妖怪・お局女の罠
「つまり!! わわわわわわ私が! 小さいから挑発してる訳ぇ!?」
「そうですけど? 悪いぃ?」
知子さんは意地でもどこが小さいかは言わない。
せいぜい意地でも張っていればいいさ。
てめぇの胸のサイズは変わらないがな!
「悔しかったら揉んでくれる男でも見つけることですね。海でちちくり合ってくださいよ。乳だけに」
「ぬ、ぬぁにをおおぉ……!!」
勝った。
この勝負、トロフィーをいただいたのは私のようだ。
知子さんの悔しがる顔が最高に気持ちいい。
「……海、行こうよ」
うるさいぞ、恋頃。
「そうだね恋頃ちゃん。あきなちゃんの水着姿、見せて貰おうよ」
なん……だと……?
さっきまで霊圧を消していたミハルが息を吹き返した……だと!?
貴様、ゾンビ化したな!!!!
おそらく、この女はこっちの姿の方が強力だ。なにせ腐女子だからな。
クソ、あの女、こっちのウソを見抜いてやがる。
見事に自打球がブーメランしやがった。
「あら、いいわねぇ。あきな、最近痩せたみたいだし」
南波知子……貴様もか!!!
思ってもない事言いやがって……!!
何がなんでも私に恥をかかせたいらしい。
ふん、よかろう。
ならば貴様らごと道連れにしてやる!!!!!!!
「そうだねー。どうせなら皆の水着も見たいなぁ」
私は海坊主となり、強力な一波をもって処女3人を海へと誘う。
水着、と聞いてまず顔をひきつらせたのはミハルだった。
対して恋頃は無表情のまま。
あんなに煩かった知子さんは返事すらしない。ねえねえ知子さん大丈夫ぅー? 息してるぅー?
「い、いいですけど……オシャレですよ?」
スヌーピーのTシャツの胸部が揺れる。
ミハル……スクール水着だけはマジでやめろよ。
「……とったどー」
恋頃はなるべく当日風邪をひけ。
じゃなかったら犬に噛まれろ。
「い、いいんじゃないの?」
真っ先に反対しそうな人が息を吹き返した。
知子さんだ。
「私も新しい水着買ったしぃ? 私のセクシーな水着姿、見て欲しいわぁ?」
嘘だ。忙殺オブザイヤーな知子さんに水着を買うヒマなんてある訳がない。
「…………海…………行ける?」
恋頃が目をキラキラとさせる。
やっべー。超やばいんですけどぉ?
意図しない展開になってきたなぁ、これは。
海なんて絶対に知子さんのゴリ押しで取りやめになると思ってたんだけど……。
まさかあの人が折れるとは……。
その時、知子さんが私に向けて笑顔を向けている事に気づいた。
東京23区中の悪意という悪意を全てかき集めたような邪悪すぎてげっぷも出ないような恐ろしい笑みだ。
彼女のは顔はこう語っている。
『引っかかったわね、おデブちゃん』
しまったああああああああああああああ!!!!
これは罠だあああああああああ!!!!
私が海に奴らを引き込んだんじゃない。
奴らが私を海に引き込んだのだ。
海から這い出てきた水濡れの南波様は私の足を掴んで離してくれない。
どうやら私は妖怪お局女こと南波知子閣下の事を甘く見ていたようだ。
『来るんだデブ。さあこっちへ。皆にキミのデブ姿をお披露目しなくちゃなぁ。ところで妊娠何か月目? あ、キミ処女だっけ? ごめんね。てへぺろ。ブァーッハッハッハッハッハッハッハーーーーー!!!!』
私は箸を落とし、反射的に立ち上がる。
こんな事をしている場合ではない。
「よ、用事思い出した。帰る」
割り勘分のお代をテーブルに叩きつけ、そそくさ店と3人に背を向けて去って行った。
まずい。
まずい。まずい。まずい。まずい。まずい。まずい。まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!!!!!!!




