プロローグ
初めての小説です。
自分の乏しい語彙力ではてさてどこまで書けるやら。
ノープランの物語が今、始まる(笑)
フォートリア暦二一六二年。
フォートリア大陸を永き間脅かし続けた魔族と人間との争乱は、それまで中立を保っていたエルフを始めとした亜種族の参戦や、異世界より召喚された勇者の活躍により終わりを告げた。
魔王は勇者に討たれ、世界は平和な世を迎えた。
───ハズだった。
終戦から五年後──フォートリア暦二一六七年、魔族は先代魔王の子を新たな魔王とし、世界は再び戦乱の世を迎えた。
勇者は再び魔王を倒すために魔王国に乗り込むが、歴代最強と謳われる魔王の前に成す術も無く倒れてしまった。
────────
「────ルネスクが墜ちた、だと?」
王城の一室、作戦会議室に置かれた大きな長テーブル、その上座に座る男性──エルトリア王国国王、ユーリス・オルト・イヴァリア・エルトリアが重々しい口調で報告に来た兵士に確認した。
金の髪に碧い瞳、精悍な顔付きに衣服の上からでも鍛え抜かれた事が分かる体躯は、もうすぐ50に届くとは思えない程若々しく見える。
「ハッ!魔族による大規模攻勢により奮戦虚しく……」
その報告に室内は重苦しい雰囲気に包まれた。
「これで先の大戦で我が国の領土となった旧魔国領は全て奪い返されてしまいましたな…」
エルトリア王国宰相ガルデニス公爵が疲れた表情で呟く。
先代魔王を討った大戦で魔王国から得た領土、その5つ全てがたったの三年で奪い返されてしまったのだ。
五年も掛けて統治の基盤作りを行ったものが全て水の泡となってしまった。
と、沈黙の続く作戦会議室に慌てた様子の兵士が飛び込んで来た。
「何事だ!」
ノックも無しに飛び込んで来た兵士にエルトリア王国軍大将グラスト侯爵が怒鳴りつける。
しかし、次に兵士の発した言葉に室内は凍り付いた。
「も、申し訳ありません!御報告致します、魔族軍凡そ500の部隊による奇襲攻撃によりアーネスト駐屯軍8000壊滅…城塞都市アーネスト陥落致しました!!」
「バカな!アーネストはかつての魔族軍の大攻勢にも耐え抜いたのだぞ!!それが魔族とはいえたったの500に壊滅だと…!!?確かな情報なのか!?」
グラスト侯爵が立ち上がり、怒りも露わに兵士を怒鳴る。
兵士は怒気に身を竦ませながらも何とか続きを報告する。
「…ハッ!アーネストの通信技官よりの魔術通信による報告です!ほ、報告によりますと……今回の進軍は魔王自ら兵を率いていたそうです…」
その報告に再び室内に沈黙が訪れる。
しばらく続いた沈黙を破ったのはユーリスだった。
「───軍属に限らず宮廷内の全ての魔術師を召喚の間に集めよ」
「陛下!?」
ユーリスの命に室内をざわめきが支配する。
その中で宮廷魔術師団長を務めるレイファスが異議を唱える。
「危険です、陛下!召喚の魔法陣に流せる魔力は先代勇者様召喚時が限界。いくら流す魔力量で召喚される勇者様の力量も変わるといっても限度を超えれば失敗、最悪暴発の危険も……!!」
「解っておる!!!」
それを一喝するユーリス。
その顔は苦渋に歪んでいた。
「圧倒的な力を持っていたあの勇者が容易く敗れたのだ…、出来なければこの国、いや、この世界が終わるのだ…」
その言葉に返せる者は誰もいなかった。
────────
エルトリア王城、その地下に召喚の間はある。
松明で照らされた広間の中には紺色のローブを着込んだ宮廷魔術師団の精鋭が50人程。
どれも熟練の魔術師ばかりだ。
召喚の間に入りきれなかった者達は魔晶石に魔力を封じ、魔術師団が保存していた魔晶石と共に儀式に使用されることとなった。
その総魔力量は先代勇者召喚の儀の実に三倍。
儀式に失敗し、魔力の暴発が起きれば王城も吹き飛ぶやもしれない。
「儀式を始めたいと思います。」
準備が整った事を確認したレイファスが宣言する。
「───うむ。」
ユーリスが見守る中、広間の中心にある魔法陣の外周にレイファス他4人が、その後ろに残りの魔術師達が並び円陣を組む。
レイファスが呪文を唱え始める。
すると魔術師及び魔晶石から魔法陣へと魔力が流れ、魔法陣が輝き出す。
儀式が進むにつれ輝きを増す魔法陣。
魔力は魔法陣を中心に渦を巻き、魔力の嵐が広間を襲う。
間近で魔力の激流にあてられた魔術師達は顔色が蒼白になり、額には脂汗を浮かべている。
離れた場所で王を護っている結界魔術が軋みを上げる。
儀式は進み、遂には耐えきれず意識を手放す者が現れ始めた。
(───ぐぅ…!やはり無理だったか…?)
レイファスは倒れていく魔術師達を横目に頭の隅で考えるも、しかし儀式を中断する訳にはいかない。
魔術師が半分程倒れた頃、漸く儀式は終わりを迎える。
最後の呪文と共に目を開ける事も出来ない程の眩い光が広間を埋め尽くし、溢れていた膨大な魔力が魔法陣に収束していく。
(成功だ…!)
レイファスは儀式の成功を確信した。
やがて光は収まり、視力が正常に戻っていく。
果たして、魔法陣の中心には───
───誰も居なかった。
ふう…、時間の割に文章量少なっ!
ノープラン、勢いで書いたのでこれからどうなるかも分かりませんが、どうぞ宜しくお願いします。