表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で唯一の男魔法使い  作者: 木林森
プロローグ
1/58

プロローグ

読んでいただきありがとうございます。

『佐藤、アウト~』

『あぐっ! ……これほんまきっついわぁ』

「あっはっはっはっはっ!」

 テレビの中で、笑ってしまった芸能人が尻をプラスチックバットで叩かれた。

 俺はそれを見て腹を抱えて笑っている。

 大晦日の夜、毎年この時間の定番となっている『小僧の召使じゃないどすえ』の『必ずに笑ってはいけない寺修行四十八時』は、俺のお気に入りの一つだ。

 大晦日は『源平歌合戦』や『ニャゴえもん』と言った様々な特番が放送されるが、俺はこの番組を毎年見ている。何となく番組表を見ていたところ、マイナーなローカルチャンネルで『突然少女が姿を消した日から一年。大晦日の謎を追う!』という若干悪趣味な番組までやっているのを見つけた。前日の夜まで普通に生活していた高校生の少女が、正月の朝に行方不明になった、当時大騒ぎになった事件の特番だ。

『じゃ、ここからルール変更や。必ず驚いてはいけない、に変わるで』

 女装をしている進行役の芸人がルールの変更を別の芸人たちに伝えた。これも毎年の定番で、番組の終盤にこうなるのだ。

「あと数時間で今年も終わりか……」

 ちらり、と時計を見て俺はどことなく感傷的な気分になりながらそう呟く。

 高校に進学してからもう半年以上が過ぎた。あと三カ月ほどでもう進級だ。最終的な進路決定はまだ先だが、もう二年生の選択科目希望は出している。そろそろ本格的に進路を考え始める時期だろうか。

 俺はそんなことを考えながら、テレビを消してパソコンの液晶に目を向ける。あの番組は録画してあるからこれ以降は明日にでも見ればいいだろう。

 冬季深夜アニメ一覧を見ながら、これから見ていくであろうアニメをチェックしていく。

「お、『じぇじぇの珍妙な旅』と『実行委員会役員達』もやるのか。これは要チェックだな……」

 画面をマウスホイールを使ってスクロールしていき、頭の中にメモする。

 アニメ、マンガ、ライトノベル、ゲーム……俺は俗にいう、『オタク趣味』のサブカルチャーにハマった。受験前のストレスで若干情緒不安定になっていたところを、友達が気分転換にどうだ、と教えてくれたのがきっかけだった。

 それ以来どっぷりハマり、今ではお小遣いのほとんどがこの趣味に消えていっている。

 画面を一番下までスクロールし終える。これでチェックは終了だ。

「さてと……お年玉はいくら貰えるかねぇ」

 明日に入ってくるであろう大金を夢見ながら、俺は目を瞑る。


 ――数分も経たないうちに、俺は意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ