪廻行きだな」

「おのれ魔王」

「なんか殺しても殺しても勇者的な奴が蘇ってくるってんで大元の神様をどうにかしたんだとよ」


 魔王も大変だなあと小鳥が頷くと同時に、大きなため息を吐いてアイスが抱きついてきた。


「本当に君は──もう、どれだけ私達が心配したと思っているの」

「……すみません」

「サイモンくんが、ぐったりして血だらけの君を担いで来たときは心臓が飛び出るかと思った……」

「ごめんなさい」

「体の傷は治っても、一旦体内で出た血は消えないから血の混じった咳をしたり下着が血で濡れたりして……もう、どれだけ、どれだけ……!」


 アイスは泣いていた。

 出会ってひと月も経っていない、居候のために泣いていた。

 小鳥はぎゅうと、彼女の体を抱き返した。

 

「生きててよかった……本当に、本当に心配したんだから……」

「わたしも死なないでよかったです」


 ぼんやりとした声で返答をする。

 死ねば人はどうなるのだろうかと小鳥は考える。この世界には神という存在があり、転生を司る神様もいる。しっかりと立証され受け入れられている輪廻のシステムは少なからずペナルカンド世界の人間の死生観に影響を与えているが、それでも死ねば悲しいと泣く人もいるのだ。

 異世界人である小鳥の魂までこの世界の神が拾ってくれるとも限らない。結局のところ小鳥は死ななければわからないことだと判断する。

 そこまで考えてふと、彼女はようやく──自分が生きれた事を実感した。

 心配してくれて居るアイスと、呆れ顔のイカレさんと、落ち込んだようなパルの顔を見ていたら、視界がぼやけて驚いた。


「……涙が」


 言って、顔を抑えると手が濡れていた。


「そうだ、生きのびて、人を心配させてしまったら、涙が出るんでした」

 

 確認のように呟く。それを知らなかったかのように。



(今度はちゃんと泣けました。やったぜお母さん。きゃっほう)






 ******





 死にかけて生き返って数日が経過した。

 まだ再度ダンジョンには潜ることはしていない以外、普段通りの生活に戻っている。

 その日も魔法学校に行って講義の合間にヴァニラウェアの研究室でのんびりお茶を飲んでいた。彼が飲んでいるのは何かの血液だったが。最近凝ってるのは豚の血らしい。この前も軽音楽部のライブに二人で撒き散らしに乱入した。

 節くれだった手とやや落ち窪んで皮のたるんだ顔。白髪になった髪の毛と眉毛。吸血鬼であるヴァニラウェアの外見はただの老人にしか見えない。趣味もメガ粒子温泉とアストラル盆栽とこれまた健全な老人趣味である。

 ぼんやりとホルマリン漬けになっている地竜の幼生と目を合わせながら小鳥はなんとなく聞いた。


「そういえばヴァニラウェア卿は死んだことってあります?」

「おうあるある。めっちゃ死んだことあるぞい」

「めっちゃあるんだ……」


 飄々と答える。

 

「もう何年生きたか忘れたしのう、殺されることもうっかり死ぬこともあったわい。まあ、儂ぐらい高位になると死んだぐらいじゃ死なんというか。魔王と漫才した時も紫外線放射装置とかで灰になったけど蘇ったし。魔女と喧嘩した時もドリルガッデムの母星と運命を共にしたかと思ったけどなんとかなったしのう」

「ドリルガッデムというとあの銀河皇帝の」

「よく知っておるのう」


 名前から役職を連想して聞いたのだが、合っていたらしい。当然のように頷く。

 銀河皇帝ドリルガッデム。かつて全宇宙の3分の1を支配したと言われているが彼の銀河帝国の運命は儚くも星星の瞬きのように消滅してしまった。


「死神が乗る転生チャリオッツに撥ねられるか、性悪な火の鳥に焼き殺されるかすれば強制的に輪廻へ叩き込まれるのじゃろうがなあ」


 そんなワクワクイベントもそう起きんわい、付け加えた。

 伺うような紅い視線をこちらに向けたので小鳥も事情をかいつまんで話す。


「いえ、この前うっかり死にかけまして。死ぬって結構気持ち悪いですね。死にたくないって思いましたよ」

「ふーむ。まあの。お茶はほっとけば冷める。転がる玉はそのうち止まる。人は生きてる限り死ぬ。冷めたお茶や止まった玉が勝手に元に戻ることは無い。

 そんなもんじゃ。気にしても仕方あるまい。生きている限りどこかで死ぬのなら後悔せん生き方を選ぶことじゃな」

「……よくわかりません」

「死ぬのが怖いのは当たり前だ。死ぬのが怖くないのが当たり前であると同じようにのう」


 頭を振ってため息を付く。

 小鳥は、茶の水面に写るやはりいつも通りのきょとんとした顔の自分を見下ろしつつ何気ない言葉を出した。


「いつからか、それとも最初からか。わたしにとって世の中には理解出来ないことが多すぎて頭がぐるぐるします。いかに取り付くろって普通のフリをしても、時折周りから呆れられる表情で失敗を悟ります」


 ずっとそうだったのである。

 だから一度や二度死にかけたというのにどういう反応をすれば正しいのかわからないのであった。


「普通な人間などおらぬし、何も起こらぬ日常も、誰も死なぬ人生も無いぞえ。気にするな、お前さんはただの子供だ」

「そうですよね。一般女子高生なんです。再確認完了。世間のスタンダードモデル小鳥ちゃんと呼んでください」


 真顔で小鳥は云う。

 ヴァニラウェアはそれ以上何も聞かずに、温かい血を入れた湯のみを傾けていた。

 小鳥も土魔法の教本に目を落として、考えを後回しにして学習に写った。

 怖いとか、嫌だとか、死にたくないという理解の難しい事よりも、土系の魔法がダンジョンで罠の解除に使えそうだということだけは確かに理解できていたからだ。

 そうしてゆるゆると研究室での時間は過ぎる。いつものように。


「……あ、羊羹を作ってきたんですけれど」

「おお、すまんの。お主の作る菓子は美味じゃからの」

「ほうそれはそれは、どれくらいですか?」

「死ぬほど。というかこの前のニンニク月餅で死んだし」

「キルカウントがこんなところで上がっているとは」


 ……ツッコミ役がいない時は小鳥もヴァニラウェアものんびりと過ごしているのである。

 その時、ノックの音と同時にクラスメイトが研究室に顔を出しました。


「失礼しまーす。おーいコトリちゃーん。食堂のおばちゃんが呼んでたけど──」


 がしゃん、と音を立ててヴァニラウェア卿の湯のみが割れ、彼は苦しみだした。


「ぐうううう!! 小娘があああ! 貴様、我に何を飲ませた!」


 キラリと目を光らせて、彼を退治せんために対峙する。


「うふふ、吸血鬼を相手に、何も対策を取らない筈がないでしょう? 血液中の白血球全てに吸血殺しのカースワーズを予め刻んで置いたのですよ!」

「馬鹿な──! そんな魔術的改造技術を人間ごときが……!」

「何百年生きて人を侮ったか知らないですが、常にわたし達はバケモノを退治する為に牙を研磨しているのです。人類種の敵め、灰は瑠璃色の海岸に撒いて供養してさしあげましょう」  

「おのれええええ……」


 怨嗟の呻きと共に闇から生まれし吸血鬼はついに敗北する。

 研究室に入ってきた小鳥のクラスメイトが悲鳴を上げる。


「きゃあ──!! なんか研究室で壮絶なバトルの最終局面になってたー!? しかもヴァニラウェア先生が灰になってるしー!?」


 人目のあるところではこんな感じに過ごしている師弟であった。

 ちなみに灰に血を垂らしたらすぐ元に戻る。一回灰にされた経験から今では自分の意志で灰になれるという。






 ***********





「[ドラッグ煎れ分]とか[ドラッグ盛り]とかって結構ヤバめの店名だと思うのですがもはや浸透しすぎてどうとも言えないですよね」

「何が?」

「富山の薬売りだと伝統芸能なのに上野公園のイラン人薬売りだとどうしてこうもポリス沙汰になるのでしょう」

「だから何が?」


 そんな思いを噛み締めながら小鳥とイカレさんは薬屋に出かけた。

 再びダンジョンに潜る為の反省点として、この前の探検で薬のたぐいは一切持って行かなかったのである。

 小鳥を瀕死の重傷から救ったのも魔法の飲み薬だという。そこまで即効性と効能があるとは小鳥も知らなかったので軽く考えていたが、それならば揃えておくべきではある。

 二人は商業区へ出向き年がら年中鳥取しゃんしゃん祭以上の人賑わいを抜けて薬屋を目指した。

 暫く歩くと、剣士と竜をイメージした看板に文字が書かれている店に辿り着いた。


「えーと『ドラッグドラゴン』……ここが薬屋ですか?」

「そォだ。冒険者御用達品から綿棒まで売ってるチェーン店」

「チェーン店なんだ」


 店の中に入ると制服を着たバイトっぽいレジの店員が「やっしゃーせー」とやる気のない挨拶をしつつ、別の店員がこちらに近づいてくる。

 身長はイカレさんよりも10cmは高い、着ているダークスーツから見える手や顔が深緑色の鱗に覆われたリザードマンだ。

 ギザギザの口を開けて笑いながら声をかけてきた。


「これはこれはサイモン殿、ようこそいらっしゃいました」

「おや、イカレさん。お知り合いで?」


 慇懃な声で話しかけてくるリザードマンに意外に思いながら小鳥は見遣る。

 前世はチンピラでそれを今生でも引きずってるようなイカレさんが誰かに丁寧語で話しかけられるなんて石破天驚な事があるだろうか。

 余程の弱味を握られているか家族を人質に取られているかと小鳥は心配する。正義のためならばイカレさんを告発することも辞さない意志で。

 リザードマンの店主さんはニコニコ笑いながら爬虫類の目で続けた。


「いえいえ、当社の社長がサイモン殿の妹君にあられるのでして」

「血は繋がってねェけどな。どォでもいいぜ」

「義理の妹て。イカレさん……どうして貴方はそうエロゲ主人公みたいな女性関係なんですか」

「コイツの脳を治すか溶かす薬を売ってくれ」

「ではシンナーなど」


 笑顔で生々しい薬物を進めてくるリザードマン店主。それはプラモとか作るときの道具であって薬ではないと小鳥は固辞する。

 それにしても素直な感想を口にしただけだというのにイカレさんも心が狭いものだと小鳥は嘆息する。

 義理の妹が居るだけでだいたいリア充度は数段階上がるというのに。

 更に下宿の隣には巨乳お節介幼馴染がいる。

 頭が少々気狂っているが手料理を御馳走してくれる召喚少女も居る。

 ショタシスターも居る。

 エロ本を貸してくれる女性の本召喚士もだ。

 チンピラなのにそれなりに華やかな人間関係といえよう。小鳥としては、ヤク中で内臓を売り飛ばしたホームレスとか、アル中で震えが止まらないヤブ医者とかそういう彼のレベルにあった友人付き合いを期待していたのだが。 


「これでイカレさんが、暑い昼間に『ウオオオリャアアーッ! ギュルルルーッピキューンピキューン!!』とか叫んでトテトテと部屋中を駆けまわりペンギンの真似をして暑さをごまかそうとするひょうきんな方でなければハーレム展開になったのでしょうが」

「意味のわからねェ奇行を捏造するんじゃねェ! 何ペンギンの鳴き声だそりゃ! つーかペンギンは別に暑さに強くねェだろ! あと何ーレムだボケェ!」

「おお……四段ツッコミとは。イカレさんから元気を分けてもらっているみたいですね」

「手前に分けた魔力返せアホ」


 べしべしと小鳥の頭に地獄めいたチョップ突きをくれてくるイカレさん。うふふ、その攻撃でどれだけ脳細胞が死んだかな? とあくまで彼女は余裕だ。

 リザードマン店主はイカレさんと仲よさ気な小鳥を見て問いかけてきた。


「こちら様は?」

「わたしはダンジョン攻略の仲間、小鳥と申します。好きなお薬はハッピーターンの粉」

「おほん!」


 店主が大きな席をして、周囲を見回し声を潜めて云う。


「その薬を買う時は夜営業で合言葉をお願いしますお客様」

「やはり」


 怪しいと思っていたら非合法な物だったらしい。なおこれは架空のハッピーターンの話であり日本で売られている製菓とはなんの関係もない。ご安心ください。

 ともあれ二人が買いに来たのは美味しい粉ではないのでイカレさんが話を戻した。

 

「つーわけでよ店主。ダンジョンに潜るのに適当な薬を見繕ってくれ」

「わかりました。冒険者の方もよくご利用になられますからね。少々お待ち下さい」


 そう言って他の店員に指示を出して薬を集め始めさせた。

 その間小鳥とイカレさんは棚に並んだ様々な薬を眺める。意外といえば意外に、コンタクト用品や健康食品なども売っていた。ポイントカードもあるらしい。

 暫くして、数度の探索に耐えられるような量の商品が集められた。

 消毒薬に包帯。冷却材。湿布。目薬──魔物や罠の中には視覚を奪う攻撃をするものもいるらしい──に石化解除薬などの状態異常回復系。

 そして安めの即効性回復薬など。

 多少羽振りが良くなったイカレさんは必要経費だと割りきって一括購入をすることに。或いは金払いが雑なのかもしれない。明日食えぬ状況に為ろうとも彼は氷や削った木屑などを齧って飢えを凌げる男は違う。

 とりあえず多少割引はしてくれた。


「そういえばイカレさん。わたしの命を助けたという薬はどういうものでしょうか」

「ん? この中にゃ入ってねェな。おい店主、ちょっと聞きたいんだが……」


 とイカレさんは薬の効果──瀕死の重傷の人間を後遺症なく回復させる──などを告げて尋ねた。

 リザードマン店主は顎に手を当てて少し考え、答える。


「ふむ、それは恐らく『蒼きエリクシル剤』という高級な魔法薬でしょう。ご必要とあらば取り寄せ、という形になりますが」

「お値段はおいくら万円で?」

「市場価格で──」


 告げられたのは、ざっと一年は遊んで暮らせそうな値段。イカレさんは露骨に顔を引きつらせた。とても買えない。

 命と一年の生活費を天秤にかければ前者の方が重いのだろうけれど、それを見知らぬ他人に使うとは。

 謎の剣士、いったい何者なのだろうか。多分お人好しなんだろうが。










「ちなみに『蒼きエリクシル剤』は通称でして。正式名称は『オッサンーヌの髄液』と申します。公文書で登録されている名前はこっちでして」

「うわー。ここに来てまたオッサンーヌですか。何者だオッサンーヌ」

「飲み薬です」

「知りたくなかった」

 




 **********





 また、ある日の事である。

 最近宿に顔を見せないパルに会いに、小鳥は一人で彼が歌う予定のある酒場へやってきた。

 しかしまだステージにはパルの姿はなく、仕方ないのでバーのカウンターに座る小鳥。


「ストロベリーサンデーを一つ」

「はいよ」

「あ、普通に出されるんだ……」


 てっきり近くの強面な冒険者がぐへへとか笑い出して馬鹿にし始めるのかと期待していたのだが、肩透かしである。

 しかしよく見たら周囲の客は殆ど女性であった。騎士風の格好をした者や魔法使い風の者。ビキニアーマーもいる。

 この冒険者の酒場──ダンジョンの入口の一つ『黄金のピラミッド』という店の場所である。

 この世界では女冒険者に女傭兵なども多く存在するが、この店の店主は代々女性がやっていて甘いスイーツなども出すものだから彼女らが集まる場所になったのだ。すると男は入りづらく、女客はさらに寄ってくる循環が起こり、自然と女性冒険者向けの店になった。

 もちろん男が入ったら悪いわけではないが、ダンジョンから帰ってきた男冒険者などが出口としてうっかりここに来てもあまり居心地は良くないだろう。中にはナンパやパーティへの勧誘目的でやってくる下心ある男も居るが。

 ともあれ小鳥からすれば巨漢のモヒカンとかに絡まれても仕方ないので好都合である。


「そういえばマスター」


 とストロベリーサンデーを出してきたバーの店主に話しかける。

 年増と云うにはやや若く見えるほどの年齢で、冒険者上がりなのか顔や手に傷跡が残っている女性であった。

 やや厚ぼったい唇を開いて問い返す。


「なんだい、お嬢ちゃん」

「ええとですね、先日ダンジョンの中で黒髪黒服の剣士さんに助けられたんですけれど名前も聞かずに別れたんですよ。ご存知ないですか?」

「黒髪黒服の剣士……ねえ。ひょっとして鎧とかじゃなくて真っ黒のただの服だったかい? そして一人だけ?」

「はい、確か。あとマントを付けてました」


 一瞬だったが、顔の印象よりもマントが目についた。今どきファンタジー世界でも珍しいマント。しかし男の子なら誰もが一度は身につけたことのある外装。それを真顔で着こなしているのだから強く記憶にこびりついた。

 店主というか女将は薄く笑いながら答える。


「そりゃアレだ。もう十年以上ダンジョン専門をやってる有名なソロ冒険者──アサギってやつさ。

 持ってる装備が伝説級だから他人にそれを狙われやすくってダンジョン内で襲われたことも何度もあり、仲間に裏切られたことも何度も経験して、結果誰も信用しないとか。

 人を寄せ付けない冷たい視線とあらゆる魔物を切り裂く魔剣から、『孤高の魔剣士』と呼ばれて──なに恥ずかしそうに顔を逸らしてるんだい?」

「い、いえ……急に格好いい二つ名が出て」


 小鳥は酷く咳き込んだ。


「見た目も少し変わってる服を着てるけど、顔立ちはいいからね。

 無愛想で冷たい印象だけれど木陰で鳥や動物に静かに話しかけてたり、ピンチの冒険者の危機を助けたりする優しさのギャップが人気だよ。

 そのミステリアスな雰囲気から彼に熱を上げる女冒険者も多いけれど、気づいていないのか興味がないのか相手にはしない──ってなにまた」

「わたしは限界だと思った」


 妙にノリノリに話すマスター相手に白目を向く小鳥。

 助けてくれた相手は凄いありがちに格好良い勇者様であった。いい人なんだろうけれど、いい人なんだろうけれど……。

 学園のマドンナが実在した、とでも云うような珍獣の如き特徴の数々だ。そこまで詳細に説明されたら恥ずかしいというか本人はどう思っているのか気になる。

 もにょっとした顔を背けてパフェを食べるのに集中することにした。

 狙ってるならライバルは多いからねというマスターに苦笑しながらコインを弾いて渡しつつ。マスターにコインを渡すときは苦笑しながら弾いて渡すのが荒野のルールだ。逆らえば概ね縛り首は免れないだろう。おそらくだが。

 なお支払いに使う小鳥の所持金はダンジョンで稼いだ分──イカレさんは基本的に山分けにするのだが、生活費とかでいくらかイカレさんやアイスに渡してる──や学食で特別料理を作ったアルバイト賃だった。

 命がけなこともありダンジョンでのモンスター退治は結構なお金になる。並の冒険者が倒せるレベルと、イカレさんの火力で一方的に駆逐出来るレベルは結構かけ離れているらしい。そして魔鉱は強力なモンスターほど換金が高くつくのである。




「あ、コトリさん。来てくれたんでウサね」

「パンデモニウムくん」

「パルですって。パしか合ってませんウサ、それ」


 パルは小鳥の隣に座ってお酒を頼んだ。一杯引っ掛けてから歌いだすらしい。基本的に恥ずかしがりなので、アルコールの力を頼るのだとか。

 ぐいぐいと強いお酒を飲んで顔をわずかに赤らめる。パルの見た目は美少女にしか見えないから、小鳥から見てもとても可愛らしく見える。股間がすぐ隆起する欠点を除けば。欠点ではない、魅力だとは本人の談だ。


「この前の冒険で、サイモンさんからかなりお金を分けて貰って大分助かりましたウサ」

「おや、そうですか。それなら暫くは怖い思いをしてダンジョンに潜らなくても──」

「コトリさんは」


 パルはグラスを傾ける手を止めて小鳥を見る。


「またあそこに行くつもりウサ?」

「行きますよ」

「怖くは無いんでウサか?」

「次は気をつけますから大丈夫ですよ。一度死んだから展開的に多分もう大丈夫だなーって思いますよ。死亡イベントを先行終了させたと思えば」

「……」


 相変わらず、意味の通らない理屈を小鳥がストロベリーサンデーの底をつつきながらとぼけ顔で述べる。

 ぐい、と一気にパルはお酒を飲んで熱い息を漏らす。

 パルは言いよどみながら言ってきた。


「……次にダンジョンに潜る時も、どうか良ければボクもまた呼んで欲しいウサ」

「そうですね、よろしくお願いします」

「頼りなくても、今度こそはコトリさんを守るウサ。その……この前は守れなくてごめんなさいウサ」

「パルくんが謝ることじゃないですよ、よしよし」


 酔ったせいか、わずかに涙目になった彼のふわっとした髪の毛を撫でてあげた。

 パルは益々顔を赤くして驚いたような顔をして、


「コトリさんにちゃんと名前で呼ばれた……撫でられて……こ、興奮してきたでウサ」

「はいはーい、歌って解消しましょうねパンジャンドラムくん」

「ウサウサ、コトリさんも一緒に歌いましょうウサ。歌神も『教義なんてくだらねえ! 俺の歌を聞け!』と聖書に残してるウサ。気分がイマイチな時は歌って元気を出すウサ」

「熱い神様っぽいですねえ」

「その後『五分だけでもいい』と続くんでウサが」

「一気に方向性が変わりましたね」


 そうして小鳥はその場のノリでパルに引っ張られてステージで歌ったり踊ったりした。こんな時のために、日本の女学生は体育の授業で創作ダンスがある。

 大きな声で歌うのも久しぶりに思えて、確かにいい気分であったという。


「異世界なら著作権も黒服も何も怖くない……ネズミのマーチを歌います。『ぼっくらのクッラブのリ─────』」




 <<検閲>>







「しかし観客は女性の方ばかりだったとはいえぱんつにおひねりのお札をねじ込むのはこの世界のマナーなのでしょうか」

「百合乱暴されないように気をつけるウサよ?」


 




 ***********






 彼女がフロに入って見下ろすたびに。

 腹にできた新しい傷が目立つ。


「残っちゃいましたねえ。かさぶたにもならずに傷跡だけ」


 ほのかに肌触りが違う、白い傷跡を撫でながら言う。

 髪の毛からぽたぽたと水が垂れた。肌を伝って胸から腹、足へと水が流れるが、やはり傷跡だけ違和感がある。

 ふむ、と全裸のまま考える。


「盲腸の手術……帝王切開……見たことはないけど違う気もしますね。そうだ、腹切りの痕ということで」


 別に彼女は三島由紀夫や清水宗治のフリークでも堺事件のファンでもないのだが。

 世の中には少女が切腹する姿に性的興奮を感じる変態も多分いるだろうことなので、そんな輩に攫われて切腹られたということにしようと微妙に実体験混じった設定を作った。

 海に行ったら水着は囚人服のような奴にしようと計画する。意外と嫌いじゃない。手枷をつけても雰囲気が出る。

 

(そういえば、お父さんのお腹にも似た傷跡が残ってたっけ)


 刑事である彼女の父は撃たれることもあったが、まったく死なないのだと母が笑って言っていた事を思い出す。

 思いながら牛乳石鹸で泡を作って体を洗っていると、背後の扉が開く音がした。

 少しだけひんやりした空気が浴室に流れる。

 顔を少しだけ後ろに向けて、相手の名を呼ぶ。


「アイスさん」

「やあコトリくん。たまには一緒に入ろう」

「まあ、浴室広いですからね。安い宿なのに」

「そうだなあ。ここはほら、大家さんがスライム族だから水まわりは豪華にしているのだろう」


 アイスが入って来ながらそう言って、小鳥の後ろへとスケベイス──浴室の椅子の名称だ──に座った。


「……背中を流してあげよう」

「あ、ちょっと恥ずかしいです。わたし肩甲骨が少しだけ大きい気がしますから」

「微妙だな恥ずかしポイント!?」

 

 その特徴は恐らく生まれるときに名前通り鳥類になるか、人間になるか前世のカルマ値で迷った結果なのだと思われる。

 アイスは苦笑しながら化学繊維でない謎スポンジで小鳥の背中を洗った。謎とは云うが、狂牛病になった牛の脳味噌ではない、その程度の謎さだ。

 腰のあたりを柔らかく撫でながら言う。


「……背中にも傷跡が残っているなあ」

「貫通していたのか。意外な事実。アグレッシブな腹切りとでも説明せねば」

「もうその、内臓が痛むとか、血を吐くとかは無い?」

「ええ。オッサンーヌが何者かは知りませんが、健康そのもので。孤高の魔剣士さんにはお礼を言わなくてはいけませんね」

「うむ。そうだね。そうだね……」


 少しだけ声を滲ませて、アイスは小鳥の背中に頭を預けた。

 ……ガールズラブ要素……百合乱暴……パルから言われたそんな単語が小鳥の脳裏をよぎる。母から送られた言葉を思い出せ。『いざというときは奥歯をかちりと音が鳴るまで噛みしめるんだぞ小鳥』。何か仕掛けられている?


「コトリくんは、またダンジョンに行くのだろう?」

「そうですね」

「危ないのに? 死ぬかもしれないぞ」

「それはそうと、目的もありますし。イカレさんが一人で行くのも危ないですから。他に連れて行ってくれそうな人も居ません。それにこれでも、役に立っているのですよ? 戦闘以外」

 

 イカレさんとパルだけで行かせたら、少なくとも彼らがいくらラッキーでも一週間以内に地雷で足とかふっ飛ばされてる未来が見えるようだった。

 普通ダンジョンも罠回避スキルの無いパーティーは深部まで潜らない──というよりも中層程度で魔物退治をして魔鉱を稼ぐのが殆ど──なのだが、とりあえずダンジョン内を探索する目的の小鳥と、奥地に居る鳥を探しに行くイカレさんの方針によりひたすら進むパーティなどそう無いから選択肢も少ないのである。

 アイスは囁くように言った。


「……私は、昔サイモンくんを助けようと思って魔法使いになったんだ」

「彼を?」

「召喚士というのは髪の色だけではなく、その能力から迫害を受ける事もある。サイモンくんは体躯に恵まれているわけではないから、小さい頃はよく同年代に虐められていた。もちろん、あの性格だからやり返していたが、勝率は良くなくてなあ」

「ほう」

「私もあまり友達が少なくてなあ。眼鏡とか巨乳とか言われて」

「……なんというか釈然としない戦力差を感じますな」


 ロリ巨乳とか実在していたのか。これ以降小鳥はUMAを見るのと同じ目でアイスを見るようになる。

 最近の小学生はエッチになっていると鳥取で同級生の男子が主張していたが、まあそれは恐らく犯罪者候補の意見なのでともかく。

 小鳥は性徴に欠陥があったと主張したい程にペタ乳である。母も驚くほどペタンだが、一応血はそこまで繋がっていないので希望は無くもない。


(思い出すのはニヤニヤしながら言ってくる慰めの声です。『なあに気にすることはないぞ小鳥。小さいほうがむしろお前は可愛いからなあ。それに胸が無くても結婚を申し込んでくる物好きもいるものさ』……あれはノロケだったのだろうかお父さんの)


 どうでもいいことを考えているとアイスの惚気話は続いた。


「そんな時を助けてくれたのがサイモンくんだ。いやまあ、いじめっ子にはあっさり負けるわけだが、庇ってくれたサイモンくんの頼もしさときたら……」

「わかります」


 実はちっともイメージできないのだけれども思い出を壊すのも悪いので適当に肯定しておく。

 小鳥の脳内ではバタフライナイフをちらつかせて危ないやつみたいに息荒く突っかかっていくショタチンピラが思い浮かぶ。彼の未来は暗い。施設で性根を矯正してもらったほうがいい。

 

「それで彼の力になろうと魔法学校へ通ったのだが……それからも彼には世話になった。今使っている魔杖アイシクルディザスターを作るために、エンシェント級のアイスドラゴンと戦った時もサイモンくんがいなければ勝利は覚束無かっただろう」

「そんなメインボスバトルがわたしの登場以前に」

「サイモンくんの魔力を持っても一度に一体、それも十数秒しか召喚できない皇帝鳳凰……そして私が咄嗟に編み出した投げ技[地盤畳返し]の絶妙なコンビネーションが繰り広げる戦闘は地形を変えた……懐かしいな」

「投げ技なんだアイスさんの役割」


 魔法使いとして何か間違ってる気がしないでもなかった。

 

「コトリくん」


 言いながらアイスが正面に回ってきた。

 小鳥も初めてまじまじと見る彼女の裸。思ったとおりぽよ──んと擬音系な胸をしていて、シミも肌荒れもできものも無いすべすべした肌をしている。

 正面からぎゅ、と小鳥の手を握り。


「サイモンくんはああ見えて──面倒臭がりで無職で目付き悪くて人の弱みを見るのが大好きで空気を読まなくて割とひ弱だが──」

「……」


 そこまで言うかな、とも思うけれど幼馴染の特権だろう。きっと彼女以外の誰かが、アイスの目の前でそういう風にイカレさんを評価したら凄く怒る筈だ。或いは肯定するか。少なくとも間違っては居ないのだ。

 彼女は優しく笑って言った。






「サイモンくんは──ツンデレなのだ」





「……いやー」


 チンピラ風なイカレの旦那に付属させたくない属性だった。

 まだ不良とかヤクザだったら雨に濡れる捨て犬を助ける的なツンデレ実は優しい属性がアレなのだが。イカレさん雨に打たれてる犬を食料にするだろう。或いは子犬を囮に近寄ってきた人間を襲うか。

 世紀末救世主の前に立ったらとりあえず殺されそうなごろつきA。

 種籾とかあったらうまくもないのに食べそう。

 明日より今日。世の中にあるものと組み合わせると犯罪の二文字がちらつく系男子。

 そんな感じで小鳥は認識している。

 実際、見た目は虹色を除けばそれほど悪くないんだが、雰囲気がげっそりした上に尖った目付きと貧乏臭さと卑しさを兼ね備えたオーラを放っているのである。


「まあ私には年単位でデレを見せないのだが……それもまた難易度ハーデストポイント」

「……楽しんでいるならそれでいいですが」

「一番最近のデレは私の失敗料理を騙されて食べた後に『いィ加減自分で味見したもの出せっつーんですけどねェェェ! 死ねっ』とあーん的に彼の使ったスプーンで間接キスを迫られたことだ。料理の臭いで戻してしまったけれど」

「それはデレというより」


 怒りのほうが篭ってそうではあったけれど、アイスは幸せそうなので放っておいた。

 とにかく、と彼女は一度咳払いをする。


「サイモンくんは、頼りになるのだ。そして不器用に優しい。コトリくんも彼のそういうところを見たことがあるのではないかな?」

「……心当たりはありますね」


 自分から召喚されたと名乗る、意味不明なことを喋る女を彼は特に対価も求めずに悪態をつきながら宿に住まわせた。別に見捨てても異世界に戯言を吐く女が一人取り残されるだけだというのに。

 それでいて束縛もしなかった。小鳥を自由にさせつつ、危ない街中などに出かけるときだけ億劫そうに付いてくる程度で。

 貧乏なのにお金だって貸してくれた。知らないことだって最低限教えてくれた。そこまでする義務は無いというのに。

 

(あれ? 結構イカレさんいい人だ……厭だなあ)


 思い直すと、彼のことをチンピラからチンピラ兄貴へと格上げ出来そうな感じではあった。進化をBボタンでキャンセルして脳内評価は留めておいたが。

 

「だから、危なくなったら彼の背中に隠れなさい。本当は私が彼を助けてあげたいのだけれど……」


 仕事を休んででも手伝おうとしたら、彼に怒られてしまった。アイスはわずかに寂しそうな顔をしながらイカレさんの口調を真似る。

 

『ガキじゃねェんだから社会人は自分の事を考えろ。教える生徒にも迷惑だアホが』


「そう言われたらどうしようもない。今では私も彼も、助け合うにはお互いに強くなりすぎてしまった。無理に理由をつけて近くにいけない」


 特に彼女に借りを作る事が面倒なのだろう。対等だと思っているが故に。手下気分な小鳥やパルはともかく。

 だから。

 イカレさんにいつでも一緒にはいられなくなってしまったアイスへと小鳥は言った。


「大丈夫ですよ。あの人もパルくんもわたしが助けますし、わたしも二人から助けられます。頑張ります」


 アイスさんは少しだけ悲しそうに笑った。


「うん。私は、君を信じる。君やサイモンくんと笑って過ごせる日々が好きなのだから────死なないでくれ」

「はい」


 返事を。

 根拠はないけれど誓いとして守ろうと思う返事をして小鳥はアイスの胸を掴んで捻った。




「痛ぁ──!?」



「あ、いえ前からあまりに立派なお胸でしたので偽乳かどうかの再チェックを」



「それこの話の流れと関係ないよね──!?」







 ************




 今日また小鳥とイカレさんとパルの三人はダンジョンへ潜る。

 幾らかの緊張感と、アイスから貰った氷系防御術が付与魔法で込められた[氷結符]とイカレさんが買ってくれた薬を含んだ装備を持って。

 目的はある。

 イカレさんは居なくなったペットの鳥を連れ戻すため。

 パルはお金を稼ぐため。

 小鳥は──元の世界へ帰る手がかりを得るため。

 今日も命を対価に可能性を見つけに、地下へ潜るのだった。

 異世界へ来たばかりの初心者期間は終わった。

 今では死をも体験しつつ、目下毎日を楽しく生きている。



 そうして区切りが尽き──また始まる、イカレと小鳥と異世界の日常。

 



「わたし達はまだ下り始めたばかりなんだからよ……この険しく長いダンジョン坂を……」

「おい、手前」

「はいなんでしょうイカとカメレオン、略してイカレオンさん」

「うざっ。それより、手前は戦闘じゃ役に立たねェんだから後ろ引っ込んでろよ」

「はあ。それならばイカレさんの後ろに隠れますか」

「あァあァそうしろ。巻き込まない分面倒じゃねェ」

「……うげえ。うわーマジコレうわー」

「なんで凄まじく不満気なんだ殺すぞ」 


 そんなイカレさんのややアレな態度に思わず薬屋で買った苦虫を噛み締めながら。




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