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第4話 街の散策と買い物、邂逅

ところでR15ってどこまで許されるんでしょうかね。


あまりグロい表現は入れないつもりですが…。



後書きに投稿直前に考えた簡単な各種ギルドの説明を載せます。



※本文最後のルシフェラによる傭兵蹂躙部分に少し書き足しました。

「しらない天井だ…。」



目覚めて最初に目に入ったのは白い天井。



頭側の壁にある両開きの窓からは朝の光が差し込んでいる。



時刻は7時、窓の外に意識を向けると早朝にも関わらずかすかな喧騒が聞こえてくる。



「今度はちゃんと言えたぜ…。」



固めのベッドから起き上がりつつ、呟く。



何とも無駄な(こだわ)りである。



随分とゆっくり眠れたので頭は大分スッキリしている。



(この街は何なんだ?城門の兵士に中世のような建築物、鎧と剣を装備した人もチラホラ見えたし。…それに魔族?吸血鬼伝説の事か?)



コートハンガーに掛けておいたワイシャツと詰め襟を着ると、朝食を取るため食堂に向かいながら今の状況について色々と考えてみる。



(魔物に魔族、兵士や冒険者、魔力属性…。あー…、訳解らん。まるでゲームや漫画の世界だ…。)



まあ、小説なんで…ゲフンゲフン。



どうにも現実に理解力が追いついていかない。



「おや、お早う。朝食にするかい?」



いつの間にか一階に辿り着いていたようで、おかみさんが声を掛けてきた。



流石に朝っぱらから酒を飲もうなどというバカは居ないようで、食堂内は数人の客が居る以外は昨夜の喧騒が嘘のように静かだ。



「お早うございます。お願い出来ますか?あ、その前に顔を洗ってきたいのですが…。」



「用意しておくよ。裏に井戸があるから好きに使いな。」



おかみさんが指差した階段裏にある扉から外に出ると、裏庭の隅に井戸があった。



「井戸とか使うの初めて…。」



祖父の家にも井戸はあったのだが、石の蓋が被せられていたため使った事は無かった。



つるべを落とし水を汲み上げると、桶にあけて顔を洗う。



水が冷たくて気持ちいい。



タオルが無かったのでハンカチで顔を拭くと食堂内に戻る。



朝食はパンと柔らかく煮込んだ肉、スープとサラダだった。



全体的に薄味だがかなり美味い。



昨夜は疲労で味わって食べられなかったのが残念でならない。



「今日はどうするんだい?」



一心に朝食を消化していると、おかみさんが話し掛けてきた。



「んー…、この街には昨日来たばかりなので、散歩がてら色々と見て回ろうかと。」



「じゃあ、あたしが案内してあげる!」



宗太が答えると、掃除をしていたらしいアンジェリーナが笑顔で言ってきた。



肩甲骨の辺りまで伸びた茶色の髪を後頭部で一つに纏め、同色の瞳は期待に満ちている。



「確か昨日は三つ編みだったよね、髪型変えた?」



昨夜の記憶を思い出しながら、聞いてみる。



「その日の気分で色々と変えてるの。似合わないかな…?」



「ううん、似合ってるよ。可愛い。今日はアンジーさえ良ければ案内頼めるかな?」



円滑なコミュニケーションの為には相手を褒めるのが有効なのだ。



「うん、任せて!ねぇママ、行ってきて良いよね?」



宗太の返事に笑顔を一層深くし、おかみさんに聞くアンジェリーナ。



頬が若干赤いのは何故だろうか。



おかみさんは苦笑しながら許可を出す。



「やった!ソータさん、掃除が終わったら迎えに行くんで、お部屋で待ってて下さい。」



アンジェリーナはそう言って上機嫌で掃除に戻る。



食べ終わった宗太は、食休みのためにも言われた通りに部屋で待つ事にする。



部屋に戻って一時間程経った頃、扉をノックする音が聞こえる。



「ソータさん、お待たせしました!」



アンジェリーナの準備が出来たらしい。



宗太が扉を開けると、外出用かおめかしした姿が目に入った。



少し時間が掛かったのはこのためか。



「着替えたんだね。よく似合ってるよ。」



宗太が褒めると顔を赤くして俯いてしまった。



(ありゃ、恥ずかしいのかな?似合ってるのに…。)



何とも無自覚な男である。



「何か買う物はありますか?」



二人で外に出ると、アンジェリーナが訊ねてくる。



「そうだな…、武器とか欲しいかな。冒険者が素手っていうのもアレだし。良い店知らないかな?」



「うーん、リードさんのお店で大丈夫かなぁ…。案内しますね。」



そう言って歩きだすアンジェリーナ。



何やら不安げな表情が隠せていない様子だ。



「そのリードさんだっけ…?何か問題でもあるの?」



一緒に歩きながら聞いてみる。



「問題、といいますか、その…。」



何とも歯切れの悪い返答だ。



「取り扱っている武具は良いものが揃っていると評判なんですが、性格の方も評判で…。気に入った人とその他の人で値段を変えちゃうんです。いい人ではあるんですが。」



「何ともまぁ…。」



不安そうにしている理由が分かった。



何とも個性的な人物であるようだ。



宗太も若干不安になってきた。



「でも、きっとソータさんなら大丈夫です!あ、着きましたよ!」



話している間に着いたようだ。



アンジェリーナは根拠不明だが自信満々に言い切ると、店の扉を開け入って行く。



武具店の印なのか、盾に剣と斧槍が交差した物が看板に描かれていた。



宗太も後に付いて入って行くと、剣や槍を始め短剣、盾、鎧など様々な品物が陳列されていた。



「おう、アンジーじゃねぇか!今日はどうした…って、誰だ?後ろのヒョロイのは。」



宗太が店内を珍しそうにに眺めていると、奥から一人の男性が現れた。



禿げ上がった頭に白い口ひげ、顔や筋骨隆々な体躯には至る所に傷痕がある。



何よりデカい。



二メートルはあるんじゃないだろうか。



その風貌は「山賊の(かしら)です」と紹介されれば思わず納得してしまいそうだ。



(前職は山賊か…?)



「誰が山賊だ、俺は元冒険者だ!」



「読心術!?」



思っていた事を言い当てられて思わず焦る。



「声に出していましたよ…。」



アンジェリーナが苦笑しながら教えてくれた。



あまりの衝撃に口に出してしまったらしい。



反省。



「…まぁ、いい。それで、お前さんは?」



「この人はソータさん、ウチに泊まってるの。」



リードの問いにアンジェリーナが答える。



「ソウタ・アカツキです。昨日冒険者ギルドに登録したばかりなので、武器を買いに来たんです。」



続いて宗太からも自己紹介をする。



「リード・ロフマンだ。元冒険者(・・・・)で今は武具屋の店主をしてる。」



元冒険者を強調しながらリードも自己紹介をする。



結構気にしていたようである。



アンジェリーナは苦笑を浮かべながら見ている。



「登録したばかりってことは新米か。ギルドカードは?」



言われてカードを見せる。



看板にギルド印が無かったので提示はしていなかったのだ。



「ふむ、…ん?依頼達成ゼロでランクDだと?こりゃ、どういう事だ…?」



カードを確認していたリードが疑問を口にしたので宗太は事の経緯を説明する。



「実は気が付いたら西の森で倒れてたみたいで、街を探して歩いていたらロングホーンボアでしたっけ?あの魔獣に追いかけられたので何とか倒したんですよ。」



「イーヴルニスの森を踏破しただと?魔族って訳でも無さそうだな。…成る程、その時に剣を折っちまったって訳か。」



「あの森を無事に抜け出せるなんて、ソータさん凄いです!」



リードは宗太の説明に納得をし、アンジェリーナは尊敬の眼差しで見つめてくる。



宗太は特に考えもせず、リードの言葉を一部訂正する。



「いえ、剣とか持って無かったんで殴りました。」



「「…は?…殴った?」」



リードとアンジェリーナは見事なシンクロ率で唖然とした表情を浮かべているが、宗太は特に気にせず説明を続ける。



「ええ、無意識に拳を出したら運良く眉間を打ち抜いたみたいで。そのまま引き摺って街まで持ってきました。…剣とか見せて貰っても?」



「…あ、ああ。」



「なぐ…、引き摺って…?」



宗太の質問にリードは辛うじて反応を返すが、アンジェリーナはまだ脳が理解しきれていないようだった。



その間に宗太は武器を見て回る。



片手剣や大剣、種類も直刀から曲刀まで様々である。



目に付いた物から握って確かめて見るが、どれも軽過ぎてしっくり来ない。



粗方見終わり、諦めようかと思い始めた時、店の隅に立て掛けてある大剣が目に入った。



ツヴァイ・ハンダーと呼ばれる大剣に似ているだろうか。



二メートル近い全長に長い柄、刀身の根元にも持ち手にするためか革紐が巻かれている。



ただ記憶にあった物と違うのは、剣先から根元──革紐が巻かれていない部分──までが大分幅広になっている事だろうか。



手に取り軽く振ってみる。



まだ片手でも振れそうな程軽いが、他の剣より余程良い。



これにしようと決めてリードの方をみると、またしても唖然とした表情でこちらを見ていた。



「…お前さん、そいつを振れるのか?」



「…?ええ…。」



リードの問い掛けに頷くと片手で振ってみる。



それを見たリードはうなだれていた。



「今までそれを振るう事を目標に鍛えに鍛え、ついぞ叶わなかったモノがそんな細腕に…。」



エラい落ち込みようである。



「ソータさん凄い!格好良いです!!」



アンジェリーナは逆にエラいハシャぎようであったが。



宗太は若干引きつった笑みを浮かべながらも値段を聞いてみることにする。



「それで、コレを買いたいんですが幾らですか?」



「金貨五枚…と言いたい所だが、良いもん見せて貰った。角金貨三枚で持ってけ。」



あまり高すぎる買い物が出来ない宗太は、内心ホッとしながらも代金を支払い礼を述べてアンジェリーナと店を後にする。



「次はどこに行きますか?」



言われて考える。



他に必要な物といったら服だろうか。



いつまでも同じ物を着続けるというのも気分が良くない。



本来なら剣よりこちらを優先するべきなのだろうが、そこは冒険者という事で無理やり自分を納得させる。



「そうだな。替えの服が欲しいんだけど。」



「じゃあ商業区の服屋さんですね!」



行き先を決めると、アンジェリーナは裏道へと入って行く。



目当ての店に行くには、中央広場まで出てから大通りを歩くよりも近道になるそうだ。



裏道は想像通りと言うべきか、(まば)らに商店がある以外には殆ど人通りもない。



「もしかして買い物に行く時とかは何時もこんな道を通ってるの?」



この様な場所を女の子が一人で歩いているのだとしたら危ないんじゃないか、と思い訊ねてみた。



「そうですね…、お使いの時なんかも通ったりしてますよ。あ、この街って意外と治安が良くて裏通りも安心して歩けるんですよ。」



治安の良さがどれだけのものかは知らないが、流石に日本レベルという事も無いだろう。



アンジェリーナに気付かれ無いように周囲を警戒しながらも、会話に華を咲かせる。



(──見られてる…?)



西南区画の中程まで来た頃だろうか。



宗太はふとこちらを観察するような視線を感じ、顔を上げる。



すると、黒いローブを着た小さな人影が一つこちらに向かって歩いて来るのが目に入った。



フードを目深に被っているために、その表情までは窺う事が出来ない。



(──!?)



「どうかしたんですか?」



ふと人影と目が合った気がして若干身構えると、アンジェリーナが不思議そうに訊ねてくる。



「あ、いや、何でも無いよ。」



「?」



笑って内心の動揺を誤魔化す宗太。



ありがたい事にアンジェリーナはそれ以上深く突っ込んでくる事はしなかった。



内心安堵しつつも、件の人影に思いを巡らせようとした時だった。



「──オイッ!テメェどこ見て歩いてんだ、ァアッ!?」



前方から何ともガラの悪い怒声が響き渡り、宗太とアンジェリーナは揃って声のした方に視線を向ける。




見ると、ガラの悪そうな屈強な男達が五人、先程の人物──身長が男達の胸辺り迄しか無い事から察するに未だ子供だろう──を取り囲んでいた。



「確かに儂は注意を怠ってしまったが、それはオヌシ等とて同じであろう?ぶつかったのはお互い様という事じゃ。」



どうやら互いに注意不足で脇道からの出会い頭にぶつかってしまったようだった。



ローブの人物は口調こそ年寄りクサいが、声から察するに女性──それもまだ幼い少女であるらしかった。



宗太は徐に背負った大剣の柄を握る。



このまままるく収まれば良し、状況が悪化すれば直ぐにでも助けに入るつもりであった。


第一、子供一人を大の大人が寄って集って脅すというのが気に入らない。



「ンな事関係ねぇんだよ!そのフードを取りやがれ!」



男達もそれに気付いたのか、その内の一人が下卑た表情を浮かべながらフードを剥ぎ取る。



左右後ろに纏め縦に巻かれた陽光に煌めく銀髪に幼いながらも整った顔立ち、ややつり上がり気味の真紅の瞳はその意志の強さを表しているようだ。



剥ぎ取られたフードの下から現れたのは十人居れば十人が振り返る程の美少女だった。



「へへへ、コイツは上物だ…。」



その素顔を見た男達が誰ともなく呟くと下卑た笑みを深めた。



「ガキとはいえ人にぶつかったからには誠意を持って謝ってもらわねぇとなぁ。取り敢えずは身体で払って貰うか。」



「楽しんだ後は売っ払って残りを返して貰うから気にすんなよ。」



その表情を見た少女の瞳に剣呑な色が浮かんだのに男達は気付く事無く、言いたい事を言いながらそれぞれ腰の剣を引き抜くと、脅す様に翳して見せる。



「──…ッ!!」



男達が剣を抜いのを認めると、宗太は鞘ごと大剣を背中から引き抜き全力で踏み出す。



「ひゃっ!?」



宗太の踏み込みに耐えきれず石畳が陥没する。



それに驚いたアンジェリーナが可愛らしい叫び声を上げるが気にしないでおく。



瞬時に間合いを詰めると、二閃。



手前で背を向けている二人を叩き伏せる。



驚いた様子で宗太を見る四人。



宗太は軽く左にステップを踏むと男の肩口に突きを叩き込む。



「伏せて!!」



盛大に吹き飛んで行く男に殺して無いかと内心焦りながらも、少女に向かって指示を出す。



言われた通りに身を屈めた少女を確認すると一歩踏み込み、こちらに向き直った残り二人の内左の男を横殴りに吹き飛ばした。



「て、テメェ!俺達を傭兵団『鮮血の(つるぎ)』と知ってて刃向かってやがんのか!?」



「知るかバカ。」



上擦った声で叫ぶ男に一言だけ返して叩き伏せる。



一応死んではいない筈である。



…全員瀕死かもしれないが。



「ソータさーん、大丈夫ですか!?」



最後の一人を倒したのを確認したアンジェリーナが声を上げながら駆け寄ってきた。



「うん、平気平気。君も怪我とかは無い?」



アンジェリーナに答えた後、少女の方に向き直り訊ねる。



改めて見るとホント小さい。



140センチメートルくらいしか無いんじゃなかろうか。



「うむ、問題は無い。今回は礼を言おう、助かった。オヌシ名は何と言う?」



少女の物言いに苦笑しながらも自己紹介をする宗太。



「どういたしまして。俺は宗太、駆け出しの冒険者をやってるんだ。」



「何、冒険者じゃと…?」



宗太の答えが気になったのか眉根を寄せる少女。



「あ、あの!取り敢えずここから離れませんか?この人達の仲間が来るかも知れませんし…。」



傭兵“団”と言っていたのを聞いていたのだろう。



アンジェリーナがそう提案してくる。



「そうだね、早いとこ離れよう。君も…。」



「済まぬが儂はここに残らねばならぬ。連れがおるのでな。」



宗太の言葉は少女に遮られてしまった。



なおも迷う宗太とアンジェリーナに少女は続ける。



「何、すぐに合流する予定じゃ。こ奴等の仲間に遭遇する前には離れられるじゃろう。」



言外に早く行けと言われていると感じた宗太とアンジェリーナは、少女を気にしながらも先に行く事にする。



「そう言えば名乗り忘れておったな。儂の名はルシフェラ。すぐにまた逢うことになるじゃろう…。」



宗太は背後から聞こえた少女──ルシフェラの言葉に振り返り、軽く手を振ってからまた歩き出した。






────────




「ソータ、か…。なかなか楽しそうな奴じゃの。」



二人が立ち去ったのを確認したルシフェラが呟く。



ふと、こちらに近付いてくる気配を感じた。



その数十。



連れの合流よりこちらの方が早かったかと一人ごちる。



「オイ、ガキ!こりゃあ誰がやりやがった!?」



ルシフェラと倒れている仲間を認めた男達がルシフェラに詰め寄る。



「何、ぶつかった程度で得物を抜いてきたのでな…。」



その言葉を聞いた男達は剣を引き抜いてルシフェラを取り囲む。



腐っても傭兵という事だろうか、その行動は素早かった。



ルシフェラが内心で感心していると、男達の一人──リーダーと思わしき人物が忌々しげに口を開く。



「オイ、ガキ…。誰がやりやがったのかは後でゆっくり聞かせて貰おうじゃねぇか。テメェ等、連れてけ!」



「──それは御遠慮願います。」



リーダーが号令を出すと同時に、どこからともなく少女の声が聞こえてきた。



「だ、誰だッ!?」



リーダーが姿無き声の主に向かい叫ぶ。



すると、狼狽える傭兵達の直中、ルシフェラの背後に侍女服を身に纏った少女が突如として現れる。



年の頃16、17といった所だろうか。



薄紫の髪を後頭部で一つに纏め、同色の瞳はどことなく落ち着いた雰囲気を醸し出している。



腰に佩いた双剣が異様ながらも身に纏う雰囲気に溶け込んでいる。



「一人の女性を十人がかりで取り囲むなど、エスコートにしては些か礼儀に欠けると思いますが。」



少女は男達を窘めるように言う。



「遅いぞリース。何をしておったのだ。」



「申し訳ありません。城内の探索に思いの外手間取ってしまいまして…。しかし、このまま領主を消した(・・・・・・)方が手っ取り早いのではありませんか?」



ルシフェラの問いにリースと呼ばれた少女が答える。



「何を言うか。軍を以て侵略するのが様式美(・・・)というものじゃろうが。」



「て、テメェ等何を言ってやがる!何モンだッ…!?」



二人のやり取りに業を煮やしたリーダーが問い掛けるも、答えてくれる者はいなかった。



「申し訳ありませんが、少し黙ってて頂けませんか?」



リースが腰の双剣を握り一歩を踏み出すが、それはルシフェラの手によって遮られた。



「…ルシフェラ様?」



「儂は今とても気分が良い。こ奴等は儂が直々に相手しよう。」



リースを手で制したルシフェラが変わりに歩み出る。



リースは諦めた表情で退いた。



「さぁ、掛かってくるがよい!下郎共!」



素手で高らかに宣言したルシフェラに対し傭兵達は一瞬だけ逡巡するも、剣を握り直して襲い掛かる。



「──来い、朔夜(サクヤ)。」


ルシフェラがそう言った瞬間足元の影が蠢き、ルシフェラの右手まで伸び上がった(・・・・・・)



ルシフェラが影を掴むと、影は漆黒の刀身を持ち、身の丈を超える両刃の大剣へと姿を変えた。



急な大剣の出現に動きを止める傭兵達にも構わず、ルシフェラは上段から切りかかる。



咄嗟に剣の腹で受けた傭兵は剣ごと二つに叩き斬られた。



驚き、狼狽える傭兵達を嘲笑うかの様に突如ルシフェラが姿を変える。



側頭部からは二本の角が生え、背中のローブが僅かに盛り上がる。



僅かに上がったローブの裾からは返しの付いた槍の様な尻尾が現れた。



「こ、コイツ…、魔族か…!!!」



あまりの出来事に浮き足立つ傭兵達は、しかし逃げる事叶わず。



次々に斬り伏せられていった。



全てが終わった後、そこには二人の少女と十五人分の肉塊が残っていただけだった。



「随分とご機嫌ですね。何か良い事でもございましたか?」



目の前の惨状を気にした様子も無く問い掛けるリース。



「うむ、オヌシが来る前にちと、の…。」



対するルシフェラも明らかにご機嫌な様子で宗太達が消えた方角を見つめる。



「…ククク。──さて、今代こそは儂を楽しませてくれるのかのう?のう、勇者(・・)よ…。」




どうも、今回書いていてアンジェリーナを気に入ってしまった作者です。


遂に出ました彼女達。

これからどうしよう。



取り敢えず作中に出てくるか不明ですが、急遽考えたギルドの説明です。


ギルドの紹介( )内は印(※印は世界共通)


冒険者ギルド(盾に立て剣)

各国にある冒険者を纏める組織。

国を越えて繋がり、国とは独立した組織である為戦争には関わらない。

依頼主からの仕事の仲介や素材の買い取り、提携店の紹介など幅広いサービスを行う。



傭兵ギルド(盾に交差剣)

各国にある傭兵を纏める組織。

冒険者ギルドとは違い他国のギルドとの繋がりは無い。

戦争時に登録された傭兵と国との仲介を務める。



魔術師ギルド(六芒陣に杖)

各国にある魔術の研究や魔術師を教育する組織。

魔術の研究内容は部外秘であり、戦争時には所属魔術師も参戦するため傭兵ギルドと同じく他国のギルドとの繋がりは無い。



商業ギルド(荷馬車に財布)

都市にある卸商の組合。

主に店主への卸商の紹介、取次などを行う。

また、冒険者ギルドから素材の引き取りや海運ギルドとの提携等も行う。



海運ギルド(竜頭帆船)

沿岸部の船主による組合。

商業ギルドとの提携による船主と卸商の仲介や造船所の取り纏め、一般人への客船等の紹介も行う。



盗賊ギルド(交差短剣)

盗賊や暗殺者を纏める非合法組織。

暗殺依頼や暗殺者の育成、盗品の売買等をしている。

ギルド同士の繋がりは情報の共有程度。



主な物は以上でしょうか。

ご意見、ご感想等もお待ちしております。

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