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私がモテないのはお前に言われんでもわかっとる!  作者: 矢御あやせ
第3夜 俺はあきなが好きだ
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VS底辺系男子

「これがうちの姪と甥」

知子さんがミハルにスマホを見せる。

「わー、かわいー」

ミハルは手を合わせてキャッキャと高い声を上げる。

子供や犬の写真でキャーキャー騒ぐという女子っぽいイベントをまさか実際に行う日が来るとは。

スマホを見せている知子さんの顔を見た。

三年後にタイムスリップしたんじゃないかって程げんなりしている。

心なしか白髪が増えたのでは?

知子さん大人だもんね。えらいよ知子さん。

……本当に大変だよ。


無自覚に空気読めない子ってすごーい大変だよ。

普段は調和を求める割に、ミハルは時折物凄いタイミングで失態を犯す。

まあ私も他人事じゃないんだけど。


アラタといえは、相変わらず楽しそうに知子さんの様子を眺めていた。

「にしてもさ、アラタって知子さんの弟の割にはチビっちゃいね。身長、知子さんと大して変わらなくない?」

私はそんな知子さんがいたたまれなくなって、とても楽しそうなアラタの足を引っ張る事にした。

知子さんは165cmで、いつも高いヒールを履いている。

立ち上がって背比べしたら、間違いなく知子さんの方がたっぱがあるだろう。

恋頃も167cmでヒールの靴を好んでいるので、二人の間にアラタが入ったら非常にかわいそうな構図が出来上がる。


ちなみに155cmの私と152cmのミハルはヒールとはあまりご縁がない。

私は高いヒールに恨みがある。

ミハルはスニーカー派だ。


アラタは口角を下げ、口を三角定規みたいにして

「黙れデブ」

と吐き捨てた。

これだけははっきりした。

アラタは身長をコンプレックスにしている。

「えと……あの。アラタさんはどうして東京に来たんですか?」

ようやくミハルの興味がアラタに移ったようだ。

「実家で休養期間しててね、東京でチャレンジしようか考えてるみたいよ」

知子さんが言う。

「よく言えばな」

ピシャリとアラタ。

「なるほど、ニートか」

私は腕を組んでうんうん頷く。

「あきな! あんたねぇ」

知子さんの怒声が飛ぶ。

なんだよ。ミハルは何言っても怒られない癖に何で私だけ。

ちぇっ。

「私がオブラートに包んであげてるのにどうしてあんたってヤツはぁ!」

知子さんは最低だ、と頭を抱える。

どうやらアラタは期間限定で知子さんの家にお世話になっているらしい。

面倒見の良い知子さんのことだ。きっとアラタにあれやこれやと尽くしているに違いない。


私たちは滅多に現れない男性ゲストに興味津々だ。

「アラタは彼女居んの?」

まあ男っつっても底辺だけどな。

性格最低、低身長、トドメは仕事なし。

顔は多少整ってる。小泉孝太郎に似てる。

でも大卒で社会に出た女にとって、顔だけ良い男ってそんな価値高くもないじゃん。

……って私は思うんだけど、そこは圧倒的に不足した経験のせいで推測でしかない。


「知子の弟ってわかった途端手のひら返しかよ」

アラタはぶすっと口を尖らせ、パーカーのポケットに手を突っ込んでいる。

「一度会えば友達で毎日会ったら兄弟さ!」

私はグラスを煽って安田を呼び、焼酎をおかわりする。

「ドレミファ・どーなっつ気取りか」

アラタは眉を潜める。

うるせー、チョコランタン世代が。

「友達なのでアラタくんの女性遍歴を楽しくバカにするつもりです」

私はにまにまと笑い、腕を組んでふんぞり返った。

居たところでこんなバンドマン崩れの男と付き合ってるのなんてリスカを通行証と勘違いしてるバンギャぐらいだろ?

「最低だよこのロリータ!!」

「いるの? ねえねえいるの?」

ここが個室居酒屋なら、パンパン手を叩いてやっても構わない。

いるの? ねえねえいるのぉ?

「…………」

アラタは気まずそうに口をつむぐ。この反応はどっちもありえるから侮れない。

見てるよミハルが見てるよ。めっちゃ真剣な目でアラタを見てるよ。

「お? もしかして? もしかしてぇ?」

「……すしざんまい」

おい恋頃! 

ちょっと沈黙に耐え切れなくなってんじゃないよ!

喋らないキャラの癖になんでこんな時だけ喋るんだよ!!


アラタはだんまりを決め込んでいる。

私はここの段階でアラタのフリーを決めつけた。

正確には私とミハルが。

「………………」

アラタの沈黙は続く。ポリポリと人差し指で頬を掻いていた。

「……ちょっとお手洗いに」

ミハルが席を後にする。この出会いを無駄にしたくないのだろう。

そっか、すっぴんだもんね。確かに眉毛ぐらい描くべきだ。

よーし、いけいけミハル。メイクアップだ! 

ムーンプリズムパワーでメイクアップ(物理)するんだ!!

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