詩 ささやかな幸せ
掲載日:2026/03/22
急に雨が降ってきた。
傘を忘れたので、雨宿り。
しかし雨は糸が続くように、やむことを知らない。
そのうち、寒くなってきた。
二の腕を擦っていると、赤いものが視界に入った。
「何だろう?」
思っていると、小さな女の子が傘を差し出していた。
「お姉ちゃん、一緒に入ろう」
優しい心の持ち主らしく、にこりと笑ってくる。
最初は戸惑ったが、本当にいいのか聞いてみる。
「いいの? 濡れるよ?」
女の子はこくりとうなずき、傘を更に差し出してくる。思いやりのある子だと涙が出そうになった。
困った時はお互い様。
皆、忘れがちだが、心の暖かさを知り、頭を撫でてあげる。
「ありがとう」
言われて嫌いな人はいないだろう。
それはどの言葉よりも力強く、女の子と一緒に歩き出す。
傘を持つのはもちろん自分のほうで、女の子は遊ぶように水たまりへ歩いていく。
雨でも穏やかな時があるのだと思い、女の子と歩いていくのだった。




